【大型自動車教習】隘路(あいろ)のコツ、解説

平成19年の道路交通法改正より中型、大型、中型二種、大型二種免許に関わる車両の基準や教習内容などが大きく変わりました。変更点は「路端への停車」や「貨物特性」「夜間の運転」など様々ですが、今回はその中でも苦手な方の多い「隘路(あいろ)」について解説いたします。

隘路って何?

調べるとこんなことが書いてあります。

あいろ【隘路】
①狭い道。狭く険しい道。
②物事を進めるのに障害になるもの。難関。ネック。
③ボトルネックに同じ。

教習で行う「隘路」は②の意味が強いのかなと思いますが、よくこんな名前をつけたものだと感心します。

では、本当に「障害」となり、「難関」なのか?
その中身に入っていきます。

まず、隘路とはどんなことをするのかといえば、一言で言うとコンビニなどの駐車場でたまに見かける いわゆる「前向き駐車」です。ただし、まっすぐの状態からの駐車ではなく90度向きを変えて入れなければなりません。

その格納する場所の白線の長さや幅は次の通りです。

隘路の白線の長さや幅

因みに中型、大型自動車の幅や長さは次の通りです。

・中型 長さ→約8m
幅 →約2.3m

・大型 長さ→約12m
幅 →役2.5m

隘路について、「前向き駐車」と説明しましたが、格納する場所は、上の図の中央部にある、長さ12m(中型車は8m)の2本線の間です。実寸から考えると、長さにはほとんどゆとりがないものの、幅に関しては、中型大型それぞれ0.5m程度のゆとりがあります。

隘路を行う際のルール

・上の図の左側の最も長い白線は踏んではならない。踏んだ場合は、脱輪となる。

・左側の長い白線に沿わせている状態から90度右(左)に向きを変えている間は途中停止してはならない。
(止めた場合は、全身迂回でやり直しとなる。)

・中央の12(8)mの白線を踏むことはできる。

・格納範囲は中央2本線の進行方向前側と左右側方からミラー以外の車体の一部がはみ出ないところ(下のイラスト 色の部分)

・格納範囲から逸脱している場合には3回以内で切り返しできる(4回で検定中止)。<切り返し範囲は後ほど紹介>

隘路のコツ、裏技紹介

①−1外側の白線を踏まないように、しっかり添わせる(添わせることにより曲がる側に距離的なゆとりができる。)

①−2前車輪が手前の白線を超えるくらいのタイミングでハンドルを回す。
前輪の位置が掴めない場合は、自分なりに回し始めの目印を作る。目印の立て方は、運転手の肩が手前の白線を超えたぐらいで回し始めると覚えるのが基本ですが、感覚には個人差があるため、人によっては、入るスペースの中央に自分の肩が来たら回すと覚える方もいるようです。何度も練習していくうちに目印を微妙に修正し、検定までに確実なタイミングを掴んでおきましょう。

②−1曲がっていく途中は、車両全体の動きを確認する。
・後輪の軌跡(この場合、中央の白線を踏んでいても問題はない。後輪が曲がった先のどこに入ってくるかを予測しながら通る。)
・左右の幅(左右のミラーで後方に見えてくる左右の白線と車両の幅との隙間がバランスよく均等な間隔で進入できているかを確認。)。
・曲がる側の前車輪(イラストの場合、右前輪)が概ね2本線の外側から少しだけ外にはずれて曲がれているか(イラスト 色の線、この位置を通れていればハンドルが全部回っている状態だった場合ベストラインと言える)。

③左右のミラーなどで指定の範囲に収まっているかを確認して、収まってれば、N(ニュートラル)ギアに入れ、パーキングブレーキをかけて、終了した旨を検定員に告げる。収まってなければ止まることなく切り返しを開始する。

課題の範囲から逸脱した場合の切り返し

課題の範囲から逸脱した場合の例

④課題の範囲から前がはみ出している

⑤課題の範囲から横がはみ出している

隘路の切り返し範囲

④や⑤のように課題の範囲に収まらなかった場合は、直ちに切り返しを行います。ただし、切り返しの範囲も決まっており、その範囲から逸脱した場合は、検定中止となりますのでご注意ください。

前の切り返し範囲は、3(2.7)mに引かれた白線からミラー以外の車体の一部が超えないこと
後ろの切り返し範囲は、後輪の接地面が格納範囲を超えないこと

この範囲の中で3回まで切り返しを行うことができます。

切り返しの方法

切り返しの方法は、その状況によって様々ですが、イラスト⑤の状況からでもその後の前進のなかでイラスト④の状態に誘導できれば、あとはまっすぐ下がるだけなので「切り返し」としては非常に楽になります。しかし、大幅にズレてしまった時などは、普通自動車の車庫入れなどでよく使われる「幅寄せ」が有効となります。

おわりに

記事冒頭で、隘路は「前向き駐車のようなもの」と説明しましたが、私はバックで車庫入れするよりも前向き駐車の方が難しいと思います。その理由は、後輪の動きを読み取って内輪差の影響を考え全車輪を誘導しなければならないからです。

しかしながら長さは違えど、やっていることは普通自動車での考え方と全く一緒。

・ハンドルの回し始め
・車輪の動き
・切り返しなど

この記事で紹介したポイントを参考に実践すれば苦手な方も必ず克服できるはず。

因みに今まで私が見させていただいた方で、隘路が苦手な方は、そもそも低速のコントロールの苦手な方が多かった印象です。
そんな方へ低速コントロールについても別の記事で紹介したいと思います。

それでは健闘を祈ります。

 

【仮免検定】合格の秘訣!「切り返し」の方法解説

車の免許を取得する上で、第一段階の最終砦が修了検定、いわゆる仮免試験です。この試験に合格しなければ仮免許を取得することはできません。また仮免許を取らなければ路上教習はできませんので、なんとか一度で合格して第二段階に繋げたいところ。

今回は「修了検定合格の秘訣」第一弾として、「切り返し」をテーマにして解説してまいります。

修了検定合格基準

修了検定に合格するには、第一段階で教習した基本操作やS字やクランク、坂道発進などの課題、また安全確認などが習得できているのかがポイントになります。

合格基準は、最初の持ち点100点から減点方式によって採点されます。許される減点は30点(中型、大型自動車は40点)なので最終的に70点(中型、大型自動車などは、60点)が残ってれば合格となります。例えば、左折大回りは5点減点、巻き込み不確認があれば10点減点など、行う行為によって減点の点数も異なります。もちろん一度で検定中止の課題もあるので、なるべく大きいミスは避けたいところです。

最も不合格の原因となっている課題

一時不停止や信号無視、減点超過など基本的に不合格の原因となるものは決まってきますが、その中で最も多いのは、S字やクランク(第一段階11項目「狭路の通行」)です。第一段階技能教習の中でしっかり練習しているはずだし、また習得できているからこそ第一段階最終時間「みきわめ(教習効果の確認)」にもパスしているはず、なのになぜか検定では練習の成果が出せない方が多いです。

なぜ狭路で不合格になるのか

狭路で不合格になる原因は、脱輪や接触によるものです。

採点基準

脱輪大(検定中止)タイヤが縁石に接触し、その後縁石に乗り上げ1.5m以上進行した状態
・脱輪中(20点減点)タイヤが縁石に接触し、少しでも縁石に乗り上がった状態から切り返した場合
・脱輪小(5点減点)タイヤが縁石に接触したが、縁石に乗り上げる前に切り返した場合
※タイヤが縁石に触れただけで切返さず通過した場合、「脱輪小(5点)」+「速度速すぎ小(10点)」で合計15点減点となる場合がある(都道府県によって考え方が少し異なる)。
接触大(検定中止)車の一部が立体障害物(ポールなど)に強く接触したり、軽くでも押した場合
・接触小(20点減点)車の一部が立体障害物に軽く接触したがその後切り返した場合

