高齢者講習

【認知症の疑い】「認知検査結果の悪かった方」のその後

高齢化社会と言われて久しいです。

現在は高齢者人口は全体の25%を超えて「超高齢社会」と言われるようにまでなりました。今まさに高齢ドライバーの事故防止は社会問題となり、運転免許の自主返納を呼びかける声も少なくありません。

いっそのこと運転免許にも80歳定年制を設ければ?」なんて声も聞かれますが、問題はそんな単純なものではありません。

高齢者全員がインフラの整った便利な地域に住んでるわけでもないし、
また自主返納しても公共の乗り物が自宅の近くを通るとも限らない。

私は、東京など都心に住む高齢者は80歳での自主返納を義務化しても良いかと思ったりもしますが、足が不自由だからこそ車が必要との声もあり、なかなか法整備することは困難といえます。

今政府は、「自動ブレーキ限定免許」の様なものの新設についても検討しているようですが、自動ブレーキ車の普及が間に合っていない状態では、金銭的な個人の負担もあり、これもすぐにはうまくいかないでしょう。

 

何れにしても運転免許継続の意思は、現状本人に委ねられられていますが、しかし本人が継続を心願していても継続できない方もいます。

それは、一定の病気や怪我など、身体的に運転が困難となった場合です。

特に近年では75歳以上の高齢ドライバーに義務付けられた「認知機能検査」によって、その結果如何では、運転免許が取り消されてしまうことが挙げられるでしょう。

 

認知機能検査

認知機能検査とは、75歳以上の高齢ドライバーが一定の条件に該当した場合受検しなければならない検査のことです。

検査を受けなければならない「一定の条件」とは

1.運転免許更新前認知機能検査

運転免許更新には高齢者講習を受講していなければなりません。
また高齢者講習は2時間講習と3時間講習があり、認知機能検査の結果によって振り分けられます。

検査の結果が100点満点中
76点以上の方が2時間講習

76点未満の方は3時間講習
となります。

2.臨時認知機能検査

75歳以上の方が一定の交通違反を行なった場合、臨時で認知機能検査を受検しなければなりません。

一定の交通違反は18種類あります。

これらの違反はいずれも認知症を発症した方が起こしやすい違反ということで、認知機能検査によりその疑いがないかを判断されるということです。

臨時認知機能検査・臨時講習はこちらの記事で詳しく解説しております⬇︎

»»「臨時認知機能検査・臨時高齢者講習とは、詳しく解説」««

検査結果の悪かった方は

認知機能検査の結果は3つに分類されます。

3分類「記憶力判断力が低下していません。」  76点以上

2分類「記憶力判断力がやや低下しています。」 49−75点

1分類「記憶力判断力が低下しています。」   48点以下

手渡される結果通知書も受け取った段階でわかるように色分けされています。
3分類は
2分類は
1分類は

赤紙をもらってしまった(認知機能検査の結果が48点以下だった)場合、医師の診断を受けなければならず、診断の結果が認知症だった場合は運転免許取り消しの対象となります。

 

 

検査結果の悪かった方の3つの選択肢

geralt / Pixabay

 

1、認知機能検査を再受検

検査結果が何かの間違いかもしれません。
体調が悪かったのかもしれない。

もう一度受検して真価を問うという選択です。

しかしもう一度同じような点数だと、もはや逃げ道はありませんよ。

2、医師の診断を受ける

この選択は、運転免許を継続したい方です。「車がなければ生活できない。」「免許は墓場まで持っていく。」「意地でも免許を持ち続けたい」方は、お医者さんに適切な判断を委ねてください。仮に「認知症だから運転免許は取り消しです。」という医師の意見なら諦めがつくでしょう。

もし「認知症に非ず」という診断でも、運転免許は継続ですが、運転は諦めることをお勧めします。何かあってからでは遅いですよ。

3、そのまま放置して失効

この選択は一番勿体無いと言えるでしょう。運転免許の継続はもちろん、運転経歴証明書も受け取れません。結果、全てのチャンスを失うということです。50年の経歴が全てパーになるということです。

しかし残念ながら、この検査結果を受けて、周りのご家族のご協力があれば、返納にしても再検査にしても、どのような手続きを踏めば良いかの判断ができますが、誰の助言も受けられない場合、何をして良いかもわからず、失効してしまうケースは多いようです。

4、運転免許の自主返納

私の一番お勧めはコレ!
・免許がなければ運転できない。
・運転しなきゃ運転での加害者になるリスクはゼロ(当たり前)。
・ついでに運転経歴証明書を手に入れ、様々なサービスを受けることができる。

 

平成30年中「認知機能検査」の結果が悪かった方はその後どうなったか

平成30年(2018年)中、検査結果の悪かった方がその後どのような進路を辿ったのか調べてみました。

平成30年中認知機能検査を受検した方

約216万5000人です。

これは驚きの数字です。これだけ多くの方が検査を受けられたということだけではなく、これだけ多くの75歳以上の方が、運転免許の継続の意思を示したしたということになります。もちろんこの数字は免許更新に該当した方と一定の違反をした方の数字ということなので実際の該当年齢となる人口はもっと多くいらっしゃいます。

第1分類「認知症の恐れ」があると判定された方の数

認知機能検査を受検された216万5000人のうち

第1分類「認知症の恐れ」ありと判定された方の数は5万4千700人。

全体の約2.5%です。この数字が多いか少ないかの判断は難しいところですが、現在高齢者の7人に1人は認知症と言われているところからすると少ない数字なのではないでしょうか。

運転をしている人は認知症にかかりずらいのかもしれません。

それではこの5万4千700人の方達がその後どのような道に進んでいったのかがきになるところです。

1、再受検し、「2分類」又は「3分類」に昇格した方

もちろん検査受検時全ての方が、体調など万全だったとは言い切れません。
中には席次が後ろの方でイラストなどが見えなかったという方もいらっしゃいます。

このようにもう少し点数が取れたのではないかと思う方や、納得のできない方は、再受検することができます。

この再受検された方のうち点数が上がり、「2分類」又は「3分類」に昇格できた方は

8,700人

「第1分類」の判定を受けた方のうち15%の方は点数が上回ったということになります。私は検査官を行ったことがある者として、その検査方法や検査環境にも問題を感じますが、昇格された方がちょっと多すぎるようにも思います。

医師の診断を受け「認知症」と診断され取り消しになった方

1,965人

この数字は、あくまでも診断を受けた方のうちなので、全ての方が診断を受けたわけではありませんので、この数字の多いか少ないかの評価については難しいと言えます。

運転免許の自主返納又は失効に至った方

2万3700人

2019年以後高齢者の重大事故が連日のように報道されこの数字もさらに増加することが見込まれますが、第1分類の方のうち約半数が自ら免許を手放したことになります。

 

「第1分類」の判定を受け、診断の結果「運転免許を継続」できた方

これは単純な引き算で算出

「第1分類」と判定された方ー(「第2、第3分類」昇格者+「取り消し」+「失効」又は「自主返納」)=運転免許継続

54,700人ー(8,700人+1,965人+23,700人)=20,335人

ということで「第1分類」の判定を受けた方のうち2万人以上が運転免許を継続したということになります。

しかし運転免許を継続した方のうち、次のようなケースもあります。

6ヶ月後、診断書が提出を求められるケース

「認知機能検査」の結果が「第1分類」となり、医師の診断を受けたが、認知症とは認められなかった方のうち、「認知症ではないが認知機能の低下がみられ、今後認知症となる恐れがある」と診断され、原則6ヶ月後の診断書の提出を求められるケースがあり、これに該当した方が約1万人だったということです。

 

「認知機能検査」今後の課題

このように認知機能検査の結果、運転免許証を継続できない方が多くいらっしゃいますが、果たしてその妥当性については疑問が残るところです。

検査は何度でも再受検出来てしまう

検査が何度でも再受検出来てしまうのであれば、たった1度、たまたまでも良い点数を取ってしまえば免許3年間継続がほぼ確定(臨時認知機能検査に該当しなかった場合)となる。また事前勉強が可能なので、かなり重度の認知症でもない限りそれなりの点数が取れてしまうという問題。

「第2分類」(認知症ではないが認知機能が低下)の判定を受けても3年間は免許を継続できてしまう

急激に認知機能の低下がみられるケースも多いため、3年に1度の検査頻度に問題はないのか?

死亡事故を起こした高齢ドライバーの半数は「第3分類」

また死亡事故を起こした75歳以上のドライバーのうち、約半数は直近の認知機能検査の結果が「第3分類」と判定されています。ということは必ずしも認知機能検査の結果が悪いから交通事故を起こすとも言い切れず、その他の対策も検討する必要があるのではないでしょうか。

終わりに

ますます進む「超超高齢社会」の中で、一層高齢者の交通死亡事故の割合も高くなるでしょう。

このことから、この様々な課題を残す中、問題はさらに注目され、高齢者講習制度や認知機能検査についてますます強化されることは必至であります。

また、自主返納者に対する得点(自治体によって様々)を増やすことや公共交通機関の一層の充実などをはかり、自主返納しやすい環境づくりが今後の重要な課題となっていくでしょう。

 

【免許更新・認知検査対策】おすすめの参考書を紹介!

ここのところ高齢運転者による事故が多く報道されるようになりました。

このマスコミの過熱報道によって、

「高齢運転者は危ない」
「70歳を過ぎたら免許を自主返納すべきだ」
など、社会悪のような扱いになりつつあります。

また、家族にしてみれば、事故を起こした後のリスクを考えた場合、「じぃじ、ばぁばには運転をやめてもらって、送り迎えをしていた方が安心だ。」などということから、自主返納を勧める家族も急増しているようです。

でもそれはその通りかもしれません。2019年4月池袋で起きた87歳の上級国民による交通事故を考えれば、本人だけではなく家族が受けた傷はかなり深く、会社にも行けなくなったり、近所の目があるため引っ越しを余儀なくされたり、被害者に対する道義的責任はもちろんのこと、それ以上に生きていくことが苦しくなるくらい社会的制裁を受けることになるわけです。

 

この記事を見ていただいているということは、

・運転免許の継続の意志がある方
・高齢の家族の為に免許更新の手伝いがしたい方

のどちらかではないでしょうか?

