運転免許の学科試験に挑戦!多車線道路の正しい走り方
高速道路や片側二車線以上の多車線道路を走行する際、「速い車は右、遅い車は左」という暗黙の了解に従って運転していませんか? 多くのドライバーがこの認識を持っていますが、実はこれは道路交通法が定めるルールとは異なります。
今回のテーマは、この誤った認識が引き起こす**「車両通行帯(車線)違反」です。道路交通法は、速度によって車線を区別するルールを設けていません。「左側通行の原則」**を正しく理解し、追越車線の本当の目的を知らないと、意図せず違反点数を加算されたり、交通渋滞の原因になったりするリスクがあります。
本記事では、多車線道路の通行における**「走行車線」と「追越車線」の正しい役割**、そして追越車線を走り続けることの法的リスクを、約4000文字で徹底的に解説します。
1. 問題提起と回答:速度による車線区分はない
まずは、多くのドライバーが「暗黙の了解」として受け入れているルールに関する問題です。
問題:「二つの車両通行帯のある道路では、速度の速い車は右側の車両通行帯を通行しなければならない。」
さて、この内容は
⭕️ 正しい
❌ 誤り
答え:❌ 誤り
正解は ❌ 誤り です。
道路交通法は、車両の速度に応じて車線を区別するルール(「速い車専用レーン」)を設けていません。車両は特別な理由がない限り、一番左側の車両通行帯(走行車線)を通行しなければならないという「左側通行の原則」が適用されます。
2. 基礎解説:走行車線と追越車線の役割
複数の車両通行帯が設けられた道路(高速道路、一般道問わず)では、その車線は明確な役割を持っています。
左側通行の原則(道交法第20条第1項)
道路交通法は、以下を基本原則として定めています。
車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。
- 走行車線: 一番左側の車線が、原則として常に走行すべき**「走行車線」**です。
- 追越車線: 追い越しをするときなど、特別な理由がある場合にのみ通行が許される車線です。
多車線道路の役割分担
| 車線数 | 走行車線(原則通行) | 追越車線(追い越しのみ) |
| 片側2車線 | 左側車線(第1通行帯) | 右側車線 |
| 片側3車線以上 | 一番右側を除く、左側の全ての車線(第1、第2走行車線など) | 一番右側の車線 |
追い越しの方法の原則
車両を追い越すときは、「追い越されようとする車両の右側を通行しなければならない」(道交法第28条第1項)と定められています。
追い越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければなりません。この原則に従い、追い越しが終わったら速やかに走行車線に戻る必要があります。
3. 重要解説:追越車線走行の禁止と例外
「左側通行の原則」が意味するのは、追越車線は休憩や巡航のための車線ではないということです。理由なく追越車線を走り続ける行為は、「車両通行帯違反」として処罰されます。
車両通行帯違反の定義
追い越しが終わった後や、特別な理由がないにもかかわらず、追越車線を走行し続ける行為は、「車両通行帯違反」となります。
これは、追越車線が**「追越しという特定の目的のための車線」**であり、そこを塞いでしまうと、交通全体の円滑化が阻害されるためです。
追越車線走行が許される例外(道交法第20条第3項)
追越車線を走行しても違反とならないのは、以下のように明確な理由がある場合に限られます。
- 追い越しをするとき。
- 右左折、転回、進路変更などで道路の中央や右側端に寄るとき。
- 道路の状況(渋滞、工事、車線規制など)その他の事情によりやむを得ないとき。
渋滞時の注意点
高速道路などで渋滞が発生し、追越車線から左側の走行車線に戻れなくなることは「やむを得ない事情」と見なされます。しかし、渋滞が解消され、左側の車線に戻れる状況になったにもかかわらず、右側の追越車線を走り続けると、車両通行帯違反となります。
4. 罰則と関連法規:違反リスクと安全への影響
追越車線を不適切に走行することは、単なるマナー違反ではなく、罰則の対象となる交通違反です。
(1)車両通行帯違反の罰則
理由なく追越車線を走行し続けた場合の罰則は以下の通りです。
| 違反区分 | 反則金 | 違反点数 |
| 車両通行帯違反 | 普通車:6,000円 | 1点 |
(2)追い越し方法違反の罰則
また、多車線道路での追い越し方法を間違えることも違反となります。
例えば、片側3車線以上の道路の第2車線(走行車線)を走行している際に先行車両を追い越そうとする場合、左側から追い越すのではなく、必ず右側の追越車線(第3車線)から前方に出る必要があります。これを怠ると「追い越し方法違反」となります。
- 罰則: 普通車の場合、反則金6,000円〜12,000円、違反点数2点が科されます。
(3)交通の円滑化と安全への影響
追越車線を走り続ける車両が多いと、交通全体に以下のような悪影響を及ぼします。
- 交通の流れの阻害: 追越しをしたい車が追越車線を使えず、走行車線と追越車線の両方で渋滞が発生しやすくなります。
- 右側からの追越し誘発: 追越車線が塞がっていると、先行車を追い越したいドライバーが、走行車線のさらに左側から追い越しを試みるなど、危険な運転を誘発する可能性があります。
5. まとめと提言
今回の問題は、多車線道路の通行において、**「左側通行の原則」**を遵守することの重要性を示しています。
- 原則: 速度によって車線を区別するルールはない。常に一番左側の走行車線を通行する。
- 追越車線の役割: 追越車線は、追い越しが終わり次第、速やかに走行車線に戻ることが義務付けられた、特定の目的のための車線である。
ドライバーは、「左側通行の原則」と「追越車線の目的」を意識し、追越しが終わったらすぐに左側に戻るという譲り合いの心とルール遵守を徹底しましょう。この意識が、交通全体の安全と円滑化に貢献します。


