【二種免許】取得条件緩和について、経験3年から1年へ

現在、アメリカのウーバー社が行う「アプリ一つで一般の自動車が目的地まで運んでくれるライドシェア」、いわゆる白タク行為が世界では当たり前になりつつある中、日本ではまだまだ白タクに対する規制が厳しい状況。タクシードライバーの雇用の問題も踏まえ、白タク合法化は困難であるものの、政府は一般人でも自家用車でタクシーのような有償運送業務ができる制度の拡大に乗り出しています。

またどの業界もそうだが、交通運輸産業は人手不足に悩まされ、特にタクシー業界では平均年齢が高齢化するなど強い向かい風に晒されている。

 

このような背景からも警察庁は有識者会議を開き、二種免許に関する受験資格を緩和について「年齢や運転経験年数の引き下げ」を検討することとなりました。会議は刑法が専門の大学教授や自動車ジャーナリストらで構成され年度内に提言をまとめることになっています。


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二種免許の取得条件

二種免許の取得条件

現行法

・年齢  21歳以上
・経験年数 普通自動車などの免許を有した期間が3年以上

普通二種(タクシー)免許

現行法

・年齢  21歳以上
・経験年数 指定自動車教習所で普通二種に関わる教習を行なった場合に限り、普通自動車免許を有した期間が2年以上

という具合に普通二種に関しては教習所で二種免許についての運転や知識を学んでいた場合、1年間短縮となる特例措置が設けられています。しかしながら18歳で運転免許を取得しても21歳にならなければ普通免許を取得することはできず、結局3年間待たなければなりません。

こうした中、慢性的な運転手の人手不足や高齢化から、高校卒の人材確保を求めるバス・タクシー業界などが要件緩和を要望していました。

 

有識者会議で検討されている内容

主に検討されている内容は、二種免許に関わる受験資格条件です。具体的には年齢と運転経験年数の引き下げということになります。

年齢

現行  21歳
⬇︎
改正後 19歳

運転経験年数

現行  3年(普通二種免許は教習所で取得した場合に限り2年)
⬇︎
改正後 1年

解説

バス・タクシー業界が求めている高校卒業の人材確保ということですが、そもそも普通自動車の取得条件が18歳ということもあり、さすがに初心運転者に人の命を預ける仕組みは難しいようですが、警察庁はタクシーで必要な普通二種免許について、経験年数を「1年以上」に短縮した上で、指定教習所のカリキュラムを充実させる実験を実施しました。

その結果、現行の教習と比較した場合「おおむね同等の危険予測・回避能力などを得られた。」ということです。

また警察庁は、今後バスに必要な大型二種免許でも同様の調査研究を行う予定だということで、その結果を踏まえ 年度内発表に向け要件の緩和について検討されることになっています。

私個人の見立てとしては、警察庁も前向きに考えている為、ほぼほぼ改正に向かって動き出している印象ですが、実際に現場で働く二種ドライバーは少し冷ややかな目線で見ている印象もあります。

 

現場サイドの意見

・今までは3年間経過しなければ取得できなかった。ということは、それだけ道路での経験を経て技術や判断力を磨き、それが備わった者がやっと取れるようになるべき免許で経験1年程度では少なすぎる。

・二種免許の価値が下がる

・二種免許はただ運転すれば良いだけではない。お客様を乗せて安全に目的地に向かっていかなければならない為、若者に「接客・接遇」を行いながら「運転」するなどの適応力があるのか心配。

・免許を取得して1年経った頃(慣れてきた頃)が一番事故を起こしやすいのでは?そんな頃に二種免を取らせては、危険なのではないか?

・そもそも教習料金が高すぎる!その免許代は誰が出すんだ?(この件はまた別の記事で提起してまいります。)

 

などなど、ほとんどの現役ドライバーがネガティブな意見ですね。

二種免許取得条件緩和について私が思うこと

現場の意見としては、どちらかというと後ろ向きな意見が多いですが、冒頭でもお伝えした通り

・「ライドシェア問題」白タク行為が合法化の波

・ドライバーの超高齢化

・慢性的な人手不足

・自動運転普及によるドライバー不要の未来が来る?

など、バス・タクシー業界には逆風ばかり吹いている印象です。

こうした背景から考えると今こそ交通運輸産業は様々なことで進化しなければなりません。その一つが運転免許に関わる条件緩和なのではないでしょうか?

この条件緩和は若者からも注目され、かつては物理的に叶わなかったことが、その選択肢の中に組み込まれる。そしてさらに就職してもらえれば業界の活性化に繋がるはずです。

「人を増やし、若返らせること。」

それこそが交通運輸産業として未来を作る第一歩ではないかと考えます。

この件は前向きに捉え、先輩としてより良くするための導きが今後の業界の発展につながっていくのではないでしょうか。

【認知症の疑い】「認知検査結果の悪かった方」のその後

高齢化社会と言われて久しいです。

現在は高齢者人口は全体の25%を超えて「超高齢社会」と言われるようにまでなりました。今まさに高齢ドライバーの事故防止は社会問題となり、運転免許の自主返納を呼びかける声も少なくありません。

いっそのこと運転免許にも80歳定年制を設ければ?」なんて声も聞かれますが、問題はそんな単純なものではありません。

高齢者全員がインフラの整った便利な地域に住んでるわけでもないし、
また自主返納しても公共の乗り物が自宅の近くを通るとも限らない。

私は、東京など都心に住む高齢者は80歳での自主返納を義務化しても良いかと思ったりもしますが、足が不自由だからこそ車が必要との声もあり、なかなか法整備することは困難といえます。

今政府は、「自動ブレーキ限定免許」の様なものの新設についても検討しているようですが、自動ブレーキ車の普及が間に合っていない状態では、金銭的な個人の負担もあり、これもすぐにはうまくいかないでしょう。

 

何れにしても運転免許継続の意思は、現状本人に委ねられられていますが、しかし本人が継続を心願していても継続できない方もいます。

それは、一定の病気や怪我など、身体的に運転が困難となった場合です。

特に近年では75歳以上の高齢ドライバーに義務付けられた「認知機能検査」によって、その結果如何では、運転免許が取り消されてしまうことが挙げられるでしょう。

 

認知機能検査

認知機能検査とは、75歳以上の高齢ドライバーが一定の条件に該当した場合受検しなければならない検査のことです。

検査を受けなければならない「一定の条件」とは

1.運転免許更新前認知機能検査

運転免許更新には高齢者講習を受講していなければなりません。
また高齢者講習は2時間講習と3時間講習があり、認知機能検査の結果によって振り分けられます。

検査の結果が100点満点中
76点以上の方が2時間講習

76点未満の方は3時間講習
となります。

2.臨時認知機能検査

75歳以上の方が一定の交通違反を行なった場合、臨時で認知機能検査を受検しなければなりません。

一定の交通違反は18種類あります。

これらの違反はいずれも認知症を発症した方が起こしやすい違反ということで、認知機能検査によりその疑いがないかを判断されるということです。

臨時認知機能検査・臨時講習はこちらの記事で詳しく解説しております⬇︎

»»「臨時認知機能検査・臨時高齢者講習とは、詳しく解説」««

検査結果の悪かった方は

認知機能検査の結果は3つに分類されます。

3分類「記憶力判断力が低下していません。」  76点以上

2分類「記憶力判断力がやや低下しています。」 49−75点

1分類「記憶力判断力が低下しています。」   48点以下

手渡される結果通知書も受け取った段階でわかるように色分けされています。
3分類は
2分類は
1分類は

赤紙をもらってしまった(認知機能検査の結果が48点以下だった)場合、医師の診断を受けなければならず、診断の結果が認知症だった場合は運転免許取り消しの対象となります。

 

 

検査結果の悪かった方の3つの選択肢

geralt / Pixabay

 

1、認知機能検査を再受検

検査結果が何かの間違いかもしれません。
体調が悪かったのかもしれない。

もう一度受検して真価を問うという選択です。

しかしもう一度同じような点数だと、もはや逃げ道はありませんよ。

2、医師の診断を受ける

この選択は、運転免許を継続したい方です。「車がなければ生活できない。」「免許は墓場まで持っていく。」「意地でも免許を持ち続けたい」方は、お医者さんに適切な判断を委ねてください。仮に「認知症だから運転免許は取り消しです。」という医師の意見なら諦めがつくでしょう。

もし「認知症に非ず」という診断でも、運転免許は継続ですが、運転は諦めることをお勧めします。何かあってからでは遅いですよ。

3、そのまま放置して失効

この選択は一番勿体無いと言えるでしょう。運転免許の継続はもちろん、運転経歴証明書も受け取れません。結果、全てのチャンスを失うということです。50年の経歴が全てパーになるということです。

しかし残念ながら、この検査結果を受けて、周りのご家族のご協力があれば、返納にしても再検査にしても、どのような手続きを踏めば良いかの判断ができますが、誰の助言も受けられない場合、何をして良いかもわからず、失効してしまうケースは多いようです。

4、運転免許の自主返納

私の一番お勧めはコレ!
・免許がなければ運転できない。
・運転しなきゃ運転での加害者になるリスクはゼロ(当たり前)。
・ついでに運転経歴証明書を手に入れ、様々なサービスを受けることができる。

 

平成30年中「認知機能検査」の結果が悪かった方はその後どうなったか

平成30年(2018年)中、検査結果の悪かった方がその後どのような進路を辿ったのか調べてみました。

平成30年中認知機能検査を受検した方

約216万5000人です。

これは驚きの数字です。これだけ多くの方が検査を受けられたということだけではなく、これだけ多くの75歳以上の方が、運転免許の継続の意思を示したしたということになります。もちろんこの数字は免許更新に該当した方と一定の違反をした方の数字ということなので実際の該当年齢となる人口はもっと多くいらっしゃいます。

第1分類「認知症の恐れ」があると判定された方の数

認知機能検査を受検された216万5000人のうち

第1分類「認知症の恐れ」ありと判定された方の数は5万4千700人。

全体の約2.5%です。この数字が多いか少ないかの判断は難しいところですが、現在高齢者の7人に1人は認知症と言われているところからすると少ない数字なのではないでしょうか。

