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【高齢者講習・免許更新】令和元年、高齢者講習はこう変わる!

Angela_Yuriko_Smith / Pixabay

2017年の道路交通法改正以後、高度化・合理化された新しい高齢者講習ですが、問題だらけの改正(改悪?)だったため、2年以上が経過した現在も全国の高齢者運転者教習所の悩みのタネとなっております。

最も問題なのは、予約が取れないこと。中には予約が取れないことによって運転免許を失効してしまっているという事案も数多く起きているということです。
予約が取れない理由は、高齢者人口の増加ということもありますが、もっと根深いのは高齢者講習を行っている教習所自体が受け入れられない状況にあるということです。

»【高齢者講習】予約が取れない問題について

教習所が受け入れられない理由としては、

1、本来の教習所の仕事である新規に免許を取得される方への教習業務が回らない(特に2月3月の繁忙期)。

2、金額的な需要が見込めない。

3、教室の数や広さが足りない。

4、教習コースの円滑性や安全性が損なわれる。

などなど、教習所にとって“お荷物講習”であることは間違いありません。気分を害した方はすみません。

しかしながら団塊の世代の方達が75歳を迎えられる頃この問題はさらに拡大し、手に負えなくなる事態になることは必至であります。
法改正後3年目に突入し、全国の高齢運転者と教習所からの悲鳴は叫びに変わり、もはや待ったなしの状況にいよいよ警察庁も重い腰を上げ対応に踏み切ったということです。

ということで今回の記事は、「令和元年より高齢者講習はこう変わる」というテーマで、警察庁が打ち出した対応策とこれで本当に問題が改善されるのかということに関してまとめてみました。

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2019“高齢者講習”はどう変わる?

警察庁からの通達

2019年3月18日、警察庁から全国の都道府県警察やその他関係機関などに向けて、「認知機能検査及び高齢者講習の対策強化」について通達されました。

具体的通達内容

1、運転免許有効期限切迫者に対する対応の強化

・免許センターで高齢者講習等を実施または受け入れ枠を拡大することの検討
・期限切迫者に対する相談対応の充実化

現在、高齢者講習を実施しているのは基本的に教習所であり、免許センターや警察署ではごく限られた一部の都道府県でしか実施されていません。その為教習所に対する負担も大きく、また実施枠も拡大できない状況にあり、免許センターや警察署などでの実施を可能とすることや拡大することによって受講待ちや免許を失効させてしまう高齢者を軽減させることが狙いなのでしょう。

また、実施機関(教習所など)の予約の空き情報などを一元的に把握し、高齢者に対して情報提供することなど相談対応を強化する内容も盛りこまれています。

現状、教習所の空き状況は、各所様々ですが、5ヶ月待ちという話をよく耳にします。5ヶ月待ちの教習所はハッキリ言ってやる気のない教習所で、そのように言っておけば、早く予約した人しか受け入れないということになるので期限切迫者を門前払いできるわけです。警察庁もこうした教習所に対するアプローチを強化しなければ、期限切迫者に対しての本当の改善にはならないのではないでしょうか。

2、高齢者講習の同日実施の推進

75歳以上の方が受験しなければならない「認知機能検査」ですが、その結果によって受講する「高齢者講習」の内容が異なる為、ほとんどの都道府県では、「認知機能検査」結果を受けた後、今度は結果に基づいた「高齢者講習」の予約をしなければならず、二度手間 三度手間の手続きが必要となっています。

この通達では、「認知機能検査」の結果が良かった方については、同日に実施できるように検討することが示されています。そうすれば、高齢者に対する負担はかなり軽減されるでしょうね。

しかし、現状のままでは通達内容について検討はできるものの、同日実施は物理的に難しいでしょう。そもそも予約枠が空いていない状況で、「認知機能検査」が終わって誰が良い点数をとるかもわからない(全員悪い点数の可能性だってある)のに同日にそのまま「高齢者講習」もどうぞ というわけには行きません。教習所はその為に指導員を確保できるほどゆとりはありませんから、そもそもの仕組みを変えない限り実現は難しいでしょう。