修了検定合格のために重要なこと

上の採点基準を見ておわかりの通り、検定が中止となるのは、縁石を乗り越えてそのまま行ってしまったり、障害物に強く接触した場合です。「切り返し」をした場合は、必ずしもその行為が不合格の原因になるわけではなく、減点の適用のみとなります。

先ほど述べたとおり、修了検定の最も不合格の原因となっている課題は「狭路の通行」です。ということは不合格の方のほとんどは「切り返し」をしなかったか、あるいは「切り返し」をしたが適切なものではなかった、ということです。

これだけは断言できます。

「切り返しを制するものは、全ての教習を制す!!」

嘘ではありません。ここから、切り返しについて解説しますので、ダマされたと思って、しっかりマスターしましょう。

「切り返し」の解説

クランクやS字を通行する際の失敗例は様々ですが、基本的には2種類しかありません。

1、ハンドルの回し始めが遅く前が曲がりきれなくなってしまうパターン
2、ハンドルの回し始めが早く内輪差の影響で内側の後輪が脱輪するパターンです。

切り返しによる減点

切り返しによる減点は、切り返しを行う場所によって異なります。

1)クランクやS字などに車の一部でも入っている場合

・1回目の切り返しは、チェックは入るものの減点にはなりません。

・2回目の切り返しから5点ずつの減点となります。

・切り返し可能回数は3回まで、4回目で検定中止となるのでご注意ください。

2)クランクやS字以外の場所での切り返し

・1回目から5点の減点が入ります。

・この場合、70点合格ラインの減点が許される限り何度でも可能です。

※いずれにしても、ゆとりを持って検定が進行できるよう、なるべく少ない切り返し回数でゴールを目指しましょう。

1、ハンドルの回し始めが遅れてしまい前が曲がりきれない時の切り返し

上のイラストのような状態。ハンドルを右に回すタイミングが遅れ、大回りになってしまい、左の前方が接触しそうになっています。

この場合、まず気をつけなければならないのは、前にぶつかりそうになっていることに気付くことです。クランクでは、前方にポールなどの障害物があり、ぶつかりそうなことに気付かなければ、ポールへの接触で「接触大」、検定中止となってしまいます。よく教習の中では、曲がる先を見るように指導されることがありますが、接触に気付かなければそれは事故ですから曲がる先ばかり見ていれば良いというわけではありません。前方が通過できるか、またぶつからないかどうかしっかり確認してください。因みに狭路の通行で重要なのは、内輪差による影響を考慮して大回りで通ることが基本です。そのため前方のポールに対し、ある程度近付けて通ることが理想なので、それを確認する意味でも前方のポールはしっかり見てあげましょう。

また、「一か八か、なんとか通ってくれ!」という神頼みは禁物です。上に示したように切り返しは、大きな減点になるわけではないので、「切り返せばいいや」くらいの軽い気持ちで行えるように、切り返し方法はしっかり頭に入れておきましょう。

切り返し方法

この場合の切り返し方法は、当然バックするわけですが、ハンドルを回す方向は、簡単に一言で覚えれば良いです。

「ぶつかるタイヤに向かって回せ!」です。

ですから上のイラストの場合、の前方がぶつかりそうになっていますので。

左にいっぱいに回してバックすれば良いわけです。そうすれば、車のお尻(後方)は左の方向に向かい、また前方は進行方向へと傾くため、曲がりやすくなります。
この場合の後ろに下がる量は、次に曲がれる程度で良いので、下がったとしても50cm程度で十分。下がり過ぎれば、内側に近づきすぎてしまうため、逆に内側が危なくなってしまいます。

そして気を付けなければならないのは、再び進行方向にハンドルを回し直してから前進すること。そのままのハンドルで前進したら「ぶつかる方向」にハンドルが回っているわけですから すぐにまたぶつかってしまいます。

車の前がぶつかりそうな場合の切り返しポイント

1)バックする前に後方の確認を忘れずに!
2)バックギアに入れ忘れないように!
3)ぶつかる方向に向かっていっぱいハンドルを回す。
4)バックする距離は少し(50cm以内)で十分。
5)再び進行方向に回し直す(この場合、慣れてきたら下がっている途中から、下がりながらハンドル操作できるのが理想。)。
6)前進のギアに入れ忘れないように。

2、ハンドルの回し始めが早くて、内側の後輪がぶつかりそうな場合の切り返し

このイラストの場合、ハンドルを左に回すのが早すぎて、内輪差の影響を受けて左の後輪が脱輪している状態です。

切り返し方法

ズバリ、この場合も前がぶつかりそうな時の「切り返し方法」同様の合言葉「ぶつかりそうな方へ回せ!」を適用します。

そうすると、このイラストではの後輪が脱輪しているわけですから、に回すということになります。
しかしハンドルはすでに左に回ってる状態なので、さらに左に回すことはありません。というわけで、内側のタイヤが接触した場合にはハンドルはそのまま下がれば良いということになります。

ただし、前が曲がりきれない場合の切り返しでは、バックする量は「次に曲がれるくらい(多くても50cm)」くらい下がればよかったわけですが、内側が接触した場合は、ハンドルはそのままで元に戻るわけですから、再び同じことを繰り返さないように完全に道路に対してまっすぐまで下がった方が確実です。

その後前進する際は、もともと接触した原因が、ハンドルの回し始めが早かったためなので、今度は少し回す時機を遅らせて曲がっていきます。当然遅らせ過ぎれば、今度は前がぶつかってしまうので注意です。

内側のタイヤがぶつかりそうな場合の「切り返し」ポイント

1)バックする前に後方の確認を忘れずに!
2)バックギアに入れ忘れないように!
3)ハンドルはそのままでバックする。
4)バックする距離は道路に対してまっすぐになるまで下がる。
5)ハンドルを元に戻し前進する。
6)同じミスを繰り返さないように曲がる時機を少し遅らせる。

S字での切り返し

S字カーブで脱輪した場合も、上記の通り切り返せば、問題ありません。
「ぶつかりそうなタイヤに向かって回せ」です。

しかし、内輪差が影響して内側の後輪が脱輪した場合、ぶつかりそうな内側のタイヤに向かって回してバックするとさ、らに内側の縁石に食い込むように乗り上げてしまう恐れがあります。理由は、S字の場合必ずしもハンドルを全部回して進行するわけではなく、まだ内側にハンドルを回す余地が残っている可能性があるため、さらに回してしまった場合もっと内側に食い込んでしまうということです。少しわかりずらいかもしれないので、こう覚えてください。

「S字でぶつかったら、とにかくそのまま元に戻れ!」です。

元に戻ると言ってもどこまで下がるかですが、

修正可能な位置までです。距離でいうと1m〜1.5mくらいでしょうか。

基本的にS字で接触する方の多くは、内輪です。ハンドルを回しすぎたか、回し始めが早かったことが原因となってます。
ですからバックしたのち再び前進するときは、小回りにならないように大回りを意識して修正しましょう。

S字が苦手な方はこちらの記事で通り方の解説をしています。

»S字克服!仮免検定、合格の秘訣

まとめ

皆さんならこんな二人がいた場合どちらかといえばどちらが理想でしょうか?

