【高齢者講習】適性検査とは 内容をわかりやすく解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

運転免許の更新時に70歳以上になる方は、高齢者講習を受けなければ、更新することはできません。

高齢者講習内容は、2時間講習の場合、運転実技、適性検査、双方向講義を行います。その他75歳以上の方は講習の前に行う認知機能検査の結果により、3時間講習に該当する場合があります。この場合、2時間講習の内容に加え、個別指導などが加わり、ご自身の運転について映像を確認しながら、アドバイスを受ける内容となっております。

今回は、この中で適性検査について、解説してまいります。

適性検査とは

高齢者講習で行う適性検査とは、いわゆる視力検査のことです。ただし、運転免許更新時に行う通常の視力だけではなく、運転に深く関わりのある視力で動体視力、夜間視力、水平視野の計測をします。

また、運転免許の更新時に行う視力検査と違い、この検査は試験ではありませんので、合否があるわけではありません。ですから、検査の結果が悪くても講習を修了すれば、(医師の診断結果で認知症との認知症と診断を受けた方を除く)全ての方が運転免許の更新ができますので安心してください。

この検査の最大の目的は、今後の運転のあり方について、ご自身で考えるきっかけを作る為の検査です。ですから、結果は良いに越したことはありませんが、悪かった場合も悪かったなりの運転方法や考え方をご自身なりに見つめ直していただくことが大切です。人によっては、この結果次第で、夜間の運転を引退される方もいらっしゃるようです。

では、動体視力、夜間視力、水平視野それぞれの検査の仕方と検査結果による注意点などを解説します。

静止視力と動体視力

静止視力

静止視力とはその名の通り、止まっている状態で止まったものを見る時の視力です。

静止視力の検査は、きっと誰もが馴染みのあるランドルト環(C) のマークのどちらが空いているかを答えるものです。かつては斜め方向もありましたが、現在は、上、下、右、左の4択となっています。

機械は、上下左右を声で答えてもらうタイプと手元のレバーで指し示すタイプとありますが、いずれも正解だとCマークが小さくなり、確認できなくなったところの前に正解したところが結果となります。因みに運転免許更新に必要な視力は次の通り、

運転免許の更新に必要な視力

一種免許(大型自動車、牽引免許は除く。)、大型特殊、自動二輪免許

・両眼で0.7以上
・片眼で0.3以上
・片眼が0.3未満の場合は他眼の視力が0.7以上

二種免許、大型自動車、中型自動車、牽引、大型仮免許

・両眼で0.8以上
・片眼で0.5以上

原付、小型特殊免許

・両眼で0.5以上
・片眼が見えない場合は他眼の視力が0.5以上

となります。基本的には普通自動車第一種免許をお持ちの方がほとんどですから、0.7以上が求められます。

高齢者講習の視力検査で更新に必要な視力に届かなくても、講習自体に合否はありませんが、更新時に測る視力検査では基準に達しなかった場合免許更新はできませんので、更新前に眼科医や眼鏡屋さんなどと相談した方が良いでしょう。

でも、機械によっても相性があるようなので、講習で行う検査の結果が悪くても更新時には問題ない方も多いようなので、なんとも言えませんが、目は良いに越したことはないので、更新時には万全にしておくことをお勧めします。

動体視力

動体視力は、自らが動いているか目標物が動いていた場合の視力になります。基本的に静止視力と同じ検査機で測定しますが、今度は先程のランドルト環(C)マークが近づいて来る状態でどのくらい視力があるかを計測します。

計測方法

・ランドルト環が50m先にある設定(視認するのは困難な状態)から時速30kmの速度でご自身に向かって近づいてきます。

・ランドルト環の空いた方が確認できたら素早くレバーを倒し回答します。

・もちろん早く回答できた方が結果が良くなります。

・練習2回やった後、本番は5回行います。

・本番5回の平均値が結果となります。

70歳代の平均値

動体視力は、動いている状態での視力なので、静止視力よりも視認するのは大変困難となります。例えば、時速50kmで走行していた場合、視力が1.2ある若者でも0.7まで下がると言われてます。

この動体視力は、50代以降急激に低下し、70歳以上の方の平均は、時速30kmで走行中であったとしても0.1~0.3くらいと言われています。

動体視力が低下している方の対策

残念ながら動体視力を矯正することはできません。物の動きを捉える能力や反射神経は歳を重ねるごとに低下します。動体視力低下を補うためには、

・速度を控えめにしたり

・注視点を遠くに向けるなど

運転の中で工夫していく必要があります。しかし、速度を控えるといっても時速30kmの想定でも0.1という結果だった場合は、これ以上なかなか速度を控えようがありません。ですから運転中は意識的に注視点を遠くに向けて、早めに先の状況を確認する意識が必要となります。ただ、遠くを見ようにもそもそもの視力が低ければ遠くの確認は出来ませんので、ご自身の視力にあった矯正や白内障の手術など、専門機関で相談しましょう。