運転をしている人は認知症にかかりずらいのかもしれません。

それではこの5万4千700人の方達がその後どのような道に進んでいったのかがきになるところです。

1、再受検し、「2分類」又は「3分類」に昇格した方

もちろん検査受検時全ての方が、体調など万全だったとは言い切れません。
中には席次が後ろの方でイラストなどが見えなかったという方もいらっしゃいます。

このようにもう少し点数が取れたのではないかと思う方や、納得のできない方は、再受検することができます。

この再受検された方のうち点数が上がり、「2分類」又は「3分類」に昇格できた方は

8,700人

「第1分類」の判定を受けた方のうち15%の方は点数が上回ったということになります。私は検査官を行ったことがある者として、その検査方法や検査環境にも問題を感じますが、昇格された方がちょっと多すぎるようにも思います。

医師の診断を受け「認知症」と診断され取り消しになった方

1,965人

この数字は、あくまでも診断を受けた方のうちなので、全ての方が診断を受けたわけではありませんので、この数字の多いか少ないかの評価については難しいと言えます。

運転免許の自主返納又は失効に至った方

2万3700人

2019年以後高齢者の重大事故が連日のように報道されこの数字もさらに増加することが見込まれますが、第1分類の方のうち約半数が自ら免許を手放したことになります。

 

「第1分類」の判定を受け、診断の結果「運転免許を継続」できた方

これは単純な引き算で算出

「第1分類」と判定された方ー(「第2、第3分類」昇格者+「取り消し」+「失効」又は「自主返納」)=運転免許継続

54,700人ー(8,700人+1,965人+23,700人)=20,335人

ということで「第1分類」の判定を受けた方のうち2万人以上が運転免許を継続したということになります。

しかし運転免許を継続した方のうち、次のようなケースもあります。

6ヶ月後、診断書が提出を求められるケース

「認知機能検査」の結果が「第1分類」となり、医師の診断を受けたが、認知症とは認められなかった方のうち、「認知症ではないが認知機能の低下がみられ、今後認知症となる恐れがある」と診断され、原則6ヶ月後の診断書の提出を求められるケースがあり、これに該当した方が約1万人だったということです。

 

「認知機能検査」今後の課題

このように認知機能検査の結果、運転免許証を継続できない方が多くいらっしゃいますが、果たしてその妥当性については疑問が残るところです。

検査は何度でも再受検出来てしまう

検査が何度でも再受検出来てしまうのであれば、たった1度、たまたまでも良い点数を取ってしまえば免許3年間継続がほぼ確定(臨時認知機能検査に該当しなかった場合)となる。また事前勉強が可能なので、かなり重度の認知症でもない限りそれなりの点数が取れてしまうという問題。

「第2分類」(認知症ではないが認知機能が低下)の判定を受けても3年間は免許を継続できてしまう

急激に認知機能の低下がみられるケースも多いため、3年に1度の検査頻度に問題はないのか?

死亡事故を起こした高齢ドライバーの半数は「第3分類」

また死亡事故を起こした75歳以上のドライバーのうち、約半数は直近の認知機能検査の結果が「第3分類」と判定されています。ということは必ずしも認知機能検査の結果が悪いから交通事故を起こすとも言い切れず、その他の対策も検討する必要があるのではないでしょうか。

終わりに

ますます進む「超超高齢社会」の中で、一層高齢者の交通死亡事故の割合も高くなるでしょう。

このことから、この様々な課題を残す中、問題はさらに注目され、高齢者講習制度や認知機能検査についてますます強化されることは必至であります。

また、自主返納者に対する得点(自治体によって様々)を増やすことや公共交通機関の一層の充実などをはかり、自主返納しやすい環境づくりが今後の重要な課題となっていくでしょう。

 

【免許更新・認知検査対策】おすすめの参考書を紹介!

ここのところ高齢運転者による事故が多く報道されるようになりました。

このマスコミの過熱報道によって、

「高齢運転者は危ない」
「70歳を過ぎたら免許を自主返納すべきだ」
など、社会悪のような扱いになりつつあります。

また、家族にしてみれば、事故を起こした後のリスクを考えた場合、「じぃじ、ばぁばには運転をやめてもらって、送り迎えをしていた方が安心だ。」などということから、自主返納を勧める家族も急増しているようです。

でもそれはその通りかもしれません。2019年4月池袋で起きた87歳の上級国民による交通事故を考えれば、本人だけではなく家族が受けた傷はかなり深く、会社にも行けなくなったり、近所の目があるため引っ越しを余儀なくされたり、被害者に対する道義的責任はもちろんのこと、それ以上に生きていくことが苦しくなるくらい社会的制裁を受けることになるわけです。

 

この記事を見ていただいているということは、

・運転免許の継続の意志がある方
・高齢の家族の為に免許更新の手伝いがしたい方

のどちらかではないでしょうか?

これから紹介する本を見てしっかり勉強できた方は、基本的に「認知機能検査」で良い点数を取れるでしょう。

しかし、しっかり勉強したけど、良い点数を取れなかった方は、いよいよ「自主返納」も視野に入れた方が宜しいかと思います。

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本書の活用方法

本書は3つの章と特別付録で構成されています。

第1章「運転免許認知機能検査」の概要

平成29年3月から高齢者講習について道路交通法が大きく改正されました。検査結果によっては最悪運転免許取り消しになってしまう為、自主返納すらできなくなります。

高齢者講習制度の概要を理解して、落ち着いて検査に臨む準備をしましょう。

第2章「検査対策」

認知症予防ドリルを用意しています。

日頃から認知機能を鍛えることが重要です。
本書では1日10分でできる認知症予防について解説しています。

特に記憶力は認知検査で問われますので、しっかりトレーニングしてください。

第3章「認知機能検査」の模擬試験

実際の検査と同じ形式で問題を収録していますので、いざ本番で緊張しすぎないよう、しっかり予習していきましょう。

最後に特別付録として認知機能低下を予防するために日々、気をつけたいことを紹介。いつまでも元気で運転し続けるために、ぜひ実践しましょう。

 

オススメの理由

監修は広川慶裕(ひろかわ・よしひろ) 氏、麻酔科専門医から精神科医に転向し、認知症やうつ病などの精神疾患治療を専門で、現在は認知症の早期発見・早期治療とその啓発に取り組んでいるという方。

まさに認知症治療の専門医による認知症予防について具体的な方法、検査に合格するための記憶術についても提案されています。

次の免許更新だけではなく、日々繰り返し脳のトレーニングをすることによって記憶力を高め、長く運転に関わっていけるような参考書になっています。

 

また実際の認知機能検査問題が体験できるようになっており、日常的に取り組むことによって、しっかり準備ができ落ち着いて検査に臨むことができるでしょう。

また私の記事でも認知機能検査については、一冊の本になるくらい様々な内容について紹介していますが、

≫≫認知機能検査の点数計算方法(認知症のボーダーライン)

インターネットでの学習だとパソコンを開かなきゃいけなかったり、スマートフォンだと文字が小さくて読みづらいという大きなデメリットがあるため、本で学習することもおすすめです。

残念な点は1点だけ

しかし、本書のデメリットもあります。全体がカラーでの構成になっておりますが、
実際の検査は白黒のイラストを使用していますので、本番で若干戸惑うことになるかもしれません。
(紹介されているイラストは実際の検査に出てくるものを使用)

 

こんな方におすすめ

・認知機能の低下はさほど感じないが、免許を失っては困る方

・家族に「免許を自主返納して欲しい」と言われているが、まだ「認知機能は低下していない」と証明したい方

・まだ長く車を運転し続けたい方

・高齢のご家族や友人に「安心して免許を更新してもらいたい」ので本書をプレゼントしたい方

 

・高齢の家族に運転をやめてもらいたいので、「本書で勉強してもらい」それでも悪い点数だった場合に「諦めてもらいたい」方

などなど

 

現在高齢者講習・認知機能検査は大きな社会問題となっています。

免許を持ているだけで働ける。

免許があるから通院ができる。

足が悪いから車が必要。

など、車を必要とする方は多くいらっしゃいます。

「検査の結果で更新できなくなってしまった」ということを避けるためにも本書を読んでしっかりトレーニングし自信を持って免許更新してくださいね。

 


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【70歳以上】「高齢者マーク」つけるべき理由

この記事を見ている方の中で、70歳以上の方、「高齢者マークをつけてますか?」

かつて高齢者講習に携わっていた時に、こんな質問をすると「つけてる」と答える方は、10人いて1人か2人。

ということは70歳以上の方で表示しているのは10〜20%といった印象です。

そんな時によく質問されるのは、

「それ、つける必要あるの?」ということ。

私は、こう答えます。

「つける必要がありますよ。」と。

そいうとだいたい皆さん驚かれます。
それは、みんなつける必要がないと思っているからです。

 

もちろんその後、補足します。

「これは努力義務です。」と。
もちろんつける必要があるかといえば、答えは「イエス!」でも義務ではありません。

正確にいうと一時は義務だったというべきでしょうか。

高齢運転者標識、表示義務から努力義務へ

初めは努力義務だった

1997年(平成9年)10月30日の道路交通法改正で、75歳以上を対象に努力義務規程として導入された。

2002年(平成14年)6月1日に、努力義務の対象年齢を75歳以上から70歳以上に引き下げる改正が行われた。

表示を義務化したが…

2008年(平成20年)6月1日から表示が義務化された。
(違反の名称や反則金の額、違反点数を定める道路交通法施行令の一部を改正する政令も同時に公布された。)
しかし、自民党総務会にて「高齢者マークの義務化をすれば大変な問題になる。そもそも高齢者に『枯れ葉マーク』とは失礼ではないか」と、本法施行を批判したことが報じられ、このことを契機に「高齢運転者標識については、違反の取締りについては、1年の間、指導にとどめること。」となった。

表示義務の不適用化

2009年(平成21年)4月24日に、道路交通法の一部を改正する法律により、75歳以上の運転者の高齢運転者標識表示義務の規定は当分の間適用しない、とされて即日施行され、75歳以上の運転者も高齢運転者標識の表示は努力義務とされた。

新デザイン公布、施行

2011年(平成23年)2月1日から高齢者マークが一新され、新デザインが施行された。旧デザインも使用可能。

70歳以上の方で高齢者マークをつけない理由

MikesPhotos / Pixabay

高齢者の方達は高齢者マークの存在は知っているものの、なかなか表示率は上がりません。

私も講習に携わる中で、皆さんに聞いてみたところ様々な理由がありました。

1、高齢者とは認めたくない。

2、いつの間にか70歳を迎え、その存在を忘れてた。

3、つけたい人だけつければ良いと思ってた。

4、つけると家に「高齢者狙い」の詐欺師や泥棒がくる

5、つけるとあおられる

など様々な意見がありました。

「確かに高齢者と認めたくない」とか特に70歳以上の方に向けて「高齢者マークをつけましょう」という旨の通知が届くわけでもありませんから、「その存在を忘れていること」はわかるような気がします。

また、免許を取得後高齢者講習を受講するまで、違反でもしない限り運転に関わる講習を受けることは一切ありませんので、そのような知識をそもそも知らないということも考えられます。

 

因みに道路交通法にはどのように記載されているのかというと

「加齢に伴って生ずる身体機能の低下が自動車の運転に影響を及ぼす恐れがある」場合は、この標識をつけて普通自動車を運転するように努めなければならない。」

となっています。

だから

「身体機能の低下が運転に影響しない」または「身体機能が低下していない」と思っている方は、絶対に表示しないでしょうね。

 

しかし、残念ですが、50歳を超えるとほとんどの方が著しく身体機能は低下します。

特に高齢者講習を受講するとベテランとしての自身は見事に打ち砕かれます。理由は、視力が出ないからです。特に夜間視力はほとんどの方が思うような結果が出ません。

また運転においても、教習所の中で脱輪したり、一時停止で止まらなかったり、50年間蓄積された悪い癖を指摘され、身体機能が低下してると思わざるを得なくなるでしょう。

 

きっとほとんどの70歳以上の方は今検定を受けたら仮免検定すら受かりませんよ。

 

ならば、今後自らの身体機能の低下を自覚し、みんな高齢者マークをつけるようになるのでしょうか?

