【認知症・高齢者】認知機能検査の点数が悪かった方へ

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75歳以上の高齢運転者が運転免許更新前に、又は一定の交通違反(18基準行為、詳しくはこちら)をした場合必ず受検しなければならない認知機能検査。

その点数や医師の診断結果によっては、最悪の場合 運転免許が取り消されてしまう為、高齢運転者にとっては大きな悩みのタネとなっています。

・記憶力にはそもそも自信がないから、良い点数なんか取れないんじゃないか?
・悪い点数を取ったら家族に「運転はもうやめろ。」と言われるんじゃないか?
・一体どんな問題が出るんだ?
・点数悪かったら取り消しか?

などなど、、

認知機能検査の結果は、100点満点中

76点以上         記憶力判断力に問題ありません。  (第3分類)

49点以上75点以下    記憶力判断力がやや低下しています。(第2分類)

48点以下         記憶力判断力が低下しています。  (第1分類)

という3つに分類されます。

この中で第3分類第2分類だった方は、講習の内容は異なるものの、その後行う高齢者講習さえ受講すれば運転免許を継続することができますが、万が一第1分類に該当した場合は、医師の診断が必要となり、認知症と診断された場合は、運転免許が取り消されることになります。

»【高齢者講習】認知症の人ってどのくらいいるの?

もしあなたが、認知機能検査を受検した結果「第1分類(48点以下)」になったらどうしますか?

・医師の診断を受けますか?
・運転をやめますか?

というわけで今回は、万が一認知機能検査の点数が悪かった場合「どうすべきか。」ついてまとめてみました。

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【認知機能検査】の点数が悪かった理由を考えましょう

認知機能検査の点数は、必ずしも認知症と関わりがあるわけではありません。

認知症以外で点数を悪くする可能性がある要因として、実例をいくつか紹介します。

認知症が原因ではない場合、その他の考え得る要因

1、体調不良

現在、高齢者講習や認知機能検査の予約が取りづらくなっています。予約の変更も当然困難となっているため、多少の体調不良ぐらいでは、そのまま受検してしまうケースが増えているようです。

認知機能検査は、記憶力や判断力を検査するものですから、体調不良は記憶力や判断力を鈍らせ、悪い点数になってしまうのは大いに考えられるでしょう。

そのため受検時に風邪を拗らせていたり腹痛や発熱などがあった場合には、その日は受検しないことをお勧めします。

また睡眠不足も体調不良同様に判断力を鈍らせますので、前日は早めに休んで当日に備えましょう。

2、極度の緊張

当然ですが、認知機能検査は厳正に行いますので、教室の雰囲気も緊張感のある引き締まったものとなります。

また、「悪い点数を取ると免許を取り上げられるかも」と余計なことを考えて緊張している方もいらっしゃいます。

極度の緊張も体調不良の時同様、判断力を鈍らせる要素があるため、いかに平常心で受検できるかが重要です。

3、身内の方に不幸があった

身内の方に不幸があった場合、精神的にも肉体的にも大きなダメージを受けます。ご年齢的にも体力は衰えているため、葬式準備などで消耗している可能性があります。もし認知検査直前に近しい方などに不幸があった場合は、できれば日を改め予約を取り直すことをお勧めします。

4、検査官が威圧的だった、またはわかりづらい説明だった

以前、高齢者の方にこんな話を聞いたことがあります。

その方は、別の教習所で認知検査を受検し、その後当校で行った高齢者講習を行いました。その方に「認知検査はいかがでしたか?」と尋ねたところ、「教官が怖くて、検査の内容が頭に入らず、こんな点数になった。」とおっしゃってました。因みに点数は、第1分類ギリギリ手前の49点なので3時間の高齢者講習でした。その方の講習態度や言動を確認しても、49点の点数が嘘のように話した内容もよく理解できる方だったために、教官が怖くて頭に入らなかったということも頷けるところがありました。

またこんな方もいました。前回の認知検査で42点(第1分類で医師の診断が必要)だった方が、検査官の説明がわかりづらかったという理由で別日に別の場所で再検査をしたところ98点になったということです。

