【運転技能検査】指定速度での走行とは?減点基準とクリアのコツを現役指導員が解説

スポンサーリンク
高齢者講習

こんにちは。とある指定自動車教習所で、日々ドライバーの皆様の安全教育に携わっている現役の教習指導員です。

[前回までの記事]では、75歳以上のドライバーを対象とした「運転技能検査」の全体像や対象者についてお話ししました。 今回からは、いよいよ「運転技能検査の具体的な課題ごとの攻略法」を一つ一つ丁寧に解説していくシリーズをスタートします!

記念すべき第1回目のテーマは、「指定速度での走行」です。

「スピードを出すのは怖い」「何キロまでなら減点されないの?」と不安に思う方も多いこの課題。実は、現場の採点基準には皆さんが意外と知らない「許容範囲」が存在します。 過度に怖がる必要はありません。課題の目的や正しいクリアのコツを知って、安心して検査に臨んでいきましょう。

1. 「指定速度での走行」とはどんな課題?

運転技能検査のコースを走行中、比較的長い直線の見通しが良い区間に入ると、助手席の検査員から「時速〇〇キロメートルで走行してください」という指示が出ます。これが「指定速度での走行」の課題です。

教習所や運転免許試験場の直線の長さによって設定速度は異なりますが、大半のコースでは「時速30キロメートル」または「時速40キロメートル」に設定されています。

普段公道を走っている皆様からすれば、「たったの30キロ?」と思うような大した速度ではないかもしれません。しかし、教習所内の限られたスペースでは、意外とこの速度を出すことに苦労する方が多いのです。

この課題の目的は、「標識や指示に従って、アクセルをしっかりと踏み込み、必要な速度を出すことができるか(交通の流れに乗る能力があるか)」を確認することにあります。

2. 減点基準と、意外と知られていない「許容範囲」

この課題をクリアできなかった場合の減点数は「-10点」です。(※運転技能検査は100点満点からの減点方式で、70点以上で合格となります)

では、どうなると減点されてしまうのか。ここで、教習所の現場でよく受講者の方から聞かれる質問にお答えしながら、採点基準の「裏側」をお話しします。

よくある質問①「指定速度はずっと維持しないとダメ?」

答えは「NO」です。 指定された速度を直線の間ずーっとキープする必要はありません。メーターの針が、指定された速度に「一瞬でも」到達すれば、その時点でこの課題はクリアとなります。

よくある質問②「少しでも速度が足りないと減点される?」

これも多くの方が誤解しているポイントですが、実は採点基準には「指定速度の上下10km/h未満」という許容範囲が設けられています。

例えば、検査員から「時速30キロメートルで走ってください」と指示されたとします。 この場合、マイナス10km/h未満、つまり「時速21キロメートル」が一瞬でも出ていれば、実は速度不足による減点にはならないのです。(※もちろん30km/hを目指してアクセルを踏むことが大前提ですが、「30km/hに届かなかった!」とパニックになる必要はありません)。

【要注意】「速度の出しすぎ」には非常に厳しい! 一方で、絶対に気をつけなければならないのが「速度の超過」です。 上下10km/h「未満」が許容範囲であるため、時速30キロメートルの指示に対して「時速39キロメートル」までは減点されません。しかし、「時速40キロメートル」に到達した瞬間に、直ちに-10点の減点対象となってしまいます。

そもそも、教習所内の直線コースはそこまで長くありません。短い直線で速度を出しすぎると、その後に迫ってくるカーブを曲がりきれなくなったり、パニックになってブレーキとアクセルを踏み間違えたりする危険性が跳ね上がります。そのため、超過に対しては非常に厳格に採点されるのです。

3. 【指導員直伝】確実にクリアするための3つのポイント

この課題で減点されてしまう方に最も多い失敗パターンが、「のんびりジワジワと加速しすぎて、速度に達する前に直線の終わり(カーブ)が迫ってしまい、やむを得ずブレーキを踏んで減点される」というケースです。

これを防ぎ、安全かつ確実にクリアするための3つのポイントを整理します。

  • ポイント①:直線に入ったら「なるべく早く」目標速度に到達させる カーブを曲がり終えて直線に入ったら、ダラダラとアクセルを踏むのではなく、「メリハリ」をつけてしっかりとアクセルを踏み込みましょう。直線の中間地点あたりで目標速度に到達するイメージを持つと、心に余裕が生まれます。
  • ポイント②:到達したら「すぐにアクセルを戻す」 前述の通り、指定速度は「一瞬」出ればOKです。メーターを見て速度に達したことを確認したら、それ以上アクセルを踏み続ける必要はありません。すぐにアクセルから足を離し、ブレーキペダルの上に足を構え直して、適切に減速する準備をしてください。
  • ポイント③:メーターは「チラ見」にとどめる 速度を超過しないようにと、ずっとスピードメーターばかり見つめて運転するのは非常に危険です。前方不注意で思わぬ事故につながります。基本は前方のコース(景色)をしっかり見て、速度が乗ってきたなと感じた時に「一瞬だけチラッと」メーターを見るようにしてください。

まとめ

今回は、運転技能検査の最初の関門とも言える「指定速度での走行」について解説しました。

もし、この課題で速度が足りなかったり、逆に出しすぎてしまったりして「-10点」の減点を受けたとしても、それだけで即不合格になるわけではありません。 「あ、失敗しちゃったかな」と思っても、決して焦らず、パニックにならないことが一番大切です。深呼吸をして、次の課題に集中しましょう。

しかし、こうした小さな「-10点」の積み重ねが、最終的に合否に大きく響いてくるのも事実です。今回ご紹介したポイントを頭の片隅に置いて、基本を確実にこなすことを意識してみてくださいね。

さて、次回は多くの方が緊張する「一時停止」や「信号通過」の課題について、減点されやすいポイントや確実なクリア方法を解説していきます。どうぞお楽しみに!