これから紹介する本を見てしっかり勉強できた方は、基本的に「認知機能検査」で良い点数を取れるでしょう。

しかし、しっかり勉強したけど、良い点数を取れなかった方は、いよいよ「自主返納」も視野に入れた方が宜しいかと思います。

「1日10分!しっかり合格!運転免許認知機能検査(サクラムック)」

 


1日10分! しっかり合格! 運転免許認知機能検査 (サクラムック)

 

本書の活用方法

本書は3つの章と特別付録で構成されています。

第1章「運転免許認知機能検査」の概要

平成29年3月から高齢者講習について道路交通法が大きく改正されました。検査結果によっては最悪運転免許取り消しになってしまう為、自主返納すらできなくなります。

高齢者講習制度の概要を理解して、落ち着いて検査に臨む準備をしましょう。

第2章「検査対策」

認知症予防ドリルを用意しています。

日頃から認知機能を鍛えることが重要です。
本書では1日10分でできる認知症予防について解説しています。

特に記憶力は認知検査で問われますので、しっかりトレーニングしてください。

第3章「認知機能検査」の模擬試験

実際の検査と同じ形式で問題を収録していますので、いざ本番で緊張しすぎないよう、しっかり予習していきましょう。

最後に特別付録として認知機能低下を予防するために日々、気をつけたいことを紹介。いつまでも元気で運転し続けるために、ぜひ実践しましょう。

 

オススメの理由

監修は広川慶裕(ひろかわ・よしひろ) 氏、麻酔科専門医から精神科医に転向し、認知症やうつ病などの精神疾患治療を専門で、現在は認知症の早期発見・早期治療とその啓発に取り組んでいるという方。

まさに認知症治療の専門医による認知症予防について具体的な方法、検査に合格するための記憶術についても提案されています。

次の免許更新だけではなく、日々繰り返し脳のトレーニングをすることによって記憶力を高め、長く運転に関わっていけるような参考書になっています。

 

また実際の認知機能検査問題が体験できるようになっており、日常的に取り組むことによって、しっかり準備ができ落ち着いて検査に臨むことができるでしょう。

また私の記事でも認知機能検査については、一冊の本になるくらい様々な内容について紹介していますが、

≫≫認知機能検査の点数計算方法(認知症のボーダーライン)

インターネットでの学習だとパソコンを開かなきゃいけなかったり、スマートフォンだと文字が小さくて読みづらいという大きなデメリットがあるため、本で学習することもおすすめです。

残念な点は1点だけ

しかし、本書のデメリットもあります。全体がカラーでの構成になっておりますが、
実際の検査は白黒のイラストを使用していますので、本番で若干戸惑うことになるかもしれません。
(紹介されているイラストは実際の検査に出てくるものを使用)

 

こんな方におすすめ

・認知機能の低下はさほど感じないが、免許を失っては困る方

・家族に「免許を自主返納して欲しい」と言われているが、まだ「認知機能は低下していない」と証明したい方

・まだ長く車を運転し続けたい方

・高齢のご家族や友人に「安心して免許を更新してもらいたい」ので本書をプレゼントしたい方

 

・高齢の家族に運転をやめてもらいたいので、「本書で勉強してもらい」それでも悪い点数だった場合に「諦めてもらいたい」方

などなど

 

現在高齢者講習・認知機能検査は大きな社会問題となっています。

免許を持ているだけで働ける。

免許があるから通院ができる。

足が悪いから車が必要。

など、車を必要とする方は多くいらっしゃいます。

「検査の結果で更新できなくなってしまった」ということを避けるためにも本書を読んでしっかりトレーニングし自信を持って免許更新してくださいね。

 


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【70歳以上】「高齢者マーク」つけるべき理由

この記事を見ている方の中で、70歳以上の方、「高齢者マークをつけてますか?」

かつて高齢者講習に携わっていた時に、こんな質問をすると「つけてる」と答える方は、10人いて1人か2人。

ということは70歳以上の方で表示しているのは10〜20%といった印象です。

そんな時によく質問されるのは、

「それ、つける必要あるの?」ということ。

私は、こう答えます。

「つける必要がありますよ。」と。

そいうとだいたい皆さん驚かれます。
それは、みんなつける必要がないと思っているからです。

 

もちろんその後、補足します。

「これは努力義務です。」と。
もちろんつける必要があるかといえば、答えは「イエス!」でも義務ではありません。

正確にいうと一時は義務だったというべきでしょうか。

高齢運転者標識、表示義務から努力義務へ

初めは努力義務だった

1997年(平成9年)10月30日の道路交通法改正で、75歳以上を対象に努力義務規程として導入された。

2002年(平成14年)6月1日に、努力義務の対象年齢を75歳以上から70歳以上に引き下げる改正が行われた。

表示を義務化したが…

2008年(平成20年)6月1日から表示が義務化された。
(違反の名称や反則金の額、違反点数を定める道路交通法施行令の一部を改正する政令も同時に公布された。)
しかし、自民党総務会にて「高齢者マークの義務化をすれば大変な問題になる。そもそも高齢者に『枯れ葉マーク』とは失礼ではないか」と、本法施行を批判したことが報じられ、このことを契機に「高齢運転者標識については、違反の取締りについては、1年の間、指導にとどめること。」となった。

表示義務の不適用化

2009年(平成21年)4月24日に、道路交通法の一部を改正する法律により、75歳以上の運転者の高齢運転者標識表示義務の規定は当分の間適用しない、とされて即日施行され、75歳以上の運転者も高齢運転者標識の表示は努力義務とされた。

新デザイン公布、施行

2011年(平成23年)2月1日から高齢者マークが一新され、新デザインが施行された。旧デザインも使用可能。

70歳以上の方で高齢者マークをつけない理由

MikesPhotos / Pixabay

高齢者の方達は高齢者マークの存在は知っているものの、なかなか表示率は上がりません。

私も講習に携わる中で、皆さんに聞いてみたところ様々な理由がありました。

1、高齢者とは認めたくない。

2、いつの間にか70歳を迎え、その存在を忘れてた。

3、つけたい人だけつければ良いと思ってた。

4、つけると家に「高齢者狙い」の詐欺師や泥棒がくる

5、つけるとあおられる

など様々な意見がありました。

「確かに高齢者と認めたくない」とか特に70歳以上の方に向けて「高齢者マークをつけましょう」という旨の通知が届くわけでもありませんから、「その存在を忘れていること」はわかるような気がします。

また、免許を取得後高齢者講習を受講するまで、違反でもしない限り運転に関わる講習を受けることは一切ありませんので、そのような知識をそもそも知らないということも考えられます。

 

因みに道路交通法にはどのように記載されているのかというと

「加齢に伴って生ずる身体機能の低下が自動車の運転に影響を及ぼす恐れがある」場合は、この標識をつけて普通自動車を運転するように努めなければならない。」

となっています。

だから

「身体機能の低下が運転に影響しない」または「身体機能が低下していない」と思っている方は、絶対に表示しないでしょうね。

 

しかし、残念ですが、50歳を超えるとほとんどの方が著しく身体機能は低下します。

特に高齢者講習を受講するとベテランとしての自身は見事に打ち砕かれます。理由は、視力が出ないからです。特に夜間視力はほとんどの方が思うような結果が出ません。

また運転においても、教習所の中で脱輪したり、一時停止で止まらなかったり、50年間蓄積された悪い癖を指摘され、身体機能が低下してると思わざるを得なくなるでしょう。

 

きっとほとんどの70歳以上の方は今検定を受けたら仮免検定すら受かりませんよ。

 

ならば、今後自らの身体機能の低下を自覚し、みんな高齢者マークをつけるようになるのでしょうか?

多分ならないでしょうね。あれだけ厳罰化が進んだ「飲酒運転」だっていまだになくならないんですから、全く罰則のない高齢者マークはつけようという気持ちになりづらいと言えます。

では、逆に高齢者マークをつけるメリットについて考えてみましょう。

 

高齢者マークをつけるべき理由

1、高齢者マークをつけているものに対して、幅寄せや割り込みの禁止

高齢運転者標識を表示すべき者が高齢運転者標識を付けて車を運転している場合、周囲の車の運転者はそれを保護する義務を負います。道路交通法第71条第5号の4は、表示車に対してやむを得ない場合を除き、幅寄せや割り込みをしてはならないと定めています。同条は、初心運転者標識、身体障害者標識、聴覚障害者標識の表示車に対する保護義務も同様に規定しており、本規定に対する違反者は初心運転者等保護義務違反が問われる。

因みに初心運転者等保護義務違反の罰則は、

★初心運転者等保護義務違反の罰則

【行政処分】基礎点数1点(過去の点数が残ってる方や行政処分歴がある方は注意)酒気帯びの場合:0.25mg/l以上は25点、0.25mg/l未満は14点

【反則通告制度】大型車7,000円、普通自動車6,000円、二輪車6,000円、小型特殊自動車5,000円

また、この違反が原因となり死亡事故となった場合、危険運転致死罪に問われることとなりますので、表示をしていない場合よりは、幅寄せや割り込み、あおり運転などの被害に遭いにくいと言えます。

2、周囲の車両に保護される

先ほども述べたように高齢運転者標識を表示した車に対する保護義務がある為、もちろん保護される可能性が高いと言えます。

例えばご自身が運転する車の周囲に高齢者マークを表示している車があれば、
積極的に近づこうと思うだろうか?
むしろ遠ざかりませんか?