1、練習中、クランクやS字に関しては百発百中で通過できるけど、切り返しを全く理解していない人

2、練習中、クランクやS字で必ず脱輪してしまう。でも切り返しが完璧な人

もちろん言うまでもなく2番が理想です。理由は、最終的に狭路から脱出できるから。
1番の人は、普段の練習では完璧に通過できるかもしれませんが、試験だったらそうはいきません。必ずしも練習の成果が出せるとは限りませんので、脱輪した場合はかなり焦ることになるでしょう。備えあれば憂いなし。失敗した時の対処法がわかっていたら「失敗しても切り返せば良いや」と、気持ちにゆとりが持てるでしょう。

「切り返しを制するものが全ての教習を制す」です。

免許取得後も嫌ってほどやることになりますので、しっかりマスターしておきましょう。

 

【高齢者講習】適性検査とは 内容をわかりやすく解説

運転免許の更新時に70歳以上になる方は、高齢者講習を受けなければ、更新することはできません。

高齢者講習内容は、2時間講習の場合、運転実技、適性検査、双方向講義を行います。その他75歳以上の方は講習の前に行う認知機能検査の結果により、3時間講習に該当する場合があります。この場合、2時間講習の内容に加え、個別指導などが加わり、ご自身の運転について映像を確認しながら、アドバイスを受ける内容となっております。

今回は、この中で適性検査について、解説してまいります。

適性検査とは

高齢者講習で行う適性検査とは、いわゆる視力検査のことです。ただし、運転免許更新時に行う通常の視力だけではなく、運転に深く関わりのある視力で動体視力、夜間視力、水平視野の計測をします。

また、運転免許の更新時に行う視力検査と違い、この検査は試験ではありませんので、合否があるわけではありません。ですから、検査の結果が悪くても講習を修了すれば、(医師の診断結果で認知症との認知症と診断を受けた方を除く)全ての方が運転免許の更新ができますので安心してください。

この検査の最大の目的は、今後の運転のあり方について、ご自身で考えるきっかけを作る為の検査です。ですから、結果は良いに越したことはありませんが、悪かった場合も悪かったなりの運転方法や考え方をご自身なりに見つめ直していただくことが大切です。人によっては、この結果次第で、夜間の運転を引退される方もいらっしゃるようです。

では、動体視力、夜間視力、水平視野それぞれの検査の仕方と検査結果による注意点などを解説します。

静止視力と動体視力

静止視力

静止視力とはその名の通り、止まっている状態で止まったものを見る時の視力です。

静止視力の検査は、きっと誰もが馴染みのあるランドルト環(C) のマークのどちらが空いているかを答えるものです。かつては斜め方向もありましたが、現在は、上、下、右、左の4択となっています。

機械は、上下左右を声で答えてもらうタイプと手元のレバーで指し示すタイプとありますが、いずれも正解だとCマークが小さくなり、確認できなくなったところの前に正解したところが結果となります。因みに運転免許更新に必要な視力は次の通り、

運転免許の更新に必要な視力

一種免許(大型自動車、牽引免許は除く。)、大型特殊、自動二輪免許

・両眼で0.7以上
・片眼で0.3以上
・片眼が0.3未満の場合は他眼の視力が0.7以上

二種免許、大型自動車、中型自動車、牽引、大型仮免許

・両眼で0.8以上
・片眼で0.5以上

原付、小型特殊免許

・両眼で0.5以上
・片眼が見えない場合は他眼の視力が0.5以上

となります。基本的には普通自動車第一種免許をお持ちの方がほとんどですから、0.7以上が求められます。

高齢者講習の視力検査で更新に必要な視力に届かなくても、講習自体に合否はありませんが、更新時に測る視力検査では基準に達しなかった場合免許更新はできませんので、更新前に眼科医や眼鏡屋さんなどと相談した方が良いでしょう。

でも、機械によっても相性があるようなので、講習で行う検査の結果が悪くても更新時には問題ない方も多いようなので、なんとも言えませんが、目は良いに越したことはないので、更新時には万全にしておくことをお勧めします。

動体視力

動体視力は、自らが動いているか目標物が動いていた場合の視力になります。基本的に静止視力と同じ検査機で測定しますが、今度は先程のランドルト環(C)マークが近づいて来る状態でどのくらい視力があるかを計測します。

計測方法

・ランドルト環が50m先にある設定(視認するのは困難な状態)から時速30kmの速度でご自身に向かって近づいてきます。

・ランドルト環の空いた方が確認できたら素早くレバーを倒し回答します。

・もちろん早く回答できた方が結果が良くなります。

・練習2回やった後、本番は5回行います。

・本番5回の平均値が結果となります。

70歳代の平均値

動体視力は、動いている状態での視力なので、静止視力よりも視認するのは大変困難となります。例えば、時速50kmで走行していた場合、視力が1.2ある若者でも0.7まで下がると言われてます。

この動体視力は、50代以降急激に低下し、70歳以上の方の平均は、時速30kmで走行中であったとしても0.1~0.3くらいと言われています。

動体視力が低下している方の対策

残念ながら動体視力を矯正することはできません。物の動きを捉える能力や反射神経は歳を重ねるごとに低下します。動体視力低下を補うためには、

・速度を控えめにしたり

・注視点を遠くに向けるなど

運転の中で工夫していく必要があります。しかし、速度を控えるといっても時速30kmの想定でも0.1という結果だった場合は、これ以上なかなか速度を控えようがありません。ですから運転中は意識的に注視点を遠くに向けて、早めに先の状況を確認する意識が必要となります。ただ、遠くを見ようにもそもそもの視力が低ければ遠くの確認は出来ませんので、ご自身の視力にあった矯正や白内障の手術など、専門機関で相談しましょう。

夜間視力

xusenru / Pixabay

高齢者講習の中で受講者の方が最も苦労するのがこの夜間視力です。

夜間視力では、2つ(教習所によっては1つ)の検査を行います。

視力の回復時間と眩光下視力

視力の回復時間

視力の回復時間とは、突然暗闇になった時にどのくらいの時間で順応するかを計測するものです。

検査方法

・30秒間眩しい光を直視します(明るい状態に目を慣らす。)。
・30秒後突然真っ暗な状態になり、暗闇の中にあるランドルト環の空いている方向が確認できるまで我慢します。
・確認できたらレバーなどで回答します。

70歳代の平均値

検査開始前に「どのくらいで回復できると思いますか?」と質問することがよくあります。すると大抵の方は「5秒くらいかな。」とお答えになりますが、残念ながらそんなに早く回復しません。

「視力の回復時間」も「動体視力」同様50代を迎える頃から急激に低下する傾向にあります。
この検査結果の平均は、だいたい60秒から70秒くらいです。90秒でも回復しない方も大勢いらっしゃいます。

因みに若年層(20代)はというと同じ検査機で計測した場合10秒かからず確認できる方がほとんどです。

運転時の想定場面

視力の回復時間が、運転に関わる場面は、例えばトンネルの入り口です。日中の明るい時間突然真っ暗なトンネルに入ったらしばらく見えずらくなります。特に都心部ではなく郊外にあるような古いトンネルは薄暗く見えずらい状態が続くことが考えられます。

また、夜間、レストランなどで食事をした帰り道などは、明るいレストランから暗い夜道に出るわけですからこのような状態になりやすいと言えます。夜道を走る場合は、少し暗闇に目を慣らしてから走行することをお勧めします。

眩光下視力

眩光下視力とは、夜間、眩しい光を目に受けた状態でどのくらい暗闇の中を認識できるかを計測するものです。

検査方法

眩しい光とは、対向車のヘッドライトを想定しており、2ヶ所から放たれる眩しい光を目に受けている状態で暗闇にあるランドルト環の空いた方向を答えます。

70歳代の方の平均値

平均値というよりは、ほとんど確認できません。結果の良い方でも0.5くらいでしょうか。

残念ながら高齢者の方は、ほとんどの方が暗闇の中を認識しっかり認識できません。夜間視力も矯正できませんので、それを補う運転は、速度を控えたり車間距離を十分開けたりご自身なりに防衛した運転を考える必要があります。

夜間は、見えずらい一方、交通量は減少します。ということは、きちんと見えていないのに速度が上がり、重大事故になるリスクが高まるということです。

私のお勧めは、「夜は、運転を引退です。」何かあってからでは遅いので、夜の運転を控えることが、最も安全策なのではないでしょうか?