多分ならないでしょうね。あれだけ厳罰化が進んだ「飲酒運転」だっていまだになくならないんですから、全く罰則のない高齢者マークはつけようという気持ちになりづらいと言えます。

では、逆に高齢者マークをつけるメリットについて考えてみましょう。

 

高齢者マークをつけるべき理由

1、高齢者マークをつけているものに対して、幅寄せや割り込みの禁止

高齢運転者標識を表示すべき者が高齢運転者標識を付けて車を運転している場合、周囲の車の運転者はそれを保護する義務を負います。道路交通法第71条第5号の4は、表示車に対してやむを得ない場合を除き、幅寄せや割り込みをしてはならないと定めています。同条は、初心運転者標識、身体障害者標識、聴覚障害者標識の表示車に対する保護義務も同様に規定しており、本規定に対する違反者は初心運転者等保護義務違反が問われる。

因みに初心運転者等保護義務違反の罰則は、

★初心運転者等保護義務違反の罰則

【行政処分】基礎点数1点(過去の点数が残ってる方や行政処分歴がある方は注意)酒気帯びの場合:0.25mg/l以上は25点、0.25mg/l未満は14点

【反則通告制度】大型車7,000円、普通自動車6,000円、二輪車6,000円、小型特殊自動車5,000円

また、この違反が原因となり死亡事故となった場合、危険運転致死罪に問われることとなりますので、表示をしていない場合よりは、幅寄せや割り込み、あおり運転などの被害に遭いにくいと言えます。

2、周囲の車両に保護される

先ほども述べたように高齢運転者標識を表示した車に対する保護義務がある為、もちろん保護される可能性が高いと言えます。

例えばご自身が運転する車の周囲に高齢者マークを表示している車があれば、
積極的に近づこうと思うだろうか?
むしろ遠ざかりませんか?

これは、結果として周囲に車が近づいてこようとしない為、事故の可能性は軽減されることになります。

3、自ら自覚する意識がもてる

高齢者の事故は身体能力の低下がもたらすものが多い。
しかし、高齢者自らがその自覚がないことが問題です。

自覚を持つということは、若い時よりもより注意深く様々な確認を行うこと。

例えば、

・ペダルを踏む足を意識し、確実に正しいペダルを踏んでいるか?
・顔を向けるだけでは見えない場所がある為、頭を動かし、死角を減らす努力をする。
・高齢になると反応時間が長くなるため、速度をより控えめにする。
・動体視力が低下する傾向にある為、注視点をより遠くに向ける。
・夜間視力は急激に低下している為、夜の運転は控える

など、若年層にも言える話だが、高齢運転者は特に顕著に現れる身体機能の低下。これを自覚することによって、誤操作や判断の遅れが軽減できることが期待できます。

高齢者だということを認めたくない=高齢者標識を表示しない=身体機能低下の自覚がない

自覚があれば絶対に事故を起こさないということはない。
また自覚があっても走り方を変えなければ意味がない。

まずは、自らが高齢者であることを心の底から認めることが大切だと思います。

その第一歩として、高齢運転者標識の表示をお勧めしたい。

誰しもが、70歳以上になれば、若い時のような動きはできません。

「俺はまだ大丈夫!」

その考えを少し変えるだけで、家族みんなが豊かになるか、悲しみの底に落とされるかが変わるかもしれません。

自覚を持つことの第一歩として高齢者マークを表示してみてはいかがでしょうか?


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【死亡事故】世界一安全な国には程遠い日本人の意識

新時代「令和」が幕を開けました。

ここのところ連日のように交通事故の報道をよく目にします。

2019年4月19日に起きた池袋暴走事故
87歳男性が運転する乗用車が暴走し、母娘2名が亡くなった。

2019年4月21日兵庫県神戸市営バス事故
横断歩道上で歩行中の人たちに突っ込み20代の男女2名が亡くなった。

2019年5月8日滋賀県大津市 右直事故
52歳女性(右折車)と62歳女性(直進車)による衝突事故の影響で散歩中の保育園児らに突っ込み園児2名が亡くなった。

 

2019年5月時点ですでに1,000名以上の方が交通事故によって亡くなっている(全国)中で、これらの事故は、ほんの一部ではあるが、連日の報道によって日本中が悲しみに包まれた印象深い事故であります。

1,000名以上と聞くとものすごい多い数のように感じますが、死者数が戦後最少だった去年の同月と比べても120名程度少なく、死者数最少を更新するペースで推移していることは間違いありません。

では、交通死者数が毎年減少しているのは、ドライバー一人一人の安全意識が高まっているのが理由なのか?
私の主観では、それは微妙なところです。

交通事故死者数減少の理由

Alexas_Fotos / Pixabay

1、人口減少

出生率の上がらない日本の人口は減る一方で、この5年間で約100万人程度減少しています。人口の絶対数が減れば交通事故が減って当たり前ですよね。

2、車の性能向上

かつての車体は硬いシャシーで覆われていたため事故の衝撃をもろに受けていた。その結果些細な事故でも死亡事故に繋がりやすかったと言えます。しかし現在の車は衝突の際、車の前部または後部が潰れながら衝撃を吸収するクラッシャブルゾーンが採用されているため、強い衝撃によっても亡くなることは少なくなったと言えます。

3、救急医療の発達

医療の発達に伴い、かつては手の施しようがなかった重傷者も、今では助かる確率が大幅に上がっています。しかしながら、死者数は減少している一方で後遺障害者は増加しています。

4、道路の整備

道路標識や道路表示、また信号機、車線数、道路のペイントなど危険箇所がわかりやすくなるような配慮がされるようになったり、事故が起こりづらい構造になってきています。

5、取り締まりの強化と厳罰化

かつては、シートベルトがそもそもない車が街を走っていた。また昭和の頃は飲酒運転への意識が低く、ほとんどの人がやったことがあるのではないかというくらい飲酒ドライバーが多く走っていました。また、近年は、道交法違反の厳罰化が進み、社会的制裁なども大きくなりドライバーの違反を恐れる意識が高まっていると言えるでしょう。

6、若者の車ばなれ

趣味の多様化、先行き不透明な社会性、交通輸送の利便性向上などの理由により車がなくても問題はないという若者が増えているようです。また近年では運転免許を自主返納する高齢者も増加しており、そのような背景からも運転免許の保有者数は減少傾向にあるようです。

 

日本人の安全意識

Pexels / Pixabay

このように交通事故死者数減少の理由は様々ですが、一方で日本人の安全意識は高まっているのかという問題について考えてみます。

交通事故の報道などにより、その直後は瞬間的に安全意識は高まるのは間違いないでしょう。しかし、時間が経つにつれその意識が忘れられてしまい、再び危険運転をしてしまう人もいるんじゃないでしょうか?

また、警察官が一切取り締まりをしなかったり、法律が昭和の頃のように緩かったら、きっと交通事故死者数も急増するのではないでしょうか?

それは、人の意識の中のものなので、実際のところどうなのかという検証は困難ですが、

国際道路交通事故データベース(IRTAD)を元に日本人の安全マインドについて考えてみます。

 国際道路交通事故データベース(IRTAD)

30ヵ国の人口10万人当たりの死者数では、日本は3.8人(2015年)と10番目に少ない。ノルウェー(1位)やスウェーデン(2位)、英国(3位)などには及ばないものの、先進国水準といえます。

しかし、この犠牲者たちがどのように亡くなったのかという「状態別交通事故死者数」というデータを見ると、その評価はまったく変わってきます。

車に乗っている時に亡くなる「乗用車乗車中」は、死者数の少ないスウェーデンで55.6%。フランスや英国、ドイツなどもだいたい50%くらいとなっていますが、なんと日本の場合は、それらの半分以下の21.4%に過ぎません。

ん?やはり日本は、それだけ車の性能が高いのか?

それもそうなんですが実はそういう話だけではないんです。

下の表にご注目いただきたい。

日本は他の国に比べると「歩行中」での死者が圧倒的に多く全体の3割以上を占めている。

これは単に車の性能が良いから、割合的に歩行者の方が亡くなりやすいということでは説明がつきません。何故なら他の国では「亡くなりやすい」はずの「歩行中」での死者は圧倒的に少ないからです。

 

よく日本を訪れる外国の方に話を聞くと、

「日本では、横断歩道で譲ってくれない。」という方が多いそうです。

横断歩道では、どの国でも(特に安全先進国では)歩行者優先。諸外国ではこれが常識だということです。

 

では、日本ではどうでしょう?

