車の免許を取得する上で、第一段階の最終砦が修了検定、いわゆる仮免試験です。この試験に合格しなければ仮免許を取得することはできません。また仮免許を取らなければ路上教習はできませんので、なんとか一度で合格して第二段階に繋げたいところ。
今回は「修了検定合格の秘訣」第一弾として、「切り返し」をテーマにして解説してまいります。
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修了検定合格基準
修了検定に合格するには、第一段階で教習した基本操作やS字やクランク、坂道発進などの課題、また安全確認などが習得できているのかがポイントになります。
合格基準は、最初の持ち点100点から減点方式によって採点されます。許される減点は30点(中型、大型自動車は40点)なので最終的に70点(中型、大型自動車などは、60点)が残ってれば合格となります。例えば、左折大回りは5点減点、巻き込み不確認があれば10点減点など、行う行為によって減点の点数も異なります。もちろん一度で検定中止の課題もあるので、なるべく大きいミスは避けたいところです。
最も不合格の原因となっている課題
一時不停止や信号無視、減点超過など基本的に不合格の原因となるものは決まってきますが、その中で最も多いのは、S字やクランク(第一段階11項目「狭路の通行」)です。第一段階技能教習の中でしっかり練習しているはずだし、また習得できているからこそ第一段階最終時間「みきわめ(教習効果の確認)」にもパスしているはず、なのになぜか検定では練習の成果が出せない方が多いです。
なぜ狭路で不合格になるのか
狭路で不合格になる原因は、脱輪や接触によるものです。
採点基準
・脱輪大(検定中止)タイヤが縁石に接触し、その後縁石に乗り上げ1.5m以上進行した状態
・脱輪中(20点減点)タイヤが縁石に接触し、少しでも縁石に乗り上がった状態から切り返した場合
・脱輪小(5点減点)タイヤが縁石に接触したが、縁石に乗り上げる前に切り返した場合
※タイヤが縁石に触れただけで切返さず通過した場合、「脱輪小(5点)」+「速度速すぎ小(10点)」で合計15点減点となる場合がある(都道府県によって考え方が少し異なる)。
・接触大(検定中止)車の一部が立体障害物(ポールなど)に強く接触したり、軽くでも押した場合
・接触小(20点減点)車の一部が立体障害物に軽く接触したがその後切り返した場合
修了検定合格のために重要なこと
上の採点基準を見ておわかりの通り、検定が中止となるのは、縁石を乗り越えてそのまま行ってしまったり、障害物に強く接触した場合です。「切り返し」をした場合は、必ずしもその行為が不合格の原因になるわけではなく、減点の適用のみとなります。
先ほど述べたとおり、修了検定の最も不合格の原因となっている課題は「狭路の通行」です。ということは不合格の方のほとんどは「切り返し」をしなかったか、あるいは「切り返し」をしたが適切なものではなかった、ということです。
これだけは断言できます。
「切り返しを制するものは、全ての教習を制す!!」
嘘ではありません。ここから、切り返しについて解説しますので、ダマされたと思って、しっかりマスターしましょう。
「切り返し」の解説
クランクやS字を通行する際の失敗例は様々ですが、基本的には2種類しかありません。
1、ハンドルの回し始めが遅く前が曲がりきれなくなってしまうパターン
2、ハンドルの回し始めが早く内輪差の影響で内側の後輪が脱輪するパターンです。
切り返しによる減点
切り返しによる減点は、切り返しを行う場所によって異なります。
1)クランクやS字などに車の一部でも入っている場合
・1回目の切り返しは、チェックは入るものの減点にはなりません。
・2回目の切り返しから5点ずつの減点となります。
・切り返し可能回数は3回まで、4回目で検定中止となるのでご注意ください。
2)クランクやS字以外の場所での切り返し
・1回目から5点の減点が入ります。
・この場合、70点合格ラインの減点が許される限り何度でも可能です。
※いずれにしても、ゆとりを持って検定が進行できるよう、なるべく少ない切り返し回数でゴールを目指しましょう。
1、ハンドルの回し始めが遅れてしまい前が曲がりきれない時の切り返し
上のイラストのような状態。ハンドルを右に回すタイミングが遅れ、大回りになってしまい、左の前方が接触しそうになっています。
この場合、まず気をつけなければならないのは、前にぶつかりそうになっていることに気付くことです。クランクでは、前方にポールなどの障害物があり、ぶつかりそうなことに気付かなければ、ポールへの接触で「接触大」、検定中止となってしまいます。よく教習の中では、曲がる先を見るように指導されることがありますが、接触に気付かなければそれは事故ですから曲がる先ばかり見ていれば良いというわけではありません。前方が通過できるか、またぶつからないかどうかしっかり確認してください。因みに狭路の通行で重要なのは、内輪差による影響を考慮して大回りで通ることが基本です。そのため前方のポールに対し、ある程度近付けて通ることが理想なので、それを確認する意味でも前方のポールはしっかり見てあげましょう。
また、「一か八か、なんとか通ってくれ!」という神頼みは禁物です。上に示したように切り返しは、大きな減点になるわけではないので、「切り返せばいいや」くらいの軽い気持ちで行えるように、切り返し方法はしっかり頭に入れておきましょう。
切り返し方法
この場合の切り返し方法は、当然バックするわけですが、ハンドルを回す方向は、簡単に一言で覚えれば良いです。
「ぶつかるタイヤに向かって回せ!」です。
ですから上のイラストの場合、左の前方がぶつかりそうになっていますので。
左にいっぱいに回してバックすれば良いわけです。そうすれば、車のお尻(後方)は左の方向に向かい、また前方は進行方向へと傾くため、曲がりやすくなります。
この場合の後ろに下がる量は、次に曲がれる程度で良いので、下がったとしても50cm程度で十分。下がり過ぎれば、内側に近づきすぎてしまうため、逆に内側が危なくなってしまいます。
そして気を付けなければならないのは、再び進行方向にハンドルを回し直してから前進すること。そのままのハンドルで前進したら「ぶつかる方向」にハンドルが回っているわけですから すぐにまたぶつかってしまいます。
車の前がぶつかりそうな場合の切り返しポイント
1)バックする前に後方の確認を忘れずに!