水平視野

jplenio / Pixabay

水平視野とは、まっすぐ前方を見ている状態で左右どのくらい角度まで横を認識できるかというものです。

検査方法

視野測定器にも様々ありますが、基本的にアゴやおでこが固定されている状態で前方に視点を集中させ、横に移動する物体を(目で追わず)認識できる範囲を測定します。

結果は、移動する物体が「視野範囲から外れた(消失)角度」と「視野の範囲に入った(出現)角度」の平均値で示されます。

例えば、右目の検査で、見えなくなった(消失)角度が80度で戻ってきた物体が視野の中に入った(出現)角度が76度だった場合、平均は78度ということになります。

これを左右それぞれ計測し、その合計が結果となります。

70歳以上の方の平均値

70歳以上の方の左右合計視野角度の平均は、概ね150度程度です。残念ながら真横まで認識できない方がほとんどです。
若年層の方には左右200度以上見やる方も多く、動体視力や夜間視力同様50代以降視野が狭くなっていく傾向です。

視野測定結果の低かった方

視野が狭くなってきた方は、側方の状況の把握がやや遅れる傾向にあります。例えば、二輪車が側方から接近してきても全く気付かず巻き込んでしまうケースもあるようです。

視野測定は、あくまでも注視点から目を外せない条件での結果となりますが、実際の運転中は、そのような縛りはないため、絶えず目や顔を左右に動かし、視野を広げることが大変重要になります。

まとめ

今回は、高齢者講習で行う適性検査(視力検査)について説明いたしました。

運転中の様々な情報は目から入ってくることが多く、視力の低下は命に関わることになります。今回紹介しました動体視力、夜間視力、水平視野は、通常視力とは異なり矯正できるものではありません。しかし、運転中の様々な工夫によって、それをカバーすることは可能になります。

高齢者講習では、客観的にご自身の身体機能について検査結果を確認していただき、より長く運転していくために、より安全に運転するためにどうしていくべきか、ご自身なりに見つめ直していただくことが大切だと思います。

 

 

【道交法】黄色の線を超えて自転車を追い越すと違反になるの?

最近車を運転していると、ロードレースタイプの自転車ををよく見かけます。自転車目線で見れば車は危ない存在かもしれませんが、自動車目線で見ると、邪魔に感じることは否めません。しかしながら自転車は車道通行が原則。決して悪いことをしているわけではありません。

前に教習をしている際、教習生の方にこんなことを聞かれました。

「前の自転車を追い越したいんですけど、黄色の線をはみ出て追い越せますか?」

第一段階の学科試験の勉強をしっかり行っている方にとっては簡単な話で、教本にもちゃんと書いてありますし、当たり前の話。しかし免許を取得して時間が経つとこういう当たり前の話も忘れてしまいがちです。というわけで今回は、「追い越し」をテーマに考えてみます。

追い越しを禁止する場所

追い越しと追い抜きの違い

追い越しについてお話しする場合、まず理解しなければならないのは、追い越しと追い抜きの違いです。よく似た言葉ですが、行う行為には少し違いがあります。

追い越し 車両が、他の車両に追いついた場合、進路を変えてその追いついた車両等の側方を通過し、その車両等の前方に出ること

追い抜き 車両が、他の車両に追いついた場合、進路を変えないでその追いついた車両等の側方を通過し、その車両等の前方に出ること

わかりやすくいうと、どちらも車両等を抜かして前方に出ることは変わりませんが、その前提として進路変更してるかしてないかによって追い越しと追い抜きに分けられます。

では、問題の「黄色の線をはみ出して、自転車を追い越せるか」という質問についてですが、まず前提として黄色の線をはみ出ていることから、進路を変えていることがわかるので、これは、「追い越し」であることに間違いありません。では、そのはみ出ている状態で自転車を追い越していくことができるかについて、道路交通法で確認しました。

追い越しを禁止する場所

「道路交通法第30条 追い越しを禁止する場所」の冒頭にその答えが書いてありました。

この本文を解説すると、
A 車両は道路標識など(黄色の線や追い越し禁止の道路標識など)により追い越しが禁止されているところは、追い越しも追い抜きも禁止である。
B その他(道路の曲がり角附近、上り坂の頂上附近、勾配の急な下り坂、トンネル。
C 優先道路を除く交差点と踏切、横断歩道などの手前30メートル以内の場所。
D 軽車両を追い越す場合を除く。

とあるので、その質問(黄色の線をはみ出して自転車を追い越せる?)の答えは、たとえ追い越し禁止場所(黄色の線など)であったとしても「自転車を追い越すことはできる。」ということになります。

黄色の線をはみ出て原付を追い越せる?

自転車の名のつく乗り物は軽車両以外にもありますね。そう「原動付自転車(原付)」です。自動車の法定速度が60km/hに対し原付の法定速度は30km/h、もちろん30km/hを超える速度を出せる道路であれば、自動車と原付の流れは合いません。そうなれば、当然自動車は原付を追い越すことになりますが、、、

では「原付を追い越すために黄色の線をはみ出すことができるでしょうか?」

先ほどの道交法30条「追い越しを禁止する場所」の中に原付を追い越して良いという例外は一切記載がないので、

答えは、「できない。」

ということになりますね。とうことは、もしそのように黄色の車線がある道路で原付に追いついた場合でも黄色の線をはみ出して追い越すことはできないので、追い越せずに我慢するしかありません。

二重追い越しの禁止

では追い越しについて、その他こんな問題を考えてみましょう。

例題

原付を追い越している途中のハーレーダビッドソン(大型自動二輪)を追い越した。◯か✖️か

わかりやすく絵にするとこんな感じ、

先頭を走る原付を追い越そうとしている大型二輪車を追い越すことができるかという問題です。

答え

答えは◯です。

解説

追い越しに関する法令は、先ほど解説しました道交法30条「追い越しを禁止する場所」の他に道交法第29条「追い越しを禁止する場合」というのも存在します。

この条文に、先ほどの問題を当てはめてみると、

後車とは  自車のことです。
前者とは  ハーレーダビッドソンのこと

では、前車であるハーレーダビッドソンが自動車を追い越そうとしてますか?

原付は車両ではありますが、自動車ではありません。

だからこの条文には当てはまらないので、自車は原付を追い越そうとしているハーレーダビッドソンを追い越すことができるということになります。

※ただし、原付とハーレーの位置関係が逆転した場合(「ハーレーを追い越そうとしている原付を追い越した。」という問題だった場合)は、「前車(原付)が自動車(ハーレー)を追い越そうとしてる」に当てはまってしまうので、追い越しできなくなりますのでご注意ください。

まとめ

今回は、追い越しというテーマについて考えてみました。
追い越しをしたからって目的地にものすごく早く到着するわけではありませんので、追い越しという行為についてそんなにお勧めするものではありませんが、前車が自転車だったり原付だったりした場合は、ずっとそのペースでついていくわけにも行きませんので、追い越しすることになります。

自転車を追い越すのに黄色い線を踏んでいいの?原付は?
意外と聞かれると答えられない方も多い疑問が道路にはいっぱいあります。
実は違反ではないと思っていたことが違反だったり、また違反だと思っていたことが違反ではなかったり。

車は、時に凶器にもなる乗り物です。何かあった時には、知らなかったでは済まされません。

知ってるようで知らない道交法。今後もお知らせできればと思っています。では、

 

【高齢者講習】予約が取れない問題について

70歳以上の方が運転免許を更新するには、更新の前に高齢者講習を受講しなければなりません。しかし、講習を受けようにも受けられない、受けられないから運転免許が更新できず、止むを得ず失効してしまう方も急増していると聞きます。なんで講習を受けられないのか?