3、高齢者講習等の運用の弾力化

a 認知機能検査の人数制限の緩和

認知機能検査では、一度に受験できる方の人数制限があります。

現状では、一回の検査は15人までとなっており、教習所によっては二教室に分けることによりそれ以上の人数に対応しているところもあるということですが、基本的に上限は15人。ただし、1名の検査官につき10人までとなっている為、15名受検者がいる場合には、2名の検査官がいることになります。

今回警察庁からの通達によって、定員15人以下から20人以下まで拡大することとされ、こちらも受検待ちを軽減させる取り組みの1つと言えます。

メリット

・高齢運転者にとっては予約が取りやすくなる。
・教習所も同じ人員の中で収入が増えることになる。

デメリット

・高齢者にとってのデメリットは採点に時間がかかる為、待ち時間が長くなる。
・教習所は、それだけの人数を収容できる教室の確保が困難。
・採点に時間がかかる為、同じ人員でこなさなければならず、仕事量ばかりが増えてしまう。最悪は、休憩時間が削られるおそれもあり。

b 高齢者講習の各科目の人数制限の緩和
ア 双方向講義

双方向講義とは、高齢者講習の内容の中に含まれる、講習担当者と高齢者で双方向に意見等を出し合い安全運転や高齢者特有に危険箇所について意識を深める講義とことです。高齢者講習の中では、30分間設けられています。

こちらの人数制限は、

現状、1人の講習担当者につき6人以下とされ、仮に受講者が12人いた場合は、6人ずつで二教室必要となっています。
今回の人数制限緩和により75歳以上で認知機能検査の結果が第1分類及び第2分類(認知機能検査の点数が76点未満)の判定を受けた者は1人の指導員が12人以下まで担当できることになりました。

残念ながらこの緩和はほぼ意味のない緩和です。第1分類、第2分類の方に対する講習は、基本的に第3分類(認知機能検査の結果が76点以上)の方よりも圧倒的に少ない為、そもそも6人以上で講習を行っているところは少なく(多分存在しない)、実質的に存在しないものに対して緩和されても、「他に打つき手があるのでは?」と疑問が残るばかりです。

イ 運転適性検査による指導

運転適性検査とは、いわゆる目の検査です。目の検査を行うのは1グループ受講者3人の編成で行っているとろ、1グループ4人とする内容です。

»【高齢者講習】運転適性検査とは、内容をわかりやすく解説

ウ 実車による指導

高齢者講習では、実車による指導も行います。
S字をやったり方向変換をやったりで1人につき15分以上はかかるところです。

こちらも講習担当者1人につき受講者3人まで乗車して行いますが、こちらについても4人まで拡大するということです。

このイ、ウの2つについては、時間的に見てもかなり無理な設定となり、現状で時間いっぱいいっぱいでやっているところ、さらに1人増えるとなれば、何かを端折らなければ、物理的に不可能なのではないかと感じます。警察庁は時間内の実施も可能だと行っていますが、果たして何件の実験データに基づいてその結論に至ったのかはいささか疑問が残るところです。

これは、受講者にとってのメリットはあまりないものと感じます。
教習所にとってはデメリットだらけ、1つメリットを挙げるとすれば、1人の指導員で4人まで見れるので、金額的収入は上がるということですが従業員にとっては、それが帰ってくるわけではないので、仕事量が増えるだけということになりますね。

>70歳以上の運転免許更新、「高齢者講習」の具体的内容について解説

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まとめ

今回の通達によって大きく3つのことが変わります。

講習の内容自体は一切変わりませんが、予約枠拡大のために現場で働く職員の仕事量が一気に増えることになります。ただし、あくまでもMUSTではなく努力義務程度のものです。

教習所業界は、ただでさえ高齢者講習に対して後ろ向きな感覚を持っているところが多いため、素直に受け入れ、積極的に取り組む教習所が果たして全国で何所あるかが見ものです。

すでに緩和措置に向けて動き出した教習所があるという情報も得ております。

将来私も高齢者になっていく中で、不安になる高齢者の気持ちはとてもよくわかります。この高齢者講習の問題については、本当に意味のある根本的改善をしなければ、やる側も受ける側もただ辛いだけとなてしまっている恐れがあります。もう少し深く実態を調査し、早く互いに納得のいく高齢者講習制度を確立していただきたいと思います。