道路を移動するための乗り物には、現在さまざまな選択肢があります。 しかし、自転車は法律が厳罰化され、バイク(マニュアル車)は事故のリスクが高そう、車はとにかく維持費が高い、流行りの電動キックボードはルールがよくわからない……。それぞれにリスクやデメリットがあり、完璧な乗り物はありません。
そんな中、もしあなたが「少しでも高速道路に乗る可能性がある」のであれば、私が普段使いの乗り物として最もおすすめするのは「ビッグスクーター(AT普通二輪)」一択です。
前回の記事で、私は「普通二輪免許を取るなら絶対にMT!AT限定はおすすめしない!」と熱く語りました。しかし、それはあくまで「教習の難易度や、選べるバイクの選択肢」の話です。 いざ免許を取り、日常生活の足として徹底的に「実用性」を求めた時、ビッグスクーターの右に出る乗り物はありません。今回は、その圧倒的な理由を徹底解説します。
ビッグスクーターとは?(私の愛車事情)
ビッグスクーターとは、総排気量が250cc以上のオートマチック(AT)自動二輪車のことです。クラッチやギアチェンジといったマニュアル操作が一切不要な、大型のスクーターを指します。
はじめに断っておきますが、バイクには「これを操るのが楽しい」「あのデザインに憧れる」といった個人の趣味嗜好が強く反映されます。それを否定したり、自分の好みを押し付けたりするつもりは毛頭ありません。今回は、純粋に「便利で実用的な車両を探している方」に向けたお話です。
ちなみに私は現在、車とバイクの2台持ちですが、愛用しているバイクはもちろんビッグスクーターです。あえて車種はお伝えしませんが、スマートキー搭載で、鍵は常にカバンの中に入れっぱなしという快適なバイクライフを送っています。
ビッグスクーターの「最強」なところ6選
実用面において、ビッグスクーターが他の乗り物を凌駕するメリットを6つ紹介します。
① 圧倒的な積載力(荷物がたくさん入る)
バイクに乗りたがらない人の理由として、「髪が乱れる」「ヘルメットの持ち歩きが面倒」などが挙げられます。マニュアル車最大の弱点は「荷物が積めないこと」です。 しかし、スクーターにはシート下に広大な収納スペースがあります。出先でヘルメットをすっぽり収納でき、買い物袋も余裕で入ります。さらに前面にはグローブボックスがあり、雨風に当てたくない小物も収納可能。この積載力は、小型二輪やマニュアル車にはない最大の魅力です。
② 直進走行の抜群な安定感
スクーターはマニュアル車に比べて、エンジンなどの重いパーツ(重心点)が前方の低い位置にあります。そのため、まっすぐ走っている時の安定感が桁違いです。 マニュアル車は車体を傾けてカーブを曲がる(ワインディング等)ことに長けていますが、街乗りメインであれば、ふらつきにくいスクーターの安定感の方が圧倒的に使い勝手が良いのです。
③ スマートキーによるストレスフリー
私の愛車もそうですが、最近のビッグスクーターの多くはスマートキーを採用しています。鍵穴を探して抜き差しする手間がなく、またがってスイッチを回せばすぐにエンジンがかかります。このちょっとした手間のなさが、毎日の足としては非常に重要です。
④ 二人乗り(タンデム)がしやすい
これも安定感に繋がる話ですが、シートが広くてフラットなため、二人乗りをしていても後部座席の人の重みをあまり感じません。マニュアル車のように運転手にピタッと密着する必要もないため、運転操作への影響が少なく、同乗者も快適に過ごせます。(密着したい方には少し寂しいかもしれませんが……)
⑤ 風の影響を受けづらい
車重があり、かつ重心が低いため、横風などの影響を非常に受けにくいのも特徴です。風が強い日の橋の上や海沿いなどでも、他の車種に比べて大きな恐怖や煽りを感じずに走ることができます。
④ 雨でも濡れづらい
ビッグスクーターはフロントのカウル(前面のカバー)が大きいため、走行中はそこが風防・雨除けになってくれます。多少の雨であれば足元はほとんど濡れず、レインコート(カッパ)も上半身だけで済むことが多々あります。
もちろん弱点もある。デメリット4選
これだけメリットがあればスクーター一択に見えますが、公平にデメリットも紹介しておきます。
- ① 大きい・重い: マニュアル車や小型スクーターに比べ、車幅があり非常に重いです。狭い路地でのUターンや、渋滞時のすり抜け(推奨はしませんが)には、他の車種以上に気を使います。
- ② 置き場に困る: 小型の最大のメリットはその小ささですが、ビッグスクーターは駐輪場を選びます。街のバイク駐輪場は「小型二輪(125cc)まで」と制限されている場所が多いため、よく行く目的地に大型が停められる駐輪場があるか、事前のチェックが必須です。
- ③ 操る「面白み」はない: ギアをガチャガチャと変えて、自分で機械を操る楽しさ……残念ながら、ビッグスクーターにその面白みはありません。それを求める方には絶対におすすめしません。
- ④ 押しがけができない: 万が一バッテリーが上がってしまった時、マニュアル車なら「押しがけ」で強制的にエンジンをかける裏技が使えたりしますが、構造上、スクーターではそれができません。
指導員のリアルな使い分けと、将来のメリット
私は現在、移動手段の割合を「車:バイク = 1:9」で使い分けています。 車に乗るのは、子どもの送り迎えで2人以上を乗せなければいけない時か、土砂降りの日くらいです。それ以外はすべてビッグスクーターで事足ります。
そして、最後に指導員としてもう一つ重要な視点を。 これから私たちがどんどん高齢になっていく上で、バイクという乗り物は非常に理にかなっています。なぜなら、右手で捻るアクセルと、両手で握るブレーキ……「アクセルとブレーキの踏み間違い」という、車特有の悲惨な事故原因が構造上絶対に起きないからです。
利便性と安全性を兼ね備えたビッグスクーター。普段使いの足を探している方は、ぜひ一度検討してみてください。
【次回予告】 さて、次回はこれから二輪免許を取る方に向けた実践編。教習所の最大の難関である「二輪検定の課題(一本橋やスラロームなど)」の突破方法について、検定員の視点から徹底解説します!

