2018年開催のFIFA ワールドカップより「ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)」が導入されました。
これにより全てのプレーが人間の不確かな感覚によるものではなく、リプレイ画像を冷静に観て判断し、正確にジャッジされることになりました。
まさに6月22日に行われたブラジル対コスタリカでは、ネイマール選手(ブラジル)が見せた、ゴンザレス選手(コスタリカ)に身体を押さえつけられ、のけぞらせるようにバランスを崩したというプレイが、一度はPKの判定を受けたものの、その後のVARのジャッジにより判定が覆り、ネイマールの動きは演技だったとしてコスタリカのフリーキックに変わったというプレイがありました。
かつてはそのままPKが行われ、TV観戦しているものだけが、「あれは演技だ」とヤジを飛ばしていたわけですが、VAR導入により選手も観客も審判も正確な判定により、皆が納得し合えるようになったのではないでしょうか。
これは、とりわけスポーツだけに限らず、交通社会においても同様に様々な場面において正確なジャッジが必要とされています。
中でも期待されるのは、ドライブレコーダーの活用です。
ドライブレコーダーのメリットと注意点
ドライブレコーダーは、運転中のすべての映像を記録しながら、急ブレーキや急発進、交通事故など車両に大きな衝撃が加わった前後十数秒の、時刻・位置・前方映像・速度・ウィンカー操作・ブレーキ操作等を記録、保存します。
記録された映像を見ることにより、運転者の運転行動を振り返って客観的に確認することができます。これにより運転者は自身の好ましくない運転特性を把握し、その反省を活かして安全運転に対する意識を向上させ、交通事故に遭うことを防止できます。
また、交通事故の場合、記録した映像を保険会社や警察に提出することで、事故の参考資料として採用され、事故処理がスムーズになることもあります。
ドライブレコーダー導入のメリット
1、運転者の安全意識が高まる
記録された自身の運転を確認することにより、ヒヤリハットや交通事故を起こしやすい運転行動を振り返って
客観的に確認することができます。
これにより運転者は自身の好ましくない運転特性を把握して危険な運転をしなくなり、交通事故を防止できます。
2、安全運転指導に活用できる
ヒヤリハット場面を抽出し、社内や対個人の安全運転指導に用いることができます。その運転ぶりを確認することで、
一時停止の励行、適切な車間距離の保持など具体的な指導が可能です。
3、事故は発生時の事実確認が容易になる
記録された事故前後の映像によって、事故発生状況が把握でき、過失の程度なども確認できます。
そのため過失の程度が誤認されることを防止できます。
4、運転者の状況の把握や、犯罪・トラブル防止につながる
複数台のカメラを有するドライブレコーダーでは、車両前方の映像を撮影することに加え、車内撮影用のカメラにより
車内の状況を撮影できることから運転中の脇見、携帯電話使用など運転者の状況把握ができます。
5、業務の効率化が図れる
日報や事故報告書の作成がスムーズになります。
ドライブレコーダー導入の注意点
1、従業員の理解を得る
導入時には、従業員から「管理が強化されるのでは」という意見が出されることも想定されます。
「交通事故防止に役立つ、交通事故発生時に運転者を守る、事故処理の迅速化・処理費用の軽減ができる」など、
導入のメリットを十分に説明し、理解を深めてもらうことが大切です。
2、費用がかかる
種類や性能によって値段も数千円から数万円まで様々です。維持費や管理費がかかる場合もあります。
3、管理・運用面
ドライブレコーダーの多くは、撮影データをSDカードに保存する仕組みになっています。そのため、
撮影データをとりだすにはSDカードを抜いてパソコンのカードリーダーで読みだすか、
ドライブレコーダーをパソコンに直接接続するしか方法はなく手間がかかることが挙げられます。
最近ではスマートフォンなどの端末と接続できる機種も増えてきています。
SDカードを抜かなくてもデータの再生や検索ができるので、便利なウエその場で録画データを確認しやすくなっています。
目的の画像を検索するのに時間がかかったり、機能等が多くて使い方が煩わしいとの声もあります。
誰がどの映像をどのように管理するかを決めておく必要があるでしょう。
4、機器の選定
機器の選定にあたっては、複数のメーカーの機器を比較して、画素数や解像度、画角、接続形式など
機能や長所・短所を理解した上で選定した方がようでしょう。
販売店とよく相談することが大切です。
ドライブレコーダーの普及により、ひき逃げ検挙率大幅上昇
全国のひき逃げ事件で容疑者が逮捕されるなどした割合は2015年で56.1%で、このうち被害者が死亡したケースはほぼ全件で容疑者が検挙されました。
検挙率上昇の背景には、防犯カメラや科学機器のほか、ドライブレコーダーの普及が大きいとされています。
また警視庁は、東京都トラック協会など4団体と協定を結び、都内の8万台の車から事故発生時の映像提供を受けています。
ドライブレコーダー記録提出企業は保険料割引
三井住友海上火災保険は、営業車などのドライブレコーダー記録を提出した企業を対象に、自動車保険料を最大6%割り引くサービスを開始しました。レコーダーを導入した企業は交通事故が減る傾向があるといいます。交通安全への取り組みを企業に促し、保険金支払いの減少につなげる狙いがあります。
割引の条件は、業などで使用する全車両の50%以上にレコーダーを設置し急加速の回数や走行距離などのデータを提出することです。また、集まった映像やデータを基に企業向けの安全セミナーも行なっています。
ドライブレコーダー義務化になったら
政府は2020年をめどに乗用車などの自動運転実現に向けた法整備の大綱案を取りまとめ、ドライブレコーダーなどの搭載の義務化を検討することとしています。
先にも述べたように、ドライブレコーダー設置にはメリットと注意点があり、費用面での個人負担や機器の性能上のムラなどもあるため既存の登録済み車両全てにというのは現実的ではないと思われますが、2020年以降販売の車両全てに装備義務ということになれば、機器のスペック等の基準などを設けるなどして、現実的な話になります。
そうなれば、近い将来全ての車両にドライブレコーダーが搭載され、正確な事実確認や犯罪抑止などに寄与する一方で、常に走行車両などにはカメラがあり、そして映像記録が残されるわけですからあなたは常に見られてる状態になります。
これと連動するように防犯カメラの増設や科学機器の発達がし、またマイナンバーとの連携により、映像から個人が特定されます。これは、
いわゆる超監視社会の到来と言えるのではないでしょうか?
そうなれば、もうあなたは誰からも逃げることはできません。