これは、結果として周囲に車が近づいてこようとしない為、事故の可能性は軽減されることになります。

3、自ら自覚する意識がもてる

高齢者の事故は身体能力の低下がもたらすものが多い。
しかし、高齢者自らがその自覚がないことが問題です。

自覚を持つということは、若い時よりもより注意深く様々な確認を行うこと。

例えば、

・ペダルを踏む足を意識し、確実に正しいペダルを踏んでいるか?
・顔を向けるだけでは見えない場所がある為、頭を動かし、死角を減らす努力をする。
・高齢になると反応時間が長くなるため、速度をより控えめにする。
・動体視力が低下する傾向にある為、注視点をより遠くに向ける。
・夜間視力は急激に低下している為、夜の運転は控える

など、若年層にも言える話だが、高齢運転者は特に顕著に現れる身体機能の低下。これを自覚することによって、誤操作や判断の遅れが軽減できることが期待できます。

高齢者だということを認めたくない=高齢者標識を表示しない=身体機能低下の自覚がない

自覚があれば絶対に事故を起こさないということはない。
また自覚があっても走り方を変えなければ意味がない。

まずは、自らが高齢者であることを心の底から認めることが大切だと思います。

その第一歩として、高齢運転者標識の表示をお勧めしたい。

誰しもが、70歳以上になれば、若い時のような動きはできません。

「俺はまだ大丈夫!」

その考えを少し変えるだけで、家族みんなが豊かになるか、悲しみの底に落とされるかが変わるかもしれません。

自覚を持つことの第一歩として高齢者マークを表示してみてはいかがでしょうか?


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【認知症・高齢者】認知機能検査の点数が悪かった方へ

75歳以上の高齢運転者が運転免許更新前に、又は一定の交通違反(18基準行為、詳しくはこちら)をした場合必ず受検しなければならない認知機能検査。

その点数や医師の診断結果によっては、最悪の場合 運転免許が取り消されてしまう為、高齢運転者にとっては大きな悩みのタネとなっています。

・記憶力にはそもそも自信がないから、良い点数なんか取れないんじゃないか?
・悪い点数を取ったら家族に「運転はもうやめろ。」と言われるんじゃないか?
・一体どんな問題が出るんだ?
・点数悪かったら取り消しか?

などなど、、

認知機能検査の結果は、100点満点中

76点以上         記憶力判断力に問題ありません。  (第3分類)

49点以上75点以下    記憶力判断力がやや低下しています。(第2分類)

48点以下         記憶力判断力が低下しています。  (第1分類)

という3つに分類されます。

この中で第3分類第2分類だった方は、講習の内容は異なるものの、その後行う高齢者講習さえ受講すれば運転免許を継続することができますが、万が一第1分類に該当した場合は、医師の診断が必要となり、認知症と診断された場合は、運転免許が取り消されることになります。

»【高齢者講習】認知症の人ってどのくらいいるの?

もしあなたが、認知機能検査を受検した結果「第1分類(48点以下)」になったらどうしますか?

・医師の診断を受けますか?
・運転をやめますか?

というわけで今回は、万が一認知機能検査の点数が悪かった場合「どうすべきか。」ついてまとめてみました。

【認知機能検査】の点数が悪かった理由を考えましょう

認知機能検査の点数は、必ずしも認知症と関わりがあるわけではありません。

認知症以外で点数を悪くする可能性がある要因として、実例をいくつか紹介します。

認知症が原因ではない場合、その他の考え得る要因

1、体調不良

現在、高齢者講習や認知機能検査の予約が取りづらくなっています。予約の変更も当然困難となっているため、多少の体調不良ぐらいでは、そのまま受検してしまうケースが増えているようです。

認知機能検査は、記憶力や判断力を検査するものですから、体調不良は記憶力や判断力を鈍らせ、悪い点数になってしまうのは大いに考えられるでしょう。

そのため受検時に風邪を拗らせていたり腹痛や発熱などがあった場合には、その日は受検しないことをお勧めします。

また睡眠不足も体調不良同様に判断力を鈍らせますので、前日は早めに休んで当日に備えましょう。

2、極度の緊張

当然ですが、認知機能検査は厳正に行いますので、教室の雰囲気も緊張感のある引き締まったものとなります。

また、「悪い点数を取ると免許を取り上げられるかも」と余計なことを考えて緊張している方もいらっしゃいます。

極度の緊張も体調不良の時同様、判断力を鈍らせる要素があるため、いかに平常心で受検できるかが重要です。

3、身内の方に不幸があった

身内の方に不幸があった場合、精神的にも肉体的にも大きなダメージを受けます。ご年齢的にも体力は衰えているため、葬式準備などで消耗している可能性があります。もし認知検査直前に近しい方などに不幸があった場合は、できれば日を改め予約を取り直すことをお勧めします。

4、検査官が威圧的だった、またはわかりづらい説明だった

以前、高齢者の方にこんな話を聞いたことがあります。

その方は、別の教習所で認知検査を受検し、その後当校で行った高齢者講習を行いました。その方に「認知検査はいかがでしたか?」と尋ねたところ、「教官が怖くて、検査の内容が頭に入らず、こんな点数になった。」とおっしゃってました。因みに点数は、第1分類ギリギリ手前の49点なので3時間の高齢者講習でした。その方の講習態度や言動を確認しても、49点の点数が嘘のように話した内容もよく理解できる方だったために、教官が怖くて頭に入らなかったということも頷けるところがありました。

またこんな方もいました。前回の認知検査で42点(第1分類で医師の診断が必要)だった方が、検査官の説明がわかりづらかったという理由で別日に別の場所で再検査をしたところ98点になったということです。

検査官も人間なので常にわかりやすく説明してくれるとは限りませんのでご注意ください。

5、空調が暑すぎた、寒すぎた

空調は必ずしもあなたにとって快適な温度に設定されているとは限りません。単純に検査官に申し出れば良いのですが、検査中は緊張感もありますし、なかなか訴えることも困難な場合があります。

特に暑すぎると頭がぼーっとしてしまうため、少なからず点数に影響する場合があります。エアコン温度の調節は勇気を持って訴えかけてください。

6、カンニングしようとしていたが、失敗

残念ですが、カンニングをしようとする高齢者はかなり多いです。

・手にメモをとっていたり
・机の中にメモ紙を忍ばせ、確認しようとしていたり

 

はっきり言って検査官からはその様子は丸見えで、何かおかしな行動をとるとすぐにわかってしまいます。

カンニングに関しては、厳しく対応されることがほとんどで、最悪は退場となります。またカンニングに頼ろうとしている方は、大事な話を聞き逃したり、記憶すべき問題でメモをとるのに必死だったりして、その後疑わしい行動がバレてしまい、メモは見れずじまいに終わります。

当然点数は低くなるでしょうね。

私の記事でも認知機能検査の解説を行ってますので、良い点数を取りたければ、事前に勉強しましょう。

認知機能検査の問題はこちらで解説してます。

»【認知機能検査】問題1「時間の見当識」徹底解説!

»【認知機能検査】徹底解説!問題2

»【認知機能検査】問題3、4 記憶力テスト「手がかり再生」完全解説!!

»【認知機能検査】問題5「時計描画」満点時計の書き方

 

認知症が原因と考えられる症状

残念ながら下記の理由で良い点数が取れない場合は、認知症の疑いも視野に入れた方が良いでしょう。

1、問題の意味がわからなかった

教習所によって、よほどひどい検査方法を行っていない限り問題の意味がわからないというのは、健常者ではほとんどありません。理由は、問題用紙が全国で統一されているからです。

教習所によっては、問題用紙を各人に渡して検査を行いますが、スクリーンに投影して説明する場合もあります。

もちろん検査官から問題ごとに説明が入り、質問があれば聞くこともできます。

私が担当した時の感触だと、問題の意味がわからない方の多くは、検査官の話をよく聞いていない場合が多く、質問があっても検査官が説明したばかりの同じ内容を再び質問するケースが目立ちます。

とにかく人の話はよく聞きましょう。

それができないのであれば、免許は諦めた方が良いかもしれません。厳しい言い方かもしれませんが、それほど重要な検査をしているという自覚を持つべきです。

真剣に聞いているにも関わらず、それでも意味がわからないのであれば、残念ながら認知症の可能性が高いです。そんなに意味のわからないほど難しいことは言ってませんよ。

2、今日の日付や時間がわからない

認知機能検査が始まってから10年以上は経過しています。この間若干の内容変更はあったものの、今日の日付を聞く問題は開始当初から変わっていません。これだけ世の中で運転免許更新時の認知機能検査について情報が広まっているわけですから、今日の日付を聞かれることをわかっている方が多いはずです。

事前に準備してきたにも関わらず、忘れてしまったのなであれば、残念ながら認知症の恐れがあります。

まだそれぞれの都道府県警察も発表していませんが、令和平成で間違えるミスは多くなりそうですね。

3、そもそも覚えられない

もともと記憶力に自信のない方も多くいらっしゃると思います。この認知機能検査は、そういった方も考慮された“良くできた検査問題”となっています。

»【認知機能検査】問題3、4 記憶力テスト「手がかり再生」完全解説!!

緊張感のある検査会場でも、最低限覚えられる健常者の能力があり、「16枚のイラストを記憶する問題」で記憶できないのにはそれなりの原因が考えられます。

第1分類(48点以下)になるのは記憶力の問題だけではありませんが、16枚のイラストの内、6個以上思い出せないのは、認知症の可能性は否定できないと言わざるを得ないでしょう。仮に事前にしっかり勉強していったにも関わらず第1分類だった場合は、尚更のことであると考えます。

4、時計の描き方がわからない

時計描画という問題があります。この問題は配点が高いため、しっかり準備したいですね。

»【認知機能検査】問題5「時計描画」満点時計の書き方

例えば時間を示す針を描き入れる場合に、針の長さが逆になってしまったりするのは、まだ可愛いミスと言えますが、そもそも時計の描き方がわからないとなれば、なかなか理解に苦しむところです。

ただ興味深いのは、第1分類の結果を出す人のほとんどが、時計はちゃんと描ける方が多いということです。逆に記憶力の問題がそこそこ取れている方に限って、全く時計が描けないといったケースも多く、時計描画の配点が大きいため、せっかく記憶力があるのに時計がわからないというだけで大きく点数を落とし悪い結果になっている方も見受けられます。

 

【認知機能検査】結果が悪かった方は、どうすべきか

検査結果が悪かったから免許を取り消されるわけではありません。そのためまだまだこの段階で運転免許を諦めるのは少し早すぎるのではないでしょうか。しかし上記の内容をしっかり精査した上で、一定の決断を自ら導き出す必要はあります。