それは、(地域にもよりますが)高齢者講習の予約がトップアイドルのコンサートチケット並みに取れないプレミアムチケットだからです。

この記事では、そんな「高齢者講習の予約が取れない問題」について、考えてみました。

高齢者講習の予約が取れない原因についての考察

高齢者の運転免許有効期限

70歳以上の方の運転免許の有効期限は、たとえゴールドであっても5年間ではありません。

<年齢別運転免許有効期限>
・70歳未満の優良運転者または一般運転者   →   5年(違反者は3年)
・70歳の優良運転者または一般運転者     →   4年(違反者は3年)
・71歳以上の運転者(違反の有無問わず)   →   3年

71歳以上の方は違反の有無に関わらず3年しか有効期限がありませんので、高齢者講習に該当する年齢の大半が有効期限3年となるので、若年層に比べて、運転免許更新のサイクルが早いことになります。よって10年間単位でみると一人当たりの更新回数は最低3回は更新をしなければならなくなりますので、他の年代に比べると更新する方の割合も増えることになります。しかし、有効期限については、平成29年の法改正前から法律は変わっておらず、現在の予約が取れないという問題に対しては、主たる原因ではないと考えます。

教習所の受け入れが間に合わない

教習所の本来の業務が回らない

次に講習の予約が取れない原因として考えられるのは、教習所の受け入れの問題です。

本来教習所の業務は、新しく免許を取得する方のための機関であり、高齢者講習に対して、そこまで前向きな対応をしていない教習所がほとんどです。世の中で騒がれている人手不足は、教習所業界も大きく影響を受けており、はっきり言って指導員が足りていません。教習所間で資格を持っている指導員の取り合いが行われることもしばしば…。

高齢者講習に力を入れすぎるあまり、本来の業務である教習が回らなくなっては本末転倒。新規で免許を取得される方にとっては、迷惑だという理由で高齢者講習に対し後ろ向きな教習所が多いのです。

高齢者講習が民間業者も参入できるようにならない限り、また高齢者講習自体の法律の仕組みが変わらない限り、この状態は続くことでしょう。

法改正によって担当者を増やさなければならなくなった

また詳細は省略しますが、平成29年の法改正により、高齢者講習は2時間講習と3時間講習に区分され、また内容なども一部変わりました。その結果、担当者も増員しなければならない時間もあり、そう言った背景からも積極的に時間を作れなくなりました。

教習所の講習室が足りない

そして、根本的に講習を行うための部屋を確保できない教習所も多く、当然ロビーやフロント前で行うことはできませんから、物理的に予約が取れないのです。

 

高齢者講習はいつまでに受講しなければならないのか

高齢者講習はいつから受けられるのか

(高齢者講習の案内)ハガキはいつ届く?

講習の予約が取れないということですが、高齢者講習は、一体いつどのタイミングで受講しなければならないのか。

まず、講習受講の案内が届くのは、運転免許有効期限満了の6ヶ月〜7ヶ月前です。これだけ予約が飽和状態だと知っていれば、その時点で予約することです。そうすれば、まず講習が受けられなかったことによる失効はないでしょう。

基本的に予約が取れないと騒いでいるのは、この時点で予約しなかった方だと思います。

しかしながら、予約の仕組みは、都道府県ごと、また教習所ごとにも異なり、ハガキが届いた時点で日程や受講する教習所が決まっているという良心的な県もあると聞きます。また教習所によっては、5ヶ月待ちの所もあるようなので、とにかくハガキが届いたらすぐに教習所に電話(地域によってはネット予約ができる)することをお勧めします。

講習はいつから受けられるの?

高齢者講習受講が可能になるのは、運転免許有効期限満了の6ヶ月前からです。わかりやすくいうと更新時の誕生日の5ヶ月前からということになります。また、75歳以上の方は認知機能検査を受けなければ、講習を受講できませんが、認知機能検査を受検可能なのも講習と同じく有効期限満了の6ヶ月前からになります。

ですから、ハガキがきてすぐ予約というのは決して早すぎるわけではないのです。

高齢者講習受講期限

受講期限

いつまでに受講しなければならないか、ですが、それはもちろん運転免許の有効期限までということになります。

海外出張や入院いてた場合は?

運転免許更新時に入院していたり、海外出張などに行っていたり、とにかく物理的に更新が不可能である状態だった場合は、最寄りの運転免許センターに問い合わせてみると良いでしょう。証明できれば更新が認められることもありますが、70歳以上の方で高齢者講習が免除されることはないので、その場合も高齢者講習を受講したのち、更新手続きを行ってください。

免許が失効したらどうする

万が一運転免許を失効させてしまった場合は、当然運転出来なくなります。

しかし、この場合も諦めないでください。もちろん失効期間中の運転はできませんが、失効後半年以内なら免許を復活させることが出来ます。半年を過ぎると「仮免許」しか返ってきませんので、70歳以上の方が(癖だらけの運転で)運転免許試験に合格するのはかなり難しく、6ヶ月を過ぎると言うことは事実上の失効となります。

近年は、高齢者講習の予約が出来ず更新に間に合わなかったことで運転免許を失効させてしまう方がかなり多くいらっしゃいます。とにかく予約が取れなかった場合も、失効後半年以内に高齢者講習を受講し、更新手続きに間に合わせることが大切です。

ということで、高齢者講習の受講期間は、

「運転免許の有効期限満了の6ヶ月前」 から 「運転免許満了の6ヶ月後(失効後の期間は運転できません)」 までということになりますので、丸々約1年間の猶予がありますから、「予約が取れない」などと言うことは言い訳に過ぎないのです。

※失効した免許を返納することは出来ませんのでご注意ください。

それでも高齢者講習または認知機能検査の
予約が取れない場合の解決策

では、予約が取れないとお困りの場合の解決策をお伝えしたいところですが、残念ながらありません。

とにかく関係機関に相談することが大切です。
運転免許センター、ハガキに記載されている相談窓口があれば、そこに電話して相談しましょう。

また教習所によってはキャンセル待ちもできる所もあるようですから、とにかくあらゆる関係機関窓口に相談しましょう。約1年間も猶予があるのにギリギリにしてしまったのは自分自身であると反省し、とにかく電話です。

残念ながら県をまたがって受講することは出来ません。しかし教習所はそれぞれの都道府県にたくさん存在しますから、遠くであってもとにかく電話して相談です。

まとめ

残念ながら、現在の仕組み自体が変わらない限り、しばらくはこの状態が続くことは目に見えてます。また団塊の世代の方が75歳を迎える頃、この問題は、さらに拡大することでしょう。

現在全ての都道府県で同じような問題が起きているわけではなく、特に人口密集地で多く聞かれる悩みだということです。

教習所にとっても、一日中予約の電話が鳴り止まないこともあり(音声ガイドで断りのアナウンスをして、高齢者に対し門前払いのところもあるそうです。)若干ノイローゼ気味になっているところもあるようです。

とにかく、この問題に対し1日も早い対応が求められます。

高齢者の悩み解消と、また少子高齢化の日本にとって、新たに免許を取得する人口も現象している現在、教習所業界も再び盛り上がるキッカケとなるような、高齢者と教習所が互いにメリットのある法改正が実現できることを願っております。

 

【交通違反】信号のない横断歩道での歩行者妨害

あなたは車を運転しているとき、信号のない横断歩道を渡ろうとしている歩行者を発見し場合、その歩行者を譲るために停止しますか?