検査官も人間なので常にわかりやすく説明してくれるとは限りませんのでご注意ください。

5、空調が暑すぎた、寒すぎた

空調は必ずしもあなたにとって快適な温度に設定されているとは限りません。単純に検査官に申し出れば良いのですが、検査中は緊張感もありますし、なかなか訴えることも困難な場合があります。

特に暑すぎると頭がぼーっとしてしまうため、少なからず点数に影響する場合があります。エアコン温度の調節は勇気を持って訴えかけてください。

6、カンニングしようとしていたが、失敗

残念ですが、カンニングをしようとする高齢者はかなり多いです。

・手にメモをとっていたり
・机の中にメモ紙を忍ばせ、確認しようとしていたり

 

はっきり言って検査官からはその様子は丸見えで、何かおかしな行動をとるとすぐにわかってしまいます。

カンニングに関しては、厳しく対応されることがほとんどで、最悪は退場となります。またカンニングに頼ろうとしている方は、大事な話を聞き逃したり、記憶すべき問題でメモをとるのに必死だったりして、その後疑わしい行動がバレてしまい、メモは見れずじまいに終わります。

当然点数は低くなるでしょうね。

私の記事でも認知機能検査の解説を行ってますので、良い点数を取りたければ、事前に勉強しましょう。

認知機能検査の問題はこちらで解説してます。

»【認知機能検査】問題1「時間の見当識」徹底解説!

»【認知機能検査】徹底解説!問題2

»【認知機能検査】問題3、4 記憶力テスト「手がかり再生」完全解説!!

»【認知機能検査】問題5「時計描画」満点時計の書き方

 

認知症が原因と考えられる症状

残念ながら下記の理由で良い点数が取れない場合は、認知症の疑いも視野に入れた方が良いでしょう。

1、問題の意味がわからなかった

教習所によって、よほどひどい検査方法を行っていない限り問題の意味がわからないというのは、健常者ではほとんどありません。理由は、問題用紙が全国で統一されているからです。

教習所によっては、問題用紙を各人に渡して検査を行いますが、スクリーンに投影して説明する場合もあります。

もちろん検査官から問題ごとに説明が入り、質問があれば聞くこともできます。

私が担当した時の感触だと、問題の意味がわからない方の多くは、検査官の話をよく聞いていない場合が多く、質問があっても検査官が説明したばかりの同じ内容を再び質問するケースが目立ちます。

とにかく人の話はよく聞きましょう。

それができないのであれば、免許は諦めた方が良いかもしれません。厳しい言い方かもしれませんが、それほど重要な検査をしているという自覚を持つべきです。

真剣に聞いているにも関わらず、それでも意味がわからないのであれば、残念ながら認知症の可能性が高いです。そんなに意味のわからないほど難しいことは言ってませんよ。

2、今日の日付や時間がわからない

認知機能検査が始まってから10年以上は経過しています。この間若干の内容変更はあったものの、今日の日付を聞く問題は開始当初から変わっていません。これだけ世の中で運転免許更新時の認知機能検査について情報が広まっているわけですから、今日の日付を聞かれることをわかっている方が多いはずです。

事前に準備してきたにも関わらず、忘れてしまったのなであれば、残念ながら認知症の恐れがあります。

まだそれぞれの都道府県警察も発表していませんが、令和平成で間違えるミスは多くなりそうですね。

3、そもそも覚えられない

もともと記憶力に自信のない方も多くいらっしゃると思います。この認知機能検査は、そういった方も考慮された“良くできた検査問題”となっています。

»【認知機能検査】問題3、4 記憶力テスト「手がかり再生」完全解説!!

緊張感のある検査会場でも、最低限覚えられる健常者の能力があり、「16枚のイラストを記憶する問題」で記憶できないのにはそれなりの原因が考えられます。

第1分類(48点以下)になるのは記憶力の問題だけではありませんが、16枚のイラストの内、6個以上思い出せないのは、認知症の可能性は否定できないと言わざるを得ないでしょう。仮に事前にしっかり勉強していったにも関わらず第1分類だった場合は、尚更のことであると考えます。

4、時計の描き方がわからない

時計描画という問題があります。この問題は配点が高いため、しっかり準備したいですね。

»【認知機能検査】問題5「時計描画」満点時計の書き方

例えば時間を示す針を描き入れる場合に、針の長さが逆になってしまったりするのは、まだ可愛いミスと言えますが、そもそも時計の描き方がわからないとなれば、なかなか理解に苦しむところです。