その中で結果が悪かった方の選択肢をいくつか挙げてみましたので、参考にしてください。

1、家族に相談する

近くに相談できる家族がいた場合、あるいは自ら決断するのが困難な場合、家族の方に相談するのも良いでしょう。

75歳以上の方の運転免許更新は家族の方にとっても一大事と考えるべきです。何故なら、認知症や運動機能の低下は交通事故のリスクは高まり、仮にそのことが原因で人身事故でも起こせば、家族にとってもタダでは済まされないからです。

この問題は一個人の問題ではなく家族を巻き込んで話し合った方が良い問題であり、家族の方に背中を押してもらう事も1つのきっかけになるでしょう。

残念ながら一人で抱え込んでしまう高齢者も多くいらっしゃいます。理由は認知機能検査の結果が悪かった場合、家族に何を言われるかわからないという事。あるいは立場的に恥ずかしいのでしょう。

何かあってからでは遅いのです。積極的に家族を巻き込みましょう。

2、素直に医師の診断を受ける

もちろん家族のいない方や、家族がいてもなかなか相談できない、または決断ができない場合は、第三者である医師の診断を受けて結論を委ねるしかないでしょう。

しかし受診にもお金がかかりますので、ご自身でしっかり判断しましょう。

因みに警察官や教習所の指導員に認知症の疑いがあるからという理由で免許を取り消させる権限はありません。相談には乗ってくれますが、あくまでも医師の的確な判断に委ねるべきです。

認知症ではないという診断であれば、運転免許の継続は可能ですが、点数が悪かったという事実は消えません。そろそろ決断する時なのかも知れません。

3、再受検する

上記「認知症が原因ではない場合、その他の考え得る要因」で述べた内容が当てはまる場合、認知症ではない可能性もあります。医師の診断を受ける前に再受検をしてみてはいかがでしょうか?

再受検には認知機能検査結果通知書の裏面に記載されている電話番号に電話して再受検についての相談を行ってください。

この記事を読んでいただけているのであれば、次回受検する際はきっとよく勉強をされるのではないでしょうか?認知症でない場合はこれで前回よりも良い結果が出るはずです。

しかし万全で臨んだ検査ですが、それでも芳しい結果が出なかった場合、運転免許の自主返納をお勧めします。

4、運転免許自主返納

最後の最後は自主返納を選択して下さい。医師の診断の結果、運転免許が取り消されたり、また、認知機能検査待ちなどによって運転免許が失効してしまった場合は、自主返納できませんので注意が必要です。

「自主返納のススメ」についてはこちらで紹介しています。

自主返納したことによるメリットも大きいため、今後事故のリスクを負いながら車を運転し続けるくらいなら返納した方が良いのかも知れません。

おわりに

あくまでも認知機能検査は、指標の1つに過ぎません。

この記事で紹介している通り、

「点数が悪い」=「認知症」

ではないということがお分りいただけましたか?

この記事を読んでいる方は、きっと認知症ではないのでしょう。きっと、少しだけ点数が悪かった方か、点数が低かった方を心配するご家族の方なのではないでしょうか?

基本的にこの記事で紹介しているような点数は、第1分類(48点以下)を想定しています。第2分類以上だと取り消されることはないですから、そんなに心配はいりません(予備軍ではありますが)。

たぶん、本当に認知症にかかってしまっている方は進んでこういった記事を読まないのではないでしょうか?ということはここまで読み進めていただいた方は「認知症ではない」ということなのだと思います。

 

 

【高齢者講習・免許更新】令和元年、高齢者講習はこう変わる!

2017年の道路交通法改正以後、高度化・合理化された新しい高齢者講習ですが、問題だらけの改正(改悪?)だったため、2年以上が経過した現在も全国の高齢者運転者教習所の悩みのタネとなっております。

最も問題なのは、予約が取れないこと。中には予約が取れないことによって運転免許を失効してしまっているという事案も数多く起きているということです。
予約が取れない理由は、高齢者人口の増加ということもありますが、もっと根深いのは高齢者講習を行っている教習所自体が受け入れられない状況にあるということです。

»【高齢者講習】予約が取れない問題について

教習所が受け入れられない理由としては、

1、本来の教習所の仕事である新規に免許を取得される方への教習業務が回らない(特に2月3月の繁忙期)。

2、金額的な需要が見込めない。

3、教室の数や広さが足りない。

4、教習コースの円滑性や安全性が損なわれる。

などなど、教習所にとって“お荷物講習”であることは間違いありません。気分を害した方はすみません。

しかしながら団塊の世代の方達が75歳を迎えられる頃この問題はさらに拡大し、手に負えなくなる事態になることは必至であります。
法改正後3年目に突入し、全国の高齢運転者と教習所からの悲鳴は叫びに変わり、もはや待ったなしの状況にいよいよ警察庁も重い腰を上げ対応に踏み切ったということです。

ということで今回の記事は、「令和元年より高齢者講習はこう変わる」というテーマで、警察庁が打ち出した対応策とこれで本当に問題が改善されるのかということに関してまとめてみました。

2019“高齢者講習”はどう変わる?

警察庁からの通達

2019年3月18日、警察庁から全国の都道府県警察やその他関係機関などに向けて、「認知機能検査及び高齢者講習の対策強化」について通達されました。

具体的通達内容

1、運転免許有効期限切迫者に対する対応の強化

・免許センターで高齢者講習等を実施または受け入れ枠を拡大することの検討
・期限切迫者に対する相談対応の充実化

現在、高齢者講習を実施しているのは基本的に教習所であり、免許センターや警察署ではごく限られた一部の都道府県でしか実施されていません。その為教習所に対する負担も大きく、また実施枠も拡大できない状況にあり、免許センターや警察署などでの実施を可能とすることや拡大することによって受講待ちや免許を失効させてしまう高齢者を軽減させることが狙いなのでしょう。

また、実施機関(教習所など)の予約の空き情報などを一元的に把握し、高齢者に対して情報提供することなど相談対応を強化する内容も盛りこまれています。

現状、教習所の空き状況は、各所様々ですが、5ヶ月待ちという話をよく耳にします。5ヶ月待ちの教習所はハッキリ言ってやる気のない教習所で、そのように言っておけば、早く予約した人しか受け入れないということになるので期限切迫者を門前払いできるわけです。警察庁もこうした教習所に対するアプローチを強化しなければ、期限切迫者に対しての本当の改善にはならないのではないでしょうか。

2、高齢者講習の同日実施の推進

75歳以上の方が受験しなければならない「認知機能検査」ですが、その結果によって受講する「高齢者講習」の内容が異なる為、ほとんどの都道府県では、「認知機能検査」結果を受けた後、今度は結果に基づいた「高齢者講習」の予約をしなければならず、二度手間 三度手間の手続きが必要となっています。

この通達では、「認知機能検査」の結果が良かった方については、同日に実施できるように検討することが示されています。そうすれば、高齢者に対する負担はかなり軽減されるでしょうね。

しかし、現状のままでは通達内容について検討はできるものの、同日実施は物理的に難しいでしょう。そもそも予約枠が空いていない状況で、「認知機能検査」が終わって誰が良い点数をとるかもわからない(全員悪い点数の可能性だってある)のに同日にそのまま「高齢者講習」もどうぞ というわけには行きません。教習所はその為に指導員を確保できるほどゆとりはありませんから、そもそもの仕組みを変えない限り実現は難しいでしょう。

3、高齢者講習等の運用の弾力化

a 認知機能検査の人数制限の緩和

認知機能検査では、一度に受験できる方の人数制限があります。

現状では、一回の検査は15人までとなっており、教習所によっては二教室に分けることによりそれ以上の人数に対応しているところもあるということですが、基本的に上限は15人。ただし、1名の検査官につき10人までとなっている為、15名受検者がいる場合には、2名の検査官がいることになります。

今回警察庁からの通達によって、定員15人以下から20人以下まで拡大することとされ、こちらも受検待ちを軽減させる取り組みの1つと言えます。

メリット

・高齢運転者にとっては予約が取りやすくなる。
・教習所も同じ人員の中で収入が増えることになる。

デメリット

・高齢者にとってのデメリットは採点に時間がかかる為、待ち時間が長くなる。
・教習所は、それだけの人数を収容できる教室の確保が困難。
・採点に時間がかかる為、同じ人員でこなさなければならず、仕事量ばかりが増えてしまう。最悪は、休憩時間が削られるおそれもあり。

b 高齢者講習の各科目の人数制限の緩和
ア 双方向講義

双方向講義とは、高齢者講習の内容の中に含まれる、講習担当者と高齢者で双方向に意見等を出し合い安全運転や高齢者特有に危険箇所について意識を深める講義とことです。高齢者講習の中では、30分間設けられています。

こちらの人数制限は、

現状、1人の講習担当者につき6人以下とされ、仮に受講者が12人いた場合は、6人ずつで二教室必要となっています。
今回の人数制限緩和により75歳以上で認知機能検査の結果が第1分類及び第2分類(認知機能検査の点数が76点未満)の判定を受けた者は1人の指導員が12人以下まで担当できることになりました。

残念ながらこの緩和はほぼ意味のない緩和です。第1分類、第2分類の方に対する講習は、基本的に第3分類(認知機能検査の結果が76点以上)の方よりも圧倒的に少ない為、そもそも6人以上で講習を行っているところは少なく(多分存在しない)、実質的に存在しないものに対して緩和されても、「他に打つき手があるのでは?」と疑問が残るばかりです。

イ 運転適性検査による指導

運転適性検査とは、いわゆる目の検査です。目の検査を行うのは1グループ受講者3人の編成で行っているとろ、1グループ4人とする内容です。

»【高齢者講習】運転適性検査とは、内容をわかりやすく解説

ウ 実車による指導

高齢者講習では、実車による指導も行います。
S字をやったり方向変換をやったりで1人につき15分以上はかかるところです。

こちらも講習担当者1人につき受講者3人まで乗車して行いますが、こちらについても4人まで拡大するということです。

このイ、ウの2つについては、時間的に見てもかなり無理な設定となり、現状で時間いっぱいいっぱいでやっているところ、さらに1人増えるとなれば、何かを端折らなければ、物理的に不可能なのではないかと感じます。警察庁は時間内の実施も可能だと行っていますが、果たして何件の実験データに基づいてその結論に至ったのかはいささか疑問が残るところです。