信号機のない横断歩道における車の一時停止率

2018年 JAFが日本全国の横断歩道を対象に行なった「信号機のない横断歩道における車の一時停止率」についての調査によると、

 

信号機が設置されていない横断歩道を通過する車両を対象(11,019台)に行ったところ、歩行者が渡ろうとしている場面で一時停止した車はわずか948台(8.6%)という結果となりました。

最もよく一時停止できていた都道府県は、長野県の58.6%
逆に、最も一時停止なかった都道府県は、栃木県の0.9%

栃木県では、調査期間中、100台通っても1台も譲れないということになりますね。

 

世界一安全な国「日本」はまだまだ先の話

2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開かれます。
外国からも多くの方が観戦にいらっしゃることでしょう。

また、横断歩道での取り締まりを強化するという発表も出ておりますが、どうなることでしょうか。

残念ながら、今回の検証では、交通事故死者数は大幅に減少しているものの、それは、日本人の安全マインドが高いからという結論には至りませんでした。

自動運転や高齢者対策は結構ですが、まずは、日本全体が安全意識を高めることが何より求められることではないでしょうか?

高齢者大国、そして横断歩道で一時停止できない国「日本」

世界一安全な国になる日はいつになるでしょう?

 

【都道府県・交通事故】本当に愛知県は危ないのか?徹底検証!

毎年、警察庁から発表される交通事故統計ですが、

交通事故死者数ワースト10はだいたい同じ顔ぶれ。
愛知県、千葉県、大阪府、埼玉県、神奈川県、東京都、北海道、兵庫県、茨城県、静岡県とかそんなところでしょうか。

※因みにこの記事を書いている現時点では、16年連続1位の愛知県を押し退けて、千葉県が独走中となっています。

それで、一番死者が少ないのは、鳥取県、島根県あたり。

「これって当たり前じゃない?」と思いませんか?

愛知県が毎年1位の理由は単純に車の保有台数がダントツで多いからで、最も少ないのは鳥取県、その差はが10倍以上になります。

車が多い場所と少ない場所ではどっちが事故に遭いやすいかと言えば、当然前者となります。

私はこんなに当たり前の事故統計ですが、毎年楽しみにしています。順位だけでも話のネタになりますからね。

 

しかし、ふとこんなことを感じました。

「仮に全ての都道府県が同じ保有台数だったとしたら どの都道府県が最も死者数が多くなるか?」

「死者数ランキングが変わる?」

「変わるなら何故変わるのか?」

「車の保有台数だけではなく、人口や総延長も一律にしてみたら面白いんじゃない?」

 

個人的な興味本位での思いつきですから、最も事故に遭いやすいのが車が多い愛知なのは変わりませんが、しかしこの検証によって本当に危ない地域がわかるのではないか??

というわけで事故件数に影響しているだろう条件を平均化にした場合、どの地域が最も死者数が多くなるのかを検証してみました。

交通事故件数に影響している条件とは

車の保有台数

交通事故件数に最も大きく影響していると言われているのが保有台数です。

2018年の交通事故件数、交通事故死者数が共に最も多かったのは愛知県ですが、車の保有台数もダントツで多く、その数525万台です。
保有台数2位の東京都は442万台なのでその差は80万台以上となっています。

逆に最も少ないのは鳥取県の47万台ですから、その差は10倍以上。さらに愛知県や東京都のような大都市圏では近隣の地域からも車が多く流入していることが考えられ、実質的な割合は10倍程度ではすまないでしょうね。

因みに2018年の交通事故死者数が100人を上回った地域は、

愛知県、千葉県、埼玉県、神奈川県、兵庫県、大阪府、東京都、北海道、福岡県、茨城県、静岡県、新潟県

ですが、新潟県以外は全て保有台数が200万台を超えており、車の保有台数が多ければ交通事故死者数も多いということは明らかであります。

人口

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当然ですが、車の保有台数が多いということは、それだけ多くの人が住んでいるということになります。

状態別交通事故死者数を見ると、歩行中に亡くなっている方が最も多く、次いで車を運転中、自転車運転中、自動二輪運転中の順となっています。人が多ければそれだけ車と接触する可能性が上がるのは当然で、交通事故も人口の多い大都市で多く起こっている傾向にあります。

しかしながら、必ずしも人口が多いから死者数が多くなるわけでもなく、人口の最も多い東京都の死者数は、7位(2018年)となっております。

道路の総延長

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総延長とは、林道や農道を除く全ての道路をつなぎ合わせた場合に一体どのくらいの長さになるかということで、交通事故件数には道路の総延長も大きく関わっていると言えるのではないでしょうか?

例えば、総延長が最も長いのは北海道ですが、道路に全ての車が出てきても埋め尽くされることはないでしょう。
逆に大阪のように総延長が短い地域で保有台数が多いということは、それだけ道路が車に埋め尽くされているということがわかります。

今回は、車の長さを5mとして、車両台数全てが道路に出てきた場合、道路がどのくらい埋め尽くされるかを算出してみました。

計算はこんな感じです。

{(車の保有台数 ✖️ 5m) ➗ 1000} ➗ 道路の総延長

✖️100%

で算出しました。

この結果最も道路が埋め尽くされているのは、

大阪府の91%、ついで東京都の87.6%、神奈川県72.7%でした。

逆にゆとりのある県は

島根県の14.4%、岩手県15.1%、宮城県15.7%という順でした。

その他の考えられる条件

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平均化することはできませんが、この他考えられる条件は、

気候や地形

季節によって雪が多く降る地域、降雨量の多い地域など様々です。

例えば新潟県は、車の保有台数も人口も全国平均か、またはそれ以下であるにも関わらず、交通事故死者数は年間100人を超える結果となっています。具体的な原因はわかり兼ねますが、もしかしたら気候が大きく影響しているのかもしれません。

新潟県の気候は、全国的にみても日照時間が少なく、特に冬季に降水量が多くなっています。また気温も下がることから冬場は雪や凍結が多くみられ、こうした要因で死亡事故につながっていることも否定できないでしょう。

逆に災害などが少ない地域は鳥取県や島根県と言われているみたいですね。これはまさに事故件数にそのまま現れているようにも思いますが、車の運転でも気候や地形の問題は大きいように思います。

道路環境

道路環境も様々です。例えば、一つの交差点単体で見ても年間何回も事故が起きる魔の交差点が数多く存在する地域(埼玉県に多いようです。)があります。

また、人口は少ないが、人が多く集まる観光地があり、観光客の事故が多い地域も挙げられるでしょう。

年齢層

地域によっては、高齢の方が多く住んでいるところもあります。

75歳以上の方が引き起こす死亡事故の割合は、若年層に比べ2.5倍以上と言われています。それは、認知症にかかる確率も大幅に上がり、高齢者の7人に1人は認知症にかかている状態です。そのような方が多く住んでいる地域では、高齢運転者だけでなく、高齢者の歩行にも十分配慮しなければなりません。

現在、交通事故死者の54%が高齢者となっています。高齢者の事故対策が、交通事故死者数現象の最も近道なのではないでしょうか?

地域ごとの考え方の違い

その地域ごとに走り方の特徴が称されることがあります。

例えば、愛知県の進路変更合図を出さない走り方を「名古屋走り」、茨城県の対向直進車よりも早く右折する「茨城ダッシュ」などが挙げられますが、その地域の運転マナーが悪いなどの理由で名前がつけられます。

その他、煽り運転の検挙数ダントツ1位の兵庫県や

信号のない横断歩道で譲らない栃木県など、悪いデータは公開されています。

このような何故か地域ごとに根付いた走り方が事故件数に影響しているのは考えられますが、

人の感情を数字化するのは難しいので今回の検証には考慮されていません。

検証方法について

geralt / Pixabay

上記のように交通事故件数に影響する要因は様々考えられますが、これらを平均化した場合、交通事故死者数がどのように変化するかを検証したものです。

因みに2018年の交通事故死者数は3,532人(現時点で戦後最少)ですが、この数字を平均化した指数に当てはめ真の死者数ランキングを決めるということです。

平均化する内容

(1)車両台数

全国平均を1とした場合の指数を算出

(2)車の飽和率

上記で紹介した「道路の総延長に対して、車が全て道路に出てきた場合、どのくらい埋め尽くされるか」について

車の飽和率(%)の平均を1とした場合の指数を算出

(3)1人あたりの保有台数

人口1人当たりどのくらいの車両を保有しているか

(車両台数 ➗ 人口)

この平均を1とした場合の指数を算出

見込み事故件数を算出

〔2018年事故件数〕を(1)✖️(2)✖️(3)で割ったもの。

そうすると(1)〜(3)を平均化した見込の事故件数が算出される

見込み事故件数に死亡事故率を乗じる

死亡事故率とは、1回の事故が死亡事故になった確率で
(2018年の死者数)➗(2018年の交通事故件数)✖️100%を都道府県ごとに算出したもの

見込み事故件数に死亡事故率を乗じると都道府県ごとの死者数がわかるという検証方法になります。

検証結果

検証結果については「note」でまとめました。

確認される方はこちらをどうぞ。

今回の検証については、危ない地域を特定することを目的としているわけではありません。
当たり前ですが、車両台数が多い地域が事故数が多くなるのは必然です。

例えば宝くじを買うために 銀座のチャンスセンターに並ぼうとします。
何故チャンスセンターが当たるかって言ったらもちろんそれだけの枚数が売れるからです。売れてないお店よりも売れているお店の方がお店自体の当たるチャンスは増えますよね。だからみんな並ぶんです。当たるチャンスのあるお店の方がいいですからね。

結局交通事故も同じです。

車が多く走っている地域と走ってない地域では、どちらがぶつかるリスクが大きいですか?

当然車が多い地域ですよね。

今回はそれを平均化したわけですから、どこが危険かではなく、毎年発表される事故統計に対して何に注目すべきかを検証したわけです。

人口や車両台数、総延長が平均化されれば、本来見えない危険要素が見つかるかもしれないという思いで検証しました。

単なる数字ですが面白いことがわかりましたので、ぜひnoteを見にきてくださいね。

 

次回予告

今回は見えない危険性とは何かを導き出すべく検証しましたが、次回は、本当に危険な都道府県は一体どこかということについて考えてみます。

人口や車両台数なども考慮して危険な地域を特定いたします。本当に車両台数の多い愛知県は危ないのか??お楽しみに!

 

【ペーパードライバー・初心者】久しぶりの運転、誰に教えてもらう?

免許を取得してから全く運転していないペーパードライバーの方が、ある日突然運転をしなければならない状況になることってありえますよね。

例えば、
・子供の送り迎えをしてあげたい。
・結婚をして新居を構えたが、最寄りの駅から遠くなった。
・勤務地が変わって通勤で車を使いたくなった。
・部署異動や転職などで運転しなければならなくなった。
・コストコに買い物に行きたい。
などなど。

そんな時、全く運転していなかった方は不安なものです。企業などで運転育成システムが整っていれば良いのですが、そんな会社は稀ですよね。

では、運転経験なしで、
・大事な子供を危険に晒せますか?
・会社の車に損害を与えますか?