夜間視力

xusenru / Pixabay

高齢者講習の中で受講者の方が最も苦労するのがこの夜間視力です。

夜間視力では、2つ(教習所によっては1つ)の検査を行います。

視力の回復時間と眩光下視力

視力の回復時間

視力の回復時間とは、突然暗闇になった時にどのくらいの時間で順応するかを計測するものです。

検査方法

・30秒間眩しい光を直視します(明るい状態に目を慣らす。)。
・30秒後突然真っ暗な状態になり、暗闇の中にあるランドルト環の空いている方向が確認できるまで我慢します。
・確認できたらレバーなどで回答します。

70歳代の平均値

検査開始前に「どのくらいで回復できると思いますか?」と質問することがよくあります。すると大抵の方は「5秒くらいかな。」とお答えになりますが、残念ながらそんなに早く回復しません。

「視力の回復時間」も「動体視力」同様50代を迎える頃から急激に低下する傾向にあります。
この検査結果の平均は、だいたい60秒から70秒くらいです。90秒でも回復しない方も大勢いらっしゃいます。

因みに若年層(20代)はというと同じ検査機で計測した場合10秒かからず確認できる方がほとんどです。

運転時の想定場面

視力の回復時間が、運転に関わる場面は、例えばトンネルの入り口です。日中の明るい時間突然真っ暗なトンネルに入ったらしばらく見えずらくなります。特に都心部ではなく郊外にあるような古いトンネルは薄暗く見えずらい状態が続くことが考えられます。

また、夜間、レストランなどで食事をした帰り道などは、明るいレストランから暗い夜道に出るわけですからこのような状態になりやすいと言えます。夜道を走る場合は、少し暗闇に目を慣らしてから走行することをお勧めします。

眩光下視力

眩光下視力とは、夜間、眩しい光を目に受けた状態でどのくらい暗闇の中を認識できるかを計測するものです。

検査方法

眩しい光とは、対向車のヘッドライトを想定しており、2ヶ所から放たれる眩しい光を目に受けている状態で暗闇にあるランドルト環の空いた方向を答えます。

70歳代の方の平均値

平均値というよりは、ほとんど確認できません。結果の良い方でも0.5くらいでしょうか。

残念ながら高齢者の方は、ほとんどの方が暗闇の中を認識しっかり認識できません。夜間視力も矯正できませんので、それを補う運転は、速度を控えたり車間距離を十分開けたりご自身なりに防衛した運転を考える必要があります。

夜間は、見えずらい一方、交通量は減少します。ということは、きちんと見えていないのに速度が上がり、重大事故になるリスクが高まるということです。

私のお勧めは、「夜は、運転を引退です。」何かあってからでは遅いので、夜の運転を控えることが、最も安全策なのではないでしょうか?

水平視野

jplenio / Pixabay

水平視野とは、まっすぐ前方を見ている状態で左右どのくらい角度まで横を認識できるかというものです。

検査方法

視野測定器にも様々ありますが、基本的にアゴやおでこが固定されている状態で前方に視点を集中させ、横に移動する物体を(目で追わず)認識できる範囲を測定します。

結果は、移動する物体が「視野範囲から外れた(消失)角度」と「視野の範囲に入った(出現)角度」の平均値で示されます。

例えば、右目の検査で、見えなくなった(消失)角度が80度で戻ってきた物体が視野の中に入った(出現)角度が76度だった場合、平均は78度ということになります。

これを左右それぞれ計測し、その合計が結果となります。

70歳以上の方の平均値

70歳以上の方の左右合計視野角度の平均は、概ね150度程度です。残念ながら真横まで認識できない方がほとんどです。
若年層の方には左右200度以上見やる方も多く、動体視力や夜間視力同様50代以降視野が狭くなっていく傾向です。

視野測定結果の低かった方

視野が狭くなってきた方は、側方の状況の把握がやや遅れる傾向にあります。例えば、二輪車が側方から接近してきても全く気付かず巻き込んでしまうケースもあるようです。

視野測定は、あくまでも注視点から目を外せない条件での結果となりますが、実際の運転中は、そのような縛りはないため、絶えず目や顔を左右に動かし、視野を広げることが大変重要になります。

まとめ

今回は、高齢者講習で行う適性検査(視力検査)について説明いたしました。

運転中の様々な情報は目から入ってくることが多く、視力の低下は命に関わることになります。今回紹介しました動体視力、夜間視力、水平視野は、通常視力とは異なり矯正できるものではありません。しかし、運転中の様々な工夫によって、それをカバーすることは可能になります。

高齢者講習では、客観的にご自身の身体機能について検査結果を確認していただき、より長く運転していくために、より安全に運転するためにどうしていくべきか、ご自身なりに見つめ直していただくことが大切だと思います。

 

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。

お問い合わせ

スポンサードリンク