2018年中、日本自動車連盟(JAF)が興味深い全国調査を行いました。
テーマは「信号機のない横断歩道における一時停止率」
調査期間は2018年8月15日〜9月13日(調査期間の平日、10時から16時)

いったいどのくらいの割合で一時停止しているのか。

今回は、その調査結果を踏まえ、横断歩道について考えてみました。

道路交通法第38条「横断歩道等における歩行者等の優先」

簡単に解説すると

1、明らかに歩行者がいない場合は、そのままの速度で通過できる。
2、歩行者がいるかいないか 明らかでない場合は、すぐに止まれる速度で進行しなければならない。
3、すでに渡り始めてる、または渡ろうとしている歩行者がいる場合は一時停止し、その通行を妨げてはならない。

ちなみにこれに違反した場合、行政処分による違反点数2点が付けられ、また反則金は9,000円となります。

ということは、歩行者が渡ろうとしている場合は必ず止まらなければならず、譲らなければ違反となるわけです。また横断歩道上で歩行者を撥ねてしまえば、当然過失割合は車が100%となり、様々な責任を追うことになるでしょう。このようなリスクを考えれば止まるのが当たり前!当然JAFの調査結果では100パーセントに近い水準で一時停止しているのではないでしょうか?

【運転免許・学科問題】この問題わかる?

というわけで、JAFの調査結果を調べてみました。

2018年「信号のない横断歩道における車の一時停止率」(JAF調べ)

※調査場所等
センターラインのある片側1車線道路で、原則として、調査場所の前後5m以内に十字路及び丁字路交差点がない箇所で、道路幅員が片側2.75m~3.5m、交通量が3~8台/分(目安)とし、制限速度が40~60km/h程度の箇所
※詳細の調査場所は非公表

ということで、ほぼ同じ条件で調査を行ったことがわかります。率直に思うことは、全国平均8.6??1割も止まってない?みんな全然止まらないのね。という感じ。

因みに調査対象車両は、信号のない横断歩道を歩行者が渡ろうとしている場面で通過した11,019台で、そのうち一時停止したのは948台だったそうです。

もっともよく止まっていたのは長野県(58.6%)次いで静岡(39.1%) 意外だったのは交通事故死者数16年連続1位の愛知県が22.6%も止まっていたということ(愛知の方すみません。)。

»<参考> 2018年交通事故死者数 戦後最少更新

一番止まってないのは、栃木県(0.9%)100人に1人も止まらないんですね⤵︎

ちなみにもっとも人口の多い東京はワースト5位の2.1%

この記事の冒頭に質問した「信号のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしている場合、あなたは歩行者を譲るために停止しますか?」は、結論として8.6%の方が「止まります。」という回答で、その他91.4%は「止まらない」という回答になるということですね。

JAFが17年6月に「ドライバーが一時停止しないと考えられる理由」についてアンケート調査したところ
「自車が停止しても対向車が停止せず危ないから」
「後続車が来ておらず自車が通り過ぎれば歩行者は渡れると思うから」
「横断歩道に歩行者がいても渡るかどうかわからないから」
という回答が上位3つを占めたといいます。非常に身勝手な意見ばかりですね。多分実際に事故に遭わないとわからないのでしょう。

2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて

先進国の中で、こんなに歩行者を譲れないのは日本くらいと言われています。

また、2017年までの5年間に全国で発生した車対歩行者の死亡事故計6,576件のうち、4,811件(73%)が歩行者が道路を横断中だったことが警察庁の調べで分かったそうです。

「世界一の安全都市」日本に向けて、まだまだドライバー一人一人の意識を変えなければなりません。

警察庁は2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックに向けて横断歩道での歩行者妨害について取り締まりを一層強化するとしていますのでご注意ください。

教習所の卒業検定では、横断歩道を渡ろうとしている歩行者を譲れなかった場合は不合格だったことを覚えているでしょうか。この記事を読んだ方は、ぜひ初心に帰って歩行者を譲るという基本的なことを実践していただきたいと思います。

 

【高齢者】臨時認知機能検査とは 臨時認知機能検査と臨時高齢者講習

昨今社会問題にもなっている高齢者運転者の運転免許更新の問題ですが、実は、知らない方も多い高齢者の運転免許に関わる問題が他にもあるんです。

それは、臨時認知機能検査(平成29年3月12日施行)という、運転免許更新とは別に受けなければならない認知機能検査のことです。その名の通り臨時的に受けなければならなくなりますが、もちろんこれも受けなければならない義務となります。

じゃ一体誰が受けなければならなくなるかというと、これには二つの条件があります。

1、75歳以上の方

2、一定の交通違反をした方

この二つに該当した方は、警察署または運転免許試験場(私の知る限り教習所では行ってません。)で行う臨時認知機能検査を受けなければならず、またその検査の結果によっては、臨時で高齢者講習を行わなければならなくなります。

この記事では、臨時認知機能検査の概要と講習の中身についてご説明いたします。

臨時人機能検査の概要

臨時認知機能検査に該当する方

臨時認知機能検査(750円)に該当するのは、先にも述べたとおり、75歳以上の方が、一定の交通位違反をした場合です。
では、一定の交通違反とは何か

一定の交通違反(18基準行為)

・信号無視
・通行禁止違反
・通行区分違反
・横断等禁止違反
・進路変更禁止違反
・しゃ断踏切立ち入り等
・交差点右左折方法違反
・指定通行区分違反
・環状交差点左折等方法違反
・優先道路通行車妨害等
・交差点線車妨害
・環状交差点通行車妨害等
・横断歩道等における横断歩行者等妨害等
・横断歩道のない交差点における横断歩行者等妨害等
・徐行場所違反
・指定場所一時不停止等
・合図不履行
・安全運転義務違反

これら「18基準行為」となります。因みにこの中にはスピード違反や駐車違反等は含まれておりません。これらの違反は認知機能が低下した場合に行われやすいとされ、わかりやすくストレートに言ってしまえば、「この交通違反は、あなたが認知症だからやってしまったんでしょ?」という疑いをかけられるということです。そして該当者は、指定場所(運転免許試験場など)に出向き、その疑いを晴らす(検査で良い点を取る。)わけです。うまく良い点を取って疑いが晴れれば良いのですが、検査の結果によっては、高齢者講習の対象となり、また結果如何では医師の診断を受け認知症と診断されれば、運転免許取り消しの対象となります。

臨時認知機能検査の結果について

検査結果はその場で手渡されますが、臨時高齢者講習に該当するかどうかまでは、その場では知らされません。臨時高齢者講習に該当した場合は、再び郵送で臨時高齢者講習を受講する旨の通知書が自宅に届き、再び指定日に試験場などで行う高齢者講習を受講しなければならなくなります。ではどのような結果になると講習に該当するのか。

まず臨時認知機能検査は、更新時に行う認知機能検査と全く同じものです。
↓↓こちらの記事でも紹介してますので是非ご確認ください。↓↓

【認知機能検査】点数の計算方法 認知症のボーダーラインは何点?

結果は3つに分類されます。

76点以上          記憶力判断力に問題がない      結果通知書の色「青」

49点以上75点以下     記憶力判断力がやや低下している   結果通知書の色「黄」

48点以下          認知症の恐れがある         結果通知書の色「赤」

ご自身の点数が「青」「黄」「赤」のどこに属しているかが重要になります。

結果が「青」だった方は、認知症の疑いなしで臨時高齢者講習には該当しません。

「黄」「赤」だった方は、以前更新時に行った認知機能検査の結果と比較されます。

前回行った結果よりも分類が下がった場合、臨時高齢者講習を行わなければならなくなります。ですから前回の結果が「青」だった場合は臨時高齢者講習確定となります。しかし前回の結果が「黄」で臨時検査でも「黄」だった場合は、この場合分類が下がってませんのでお咎めなしとなります。そして今回の結果が「赤」だった場合は大半の場合、前回の結果よりも下がっている可能性が高く、臨時高齢者講習に該当する場合が多く考えられますが、さらに医師の診断も受けなければならず、認知症と診断されれば、運転免許は、取り消される可能性がありますので、事前によくお勉強することをお勧めします。