そういうわけにはいきません。ある程度運転の練習はしておきたいものです。
運転の練習環境も様々です。

1、教習所のペーパードライバー教習。
2、家族や知人に見てもらう。
3、会社で育成してもらう。
4、一人で練習。
5、YouTubeなどの動画を見てイメージトレーニングのみ。
6、教習所ではよくできていたので、たぶん大丈夫だから何もしない。

など家庭や職場等の環境によっても異なります。例えばご自宅に車が<ある・ない>によっても変わってきますからね。

では、教習所でいろんな方を指導した経験上、それぞれの練習環境のメリット・デメリットを紹介したいと思います。

【ペーパードライバー】久しぶりの運転、誰に教えてもらうかを考える

1、教習所で行なっている「ペーパードライバー教習」に申し込む

ほとんどの教習所ではペーパードライバーの方を対象に安全運転教室などを行なっています。教習所によってやり方は様々だと思いますが、大体の教習所が数時間設定のパック(例えば6時間30,000円というような感じ)となっており、追加したい場合には、追加料金を支払って納得いくまで練習をするといった感じになると思います。一日の練習時間は最大で2時間。時期(繁忙期)などによっては受け付けてもらえないケースもあるのでご注意ください。

メリット

最大のメリットは、プロの指導を受けることができる。

教習所の指導員は当たり前ですが、プロです。何人もの教習生に対して指導した実績がありますので、的確なアドバイスをしてもらえるでしょう。また学科教習も聴講できるようになっているところが多く、学科指導員にどの項目を聴講すべきかアドバイスを受けると良いでしょう。

運転や道交法のことで疑問点があればすぐ答えてくれる。

身内や会社の方とは違い指導員は道交法のスペシャリストです(じゃないと指導員資格は取得できませんので、、。)。運転や道交法についてお困りのことがあれば何でも答えてくれますし、仮に難しい質問ですぐ回答できなくても調べてしっかり答えてくれます。

地域の道路環境から本人に適した道を選択し走れる。

例えば、二車線以上の大通りで進路変更の練習がしたいとか、住宅街を中心に走りたい、また右折が苦手など要望があれば、基本的にそのような環境を選択し練習ができます。

車を保有していなくても練習できる

当たり前ですが、車を持ってなくたって練習が可能です。教習車はごく一般的な普通自動車のセダン型、購入する車種選びのヒントになるかもしれません。

事故のリスクはゼロ

教習車には補助ブレーキや補助ミラーがついていて、指導員がすぐ助けられますし、仮に事故を起こしたとしても受講者に負担はない(人身事故やご自身に過失が生じる事故の場合は行政処分の対象にはなりますので。免許に点数がつけられることは考えられます。しかし基本的には指導員がそうならないような対応をとるはずなので安心して大丈夫。)でしょう。

デメリット

無駄なお金がかかる

当然安全な指導を受けるにはお金がかかります。教習所によって価格設定は様々なので、最寄りの教習所から検索してみましょう。20代や30代くらいの年齢であれば、教習所に行かなくても体が覚えていることが多いので、ペーパードライバー教習は無駄金になる可能性は高いですね。教習用の指導なので実践向けとは限りませんし、目的にあった教習になるかもわからないからです。

自宅の車や自宅の駐車場など実際運転する環境では練習できない

当然ですが、自宅の車を持ち込んでも、その車で練習はできません。無認可の教習所ならやってくれるかもしれませんが、基本的に都道府県の公認教習所ではやってくれないでしょう。事故を起こした時のリスクが高いし、保険の内容によっては指導員が運転できませんので、基本的にはやってくれません。

また自宅の駐車場で練習したくても、きっとやってくれないでしょう。状況によってはありえるかもしれませんが、教習所の看板を背負って自宅の駐車場で練習するのはあり得ないですね。

指導員には当たり外れがあるのでご注意ください

運転指導のプロですが、指導員にも当たり外れはあると思いますよ。的確なアドバイスがなかったり、時には居眠りしていたり、、、お気をつけください。そういう時に車を借りて安全に運転の練習をしに行ってると割り切れれば良いですが、割り切れないのであれば教習所はやめた方が良いです。どの教習所にも必ず数人は外れ指導員がいると思いますよ。

2、家族や知人に教えてもらう

これを選択する方が最も多いのではないかと思いますが、状況にもよりますが私はあまりお勧めできません。理由はデメリットが大きいことと、それがきっかけで運転をやめてしまう方もいるからです。

メリット

走りたいところを走れる

もちろん道路交通法の範囲であれば、どこでも練習できますし、自宅の車庫で即実践練習。身内の方に教えてもらえば、余計な緊張もなく落ち着いて練習できそうです。

低コストで練習ができる

当たり前ですが、もちろんコストもかかりません。強いて言えばガソリン代と高速代くらいでしょうか。

自宅の車で練習できるため実戦向き

そして、今後運転したいのはもちろん自宅の車です。車は同じ車種でも車によって癖(ブレーキやアクセルの踏み加減などが多少異なる)があり、他の車の癖が体に染み付いていると急ブレーキや急加速気味になったりまた車によってハンドルの回転数も異なるため、結局また自宅の車で練習し直さなければなりません。

デメリット

低コストではあるが万が一事故があった場合の被害が大きい

万が一事故があった時のショックは大きいです。車の損害もそうですが、自宅の壁を壊したり、金銭的なダメージは大きいでしょう。またお金のことだけじゃなく、心にも大きなショックを受け、自信を喪失し再び運転する気が起きなくなったりします。

身近な人からのアドバイス

教習所の指導員と身近な方では指導方法が異なるでしょう。

指導員は、安全運転についての知識や技術を教えますが、
身近な方はより実践向けで、たとえ道交法を犯してでも流れ重視の考えを教えることが多いです。

また、指導員は上手ではない方の運転を見るのに慣れているため、できなくて当たり前の目線で丁寧な指導をしてくれるはずです。
一方、身近な方は、できないことがもどかしく、口調が荒くなったり、あからさまに苛立ちを見せることもあるようですね。

結果、離婚問題にまで発展したケースを私は知っています。

なのでお勧めできません。

3、一人で練習

私の一番のお勧めはこれです。

とにかくお休みの日は積極的に乗るということです。「コンビニ行くのも車」、「食事に行くのも車」それを繰り返していれば誰にも頼らずに自分でなんとかしなきゃいけなくなりますので一番早く車という乗り物に慣れるでしょうね。

メリット

とにかく一人だから自分の好きなように走れる

多少周りの車を邪魔したとしても、自らは誰にも邪魔されず自由に走れます。もしかしたら一番落ち着いて練習できるかもしれませんね。

普段の運転は一人で乗って、お店の駐車場でもなるべく周りの迷惑にならないような場所に止めるようにします。

身近な方がいるときは、車庫入れだけ教えてもらうとか。とにかくモチベーションを保てる方法を選ぶことが大事だと思います。

デメリット

困ったことがあっても助けてもらえない

もちろんデメリットはあります。

道路では様々なことが起こります。自分の許容量をはるかに超える出来事が起こることも、、。そんなとき一人だったら誰も助けてくれません。

ですからなるべく一人で練習している段階では、走り慣れた場所を走るようにしましょう。

ぶつけた場合は家族に何を言われるかわからない

ぶつけた場合は、多少の覚悟が必要ですね。でも人身事故でなければ大抵許してもらえるものです。

私も妻が何度かぶつけて帰ってきたことがありますが、いつもこう言います「怪我がなくてよかったね」と。
私にとっては、妻が運転してくれた方がメリットが強い(送り迎えをしてもらえる)ので、心を傷つけないような配慮をしています。

結論

車の所有の有無や、金銭的な問題などそれぞれの環境にあった練習をするしかありませんが、

もし叶うなら、新車を購入して一人で練習することを私は一番お勧めします。だってそうなれば絶対にぶつけられませんよね?そしてより大事にしようとするはずですよね?

車庫入れなどは、私もやり方を紹介していますのでご参照ください。

【ペーパードライバー・初心者】車庫入れのコツ、簡単に入れる方法

車の運転は、楽しいものです。早く上達できるように頑張ってください。

 

【認知症・高齢者】認知機能検査の点数が悪かった方へ

75歳以上の高齢運転者が運転免許更新前に、又は一定の交通違反(18基準行為、詳しくはこちら)をした場合必ず受検しなければならない認知機能検査。

その点数や医師の診断結果によっては、最悪の場合 運転免許が取り消されてしまう為、高齢運転者にとっては大きな悩みのタネとなっています。

・記憶力にはそもそも自信がないから、良い点数なんか取れないんじゃないか?
・悪い点数を取ったら家族に「運転はもうやめろ。」と言われるんじゃないか?
・一体どんな問題が出るんだ?
・点数悪かったら取り消しか?

などなど、、

認知機能検査の結果は、100点満点中

76点以上         記憶力判断力に問題ありません。  (第3分類)

49点以上75点以下    記憶力判断力がやや低下しています。(第2分類)

48点以下         記憶力判断力が低下しています。  (第1分類)

という3つに分類されます。

この中で第3分類第2分類だった方は、講習の内容は異なるものの、その後行う高齢者講習さえ受講すれば運転免許を継続することができますが、万が一第1分類に該当した場合は、医師の診断が必要となり、認知症と診断された場合は、運転免許が取り消されることになります。

»【高齢者講習】認知症の人ってどのくらいいるの?

もしあなたが、認知機能検査を受検した結果「第1分類(48点以下)」になったらどうしますか?

・医師の診断を受けますか?
・運転をやめますか?