2)バックギアに入れ忘れないように!
3)ぶつかる方向に向かっていっぱいハンドルを回す。
4)バックする距離は少し(50cm以内)で十分。
5)再び進行方向に回し直す(この場合、慣れてきたら下がっている途中から、下がりながらハンドル操作できるのが理想。)。
6)前進のギアに入れ忘れないように。
2、ハンドルの回し始めが早くて、内側の後輪がぶつかりそうな場合の切り返し
このイラストの場合、ハンドルを左に回すのが早すぎて、内輪差の影響を受けて左の後輪が脱輪している状態です。
切り返し方法
ズバリ、この場合も前がぶつかりそうな時の「切り返し方法」同様の合言葉「ぶつかりそうな方へ回せ!」を適用します。
そうすると、このイラストでは左の後輪が脱輪しているわけですから、左に回すということになります。
しかしハンドルはすでに左に回ってる状態なので、さらに左に回すことはありません。というわけで、内側のタイヤが接触した場合にはハンドルはそのまま下がれば良いということになります。
ただし、前が曲がりきれない場合の切り返しでは、バックする量は「次に曲がれるくらい(多くても50cm)」くらい下がればよかったわけですが、内側が接触した場合は、ハンドルはそのままで元に戻るわけですから、再び同じことを繰り返さないように完全に道路に対してまっすぐまで下がった方が確実です。
その後前進する際は、もともと接触した原因が、ハンドルの回し始めが早かったためなので、今度は少し回す時機を遅らせて曲がっていきます。当然遅らせ過ぎれば、今度は前がぶつかってしまうので注意です。
内側のタイヤがぶつかりそうな場合の「切り返し」ポイント
1)バックする前に後方の確認を忘れずに!
2)バックギアに入れ忘れないように!
3)ハンドルはそのままでバックする。
4)バックする距離は道路に対してまっすぐになるまで下がる。
5)ハンドルを元に戻し前進する。
6)同じミスを繰り返さないように曲がる時機を少し遅らせる。
S字での切り返し
S字カーブで脱輪した場合も、上記の通り切り返せば、問題ありません。
「ぶつかりそうなタイヤに向かって回せ」です。
しかし、内輪差が影響して内側の後輪が脱輪した場合、ぶつかりそうな内側のタイヤに向かって回してバックするとさ、らに内側の縁石に食い込むように乗り上げてしまう恐れがあります。理由は、S字の場合必ずしもハンドルを全部回して進行するわけではなく、まだ内側にハンドルを回す余地が残っている可能性があるため、さらに回してしまった場合もっと内側に食い込んでしまうということです。少しわかりずらいかもしれないので、こう覚えてください。
「S字でぶつかったら、とにかくそのまま元に戻れ!」です。
元に戻ると言ってもどこまで下がるかですが、
修正可能な位置までです。距離でいうと1m〜1.5mくらいでしょうか。
基本的にS字で接触する方の多くは、内輪です。ハンドルを回しすぎたか、回し始めが早かったことが原因となってます。
ですからバックしたのち再び前進するときは、小回りにならないように大回りを意識して修正しましょう。
S字が苦手な方はこちらの記事で通り方の解説をしています。
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まとめ
皆さんならこんな二人がいた場合どちらかといえばどちらが理想でしょうか?
1、練習中、クランクやS字に関しては百発百中で通過できるけど、切り返しを全く理解していない人
2、練習中、クランクやS字で必ず脱輪してしまう。でも切り返しが完璧な人
もちろん言うまでもなく2番が理想です。理由は、最終的に狭路から脱出できるから。
1番の人は、普段の練習では完璧に通過できるかもしれませんが、試験だったらそうはいきません。必ずしも練習の成果が出せるとは限りませんので、脱輪した場合はかなり焦ることになるでしょう。備えあれば憂いなし。失敗した時の対処法がわかっていたら「失敗しても切り返せば良いや」と、気持ちにゆとりが持てるでしょう。
「切り返しを制するものが全ての教習を制す」です。
免許取得後も嫌ってほどやることになりますので、しっかりマスターしておきましょう。