ただ興味深いのは、第1分類の結果を出す人のほとんどが、時計はちゃんと描ける方が多いということです。逆に記憶力の問題がそこそこ取れている方に限って、全く時計が描けないといったケースも多く、時計描画の配点が大きいため、せっかく記憶力があるのに時計がわからないというだけで大きく点数を落とし悪い結果になっている方も見受けられます。

 

【認知機能検査】結果が悪かった方は、どうすべきか

検査結果が悪かったから免許を取り消されるわけではありません。そのためまだまだこの段階で運転免許を諦めるのは少し早すぎるのではないでしょうか。しかし上記の内容をしっかり精査した上で、一定の決断を自ら導き出す必要はあります。

その中で結果が悪かった方の選択肢をいくつか挙げてみましたので、参考にしてください。

1、家族に相談する

近くに相談できる家族がいた場合、あるいは自ら決断するのが困難な場合、家族の方に相談するのも良いでしょう。

75歳以上の方の運転免許更新は家族の方にとっても一大事と考えるべきです。何故なら、認知症や運動機能の低下は交通事故のリスクは高まり、仮にそのことが原因で人身事故でも起こせば、家族にとってもタダでは済まされないからです。

この問題は一個人の問題ではなく家族を巻き込んで話し合った方が良い問題であり、家族の方に背中を押してもらう事も1つのきっかけになるでしょう。

残念ながら一人で抱え込んでしまう高齢者も多くいらっしゃいます。理由は認知機能検査の結果が悪かった場合、家族に何を言われるかわからないという事。あるいは立場的に恥ずかしいのでしょう。

何かあってからでは遅いのです。積極的に家族を巻き込みましょう。

2、素直に医師の診断を受ける

もちろん家族のいない方や、家族がいてもなかなか相談できない、または決断ができない場合は、第三者である医師の診断を受けて結論を委ねるしかないでしょう。

しかし受診にもお金がかかりますので、ご自身でしっかり判断しましょう。

因みに警察官や教習所の指導員に認知症の疑いがあるからという理由で免許を取り消させる権限はありません。相談には乗ってくれますが、あくまでも医師の的確な判断に委ねるべきです。

認知症ではないという診断であれば、運転免許の継続は可能ですが、点数が悪かったという事実は消えません。そろそろ決断する時なのかも知れません。

3、再受検する

上記「認知症が原因ではない場合、その他の考え得る要因」で述べた内容が当てはまる場合、認知症ではない可能性もあります。医師の診断を受ける前に再受検をしてみてはいかがでしょうか?

再受検には認知機能検査結果通知書の裏面に記載されている電話番号に電話して再受検についての相談を行ってください。

この記事を読んでいただけているのであれば、次回受検する際はきっとよく勉強をされるのではないでしょうか?認知症でない場合はこれで前回よりも良い結果が出るはずです。

しかし万全で臨んだ検査ですが、それでも芳しい結果が出なかった場合、運転免許の自主返納をお勧めします。

4、運転免許自主返納

最後の最後は自主返納を選択して下さい。医師の診断の結果、運転免許が取り消されたり、また、認知機能検査待ちなどによって運転免許が失効してしまった場合は、自主返納できませんので注意が必要です。

「自主返納のススメ」についてはこちらで紹介しています。

自主返納したことによるメリットも大きいため、今後事故のリスクを負いながら車を運転し続けるくらいなら返納した方が良いのかも知れません。

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おわりに

あくまでも認知機能検査は、指標の1つに過ぎません。

この記事で紹介している通り、

「点数が悪い」=「認知症」

ではないということがお分りいただけましたか?

この記事を読んでいる方は、きっと認知症ではないのでしょう。きっと、少しだけ点数が悪かった方か、点数が低かった方を心配するご家族の方なのではないでしょうか?

基本的にこの記事で紹介しているような点数は、第1分類(48点以下)を想定しています。第2分類以上だと取り消されることはないですから、そんなに心配はいりません(予備軍ではありますが)。

たぶん、本当に認知症にかかってしまっている方は進んでこういった記事を読まないのではないでしょうか?ということはここまで読み進めていただいた方は「認知症ではない」ということなのだと思います。

 

 

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