というわけで今回は、万が一認知機能検査の点数が悪かった場合「どうすべきか。」ついてまとめてみました。

【認知機能検査】の点数が悪かった理由を考えましょう

認知機能検査の点数は、必ずしも認知症と関わりがあるわけではありません。

認知症以外で点数を悪くする可能性がある要因として、実例をいくつか紹介します。

認知症が原因ではない場合、その他の考え得る要因

1、体調不良

現在、高齢者講習や認知機能検査の予約が取りづらくなっています。予約の変更も当然困難となっているため、多少の体調不良ぐらいでは、そのまま受検してしまうケースが増えているようです。

認知機能検査は、記憶力や判断力を検査するものですから、体調不良は記憶力や判断力を鈍らせ、悪い点数になってしまうのは大いに考えられるでしょう。

そのため受検時に風邪を拗らせていたり腹痛や発熱などがあった場合には、その日は受検しないことをお勧めします。

また睡眠不足も体調不良同様に判断力を鈍らせますので、前日は早めに休んで当日に備えましょう。

2、極度の緊張

当然ですが、認知機能検査は厳正に行いますので、教室の雰囲気も緊張感のある引き締まったものとなります。

また、「悪い点数を取ると免許を取り上げられるかも」と余計なことを考えて緊張している方もいらっしゃいます。

極度の緊張も体調不良の時同様、判断力を鈍らせる要素があるため、いかに平常心で受検できるかが重要です。

3、身内の方に不幸があった

身内の方に不幸があった場合、精神的にも肉体的にも大きなダメージを受けます。ご年齢的にも体力は衰えているため、葬式準備などで消耗している可能性があります。もし認知検査直前に近しい方などに不幸があった場合は、できれば日を改め予約を取り直すことをお勧めします。

4、検査官が威圧的だった、またはわかりづらい説明だった

以前、高齢者の方にこんな話を聞いたことがあります。

その方は、別の教習所で認知検査を受検し、その後当校で行った高齢者講習を行いました。その方に「認知検査はいかがでしたか?」と尋ねたところ、「教官が怖くて、検査の内容が頭に入らず、こんな点数になった。」とおっしゃってました。因みに点数は、第1分類ギリギリ手前の49点なので3時間の高齢者講習でした。その方の講習態度や言動を確認しても、49点の点数が嘘のように話した内容もよく理解できる方だったために、教官が怖くて頭に入らなかったということも頷けるところがありました。

またこんな方もいました。前回の認知検査で42点(第1分類で医師の診断が必要)だった方が、検査官の説明がわかりづらかったという理由で別日に別の場所で再検査をしたところ98点になったということです。

検査官も人間なので常にわかりやすく説明してくれるとは限りませんのでご注意ください。

5、空調が暑すぎた、寒すぎた

空調は必ずしもあなたにとって快適な温度に設定されているとは限りません。単純に検査官に申し出れば良いのですが、検査中は緊張感もありますし、なかなか訴えることも困難な場合があります。

特に暑すぎると頭がぼーっとしてしまうため、少なからず点数に影響する場合があります。エアコン温度の調節は勇気を持って訴えかけてください。

6、カンニングしようとしていたが、失敗

残念ですが、カンニングをしようとする高齢者はかなり多いです。

・手にメモをとっていたり
・机の中にメモ紙を忍ばせ、確認しようとしていたり

 

はっきり言って検査官からはその様子は丸見えで、何かおかしな行動をとるとすぐにわかってしまいます。

カンニングに関しては、厳しく対応されることがほとんどで、最悪は退場となります。またカンニングに頼ろうとしている方は、大事な話を聞き逃したり、記憶すべき問題でメモをとるのに必死だったりして、その後疑わしい行動がバレてしまい、メモは見れずじまいに終わります。

当然点数は低くなるでしょうね。

私の記事でも認知機能検査の解説を行ってますので、良い点数を取りたければ、事前に勉強しましょう。

認知機能検査の問題はこちらで解説してます。

»【認知機能検査】問題1「時間の見当識」徹底解説!

»【認知機能検査】徹底解説!問題2

»【認知機能検査】問題3、4 記憶力テスト「手がかり再生」完全解説!!

»【認知機能検査】問題5「時計描画」満点時計の書き方

 

認知症が原因と考えられる症状

残念ながら下記の理由で良い点数が取れない場合は、認知症の疑いも視野に入れた方が良いでしょう。

1、問題の意味がわからなかった

教習所によって、よほどひどい検査方法を行っていない限り問題の意味がわからないというのは、健常者ではほとんどありません。理由は、問題用紙が全国で統一されているからです。

教習所によっては、問題用紙を各人に渡して検査を行いますが、スクリーンに投影して説明する場合もあります。

もちろん検査官から問題ごとに説明が入り、質問があれば聞くこともできます。

私が担当した時の感触だと、問題の意味がわからない方の多くは、検査官の話をよく聞いていない場合が多く、質問があっても検査官が説明したばかりの同じ内容を再び質問するケースが目立ちます。

とにかく人の話はよく聞きましょう。

それができないのであれば、免許は諦めた方が良いかもしれません。厳しい言い方かもしれませんが、それほど重要な検査をしているという自覚を持つべきです。

真剣に聞いているにも関わらず、それでも意味がわからないのであれば、残念ながら認知症の可能性が高いです。そんなに意味のわからないほど難しいことは言ってませんよ。

2、今日の日付や時間がわからない

認知機能検査が始まってから10年以上は経過しています。この間若干の内容変更はあったものの、今日の日付を聞く問題は開始当初から変わっていません。これだけ世の中で運転免許更新時の認知機能検査について情報が広まっているわけですから、今日の日付を聞かれることをわかっている方が多いはずです。

事前に準備してきたにも関わらず、忘れてしまったのなであれば、残念ながら認知症の恐れがあります。

まだそれぞれの都道府県警察も発表していませんが、令和平成で間違えるミスは多くなりそうですね。

3、そもそも覚えられない

もともと記憶力に自信のない方も多くいらっしゃると思います。この認知機能検査は、そういった方も考慮された“良くできた検査問題”となっています。

»【認知機能検査】問題3、4 記憶力テスト「手がかり再生」完全解説!!

緊張感のある検査会場でも、最低限覚えられる健常者の能力があり、「16枚のイラストを記憶する問題」で記憶できないのにはそれなりの原因が考えられます。

第1分類(48点以下)になるのは記憶力の問題だけではありませんが、16枚のイラストの内、6個以上思い出せないのは、認知症の可能性は否定できないと言わざるを得ないでしょう。仮に事前にしっかり勉強していったにも関わらず第1分類だった場合は、尚更のことであると考えます。

4、時計の描き方がわからない

時計描画という問題があります。この問題は配点が高いため、しっかり準備したいですね。

»【認知機能検査】問題5「時計描画」満点時計の書き方

例えば時間を示す針を描き入れる場合に、針の長さが逆になってしまったりするのは、まだ可愛いミスと言えますが、そもそも時計の描き方がわからないとなれば、なかなか理解に苦しむところです。

ただ興味深いのは、第1分類の結果を出す人のほとんどが、時計はちゃんと描ける方が多いということです。逆に記憶力の問題がそこそこ取れている方に限って、全く時計が描けないといったケースも多く、時計描画の配点が大きいため、せっかく記憶力があるのに時計がわからないというだけで大きく点数を落とし悪い結果になっている方も見受けられます。

 

【認知機能検査】結果が悪かった方は、どうすべきか

検査結果が悪かったから免許を取り消されるわけではありません。そのためまだまだこの段階で運転免許を諦めるのは少し早すぎるのではないでしょうか。しかし上記の内容をしっかり精査した上で、一定の決断を自ら導き出す必要はあります。

その中で結果が悪かった方の選択肢をいくつか挙げてみましたので、参考にしてください。

1、家族に相談する

近くに相談できる家族がいた場合、あるいは自ら決断するのが困難な場合、家族の方に相談するのも良いでしょう。

75歳以上の方の運転免許更新は家族の方にとっても一大事と考えるべきです。何故なら、認知症や運動機能の低下は交通事故のリスクは高まり、仮にそのことが原因で人身事故でも起こせば、家族にとってもタダでは済まされないからです。

この問題は一個人の問題ではなく家族を巻き込んで話し合った方が良い問題であり、家族の方に背中を押してもらう事も1つのきっかけになるでしょう。

残念ながら一人で抱え込んでしまう高齢者も多くいらっしゃいます。理由は認知機能検査の結果が悪かった場合、家族に何を言われるかわからないという事。あるいは立場的に恥ずかしいのでしょう。

何かあってからでは遅いのです。積極的に家族を巻き込みましょう。

2、素直に医師の診断を受ける

もちろん家族のいない方や、家族がいてもなかなか相談できない、または決断ができない場合は、第三者である医師の診断を受けて結論を委ねるしかないでしょう。

しかし受診にもお金がかかりますので、ご自身でしっかり判断しましょう。

因みに警察官や教習所の指導員に認知症の疑いがあるからという理由で免許を取り消させる権限はありません。相談には乗ってくれますが、あくまでも医師の的確な判断に委ねるべきです。

認知症ではないという診断であれば、運転免許の継続は可能ですが、点数が悪かったという事実は消えません。そろそろ決断する時なのかも知れません。

3、再受検する

上記「認知症が原因ではない場合、その他の考え得る要因」で述べた内容が当てはまる場合、認知症ではない可能性もあります。医師の診断を受ける前に再受検をしてみてはいかがでしょうか?

再受検には認知機能検査結果通知書の裏面に記載されている電話番号に電話して再受検についての相談を行ってください。

この記事を読んでいただけているのであれば、次回受検する際はきっとよく勉強をされるのではないでしょうか?認知症でない場合はこれで前回よりも良い結果が出るはずです。

しかし万全で臨んだ検査ですが、それでも芳しい結果が出なかった場合、運転免許の自主返納をお勧めします。

4、運転免許自主返納

最後の最後は自主返納を選択して下さい。医師の診断の結果、運転免許が取り消されたり、また、認知機能検査待ちなどによって運転免許が失効してしまった場合は、自主返納できませんので注意が必要です。

「自主返納のススメ」についてはこちらで紹介しています。

自主返納したことによるメリットも大きいため、今後事故のリスクを負いながら車を運転し続けるくらいなら返納した方が良いのかも知れません。

おわりに

あくまでも認知機能検査は、指標の1つに過ぎません。

この記事で紹介している通り、

「点数が悪い」=「認知症」

ではないということがお分りいただけましたか?

この記事を読んでいる方は、きっと認知症ではないのでしょう。きっと、少しだけ点数が悪かった方か、点数が低かった方を心配するご家族の方なのではないでしょうか?

基本的にこの記事で紹介しているような点数は、第1分類(48点以下)を想定しています。第2分類以上だと取り消されることはないですから、そんなに心配はいりません(予備軍ではありますが)。

たぶん、本当に認知症にかかってしまっている方は進んでこういった記事を読まないのではないでしょうか?ということはここまで読み進めていただいた方は「認知症ではない」ということなのだと思います。

 

 

【高齢者講習・免許更新】令和元年、高齢者講習はこう変わる!