※もし「赤」(48点以下)になってしまった場合は、次の3択です。

1、免許を諦め返納する。

2、医師の診断を受け、意地でも免許を継続する。

3、体調不良が、原因かもしれないので、結果通知書の裏に電話番号が書いてあると思うので、そこに電話し再検査を受ける。

私のオススメは、よっぽど体調不良が原因でもない限り、「赤」をもらった段階で運転免許は諦め返納すべきだと思います。何かあってからでは遅いですからね。諦めきれないのであれば、結果が変わるかもしれないので再検査です。医師への相談は諦めきれない場合の最終手段ですので、ご家族の方々によく相談をして、正しい選択をしていただければと思います。

臨時高齢者講習の概要

臨時高齢者講習は、臨時認知機能検査と同じく教習所では行っておりません。
講習時間は、2時間で料金は5,800円になります。運転免許の更新時に行う2時間の高齢者講習は2019年現在5,100円となっておりますので、臨時講習は若干の割高です。もちろん違反の反則金(違反により異なる)や臨時認知機能検査(750円)も支払っているため、これだけでも75歳以上の方にとっては、大きな痛手と言えるでしょう。

2時間講習の内容は

運転実技 60分
個別指導 30分
映像 30分

運転実技

運転実技では、

1、車両感覚(S字やクランクなど)

2、方向変換

3、信号に従った運転

4、一時停止場所での確実な停止

5、円滑な進路変更

6、カーブの安定走行

などのチェックが入れられます。
できなかった内容に対しては、できるまで反復して行います。尚、運転については、ドライブレコーダーで録画し、その後の個別指導時に確認します。運転の中身や道交法の確認、自らが行った違反について細かく指導されます。最後は、高齢ドライバーの運転特性などについての映像を確認し終了です。

まとめ

この記事では、75歳以上の方が、臨時で行わなければならない認知機能検査や臨時高齢者講習についてまとめました。
平成29年以降高齢者、特に75歳以上のドライバーに対し、かなり厳しい法律になりました。一定の違反をすれば認知症の疑いをかけられ、また金額的にも更新時の高齢者講習を含め、かなりお高く、免許を継続するためのハードルが上がってきていると感じます。これはまさに一定の年齢に達すればもう運転をやめないさいと言わんばかりの法律であります。

しかしながら20歳前後で取得する運転免許は70歳の高齢者講習を迎えるまで、約50年間、全てのドライバーが義務として受けなければならない講習は一切ありません。そういう意味で自分の運転を見つめ直し、今後の運転がどうあるべきか考える高齢者講習は、とても重要なのだと感じます。実際受講後の高齢者の方は受けて良かったと言っていただけることも多く、またその後の運転が変わったと報告を受けることもあります。

自らの免許を守るためにも、「ちゃんと止まる。」という基本的なことからもう一度見つめ直していただければと思います。

 

【高齢者講習】認知機能検査 点数の計算方法

70歳以上の方が運転免許更新前に受講しなければならない高齢者講習ですが、そのうち75歳以上の方は講習の前に認知機能検査を受けなければなりません。2017年3月12日に施行された改正道路交通法により、認知機能検査の結果によって受講する講習の内容が2時間講習、3時間講習と分けられるようになりました。

点数は100点満点で、

76点以上の方は、2時間講習(2019年1月時点で5,100円で75歳未満の方と一緒に受講可能)
75点以下の方は、3時間講習(2019年1月時点で7,950円)となります。
また75点以下の方のうち、48点以下の点数を取ってしまうと、記憶力・判断力について医師の診断を受けなければならず(受診費用も高額と聞きます)、認知症と診断された場合は、運転免許が取り消されてしまいます

このため、講習時間数や講習料金の違いはもちろんですが、今後安心して運転していくためにも、また運転に関して家族を心配させないためにも、この認知機能検査でいかに良い点数を取るかが、大変重要となります。

この記事では、認知機能検査の検査ごとの配点と計算方法について解説いたします。

認知機能検査 問題ごとの計算方法

問題1「時間の見当識」

↓↓問題の詳細はこちら↓↓
認知機能検査 問題1「時間の見当識」徹底解説

5つの質問に答える問題で質問の内容によって点数が異なります。

上表の通り、今年は何年かの質問がもっとも配点が高く、平成と昭和を間違えたり、1年でもズレてしまえば5点落とすことになります。

この問題は、すべて正解すれば15点獲得となります。

問題2「介入問題」指定された数字に斜線を入れる問題

↓↓問題の詳細はこちら↓↓
認知機能検査 問題2「介入問題」解説

問題1回答後、問題2に移行する前、16枚のイラストを記憶します。言ってみればその記憶を飛ばすためのトラップ問題です。真剣にやってはいけません。しかもこの問題は正解だとしても採点されませんので真剣にやるだけ損です。

問題3「自由再生」

問題2開始前に記憶した16枚のイラストをヒントなしですべて書き出す検査です。

1問正解ごとに2点加算されるので、16枚のイラストをヒントなしで全て思い出せれば32点(16×2点)となります。
※この場合、問題4で全て回答できたとしても加点はありません。

問題4「手がかり再生」

問題2開始前に記憶した16枚のイラストをヒントを手がかりにして再び16枚のイラストを思い出す検査です。

※問題3で思い出せなかったイラストを回答できれば、その思い出せたイラストごとに1点加点となります。

例えば問題3で16枚中10枚のイラストを思い出せた場合→(正解したイラスト10枚)×2点で20点以上が確定します。問題3で回答できなかった残りの6枚を問題4(ヒントあり)で思い出せた場合→(問題3の点数20点)+(問題4で補ったイラスト6枚×1点)=26点となります。

というわけで、問題3、4の最大合計点数は32点となります。

↓↓問題3問題4の詳細はこちら↓↓
認知機能検査「手がかり再生」(記憶力テスト)徹底解説

問題5「時計描画」

公園や学校などにある ごく一般的な時計を描く検査です。

時計の時間を示す数字に漏れがないか、またそのバランスや針の向き、長さなどが採点の対象となります。
配点は次の通りです。

それぞれの項目が、適正であると判断された場合、1点ずつ加点される為、時計描画の満点は7点となります

↓↓問題5詳細はこちら↓↓

»「時計描画」(満点時計の書き方)

問題ごとの採点まとめ

上の表をみておわかりの通り、この検査100点満点ですが、右の合計点数を全て足しても100点になりません。

実はこの数字でそれぞれの問題ごとの点数を計算し、それを係数に当てはめて最終的な点数を算出します。

総合点の算出方法

総合点は、「時間の見当識」、「手がかり再生」、「時計描画」の3つの検査の点を下の計算式に代入して算出します。

<計算式>
総合点=1.15×A+1.94×B+2.97×C

A=時間の見当識の点

B=手がかり再生の点

C=時計描画の点

なんだかよくわかりずらいので、ざっくり説明しますと

・時間の見当識の点 ×約1点

・手がかり再生の点 ×約2点

・時計描画の点   ×約3点

満点の計算は、15(15×1)点+64(32×2)点+21(7×3)点=100点となります。
一番配点が高いのは、手がかり再生ということになります。ということは、いかに16枚のイラストをしっかり覚えられるかにかかってくるということです。そして時計描画は1ポイント約3点で他の問題よりも1つのミスが大きく響く配点となってます。小さなミスでも間違いがないか2度3度見直しをして凡ミスのないように気をつけましょう。

 

3分類(76点以上で2時間講習)のボーダーライン

これまでの内容で概ね認知機能検査の点数計算方法はご理解いただけましたでしょうか?

