お盆や年末年始、連休などに必ずといっていいほど発生する高速道路の渋滞。これを防ぐには、実はドライバー一人ひとりの心がけによる工夫が一番効果的です。しかし、現実のドライバーは十人十色。運転のクセも性格もバラバラで足並みが揃わないことこそが、渋滞を引き起こす最大の問題だと言えます。
では、どうすれば渋滞を防げるのか。その究極の解決策は、基本中の基本である「車間距離を十分にあけること」です。「車間距離をあけたら、車列が長くなって余計に混むのでは?」と思うかもしれませんが、実は全く逆。車列が長くなっても、結果的に「止まらない流れ」ができ、渋滞は劇的に起きづらくなるのです。
なぜ高速道路でブレーキを踏んでしまうのか?
渋滞の連鎖は、誰かがブレーキランプを光らせることから始まります。 一般道路であれば、信号待ちや一時停止、歩行者の存在などがブレーキの主な原因です。しかし、信号のない高速道路においてブレーキを踏む最大の原因は、「車間距離が近すぎるから」に他なりません。
車間距離が短い状態で、上り坂やトンネルの出入り口などで前の車が無意識に速度を落とすと、後ろの車は追突を避けるために慌ててブレーキを踏みます。このブレーキの連鎖が後ろに行くほど増幅し、大渋滞を生み出すのです。
究極のテクニック「渋滞吸収走行」3つのコツ
このブレーキの連鎖を断ち切り、渋滞をなくすための運転術が「渋滞吸収走行」です。最大の目的は「自分の後ろの車にブレーキを踏ませないこと」。そのための具体的なコツを3つ紹介します。
① 車間距離を「時速の数字分(または4秒)」あける
時速40kmで走っているなら、車間距離は約40m(車約10台分)あけましょう。もっと感覚的に言えば、前の車が通過した場所を「4秒後」に自分が通過するイメージです。高速道路の白線(10m)と空白(10m)のセットを2つ分くらいが目安になります。 これだけ開いていれば、前の車が不意に減速しても、自分は「アクセルを緩めるだけ」で余裕を持って対応できます。
② 「平均速度」でダラダラ進む
渋滞で「止まったり動いたり」を繰り返すのは最悪です。前の車が急加速してもすぐには追いかけず、低速でもいいので一定の速度でダラダラと走り続けましょう。あなたが一定の速度を保つことで、あなたの後ろに続く車列も「止まらない流れ」になり、不快なストップ&ゴーの波を消すことができます。
③ ブレーキランプを光らせない
これが一番重要です。車間を広く取り、速度調節のほとんどをエンジンブレーキ(アクセルオフ)だけで完結させます。後続車は、前の車のブレーキランプが光ると反射的にブレーキを踏んでしまう生き物です。あなたがランプを光らせない(ペダルに足を乗せない)だけで、後方の連鎖停止を強力に食い止めることができます。
【意外なメリット】 この走り方をすると、燃費が劇的に良くなり、運転による精神的な疲労も驚くほど減ります。最初は「車間をあけたら後ろから煽られるかも…」と不安になるかもしれませんが、あなたが一定速度で走ることで後ろの車もブレーキを踏まずに走りやすくなり、結果的に車線全体の流れがスムーズになるのです。
指導員の妄想:運動会の行進と完全自動運転の未来
現在、この「渋滞吸収走行」をAIを搭載した自動運転車に行わせることで、渋滞を完全に消滅させる研究が進んでいます。
私が渋滞にハマった時、いつも頭に思い浮かべるのが「運動会の行進」です。 彼らは何十人、何百人と密集して「渋滞」している状態にもかかわらず、足踏み状態からピストルの合図とともに一斉に歩き出し、一定の速度で行進し続けます。全員が同時にスタートを切り、同じ速度を意識して歩調を合わせているからこそ、列が詰まったりぶつかったりすることはありません。
仮に、すべての車が完全自動運転化(義務化)されたらどうなるでしょうか。 十人十色だった人間のドライバーの感覚が、AIによる「全く同じ感覚」に統一されます。通信で繋がった車たちは、前の車が動くと同時にアクセルを踏み、絶妙な車間距離を保ちながら、運動会の行進のように一糸乱れず走り続けるはずです。誰もブレーキを踏まず、車を止めることなく走り続ける究極の世界です。
まとめ:渋滞が死語になる日
人間の不完全さが生み出していた渋滞という現象は、テクノロジーの進化によって完全に制御できる時代がもうそこまで来ています。
もしかしたら近い将来、「渋滞」という言葉自体が死語になり、若者から「昔の人は高速道路で車を止めて何時間も並んでたの? ウケる!」と言われる日が来るのかもしれません。
信じるか信じないかは……あなた次第です。