これは、受講者にとってのメリットはあまりないものと感じます。
教習所にとってはデメリットだらけ、1つメリットを挙げるとすれば、1人の指導員で4人まで見れるので、金額的収入は上がるということですが従業員にとっては、それが帰ってくるわけではないので、仕事量が増えるだけということになりますね。

>70歳以上の運転免許更新、「高齢者講習」の具体的内容について解説

まとめ

今回の通達によって大きく3つのことが変わります。

講習の内容自体は一切変わりませんが、予約枠拡大のために現場で働く職員の仕事量が一気に増えることになります。ただし、あくまでもMUSTではなく努力義務程度のものです。

教習所業界は、ただでさえ高齢者講習に対して後ろ向きな感覚を持っているところが多いため、素直に受け入れ、積極的に取り組む教習所が果たして全国で何所あるかが見ものです。

すでに緩和措置に向けて動き出した教習所があるという情報も得ております。

将来私も高齢者になっていく中で、不安になる高齢者の気持ちはとてもよくわかります。この高齢者講習の問題については、本当に意味のある根本的改善をしなければ、やる側も受ける側もただ辛いだけとなてしまっている恐れがあります。もう少し深く実態を調査し、早く互いに納得のいく高齢者講習制度を確立していただきたいと思います。

【免許更新】70歳以上の方の免許更新の流れをわかりやすく解説

2017年3月12日の道路交通法の改正により、70歳以上の方の運転免許更新までの流れが大きく変わりました。この改正によって、75歳未満の方の更新は3時間講習から2時間講習へと時間が短縮され、また料金も多少お安くなるなどメリットのある改正となりましたが、75歳以上の方にとっては、より流れが複雑になり、最悪は運転免許が取り消される恐れがあるなど、不安に感じている方も多いと聞きます。

そこで今回は70歳以上の方の運転免許更新までの流れをわかりやすく解説させていただきたいと思います。

更新までの流れを表にしてみました

1、自宅にハガキが届きます

運転免許更新時の年齢が75歳未満(70歳〜74歳)の方と75歳以上の方とでは流れが異なりますが、いずれの方もまずは自宅にハガキが届きます。
※最近住所を変更したばかりの方や引っ越したのに免許証の住所変更をしていない方はハガキが届かない場合がありますので、変更手続きはお早めに行っておいてください。

ハガキが届くのは運転免許の有効期限満了の6〜7ヶ月前に届きます。ここで注意しなければならないのが、運転免許更新がまだ半年近く先なので何もせず放置してしまうことです。
※半年前に届くハガキは高齢者講習用で、運転免許更新の案内ハガキではありません。
運転免許更新の案内ハガキは、運転免許有効期限満了の約3ヶ月前に届きます。

ハガキが届いたらとにかく早く電話しましょう

高齢者講習は都道府県によっては予約は5ヶ月待ちのプレミアムチケットとなっています。ハガキが届いたらとにかく早く最寄りの教習所に電話し、高齢者講習または認知機能検査(75歳以上の方)の予約をしましょう(教習所も高齢者講習のために本来の教習業務が回らないなどの理由で門前払い。または音声ガイドでお断りなんてこともあるようです。更新期限ギリギリになるときっとかなり焦りますよ。)

»【高齢者講習】予約が取れない問題について

予約の際に気をつけること

75歳未満の方は「高齢者講習の予約をしたい」と言ってください。
75歳以上の方は「認知機能検査の予約がしたい」と言ってください。

そうすると生年月日や名前、電話番号等聞かれますので、すぐ答えられるように準備しておきましょう。

当日の持ち物は
・ハガキ
・免許証
・講習または認知機能検査の料金
・眼鏡(読み書き用と運転用の両方)
・黒のボールペン

日時や持ち物など案内がありますので講習ハガキに直接メモをとるようにしましょう。これは時間を間違える方が多いためです。当日、間違えて隣の教習所に行ってしまう方も稀にいらっしゃいます。電話の担当者の名前もしっかりメモしておくと良いでしょう。

尚、75歳以上の方は、認知機能検査終了後、再び高齢者講習の為の予約が必要になります。
認知機能検査の結果通知書を手元に用意し、
・いつどこで検査を受けたか
・何点だったか
・結果通知書の紙の色は何色かなど

聞かれますので準備しておいてください。

高齢者講習について

70歳〜74歳の方

2時間講習を受講します。当日は、なるべく早めに行きましょう。万が一遅刻をすればせっかく早めに取った予約がパアになります。再度予約の取り直しは厳しいので、交通渋滞や電車の人身事故など何があるかわかりません。時間にはゆとりを持って早めに行動しましょう

»【高齢者講習】具体的内容について

高齢者講習は、試験ではありませんので、2時間の講習を受講された全ての方が修了証明書を受け取ることができます。

75歳以上の方

75歳以上の方は、まず認知機能検査を受けなければなりません。
検査は100点満点で結果が出ますが、その結果によってこの後の流れが大きく変わります。

»【認知機能検査】点数計算の仕方、認知症のボーダーラインは何点??

ここで良い点数をとることが、今後安心して運転するために、またご家族の方に心配をかけないためにも重要となりますので頑張ってください。

認知機能検査の問題はこちらで解説してます。

»【認知機能検査】問題1「時間の見当識」徹底解説!

»【認知機能検査】徹底解説!問題2

»【認知機能検査】問題3、4 記憶力テスト「手がかり再生」完全解説!!

»【認知機能検査】問題5「時計描画」満点時計の書き方

認知機能検査の点数

・76点以上だった方      → 2時間講習(75歳未満の方と合同で講習を行います。)
・49点以上75点以下だった方 → 3時間講習
・48点以下だった方      → 医師の診断の結果認知症の疑いがなければ3時間講習
                     〃    認知症と診断された場合は運転免許の取り消しや停止となる

私は、体調など万全な状態にも関わらず75点以下だった方や交通の便が悪くないかたなどには運転免許の返納をお勧めしたいです。やはり何かあってからでは遅いのです。

»【運転免許】返納のすすめ〜こんな方は免許を返納しましょう

点数の結果が出ましたら、なるべく早く教習所に再び連絡をし、今度は高齢者講習の予約を取得してください。
講習を受けられた方は、修了証明書を受けとり免許更新に向かってください。

高齢者講習を受講された方

高齢者講習終了時に受け取る「修了証明書」は絶対に無くさないでください。講習を早く受けすぎてしまったために無くされる方がいらっしゃいます。高齢者講習は期限の半年前からできますが、運転免許の更新手続きはどんなに早く講習が終わっていたとしても期限の2ヶ月前からしかできませんのでご注意ください。

更新手続きは69歳以前と全く同じです。最寄りの警察署か運転免許センターなどで行ってください。更新の案内ハガキにどこで更新するかの説明がありますのでご参照ください。

尚、本来交通違反をされている方は、試験場で行う違反者講習を受けて更新しなければなりませんが、実は高齢者講習が違反者講習を兼ねているためそのまま更新ができる形となっています(私はなぜ違反者にメリットがある法律になっているか理解ができません。)。

おわりに

今回は、70歳以上の方の運転免許更新の流れについて解説いたしました。近年何かと話題になる高齢ドライバーですが、警察庁も高齢者の事故防止についてかなり力を入れています。また講習についても予約が取りずらい現状やその仕組みについて今後再び改正されることを期待したいところです。

【高齢者・運転免許】自主返納のススメ〜こんな方は免許を返納しましょう〜

近年、高齢ドライバーによる交通事故が多く報道されています。

当たり前ですけど、事故を起こしたくて起こしている人なんて誰もいません。ハンドルを握る以上誰しもが事故を起こすリスクがあって、高齢運転者ばかりが危ないわけではないんです。でも個人差はあるものの、60歳を過ぎる頃から運動機能が著しく低下するということは紛れもない事実。また、高齢者(特に75歳以上)の事故が死亡事故になってしまう割合も他の年代の倍以上とも言われています。

もはや、「自分は大丈夫。」とか「50年間事故を起こしたことがない。」という主観的な意見はあてになりません。テレビなどで報道されている高齢者の事故も他人事と思っていないでしょうか?今までは大丈夫だったかもしれませんが、今後はわかりません。ご家族や医師などの客観的な意見にも耳を傾け、運転免許を諦めることも重要な選択になるのではないでしょうか?

何か起きてからでは遅いんです。

事故を起こしてしまった方だって運転さえしていなければ、事故の加害者になることはあり得ません。

「後悔先に立たず」

というわけで今回は、運転免許返納を少しでも考えている方やご家族の方に運転を止められていて困っている方、認知検査の結果が思わしくなかった方などに向け「運転免許自主返納のススメ〜こんな方は免許を返納しましょう」というテーマについてまとめました。

運転免許自主返納のデメリット

運転免許を自主返納すれば当然車を運転できなくなります。運転ができなくなるということは足が失われてしまうことになり、特に足の不自由な方や車の運転が仕事だという方にとっては死活問題で運転をやめるわけにはいきません。

またドライブが趣味という方にとっても楽しみを奪われるわけですから抵抗感は計り知れないものだと思います。

その他のデメリットですが、金銭面はどうでしょう?車の維持にかかる費用(税金、保険、駐車料金、ローン、燃料代、メンテナンスなど)とタクシーや公共の乗り物等にかかる費用を比較する必要がありそうですが、毎日長距離を通院や通勤してる方などにとっては、金額的にも時間的にも浪費することとなり大きなデメリットと言えるのではないでしょうか。しかし、近距離での移動や頻繁に運転する必要のない方は、公共の乗り物や家族の送迎等をお願いした方が金銭的にはかなり浮きますね。

しかしながらこういったデメリットこそが運転免許自主返納に踏ん切りがつかない素因となっています。

本当に運転免許は必要ですか?本当に車が無ければ困りますか?事故を起こすリスクとどちらが大事ですか?

