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【死亡事故】世界一安全な国には程遠い日本人の意識

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新時代「令和」が幕を開けました。

ここのところ連日のように交通事故の報道をよく目にします。

2019年4月19日に起きた池袋暴走事故
87歳男性が運転する乗用車が暴走し、母娘2名が亡くなった。

2019年4月21日兵庫県神戸市営バス事故
横断歩道上で歩行中の人たちに突っ込み20代の男女2名が亡くなった。

2019年5月8日滋賀県大津市 右直事故
52歳女性(右折車)と62歳女性(直進車)による衝突事故の影響で散歩中の保育園児らに突っ込み園児2名が亡くなった。

 

2019年5月時点ですでに1,000名以上の方が交通事故によって亡くなっている(全国)中で、これらの事故は、ほんの一部ではあるが、連日の報道によって日本中が悲しみに包まれた印象深い事故であります。

1,000名以上と聞くとものすごい多い数のように感じますが、死者数が戦後最少だった去年の同月と比べても120名程度少なく、死者数最少を更新するペースで推移していることは間違いありません。

では、交通死者数が毎年減少しているのは、ドライバー一人一人の安全意識が高まっているのが理由なのか?
私の主観では、それは微妙なところです。

交通事故死者数減少の理由

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1、人口減少

出生率の上がらない日本の人口は減る一方で、この5年間で約100万人程度減少しています。人口の絶対数が減れば交通事故が減って当たり前ですよね。

2、車の性能向上

かつての車体は硬いシャシーで覆われていたため事故の衝撃をもろに受けていた。その結果些細な事故でも死亡事故に繋がりやすかったと言えます。しかし現在の車は衝突の際、車の前部または後部が潰れながら衝撃を吸収するクラッシャブルゾーンが採用されているため、強い衝撃によっても亡くなることは少なくなったと言えます。

3、救急医療の発達

医療の発達に伴い、かつては手の施しようがなかった重傷者も、今では助かる確率が大幅に上がっています。しかしながら、死者数は減少している一方で後遺障害者は増加しています。

4、道路の整備

道路標識や道路表示、また信号機、車線数、道路のペイントなど危険箇所がわかりやすくなるような配慮がされるようになったり、事故が起こりづらい構造になってきています。

5、取り締まりの強化と厳罰化

かつては、シートベルトがそもそもない車が街を走っていた。また昭和の頃は飲酒運転への意識が低く、ほとんどの人がやったことがあるのではないかというくらい飲酒ドライバーが多く走っていました。また、近年は、道交法違反の厳罰化が進み、社会的制裁なども大きくなりドライバーの違反を恐れる意識が高まっていると言えるでしょう。

6、若者の車ばなれ

趣味の多様化、先行き不透明な社会性、交通輸送の利便性向上などの理由により車がなくても問題はないという若者が増えているようです。また近年では運転免許を自主返納する高齢者も増加しており、そのような背景からも運転免許の保有者数は減少傾向にあるようです。

 

日本人の安全意識

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このように交通事故死者数減少の理由は様々ですが、一方で日本人の安全意識は高まっているのかという問題について考えてみます。

交通事故の報道などにより、その直後は瞬間的に安全意識は高まるのは間違いないでしょう。しかし、時間が経つにつれその意識が忘れられてしまい、再び危険運転をしてしまう人もいるんじゃないでしょうか?

また、警察官が一切取り締まりをしなかったり、法律が昭和の頃のように緩かったら、きっと交通事故死者数も急増するのではないでしょうか?

それは、人の意識の中のものなので、実際のところどうなのかという検証は困難ですが、

国際道路交通事故データベース(IRTAD)を元に日本人の安全マインドについて考えてみます。

 国際道路交通事故データベース(IRTAD)

30ヵ国の人口10万人当たりの死者数では、日本は3.8人(2015年)と10番目に少ない。ノルウェー(1位)やスウェーデン(2位)、英国(3位)などには及ばないものの、先進国水準といえます。

しかし、この犠牲者たちがどのように亡くなったのかという「状態別交通事故死者数」というデータを見ると、その評価はまったく変わってきます。

車に乗っている時に亡くなる「乗用車乗車中」は、死者数の少ないスウェーデンで55.6%。フランスや英国、ドイツなどもだいたい50%くらいとなっていますが、なんと日本の場合は、それらの半分以下の21.4%に過ぎません。

ん?やはり日本は、それだけ車の性能が高いのか?

それもそうなんですが実はそういう話だけではないんです。

下の表にご注目いただきたい。

日本は他の国に比べると「歩行中」での死者が圧倒的に多く全体の3割以上を占めている。

これは単に車の性能が良いから、割合的に歩行者の方が亡くなりやすいということでは説明がつきません。何故なら他の国では「亡くなりやすい」はずの「歩行中」での死者は圧倒的に少ないからです。

 

よく日本を訪れる外国の方に話を聞くと、

「日本では、横断歩道で譲ってくれない。」という方が多いそうです。

横断歩道では、どの国でも(特に安全先進国では)歩行者優先。諸外国ではこれが常識だということです。

 

では、日本ではどうでしょう?

信号機のない横断歩道における車の一時停止率

2018年 JAFが日本全国の横断歩道を対象に行なった「信号機のない横断歩道における車の一時停止率」についての調査によると、

 

信号機が設置されていない横断歩道を通過する車両を対象(11,019台)に行ったところ、歩行者が渡ろうとしている場面で一時停止した車はわずか948台(8.6%)という結果となりました。

最もよく一時停止できていた都道府県は、長野県の58.6%
逆に、最も一時停止なかった都道府県は、栃木県の0.9%

栃木県では、調査期間中、100台通っても1台も譲れないということになりますね。

 

世界一安全な国「日本」はまだまだ先の話

2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開かれます。
外国からも多くの方が観戦にいらっしゃることでしょう。

また、横断歩道での取り締まりを強化するという発表も出ておりますが、どうなることでしょうか。

残念ながら、今回の検証では、交通事故死者数は大幅に減少しているものの、それは、日本人の安全マインドが高いからという結論には至りませんでした。

自動運転や高齢者対策は結構ですが、まずは、日本全体が安全意識を高めることが何より求められることではないでしょうか?

高齢者大国、そして横断歩道で一時停止できない国「日本」

世界一安全な国になる日はいつになるでしょう?