2017年の道路交通法改正以後、高度化・合理化された新しい高齢者講習ですが、問題だらけの改正(改悪?)だったため、2年以上が経過した現在も全国の高齢者運転者教習所の悩みのタネとなっております。

最も問題なのは、予約が取れないこと。中には予約が取れないことによって運転免許を失効してしまっているという事案も数多く起きているということです。
予約が取れない理由は、高齢者人口の増加ということもありますが、もっと根深いのは高齢者講習を行っている教習所自体が受け入れられない状況にあるということです。

»【高齢者講習】予約が取れない問題について

教習所が受け入れられない理由としては、

1、本来の教習所の仕事である新規に免許を取得される方への教習業務が回らない(特に2月3月の繁忙期)。

2、金額的な需要が見込めない。

3、教室の数や広さが足りない。

4、教習コースの円滑性や安全性が損なわれる。

などなど、教習所にとって“お荷物講習”であることは間違いありません。気分を害した方はすみません。

しかしながら団塊の世代の方達が75歳を迎えられる頃この問題はさらに拡大し、手に負えなくなる事態になることは必至であります。
法改正後3年目に突入し、全国の高齢運転者と教習所からの悲鳴は叫びに変わり、もはや待ったなしの状況にいよいよ警察庁も重い腰を上げ対応に踏み切ったということです。

ということで今回の記事は、「令和元年より高齢者講習はこう変わる」というテーマで、警察庁が打ち出した対応策とこれで本当に問題が改善されるのかということに関してまとめてみました。

2019“高齢者講習”はどう変わる?

警察庁からの通達

2019年3月18日、警察庁から全国の都道府県警察やその他関係機関などに向けて、「認知機能検査及び高齢者講習の対策強化」について通達されました。

具体的通達内容

1、運転免許有効期限切迫者に対する対応の強化

・免許センターで高齢者講習等を実施または受け入れ枠を拡大することの検討
・期限切迫者に対する相談対応の充実化

現在、高齢者講習を実施しているのは基本的に教習所であり、免許センターや警察署ではごく限られた一部の都道府県でしか実施されていません。その為教習所に対する負担も大きく、また実施枠も拡大できない状況にあり、免許センターや警察署などでの実施を可能とすることや拡大することによって受講待ちや免許を失効させてしまう高齢者を軽減させることが狙いなのでしょう。

また、実施機関(教習所など)の予約の空き情報などを一元的に把握し、高齢者に対して情報提供することなど相談対応を強化する内容も盛りこまれています。

現状、教習所の空き状況は、各所様々ですが、5ヶ月待ちという話をよく耳にします。5ヶ月待ちの教習所はハッキリ言ってやる気のない教習所で、そのように言っておけば、早く予約した人しか受け入れないということになるので期限切迫者を門前払いできるわけです。警察庁もこうした教習所に対するアプローチを強化しなければ、期限切迫者に対しての本当の改善にはならないのではないでしょうか。

2、高齢者講習の同日実施の推進

75歳以上の方が受験しなければならない「認知機能検査」ですが、その結果によって受講する「高齢者講習」の内容が異なる為、ほとんどの都道府県では、「認知機能検査」結果を受けた後、今度は結果に基づいた「高齢者講習」の予約をしなければならず、二度手間 三度手間の手続きが必要となっています。

この通達では、「認知機能検査」の結果が良かった方については、同日に実施できるように検討することが示されています。そうすれば、高齢者に対する負担はかなり軽減されるでしょうね。

しかし、現状のままでは通達内容について検討はできるものの、同日実施は物理的に難しいでしょう。そもそも予約枠が空いていない状況で、「認知機能検査」が終わって誰が良い点数をとるかもわからない(全員悪い点数の可能性だってある)のに同日にそのまま「高齢者講習」もどうぞ というわけには行きません。教習所はその為に指導員を確保できるほどゆとりはありませんから、そもそもの仕組みを変えない限り実現は難しいでしょう。

3、高齢者講習等の運用の弾力化

a 認知機能検査の人数制限の緩和

認知機能検査では、一度に受験できる方の人数制限があります。

現状では、一回の検査は15人までとなっており、教習所によっては二教室に分けることによりそれ以上の人数に対応しているところもあるということですが、基本的に上限は15人。ただし、1名の検査官につき10人までとなっている為、15名受検者がいる場合には、2名の検査官がいることになります。

今回警察庁からの通達によって、定員15人以下から20人以下まで拡大することとされ、こちらも受検待ちを軽減させる取り組みの1つと言えます。

メリット

・高齢運転者にとっては予約が取りやすくなる。
・教習所も同じ人員の中で収入が増えることになる。

デメリット

・高齢者にとってのデメリットは採点に時間がかかる為、待ち時間が長くなる。
・教習所は、それだけの人数を収容できる教室の確保が困難。
・採点に時間がかかる為、同じ人員でこなさなければならず、仕事量ばかりが増えてしまう。最悪は、休憩時間が削られるおそれもあり。

b 高齢者講習の各科目の人数制限の緩和
ア 双方向講義

双方向講義とは、高齢者講習の内容の中に含まれる、講習担当者と高齢者で双方向に意見等を出し合い安全運転や高齢者特有に危険箇所について意識を深める講義とことです。高齢者講習の中では、30分間設けられています。

こちらの人数制限は、

現状、1人の講習担当者につき6人以下とされ、仮に受講者が12人いた場合は、6人ずつで二教室必要となっています。
今回の人数制限緩和により75歳以上で認知機能検査の結果が第1分類及び第2分類(認知機能検査の点数が76点未満)の判定を受けた者は1人の指導員が12人以下まで担当できることになりました。

残念ながらこの緩和はほぼ意味のない緩和です。第1分類、第2分類の方に対する講習は、基本的に第3分類(認知機能検査の結果が76点以上)の方よりも圧倒的に少ない為、そもそも6人以上で講習を行っているところは少なく(多分存在しない)、実質的に存在しないものに対して緩和されても、「他に打つき手があるのでは?」と疑問が残るばかりです。

イ 運転適性検査による指導

運転適性検査とは、いわゆる目の検査です。目の検査を行うのは1グループ受講者3人の編成で行っているとろ、1グループ4人とする内容です。

»【高齢者講習】運転適性検査とは、内容をわかりやすく解説

ウ 実車による指導

高齢者講習では、実車による指導も行います。
S字をやったり方向変換をやったりで1人につき15分以上はかかるところです。

こちらも講習担当者1人につき受講者3人まで乗車して行いますが、こちらについても4人まで拡大するということです。

このイ、ウの2つについては、時間的に見てもかなり無理な設定となり、現状で時間いっぱいいっぱいでやっているところ、さらに1人増えるとなれば、何かを端折らなければ、物理的に不可能なのではないかと感じます。警察庁は時間内の実施も可能だと行っていますが、果たして何件の実験データに基づいてその結論に至ったのかはいささか疑問が残るところです。

これは、受講者にとってのメリットはあまりないものと感じます。
教習所にとってはデメリットだらけ、1つメリットを挙げるとすれば、1人の指導員で4人まで見れるので、金額的収入は上がるということですが従業員にとっては、それが帰ってくるわけではないので、仕事量が増えるだけということになりますね。

>70歳以上の運転免許更新、「高齢者講習」の具体的内容について解説

まとめ

今回の通達によって大きく3つのことが変わります。

講習の内容自体は一切変わりませんが、予約枠拡大のために現場で働く職員の仕事量が一気に増えることになります。ただし、あくまでもMUSTではなく努力義務程度のものです。

教習所業界は、ただでさえ高齢者講習に対して後ろ向きな感覚を持っているところが多いため、素直に受け入れ、積極的に取り組む教習所が果たして全国で何所あるかが見ものです。

すでに緩和措置に向けて動き出した教習所があるという情報も得ております。

将来私も高齢者になっていく中で、不安になる高齢者の気持ちはとてもよくわかります。この高齢者講習の問題については、本当に意味のある根本的改善をしなければ、やる側も受ける側もただ辛いだけとなてしまっている恐れがあります。もう少し深く実態を調査し、早く互いに納得のいく高齢者講習制度を確立していただきたいと思います。

【ペーパードライバー・初心者】車庫入れのコツ、簡単に入れる方法

あなたは車庫入れできますか?

日頃から運転している人は、車庫入れなんか当たり前にできるはずです。でも免許を取ってから全く運転していないペーパードライバーの方や免許取りたての方にとっては、かなり難しく感じるでしょう。人によっては、ハンドルを回す方向すらわからなくなってしまう方もいらっしゃいます…。

車を1回動かせば必ずどこかに格納しなければならないわけで、「車庫入れができない」ということは、「車を動かすことができない」ということになりますね。

実は教習所のカリキュラムの中に「車庫入れ」については入っていません。教習所によっては技能教習第2段階15項目「特別項目(地域の特性等からみて、必要性の高い運転技能を習得する項目)」の中で「車庫入れ」について教習する場合もありますが、基本的にはありませんし、やったとしても体験だけです。きっとみなさんが車庫入れだと思っているのは「方向変換」と「縦列駐車」のことで、これは車庫入れではありません。しかもほとんどの教習所では、目印教習を行っていて単なる試験対策で、実践向けではありません。

この記事をみているということは、きっと車庫入れに不安があるか、やり方のわからない方なんだと思います。そんな方に向けて「車庫入れ」について解説いたします。

まずは質問です。

あなたはどこに入れますか?

下の絵のような駐車場があった場合、あなたはA、B、Cのうちどこに入れますか?

答えはありませんが、私ならBCに入れます。
理由は、基本的に車庫入れをする場合は、前進しながらバックしやすい状態に誘導します。Aの場合、駐車場の一番奥側となり、前進して入れやすくするための奥側の余地がありません。仮にAに入れる場合、何度か切り返すか、そもそもこの駐車場にバックで入ってくることになります。もしAしか空いてないのであればそうしますが、基本的に選択肢からは外されます。

もしあなたが、車庫入れに自信のない方なのであればBをお勧めします。何故かというと、入って右側にあるからです。日本の車の場合ハンドルが右側についているため、右の目標物の方が捉えやすく、この中であればBに入れることが最も難易度が低いと考えられます。

では、次の質問です。

車庫入れをする場合、あなたならどのような形に誘導しますか?

では車をBに入れるとして、前進しながら入りやすい形に誘導します。
下の絵の①②③のうち、あなたならどの形に誘導しますか?