運転免許自主返納の特典・メリット

では、運転免許を返納するとどのようなメリットがあるのか考えてみます。

運転経歴証明書

・運転免許を自主返納された方には、「運転経歴証明書」を申請することができます。
・「運転経歴証明書」は、運転免許を返納した日からさかのぼって5年間の運転に関する経歴を証明するもので、これまで安全運転に努めてきた証明になります。

・「運転経歴証明書」は銀行の窓口などで身分証として提示することができます。現在は有効期限なく使用することが可能です。
・また、「運転経歴証明書」を提示することにより、高齢運転免許自主返納サポート協議会の加盟店や美術館などで、様々な特典を受けることができます。
・特典を受けられるのは、年齢等の条件があり都道府県によって異なります。よくご確認ください。

・特典内容は、自治体や民間によって様々で、公共交通機関の割引や有名ホテルの食事の割引など多岐にわたり、運転免許を自主返納することの大きなメリットと言えます。具体的な特典内容は都道府県別にホームページ等でよくご確認ください。

その他のメリット

車の維持費がかからない

デメリットの中でも述べましたが、車を維持するためには莫大な費用(税金、車検、メンテナンス、駐車料金、燃料費、車の購入費用その他)がかかるため、運転免許を返納すれば、当然そのコストはおさえられます。電車やバスの運賃と比較しても圧倒的にコストがかかります。ただし、山奥などに住んでいる方などは、電車やバスが近くを通ってないケースも考えられるため、維持費がかかったとしても、車がなくては生活が成り立たない方にとってはその限りではありませんね。

事故の加害者になるリスクはゼロ

車を運転する以上、切っても切れないのが事故のリスクです。中でも加害者になってしまうと様々な責任(刑事上、民事上、行政上、道義上)を負わなければなりません。

近所の目も気になるところ…。「あの方はいつまで運転するんだろう?」「近くで事故を起こさなきゃ良いけど…。」なんて思ってる人もいるみたいですよ。自分一人で道路を使うわけではありません。近所の人の目も気にしてみてはいかがでしょう?

高齢者講習を受ける必要がない

現在、高齢者講習の予約が大変取りづらくなっています。予約が取れないせいで運転免許を失効してる方も多くいらっしゃいます。因みに運転免許を失効している状態では自主返納出来ません。

また認知症の疑いのある方は免許を取り消される場合があります。この場合ももちろん自主返納は出来ず、先に紹介した特典は一切受けられません。

»【高齢者講習】認知症の人ってどのくらいいるの?

講習自体はとても意義のあるものですが、それはあくまでも運転者にとってのことです。教習所の運用上の問題もあり講習料金は増額傾向にあり、講習に関わるお金や時間、予約を取得するためのストレス、労力など考えると講習を受ける必要がなくなることは大きなメリットと言えます。

また75歳以上の方になると一定の交通違反をした場合に臨時の認知機能検査を受けなければならず、最悪は運転免許の取り消しになる恐れがあります。

»臨時認知機能検査とは?臨時認知機能検査と臨時高齢者講習

運動不足解消、健康促進 、時間の有効活用

運転をやめるということは、必然的に歩いたり自転車に乗ったり立っている時間が増えます。そのような何気ない動作も健康促進に繋がります。

また運転中は運転以外のことは基本的にできませんが、電車やバスでの移動は、読書や携帯電話でネットサーフィンなんかもできますね。長距離ともなれば尚のこと、時間を有効活用することによって今まで出会えなかった楽しみを見つけられるかもしれません。

こんな方は免許を返納しましょう

これまで、運転免許を自主返納したことによるデメリットやメリットついて紹介してきましたが、やはり人生の中で運転免許を返納することは一大行事。なかなか踏ん切りがつかないものです。そこで、私が思う「こんな方は免許を返納した方が良い」についてまとめました。是非これを見て参考になさってください。

・80歳以上の方
もちろん80歳以上の方でも十分運転が可能な方は多いですが、人生の一つの節目として考えても良い年齢。何度も言わせてください。「何かあってからでは遅いんです。」そして「道路は自分一人のものではありません。」。

・75歳以上の方が行う認知機能検査で75点以下だった方
認知機能検査の結果が49点から75点までの方は、「記憶力や判断力が少し低下している」という結果です。また、48点以下だと「認知症の疑いがあります。」という結果です。もしかしたら体調不良の影響で点数が低かった可能性はありますが、「認知症予備軍」とも言える結果です。
自ら幕引きとするのも格好の良い選択だと思います。よくお考えください。

»【認知機能検査】点数の計算方法。認知症のボーダーランは何点?

・70歳以上の方で最寄りの駅やバス停まで徒歩圏内の方
最寄りの駅やバス停まで徒歩圏の方は、早めに返納しても問題ないのではないでしょうか?逆に運転免許にこだわる理由が聞きたいです。よくゴルフをしに行くからとか、田舎に行くときに必要と言われる方も多いですね。何か理由があれば良いと思いますが、特に理由のない方は、早めに自主返納の特典を利用された方がよろしいかと思います。

・65歳以上の方で3ヶ月以上車を運転していない方
運転をしない期間が長ければ、運転に不慣れだったり道路交通の状況判断の遅れに繋がります。様々なリスクを考えると免許を継続することのデメリットしか想像できません。よくご家族の方と相談して良い決断をしてください。

・65歳以上の方でこの1年間に3回以上車をぶつけた方
もしかしたら気付かぬうちに運動機能が低下し、気持ちと動きにズレが生じてる可能性があります。ものにぶつけただけならまだしも、今後は人身事故につながる可能性は否定できません。3回の事故は何かのサイン。早めの決断が求められます。

・気を失う可能性のある持病をお持ちの方
そもそも運転してはいけません。運転すれば犯罪です。専門の医療機関で相談しましょう。

・運転についてご家族や医師から引退を勧められた方
自分あっての家族でありますが、家族あっての自分でもあります。ご家族が引退を勧めるのには何かしらの理由があるのでは?重要なことです。周りの意見に深く耳を傾け、自らを見つめ直してみてはいかがでしょうか?

・その他
視力が著しく低下した方や、認知症ではないが物忘れが多くなった方など

おわりに

この記事に目を通していただいた方は、少なからず自主返納に興味をお持ちの方なのだと思います。また、身内の方に返納をさせたいけど聞いてくれないとか。

返納をさせたい方は、送迎や買い物の協力など絶対的な協力体制を欠くことはできません。それを約束できなければ、返納させる権利はないでしょう。

運転免許の返納は人生にとって大きな大きなイベントです。周りの方の暖かい目でしっかりサポートしてください。

最後にもう一度

「免許は本当に必要ですか?」

「本当に車がなければ困りますか?」

「事故を起こすリスクとどちらが大切ですか?」

「何かあってからでは遅いのです。」

 

【高齢者講習】適性検査とは 内容をわかりやすく解説

運転免許の更新時に70歳以上になる方は、高齢者講習を受けなければ、更新することはできません。

高齢者講習内容は、2時間講習の場合、運転実技、適性検査、双方向講義を行います。その他75歳以上の方は講習の前に行う認知機能検査の結果により、3時間講習に該当する場合があります。この場合、2時間講習の内容に加え、個別指導などが加わり、ご自身の運転について映像を確認しながら、アドバイスを受ける内容となっております。

今回は、この中で適性検査について、解説してまいります。

適性検査とは

高齢者講習で行う適性検査とは、いわゆる視力検査のことです。ただし、運転免許更新時に行う通常の視力だけではなく、運転に深く関わりのある視力で動体視力、夜間視力、水平視野の計測をします。

また、運転免許の更新時に行う視力検査と違い、この検査は試験ではありませんので、合否があるわけではありません。ですから、検査の結果が悪くても講習を修了すれば、(医師の診断結果で認知症との認知症と診断を受けた方を除く)全ての方が運転免許の更新ができますので安心してください。

この検査の最大の目的は、今後の運転のあり方について、ご自身で考えるきっかけを作る為の検査です。ですから、結果は良いに越したことはありませんが、悪かった場合も悪かったなりの運転方法や考え方をご自身なりに見つめ直していただくことが大切です。人によっては、この結果次第で、夜間の運転を引退される方もいらっしゃるようです。

では、動体視力、夜間視力、水平視野それぞれの検査の仕方と検査結果による注意点などを解説します。

静止視力と動体視力

静止視力

静止視力とはその名の通り、止まっている状態で止まったものを見る時の視力です。

静止視力の検査は、きっと誰もが馴染みのあるランドルト環(C) のマークのどちらが空いているかを答えるものです。かつては斜め方向もありましたが、現在は、上、下、右、左の4択となっています。

機械は、上下左右を声で答えてもらうタイプと手元のレバーで指し示すタイプとありますが、いずれも正解だとCマークが小さくなり、確認できなくなったところの前に正解したところが結果となります。因みに運転免許更新に必要な視力は次の通り、

運転免許の更新に必要な視力

一種免許(大型自動車、牽引免許は除く。)、大型特殊、自動二輪免許

・両眼で0.7以上
・片眼で0.3以上
・片眼が0.3未満の場合は他眼の視力が0.7以上

二種免許、大型自動車、中型自動車、牽引、大型仮免許

・両眼で0.8以上
・片眼で0.5以上

原付、小型特殊免許

・両眼で0.5以上
・片眼が見えない場合は他眼の視力が0.5以上

となります。基本的には普通自動車第一種免許をお持ちの方がほとんどですから、0.7以上が求められます。

高齢者講習の視力検査で更新に必要な視力に届かなくても、講習自体に合否はありませんが、更新時に測る視力検査では基準に達しなかった場合免許更新はできませんので、更新前に眼科医や眼鏡屋さんなどと相談した方が良いでしょう。

でも、機械によっても相性があるようなので、講習で行う検査の結果が悪くても更新時には問題ない方も多いようなので、なんとも言えませんが、目は良いに越したことはないので、更新時には万全にしておくことをお勧めします。

動体視力

動体視力は、自らが動いているか目標物が動いていた場合の視力になります。基本的に静止視力と同じ検査機で測定しますが、今度は先程のランドルト環(C)マークが近づいて来る状態でどのくらい視力があるかを計測します。

