【現役指導員が警告】免許を取る前に絶対に知っておくべき、バイク「10の弱点」と命を守る心得

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運転上達の秘訣

これまで2回にわたる記事で、「災害時にも日常にも最強」というバイクの圧倒的なメリットについて熱く語ってきました。 しかし、この世に完璧な乗り物など存在しません。もちろん、バイクにだって致命的な弱点はあります。

私は運転を教えるプロとして、無責任に「バイクは最高だから乗れ!」とだけ言うつもりはありません。命を守り、長く楽しいバイクライフを送るためには、免許を取る前に「バイクの弱点(リスク)」を正しく理解し、正しく怖がることが絶対に不可欠です。

今回は、バイクに乗るなら絶対に知っておくべき「10の弱点」と、それを乗り越えるための心得について厳しく解説します。

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環境と路面に潜む「物理的な罠」

① 雪の日の後の「路面凍結」

「雪の日は乗るな」というのは言うまでもありません。しかし本当に怖いのは、雪が止んだ後の路面凍結(アイスバーン)です。 「もう道路に雪はないから大丈夫だろう」と油断して走っていると、日陰の溶け残った雪が冬の寒さで凍結し、見えないアイスバーンと化していることがあります。二輪車の場合、これに乗った瞬間の一瞬の判断の遅れが命取りの転倒に繋がります。雪国ではない地域の方こそ警戒が薄れがちなので、雪が降ってから1週間程度は日陰の路面に極度の警戒が必要です。

② 雨の日のマンホール

雨の日でも走ることはできますが、制動距離(ブレーキをかけてから止まるまでの距離)は確実に伸びます。 そして何より恐ろしいのが「マンホール」です。バイクは車体を「バンク(傾ける)」させて曲がる特性がありますが、交差点などの絶妙な位置にある濡れたマンホールの上で車体を傾けると、一瞬でタイヤが滑り、為す術なく転倒します。雨の日のカーブや右左折では、なるべく車体を傾けず、速度をしっかり落としてハンドル操作で曲がる意識を持ちましょう。

③ 凶器と化す「横風」

車体が軽く、風を受ける面積があるバイクにとって、強い横風は脅威です。 特にトンネルの出入り口や、橋の上などは要注意。また、高速道路で大型トラックなどに横をスレスレで追い越された時は、トラックが作り出す強烈な風圧をもろに受け、車線が強制的にズレてしまうほどの衝撃を受けます。強風時や大型車の接近時は、タンクに伏せるような前傾姿勢をとり、重心を低くして警戒してください。

④ 見えない「路面凹凸」

一度、夜間の走行中に全く路面状況が見えず、大きな凹凸に突っ込んでしまったことがあります。その瞬間、お尻がシートから完全に浮き上がるほど跳ね飛ばされ、あまりの衝撃に一瞬何が起きたか分からず激しく動揺しました。 幸い転倒は免れましたが、バイクは路面のギャップの影響をダイレクトに受けます。常に先を読み、路面状況を把握する視線の使い方が不可欠です。

ライダーを直接襲う「生身の脅威」

⑤ 夏の昆虫(カナブンと蜂)

意外と無警戒なのが、夏の昆虫たちです。私も過去に二度、痛い目に遭っています。 一度目は時速60kmで走行中、硬いカナブンが顔面にクリーンヒットし、あわや目に直撃するところでした。二度目は、首元の服の隙間に蜂が入り込み、そのまま刺されるという恐怖体験です。どんなに暑い日でも、肌の露出を抑えた適切な服装を心がけ、ヘルメットは必ずシールド(風防)がついているものを選びましょう。

⑥ 地獄の暑さと寒さ

最高の季節がある一方で、猛暑や極寒の冬はバイクにとって地獄です。 夏は暑さのあまり薄着になりがちですが、生身をプロテクトするものがなければ、軽い転倒でも大怪我に直結します。冬はあまりの寒さに体が硬直し、とっさの柔軟な運転操作ができなくなる危険性があります。 とはいえ「だから乗るな」とは言いません。暑さや寒さも含めて日本の四季の特性を受け入れ、装備を工夫して季節と友達になるのもバイクの醍醐味です。

⑦ 生身の恐怖

やはり、車にぶつけられれば命を落とす危険性は車以上に高いです。私自身、過去に車にぶつけられて骨折した経験があります。 しかし、それをただ怖がっていては乗れません。自らの操作ミスで転倒を招かないように運転技術を磨き、道路上の危険を予測する能力を高めれば、事故に遭う確率は限りなくゼロに近づけられます。

交通社会と心理に潜む罠

⑧ 周りはあなたが思っているほど気づいていない

バイクに乗っていると、「わざと幅寄せされた」「無理に曲がってきた、舐められている!」と感じることがあります。 しかし、大半は舐められているのではなく**「見落とされている」**のです。バイクは車体が小さいため、車のドライバーからは「実際より遠くに、そして遅く」見えてしまう錯覚(クルマの錯覚)が起きます。 自分が相手を見えていても、相手が自分を見ているとは限りません。「もしかしたら気づかれていないかもしれない」という警戒を常に持ち続けてください。

⑨ すり抜けの誘惑

渋滞に巻き込まれると、車の左側をすり抜けていきたくなる誘惑に駆られます。 しかし、すり抜けは非常に危険です。対向車の「お先にどうぞ」で右折してきた車と衝突する「サンキュー事故」や、渋滞中の車のドアが突然開くリスクが一気に跳ね上がります。 渋滞でもイライラせず、車の列にドンと構えて並んでいる姿こそが、本当にかっこいいライダーです。シャカリキになってすり抜けをしなければならないほど、ギリギリのスケジュールで出発しない心のゆとりを持ちましょう。

⑩ 最大の弱点「バイクの特性の無知」

そして最後の弱点は、乗る人間側の「無知」です。 バイク特有の物理的な動きや限界を知らないことが、一番の命取りになります。無知ゆえに命を落としてしまうライダーが後を絶たないのも、また事実なのです。

まとめと次回予告

厳しい弱点ばかりを並べましたが、これらを「知識と技術」でカバーし、安全に乗りこなすことこそがライダーとしての自己研鑽であり、バイクという乗り物の深い醍醐味でもあります。

さて、10番目の弱点として挙げた「バイクの特性」について。 次回は、命を守るために絶対に知っておくべき**「バイクの物理的な特性」**について、プロの指導員として徹底的に解説したいと思います。お楽しみに!