これも答えはありません。どれでも入ります。

因みに私なら②の形にします。

因みに一番入れやすいのは①です。まっすぐ下がるだけですから。しかしこれは、前側にかなり広い余地がないとこの形にはできません。先ほどのイラストのような駐車場の場合、狭いスペースに多くの車を止めさせることがほとんどなので、このような誘導はまず不可能です。

次に③ですが、これは前側のスペースが狭い駐車場の場合に適しています。しかしデメリットは、奥側のスペースが広く必要となることです。絵をみていただければわかりますが、①の場合は奥側のスペースは必要とせず、②の場合は1台分くらいの奥側のスペースがあれば足りるのに対し、③の場合だと奥に2台分程度のスペースが必要となります。

というわけで、前側にも奥側にもほどほどのスペースで格納できるため最もデメリットが少なく、コンパクトにできることから私なら②の形にするということです。

車庫入れをするのに必要なこと

車の位置を俯瞰で捉えよ!

運転席に居ながらにして、駐車場に対する車の位置関係を俯瞰(上から見た様子)で捉えることが大事です。まさにこの記事で紹介するために描いた絵は、全て俯瞰です。今車はどの辺にいるのかを、これから紹介する絵をイメージしながら考えるとわかりやすくなるでしょう。

入る側の後輪の動きを理解せよ!

前進でもバックでも車の動きを知る上で最も重要なのは内側の後輪の動きです。基本的には後輪が今どこにあるかで、ハンドルの回し始めや回す量が決まってきます。しかし残念ながら運転席から後輪はほとんど見えません。なので後車輪はイメージしながら感じてください「Don’t  Think  feel!」です。慣れたら見なくても動きがわかりますよ。ただ初めから感じるのは難しいでしょうから、ドアミラーの角度を調節して、動きを正確に捉えるようにすると良いでしょう。

ミラーで全ての流れを掴むべし!

車庫入れ時の車の動きは、基本的にミラーで全てを判断します。もちろんミラーには死角がありますので、100%ではありませんが、ミラーで動きや流れの判断ができると車庫入れの動きが円滑になります。理由は、直接後ろを見ながらハンドル操作を行った場合、片手ハンドルにならざるを得ないからです。ミラーを利用すれば基本的に体は前を向いているため、ハンドル操作にはほとんど影響がなくなります。

これらを踏まえ、誘導の仕方を細かく解説します。

車庫入れのコツ

基本的に車庫入れをする場合は、③の状態(直角バックで入れる方法)か、②の状態(入りやすい角度をつけて入れる方法)のいずれかになります。

直角バック(上の絵③)で入れるポイント

直角バックはまっすぐ前進してきた位置からハンドルを全開に回して入れる手法で、目標の取り方がわかれば、最も簡単な方法となります。しかし前述の通り、かなり奥に進んでゆとりを取らなければならないため、奥側に余地がない場合などは使えません。

直角バックで入れる入れる場合、バックでの車の動きを理解する必要があります。下の絵を参考にしてください。

ポイント1 内輪差くらいの余地をあける

イラストでは横のスペースに車がいないことを想定していますが、車がいた時でも対応できるように右側の駐車スペースから内輪差くらいの間隔をあけるようにしましょう。内輪差とはハンドルを回している状態で前進(または後退)すると内側の前輪が通る位置後輪が通る位置に差が生じます。この内側の前後輪の通る位置の差のことを内輪差と言い、内輪差は最大で約0.9m(概ね1m)ありますので、直角バックであけなければならない内側の間隔(内輪差分の余地)は概ね1m程度となります。

ポイント2 後車輪の中心を角からホイルベース分 前進させ、後方にゆとりを取っておく

・右のミラーで駐車スペースより前に出て後方にゆとりをあけます。「バックで曲がる時の特性」は大回りになってしまう(小回りはできない)ということです。この大回りになる分のゆとりが、ホイルベース分のスペースということになります。
・ホイルベースとは、車の前輪の中心から後輪の中心までの長さのことをいい、乗用車の場合で約2.7mくらいあります。
・まとめると、「前輪の中心から後輪の中心までの長さ(ホイルベース)」「後輪の中心から曲がり角(この場合駐車スペースの右端)までの長さ」が概ね均等になった場所ということになります。

ポイント3 本来はここから動きながら一気に右にハンドルを回していきますが、慣れるまでは「据え切り」を行ってください(「据え切り」とは、止まったままハンドルを回すことで、タイヤの消耗が激しくなるため昔の人は嫌がる回し方)。

その他のポイント

※ご自宅の駐車場であれば、前進した場所にわかりやすい目印を決めておくと良いでしょう。目印がなければ、運転手の肩口が並ぶ位置などに、わかりやすくなるようにガムテープなどを貼っておきましょう。そうすれば次に入れる時からそれを目印にして簡単に入れられるようになります。

※当然一回で入るとは限りません。

・内側(右側)に寄ってしまいそうな場合には小回りし過ぎています。前進でゆとりを取り過ぎたのが原因でしょう。一度元の場所に戻りハンドルを回す時機を少し後ろにずらし微調整するか、上達してきたらバックの途中からハンドルを戻すなどしてもう少し大回りのラインに切り替えましょう。

・外側(左側)に寄ってしまいそうな時は、大回りし過ぎています。ハンドルの回し始めが後ろ過ぎたことが原因でしょう。修正方法は、元の場所に戻って、ハンドルの回し始めをもっと奥側にするか、大回りがわかった時点で左に回して前進します。すると車の向きがまっすぐに戻りながら自然と右に寄っていきます(後でもう少し解説します)。

※外輪差に注意しましょう!
車庫入れをしている場合、どうしても内側ばかりに気を取られてしまいます。しかし車庫入れ時最も危険なのは外側の前です。外側の前車輪は大きく膨らもうとする(外輪差)ので外側の障害物にぶつかる危険が高まります。運転時は常にそうですが一点に集中し過ぎないように絶えず周囲(車の周り360度全て)に気を配りましょう。

入りやすい角度をつけて入れる方法(上絵②)

最もスタンダードな入れ方で、また最も狭いスペースで駐車する場合に有効です。広い場所でも狭い場所でもこれさえ覚えれば問題ありません。

ポイントa まずは駐車スペースの方に寄せます

寄せなくても入れられますが、寄せた方が狭いスペースでの対応が可能となるため寄せるやり方で覚えましょう。

ポイントb ミラーを奥のラインに合わせる

右のミラーを駐車スペースの奥のライン(下の絵赤ライン)に合うくらいの位置で停止(出来る方は車を動かしながら次の行程へ)

ポイントC 左へハンドルを一回転以上回す

ハンドルを左に一回転以上回して左方向に角度をつけます。この時意識するのは右のミラーです。右のミラーには車の右後方が映るため、右の車体の延長線が見えます。わかりやすく駐車するためにはこの車体の右延長戦を駐車スペースの境界線(絵でいう白線)の先端に合わせて停止します(下絵の水色ライン)。

ポイントd できればこの時ハンドルがまっすぐに戻っていると良いでしょう

ハンドルを戻し遅れると、車の後ろ側の方向が右の車庫に向いてしまいます。
逆に戻しが早くても大きな問題はありませんが、若干角度が浅くなり、バックの大回りの特性上より奥側に進まなければならなくなります。

わかりやすくやるには、ポイント通り、白線の先端に会う頃に合わせてハンドルを戻せると良いでしょう。

ポイントe まっすぐ駐車スペースに向かって下がっていきます

ポイントf 右の後車輪位置を見てハンドルを回す

車の動きの中で最も重要なのが後輪の位置を把握しておくことです。下絵のように入りやすい角度をつけることができた場合のハンドル回し始めのポイントは、後輪が間も無く駐車スペースに差し掛かる手前の位置です。絵を見ていただいた方がわかりやすいと思いますが、右の後車輪がもうすぐ赤ラインに到達しそうなのがわかりますか?到達してから回したら遅いので大回りになります。少し見切りで動いた方が良いでしょう。

当然駐車スペースに赤ラインなどありませんし、右後車輪も非常にわかりずらいと思いますが、これを掴めるようになると車庫入れがかなり楽になりますよ。

ポイントg 右の後車輪が駐車スペースに入ってきたら、車が向かう先を予測する

車庫入れをするときは、左右の間隔が均等でまっすぐ入りたいですよね。この左右の間隔が均等になるかどうかを曲がっている段階から予測するのです。これは繰り返しやれば誰でも身につく技術だと思います。因みに下の絵の場合、このまま行ったら少しだけ左に寄りそうなのがわかりますか?バックは内側の後輪(絵の場合は右の後輪)を軸に曲がっていくため、下絵の場合、右の後輪はこれ以上内側に寄ることはありえません。むしろさらに左側に離れていくため、最終的には左側に寄ってしまいます。そうなった場合、修正は次のように行ってください。

ポイントi 外側(絵の場合は左側)に寄りそうな場合の修正方法

下絵のようにまだ車に角度が残っている(真っ直ぐになりきってない)場合はハンドルを逆側(下絵の場合は左側)にいっぱい回して前進します。すると、車は左に向きを変えながら前進することになるので、車の全体は真っ直ぐに(前は左側に後ろは右側に)向くようになるわけです。

左側に寄ったまま まっすぐまで下がってしまった場合は、「幅寄せ」をします。「幅寄せ」は車を横に平行移動することで、物理的に真横には動きませんので前進(及び後退)しながら車を右側に寄せ直します。

ポイントh 右に寄りそうな場合の修正方法

右に寄りそうな場合は、小回りし過ぎている状態なので、後退中ハンドルを状況に応じて戻しながら大回りのラインに切り替えます。戻し過ぎて左側に寄ってしまいそうな場合には、再び右に回して下がり微調節を行ってください。

おわりに

今回は車庫入れについて解説致しました。

駐車場は、常に同じ形で入れられるとは限りません。今回紹介したような形は、最もスタンダードで入れやすい形と言えるでしょう。駐車場によっては、ものすごい狭かったり、そもそも駐車場にバックで入ってこなければ入れられない場合もあります。あるいは今回紹介していない縦列駐車で入れる駐車場(いつか記事にします)も存在しますが、基本的にはバックでの考え方はどこでも同じなので、基本をしっかり理解して上達を目指しましょう。

初心者やペーパードライバーの方が最もぶつけやすいのが駐車場です。車の動きをしっかり理解して視野を広くとり、あとは繰り返し練習です。

頑張ってください。