計測方法

・ランドルト環が50m先にある設定(視認するのは困難な状態)から時速30kmの速度でご自身に向かって近づいてきます。

・ランドルト環の空いた方が確認できたら素早くレバーを倒し回答します。

・もちろん早く回答できた方が結果が良くなります。

・練習2回やった後、本番は5回行います。

・本番5回の平均値が結果となります。

70歳代の平均値

動体視力は、動いている状態での視力なので、静止視力よりも視認するのは大変困難となります。例えば、時速50kmで走行していた場合、視力が1.2ある若者でも0.7まで下がると言われてます。

この動体視力は、50代以降急激に低下し、70歳以上の方の平均は、時速30kmで走行中であったとしても0.1~0.3くらいと言われています。

動体視力が低下している方の対策

残念ながら動体視力を矯正することはできません。物の動きを捉える能力や反射神経は歳を重ねるごとに低下します。動体視力低下を補うためには、

・速度を控えめにしたり

・注視点を遠くに向けるなど

運転の中で工夫していく必要があります。しかし、速度を控えるといっても時速30kmの想定でも0.1という結果だった場合は、これ以上なかなか速度を控えようがありません。ですから運転中は意識的に注視点を遠くに向けて、早めに先の状況を確認する意識が必要となります。ただ、遠くを見ようにもそもそもの視力が低ければ遠くの確認は出来ませんので、ご自身の視力にあった矯正や白内障の手術など、専門機関で相談しましょう。

夜間視力

xusenru / Pixabay

高齢者講習の中で受講者の方が最も苦労するのがこの夜間視力です。

夜間視力では、2つ(教習所によっては1つ)の検査を行います。

視力の回復時間と眩光下視力

視力の回復時間

視力の回復時間とは、突然暗闇になった時にどのくらいの時間で順応するかを計測するものです。

検査方法

・30秒間眩しい光を直視します(明るい状態に目を慣らす。)。
・30秒後突然真っ暗な状態になり、暗闇の中にあるランドルト環の空いている方向が確認できるまで我慢します。
・確認できたらレバーなどで回答します。

70歳代の平均値

検査開始前に「どのくらいで回復できると思いますか?」と質問することがよくあります。すると大抵の方は「5秒くらいかな。」とお答えになりますが、残念ながらそんなに早く回復しません。

「視力の回復時間」も「動体視力」同様50代を迎える頃から急激に低下する傾向にあります。
この検査結果の平均は、だいたい60秒から70秒くらいです。90秒でも回復しない方も大勢いらっしゃいます。

因みに若年層(20代)はというと同じ検査機で計測した場合10秒かからず確認できる方がほとんどです。

運転時の想定場面

視力の回復時間が、運転に関わる場面は、例えばトンネルの入り口です。日中の明るい時間突然真っ暗なトンネルに入ったらしばらく見えずらくなります。特に都心部ではなく郊外にあるような古いトンネルは薄暗く見えずらい状態が続くことが考えられます。

また、夜間、レストランなどで食事をした帰り道などは、明るいレストランから暗い夜道に出るわけですからこのような状態になりやすいと言えます。夜道を走る場合は、少し暗闇に目を慣らしてから走行することをお勧めします。

眩光下視力

眩光下視力とは、夜間、眩しい光を目に受けた状態でどのくらい暗闇の中を認識できるかを計測するものです。

検査方法

眩しい光とは、対向車のヘッドライトを想定しており、2ヶ所から放たれる眩しい光を目に受けている状態で暗闇にあるランドルト環の空いた方向を答えます。

70歳代の方の平均値

平均値というよりは、ほとんど確認できません。結果の良い方でも0.5くらいでしょうか。

残念ながら高齢者の方は、ほとんどの方が暗闇の中を認識しっかり認識できません。夜間視力も矯正できませんので、それを補う運転は、速度を控えたり車間距離を十分開けたりご自身なりに防衛した運転を考える必要があります。

夜間は、見えずらい一方、交通量は減少します。ということは、きちんと見えていないのに速度が上がり、重大事故になるリスクが高まるということです。

私のお勧めは、「夜は、運転を引退です。」何かあってからでは遅いので、夜の運転を控えることが、最も安全策なのではないでしょうか?

水平視野

jplenio / Pixabay

水平視野とは、まっすぐ前方を見ている状態で左右どのくらい角度まで横を認識できるかというものです。

検査方法

視野測定器にも様々ありますが、基本的にアゴやおでこが固定されている状態で前方に視点を集中させ、横に移動する物体を(目で追わず)認識できる範囲を測定します。

結果は、移動する物体が「視野範囲から外れた(消失)角度」と「視野の範囲に入った(出現)角度」の平均値で示されます。

例えば、右目の検査で、見えなくなった(消失)角度が80度で戻ってきた物体が視野の中に入った(出現)角度が76度だった場合、平均は78度ということになります。

これを左右それぞれ計測し、その合計が結果となります。

70歳以上の方の平均値

70歳以上の方の左右合計視野角度の平均は、概ね150度程度です。残念ながら真横まで認識できない方がほとんどです。
若年層の方には左右200度以上見やる方も多く、動体視力や夜間視力同様50代以降視野が狭くなっていく傾向です。

視野測定結果の低かった方

視野が狭くなってきた方は、側方の状況の把握がやや遅れる傾向にあります。例えば、二輪車が側方から接近してきても全く気付かず巻き込んでしまうケースもあるようです。

視野測定は、あくまでも注視点から目を外せない条件での結果となりますが、実際の運転中は、そのような縛りはないため、絶えず目や顔を左右に動かし、視野を広げることが大変重要になります。

まとめ

今回は、高齢者講習で行う適性検査(視力検査)について説明いたしました。

運転中の様々な情報は目から入ってくることが多く、視力の低下は命に関わることになります。今回紹介しました動体視力、夜間視力、水平視野は、通常視力とは異なり矯正できるものではありません。しかし、運転中の様々な工夫によって、それをカバーすることは可能になります。

高齢者講習では、客観的にご自身の身体機能について検査結果を確認していただき、より長く運転していくために、より安全に運転するためにどうしていくべきか、ご自身なりに見つめ直していただくことが大切だと思います。

 

 

【高齢者講習】予約が取れない問題について

70歳以上の方が運転免許を更新するには、更新の前に高齢者講習を受講しなければなりません。しかし、講習を受けようにも受けられない、受けられないから運転免許が更新できず、止むを得ず失効してしまう方も急増していると聞きます。なんで講習を受けられないのか?

それは、(地域にもよりますが)高齢者講習の予約がトップアイドルのコンサートチケット並みに取れないプレミアムチケットだからです。

この記事では、そんな「高齢者講習の予約が取れない問題」について、考えてみました。

高齢者講習の予約が取れない原因についての考察

高齢者の運転免許有効期限

70歳以上の方の運転免許の有効期限は、たとえゴールドであっても5年間ではありません。

<年齢別運転免許有効期限>
・70歳未満の優良運転者または一般運転者   →   5年(違反者は3年)
・70歳の優良運転者または一般運転者     →   4年(違反者は3年)
・71歳以上の運転者(違反の有無問わず)   →   3年

71歳以上の方は違反の有無に関わらず3年しか有効期限がありませんので、高齢者講習に該当する年齢の大半が有効期限3年となるので、若年層に比べて、運転免許更新のサイクルが早いことになります。よって10年間単位でみると一人当たりの更新回数は最低3回は更新をしなければならなくなりますので、他の年代に比べると更新する方の割合も増えることになります。しかし、有効期限については、平成29年の法改正前から法律は変わっておらず、現在の予約が取れないという問題に対しては、主たる原因ではないと考えます。

教習所の受け入れが間に合わない

教習所の本来の業務が回らない

次に講習の予約が取れない原因として考えられるのは、教習所の受け入れの問題です。

本来教習所の業務は、新しく免許を取得する方のための機関であり、高齢者講習に対して、そこまで前向きな対応をしていない教習所がほとんどです。世の中で騒がれている人手不足は、教習所業界も大きく影響を受けており、はっきり言って指導員が足りていません。教習所間で資格を持っている指導員の取り合いが行われることもしばしば…。

高齢者講習に力を入れすぎるあまり、本来の業務である教習が回らなくなっては本末転倒。新規で免許を取得される方にとっては、迷惑だという理由で高齢者講習に対し後ろ向きな教習所が多いのです。

高齢者講習が民間業者も参入できるようにならない限り、また高齢者講習自体の法律の仕組みが変わらない限り、この状態は続くことでしょう。

法改正によって担当者を増やさなければならなくなった

また詳細は省略しますが、平成29年の法改正により、高齢者講習は2時間講習と3時間講習に区分され、また内容なども一部変わりました。その結果、担当者も増員しなければならない時間もあり、そう言った背景からも積極的に時間を作れなくなりました。

教習所の講習室が足りない

そして、根本的に講習を行うための部屋を確保できない教習所も多く、当然ロビーやフロント前で行うことはできませんから、物理的に予約が取れないのです。

 

高齢者講習はいつまでに受講しなければならないのか

高齢者講習はいつから受けられるのか

(高齢者講習の案内)ハガキはいつ届く?

講習の予約が取れないということですが、高齢者講習は、一体いつどのタイミングで受講しなければならないのか。

まず、講習受講の案内が届くのは、運転免許有効期限満了の6ヶ月〜7ヶ月前です。これだけ予約が飽和状態だと知っていれば、その時点で予約することです。そうすれば、まず講習が受けられなかったことによる失効はないでしょう。

基本的に予約が取れないと騒いでいるのは、この時点で予約しなかった方だと思います。

しかしながら、予約の仕組みは、都道府県ごと、また教習所ごとにも異なり、ハガキが届いた時点で日程や受講する教習所が決まっているという良心的な県もあると聞きます。また教習所によっては、5ヶ月待ちの所もあるようなので、とにかくハガキが届いたらすぐに教習所に電話(地域によってはネット予約ができる)することをお勧めします。

講習はいつから受けられるの?

高齢者講習受講が可能になるのは、運転免許有効期限満了の6ヶ月前からです。わかりやすくいうと更新時の誕生日の5ヶ月前からということになります。また、75歳以上の方は認知機能検査を受けなければ、講習を受講できませんが、認知機能検査を受検可能なのも講習と同じく有効期限満了の6ヶ月前からになります。

ですから、ハガキがきてすぐ予約というのは決して早すぎるわけではないのです。

高齢者講習受講期限

受講期限

いつまでに受講しなければならないか、ですが、それはもちろん運転免許の有効期限までということになります。

海外出張や入院いてた場合は?

