バイクの免許を取ろう!と思い立ったとき、最初にぶつかるのが「どの大きさ(種類)の免許にするか」という悩みですよね。 私が学生時代に二輪免許を取った頃は、そもそも二輪の「AT限定免許」が存在しなかったため迷わず普通二輪(MT)一択でしたが、現在はAT限定を含めると全部で7種類もの免許が存在します。
大型二輪(AT・MT)、普通二輪(AT・MT)、小型二輪(AT・MT)、そして原付です。 このうち「大型二輪のAT限定」は、市場に該当するバイクが極端に少なく需要がほぼないため、教習所にも教習車が用意されていないことがほとんどです。
また、年齢条件として2026年現在の法律では、大型二輪は18歳以上、その他の二輪免許は16歳以上から取得可能となっています。今回は「18歳以上の方」を前提として、大型ATを除く6種類の免許について、現場の指導員ならではの「超・本音(辛口)」で完全解説していきます!
1. 原付免許:手軽だが「違反製造機」になりがち
一番小さなクラスが原付免許です。現在は法律の改正もあり、排気量125cc以下で最高出力が4.0kW以下に抑えられた「新基準原付」を運転することができます。ATとMTの区別はなく、高校生にとっての「二輪の入門編」や、近場の買い物に出かけるシニア層の足として根強い人気があります。
【指導員の本音】 手軽で便利な反面、ルールが厳しすぎます。法定速度は時速30キロ、二人乗りは絶対にNG、そして交差点によっては面倒な「二段階右折」をしなければなりません。 はっきり言って、今の交通の流れの中で時速30キロを守り続けるのは至難の業です。大半の人が、気付かぬうちに速度超過などの違反をしてしまう「違反製造機」のような乗り物になりがちだと、私は個人的に思っています。(しっかり守っている優良ドライバーの方がいたら、ごめんなさい!)
2. 小型二輪(125cc):AT限定は「街乗り最強」、MTは「需要謎」
原付の厳しいルールが嫌な方におすすめなのが、小型二輪免許です。
■ 小型二輪 AT限定 高速道路に乗る予定がなく、ツーリングよりも日常の足として使いたいなら、「街乗り最強の免許」です。原付のような30km/h制限や二段階右折の義務はなく、車の流れに乗って快適に走れます。免許取得から1年経てば二人乗りも可能です。通勤通学や老後の移動手段として、圧倒的におすすめです。
■ 小型二輪 MT 現場にいて一番「誰が取るんだろう?」と謎に思うのがこの免許です。どうしても125cc未満のマニュアル車に乗りたいという強いこだわりがある人以外、ほとんど需要がありません。よく郵便局員の方が取得しに来られますが、「配達用のカブならAT限定で乗れるのになぁ…」と内心思いながら教習しています。これを取るくらいなら、普通二輪MTを取った方が絶対に幅が広がります。
3. 普通二輪(400cc):「MT一択」AT限定をおすすめしない理由
多くの人が最初に目指すのが、この普通二輪クラスです。
■ 普通二輪 AT限定(ビッグスクーター等) 指導員として、私はこの免許は全くおすすめしていません。取るなら絶対にMTにするべきです。 なぜなら、教習で使用する車両(ビッグスクーター)は、車体が大きくて重く、バランスを取るのが非常に難しいからです。もし転倒してしまった場合、引き起こすのも一苦労。実は、MT車の方が車体がスリムで軽く、ニーグリップ(タンクを膝で挟む)もできるため、圧倒的に取り回しが楽で「免許が取りやすい」のです。
■ 普通二輪 MT これからバイクに乗りたい若い世代には、「単純にこれ一択!」と強くおすすめします。乗れるバイクの選択肢が最も広く、街乗りから本格的なツーリングまで何でもこなせます。まずは普通二輪MTを取って、慣れてきたら大型にステップアップする、という王道ルートが一番間違いありません。
4. 大型自動二輪:最上位の優越感と、やめた方がいい人
二輪界の最終終着点、それが大型自動二輪免許です。排気量の制限がなくなり、すべてのバイクに乗れるようになります。普通二輪の経験があれば、意外とハードルは低く、比較的スムーズに取得できます。最大のメリットは、何と言っても「最上位免許を持っているという優越感と、そこから生まれる心の余裕」でしょう。
しかし、あえて【やめた方がいい人】も挙げておきます。
① ツーリングに行くつもりのない人 はっきり言って、大型は「ツーリング専用免許」です。私も過去にVMAX(1700cc)に乗っていましたが、燃費は極悪のハイオク垂れ流し、車体は重く、近所のコンビニに行くような普段使いなど到底できたものではありませんでした。
② 60歳を超えたリターンライダー 子育てや仕事が一段落し、「昔乗っていたからまた大型に乗りたい」と一念発起するシニア世代の方。気持ちは痛いほど分かりますが、教習(特に一本橋などのバランス課題)で尋常ではなく苦労します。あの頃の俊敏な反射神経は、悲しいですがもう失われています。公道で危険な目に遭った時の回避能力を考えると、あまり無茶はおすすめできません。 ただ、プライドを捨てて1から教習所に通い、安全運転を学び直そうとするその姿勢自体は本当に素晴らしいと思います。乗るなら、時間にも心にも「余裕」を持つことを絶対に忘れないでください。
5. まとめと、指導員のちょっとした秘密
どの免許を選ぶにせよ、バイクの免許は取って絶対に損はありません。風を切って走る爽快感は、車では決して味わえない素晴らしいものです。
……と、ここまで偉そうに解説してきましたが、最後に私の「オチ」を聞いてください。 私は大型二輪の指導員・検定員であり、当然大型免許を持っています。若い頃は、大型バイク2台とビッグスクーターの計3台持ちという生粋のバイク馬鹿でした。
しかし、あんなに「おすすめしない」と斬り捨てた普通二輪AT限定。 色々あった結果、現在の私は「ビッグスクーター(普通AT)」にしか乗っていません。
「おいおい、説得力ないじゃないか!」というツッコミが聞こえてきそうですが、色々なバイクを乗り継いだ私が、最終的に「なぜビッグスクーターが一番だという境地に辿り着いたのか」。 その深〜い(?)理由については、次回の記事でたっぷり語らせていただきます。お楽しみに!