運転免許更新時に入院していたり、海外出張などに行っていたり、とにかく物理的に更新が不可能である状態だった場合は、最寄りの運転免許センターに問い合わせてみると良いでしょう。証明できれば更新が認められることもありますが、70歳以上の方で高齢者講習が免除されることはないので、その場合も高齢者講習を受講したのち、更新手続きを行ってください。

免許が失効したらどうする

万が一運転免許を失効させてしまった場合は、当然運転出来なくなります。

しかし、この場合も諦めないでください。もちろん失効期間中の運転はできませんが、失効後半年以内なら免許を復活させることが出来ます。半年を過ぎると「仮免許」しか返ってきませんので、70歳以上の方が(癖だらけの運転で)運転免許試験に合格するのはかなり難しく、6ヶ月を過ぎると言うことは事実上の失効となります。

近年は、高齢者講習の予約が出来ず更新に間に合わなかったことで運転免許を失効させてしまう方がかなり多くいらっしゃいます。とにかく予約が取れなかった場合も、失効後半年以内に高齢者講習を受講し、更新手続きに間に合わせることが大切です。

ということで、高齢者講習の受講期間は、

「運転免許の有効期限満了の6ヶ月前」 から 「運転免許満了の6ヶ月後(失効後の期間は運転できません)」 までということになりますので、丸々約1年間の猶予がありますから、「予約が取れない」などと言うことは言い訳に過ぎないのです。

※失効した免許を返納することは出来ませんのでご注意ください。

それでも高齢者講習または認知機能検査の
予約が取れない場合の解決策

では、予約が取れないとお困りの場合の解決策をお伝えしたいところですが、残念ながらありません。

とにかく関係機関に相談することが大切です。
運転免許センター、ハガキに記載されている相談窓口があれば、そこに電話して相談しましょう。

また教習所によってはキャンセル待ちもできる所もあるようですから、とにかくあらゆる関係機関窓口に相談しましょう。約1年間も猶予があるのにギリギリにしてしまったのは自分自身であると反省し、とにかく電話です。

残念ながら県をまたがって受講することは出来ません。しかし教習所はそれぞれの都道府県にたくさん存在しますから、遠くであってもとにかく電話して相談です。

まとめ

残念ながら、現在の仕組み自体が変わらない限り、しばらくはこの状態が続くことは目に見えてます。また団塊の世代の方が75歳を迎える頃、この問題は、さらに拡大することでしょう。

現在全ての都道府県で同じような問題が起きているわけではなく、特に人口密集地で多く聞かれる悩みだということです。

教習所にとっても、一日中予約の電話が鳴り止まないこともあり(音声ガイドで断りのアナウンスをして、高齢者に対し門前払いのところもあるそうです。)若干ノイローゼ気味になっているところもあるようです。

とにかく、この問題に対し1日も早い対応が求められます。

高齢者の悩み解消と、また少子高齢化の日本にとって、新たに免許を取得する人口も現象している現在、教習所業界も再び盛り上がるキッカケとなるような、高齢者と教習所が互いにメリットのある法改正が実現できることを願っております。

 

【高齢者】臨時認知機能検査とは 臨時認知機能検査と臨時高齢者講習

昨今社会問題にもなっている高齢者運転者の運転免許更新の問題ですが、実は、知らない方も多い高齢者の運転免許に関わる問題が他にもあるんです。

それは、臨時認知機能検査(平成29年3月12日施行)という、運転免許更新とは別に受けなければならない認知機能検査のことです。その名の通り臨時的に受けなければならなくなりますが、もちろんこれも受けなければならない義務となります。

じゃ一体誰が受けなければならなくなるかというと、これには二つの条件があります。

1、75歳以上の方

2、一定の交通違反をした方

この二つに該当した方は、警察署または運転免許試験場(私の知る限り教習所では行ってません。)で行う臨時認知機能検査を受けなければならず、またその検査の結果によっては、臨時で高齢者講習を行わなければならなくなります。

この記事では、臨時認知機能検査の概要と講習の中身についてご説明いたします。

臨時人機能検査の概要

臨時認知機能検査に該当する方

臨時認知機能検査(750円)に該当するのは、先にも述べたとおり、75歳以上の方が、一定の交通位違反をした場合です。
では、一定の交通違反とは何か

一定の交通違反(18基準行為)

・信号無視
・通行禁止違反
・通行区分違反
・横断等禁止違反
・進路変更禁止違反
・しゃ断踏切立ち入り等
・交差点右左折方法違反
・指定通行区分違反
・環状交差点左折等方法違反
・優先道路通行車妨害等
・交差点線車妨害
・環状交差点通行車妨害等
・横断歩道等における横断歩行者等妨害等
・横断歩道のない交差点における横断歩行者等妨害等
・徐行場所違反
・指定場所一時不停止等
・合図不履行
・安全運転義務違反

これら「18基準行為」となります。因みにこの中にはスピード違反や駐車違反等は含まれておりません。これらの違反は認知機能が低下した場合に行われやすいとされ、わかりやすくストレートに言ってしまえば、「この交通違反は、あなたが認知症だからやってしまったんでしょ?」という疑いをかけられるということです。そして該当者は、指定場所(運転免許試験場など)に出向き、その疑いを晴らす(検査で良い点を取る。)わけです。うまく良い点を取って疑いが晴れれば良いのですが、検査の結果によっては、高齢者講習の対象となり、また結果如何では医師の診断を受け認知症と診断されれば、運転免許取り消しの対象となります。

臨時認知機能検査の結果について

検査結果はその場で手渡されますが、臨時高齢者講習に該当するかどうかまでは、その場では知らされません。臨時高齢者講習に該当した場合は、再び郵送で臨時高齢者講習を受講する旨の通知書が自宅に届き、再び指定日に試験場などで行う高齢者講習を受講しなければならなくなります。ではどのような結果になると講習に該当するのか。

まず臨時認知機能検査は、更新時に行う認知機能検査と全く同じものです。
↓↓こちらの記事でも紹介してますので是非ご確認ください。↓↓

【認知機能検査】点数の計算方法 認知症のボーダーラインは何点?

結果は3つに分類されます。

76点以上          記憶力判断力に問題がない      結果通知書の色「青」

49点以上75点以下     記憶力判断力がやや低下している   結果通知書の色「黄」

48点以下          認知症の恐れがある         結果通知書の色「赤」

ご自身の点数が「青」「黄」「赤」のどこに属しているかが重要になります。

結果が「青」だった方は、認知症の疑いなしで臨時高齢者講習には該当しません。

「黄」「赤」だった方は、以前更新時に行った認知機能検査の結果と比較されます。

前回行った結果よりも分類が下がった場合、臨時高齢者講習を行わなければならなくなります。ですから前回の結果が「青」だった場合は臨時高齢者講習確定となります。しかし前回の結果が「黄」で臨時検査でも「黄」だった場合は、この場合分類が下がってませんのでお咎めなしとなります。そして今回の結果が「赤」だった場合は大半の場合、前回の結果よりも下がっている可能性が高く、臨時高齢者講習に該当する場合が多く考えられますが、さらに医師の診断も受けなければならず、認知症と診断されれば、運転免許は、取り消される可能性がありますので、事前によくお勉強することをお勧めします。

※もし「赤」(48点以下)になってしまった場合は、次の3択です。

1、免許を諦め返納する。

2、医師の診断を受け、意地でも免許を継続する。

3、体調不良が、原因かもしれないので、結果通知書の裏に電話番号が書いてあると思うので、そこに電話し再検査を受ける。

私のオススメは、よっぽど体調不良が原因でもない限り、「赤」をもらった段階で運転免許は諦め返納すべきだと思います。何かあってからでは遅いですからね。諦めきれないのであれば、結果が変わるかもしれないので再検査です。医師への相談は諦めきれない場合の最終手段ですので、ご家族の方々によく相談をして、正しい選択をしていただければと思います。

臨時高齢者講習の概要

臨時高齢者講習は、臨時認知機能検査と同じく教習所では行っておりません。
講習時間は、2時間で料金は5,800円になります。運転免許の更新時に行う2時間の高齢者講習は2019年現在5,100円となっておりますので、臨時講習は若干の割高です。もちろん違反の反則金(違反により異なる)や臨時認知機能検査(750円)も支払っているため、これだけでも75歳以上の方にとっては、大きな痛手と言えるでしょう。

2時間講習の内容は

運転実技 60分
個別指導 30分
映像 30分

運転実技

運転実技では、

1、車両感覚(S字やクランクなど)

2、方向変換

3、信号に従った運転

4、一時停止場所での確実な停止

5、円滑な進路変更

6、カーブの安定走行

などのチェックが入れられます。
できなかった内容に対しては、できるまで反復して行います。尚、運転については、ドライブレコーダーで録画し、その後の個別指導時に確認します。運転の中身や道交法の確認、自らが行った違反について細かく指導されます。最後は、高齢ドライバーの運転特性などについての映像を確認し終了です。

まとめ

この記事では、75歳以上の方が、臨時で行わなければならない認知機能検査や臨時高齢者講習についてまとめました。
平成29年以降高齢者、特に75歳以上のドライバーに対し、かなり厳しい法律になりました。一定の違反をすれば認知症の疑いをかけられ、また金額的にも更新時の高齢者講習を含め、かなりお高く、免許を継続するためのハードルが上がってきていると感じます。これはまさに一定の年齢に達すればもう運転をやめないさいと言わんばかりの法律であります。

しかしながら20歳前後で取得する運転免許は70歳の高齢者講習を迎えるまで、約50年間、全てのドライバーが義務として受けなければならない講習は一切ありません。そういう意味で自分の運転を見つめ直し、今後の運転がどうあるべきか考える高齢者講習は、とても重要なのだと感じます。実際受講後の高齢者の方は受けて良かったと言っていただけることも多く、またその後の運転が変わったと報告を受けることもあります。

自らの免許を守るためにも、「ちゃんと止まる。」という基本的なことからもう一度見つめ直していただければと思います。