最後に「記憶力・判断力に問題がない」とされる76点以上を確実に取るためには、どの問題で何点取らなければならないか。そのボーダーラインについてお話しします。

問題1「時間の見当識」

この問題は、今日の日付と時間を確実に答えるものです。これは絶対に落とさないようにしましょう。検査開始前に時計や手帳などを確認して、この問題の満点である15点は絶対に死守しましょう。

時間の見当識と並んで絶対に落としたくないのは
問題5「時計描画」です。

時計の絵を描く問題です。難しいと感じる方は自宅で何度も練習しましょう。

»満点時計の書き方

ということは、

「時間の見当識」が 15点
「時計描画」が7点

これが絶対条件として、残りは「手がかり再生」で何点取ればいいかということになりますが、

ズバリお答えすると20点です!!20点以上は絶対に取らなければなりません。

ということは、問題3「自由再生」で10枚の絵を思い出せれば、総合点数76点以上が確定となります。
仮に「自由再生」で6枚しか思い出せなかった場合、問題4「手がかり再生」でその他 答えられなかった8枚の正答を出す。「自由再生」7枚正答なら「手がかり再生」は6枚、「自由再生」8枚なら「手がかり再生」4枚、9枚なら2枚、という感じで10枚で76点以上はほぼ確定となります。

A「時間の見当識」15点
B「手がかり再生」20点
C「時計描画」7点

総合点=1.15×A+1.94×B+2.97×C

ですからこれで76点のボーダーラインとなります。

まとめ

今回は認知機能検査の点数計算方法にについてまとめてみました。ボーダーラインの件では76点以上という内容で書きましたが、実際は49点以上が本当のボーダーラインです。48点以下の点数を取れば、免許更新どころか、取り消しの危険が迫ってきます。

この記事を読んでいる方で、なおかつ体調などが万全であるにも関わらず、48点以下の点数になってしまった場合はもしかしたら黄色信号が灯っているのかもしれません。認知機能検査については、いくつかの記事にまとめましたので、是非ご参照いただいて、末長く優良ドライバーであり続けていただければ、嬉しく思います。

【高齢者講習】認知機能検査 問題1「時間の見当識」徹底解説

70歳以上の方が運転免許を更新する際、必ず受講しなければならない高齢者講習。さらに75歳以上の方は、高齢者講習の前に認知機能検査を受け、その結果(点数)により受講する講習の時間や内容が異なります。

認知機能検査の結果(点数)は100点満点のうち76点以上で2時間講習(5,100円)、76点未満だと3時間講習(7950円)、また49点未満だと医師の診断が必要となり認知症と診断されれば、運転免許は取り消されます。よって、認知機能検査でいかに良い点を取るかが重要ということになります。

ここでは認知機能検査 全5問のうち、一番初めの問題である「時間の見当識」について解説します。

認知機能検査問題1「時間の見当識」出題内容

まず認知機能検査開始時には、いくつかのルールが説明されます。このルールが問題1を回答する上で厄介なポイントとなります。

認知機能検査受験時のルール

1、腕時計と携帯電話は音がならないようにして、カバンかポケットにしまう。

2、質問があれば手をあげて聞くこと。

3、回答中は声を出してはいけない。

4、指示があるまで用紙はめくらない。

5、年数に関する質問は、西暦でも和暦でもどちらでも良い。

6、書き方は、漢字・カタカナ・ひらがなのうち何でも良い。

7、消せないボールペン等を使用するため訂正は二重線で行うこと。

 

このような注意点の説明を受けたのち、問題1が出題されます。

問題用紙1

上記出題内容の通り、5つの質問が出題され、わからなくても良いので空欄とならないように回答せよというもの。
説明後、回答用紙をめくり5つの質問を確認します。

 

回答用紙1

内容はものすごいシンプルで

1、今年は何年ですか?

2、今月は何月ですか?

3、今日は何日ですか?

4、今日は何曜日ですか?

5、今は何時何分ですか?

という質問に対して一つずつ回答していきます。
制限時間は、概ね3分となりますが、受検者全ての方が記入が終わった段階で、打ち切られる場合があります。
これに3分??と感じる人もいるかもしれませんが、高齢の方には手が震えてまともに字が書けない方や字を書くスピードが極端に遅い方も多く、3分でも足りない場合があります。
また、日頃からカレンダーを気にせず生活されている方や曜日に縛られず働いている方などにとっては、かなり難しい問題と言えます。認知症でなくても答えられない人もいるのでは?

本検査の目的

現在の自己及び自己がおかれている状況を検査するもので、時間の見当識は、受検者が自らおかれている時を正しく認識しているかについての検査であるということ。

認知症患者の多くは、現在「何年」「何月」「何日」「何曜日」「何時何分」なのかが、自分が何をしているのかさえわからなくなってしまう傾向があり、検査としての妥当性があると言えます。

この問題の配点については後ほど触れるが、回答に多少の誤差があっても結果に大きく影響するものではないが、全くズレた回答をすれば認知症の疑いがあると判定される恐れもあり、特に「何年」についての質問は配点が大きくなっているため、慎重に回答されることをおすすめします。

本検査の配点

「今年は何年ですか?」 5点

「今月は何月ですか?」 4点

「今日は何日ですか?」 3点

「今日は何曜日ですか?」2点

「今、何時何分ですか?」1点

合計15点となっています(実は実際の点数は15点×約1点(係数)であり、全て誤答だった場合は15点以上の減点となる。)。

上の問題から下に向かって配点が低くなっているため、特に配点が大きい「何年」について慎重にあるべきとはこういうことであります。

誤解答例

上から4問(「何年」「何月」「何日」「何曜日」)については少しでもズレていれば誤答となりますので、例えば正答が2019年だった場合間違えて2018年と回答すれば、5点失うということです。

また、5つ目の「何時何分」については、30分以上のズレで誤答となりますので、仮に9時35分が正答のところを9時05分と回答すれば30分のズレがあるため誤答となります(9時6分と回答すれば正解になる。)ので1点失います。検査中は時計を外さなければならないのでしっかり時間の確認はしておきましょう。

今まで私が見たことのある珍回答は、

「何年」の質問に対して→干支で回答した場合は誤答。圧倒的に多いのは検査前などに記入する申請用紙などは、生年月日を記入してもらっているため、「昭和」で誤答となっている場合が多いです。また2019年以降新元号となるため、西暦で記入する方が無難と言えるでしょう。
また、以前「皇紀」で記入された方もいらっしゃいました(※皇紀とは、日本の紀元を、日本書紀にしるす神武天皇即位の年(西暦紀元前六六〇年)を元年として起算したもので、例えば2019年は、皇紀2679年となる。ちなみに零戦の名前は1940年(皇紀2600年)制式採用となったいわゆるニーロクゼロゼロ年からとってゼロ戦と呼ばれた。)。運転免許本部に確認したところ皇紀の年数が合っていたため正答となったということもありましたが、余計な冒険はしないで素直に回答しましょう。

 

まとめ

基本的に間違えにくい問題1ですが、慣れない環境の中での検査なので、舞い上がってしまい間違えてしまっているケースも多いようです。検査を受ける前には気持ちを落ち着かせて、時計を外す指示がある前にもう一度今日は「何年」「何月」「何日」「何曜日」でそして今「何時何分」か、よく確認しておきましょう。

 

»問題2 介入問題 指定した数字に斜線を引く問題について解説

»認知機能検査 点数の計算方法 認知症のボーダーラインは何点?

2018年交通事故死者数、戦後最少更新

2019年1月4日に警察庁が発表した報告書によると2018年中の交通事故死者数は3,532人(事故発生から24時間以内に死亡した方)で昨年の3,694人から162人減少。3年前の2015年わずか4人ではありますが増加に転じたものの、第2次交通戦争と言われた平成4年(1992年)の11,452人以降大幅な減少傾向にあり、警察庁の保有する昭和23年(1948年)以降の統計で最少となった前年をさらに下回る結果となりました。減少傾向ではあるものの、まだまだ多くの尊い命が失われているのも事実。

この記事では、都道府県別事故実態や死者数減少の要因など、筆者の視点で様々な内容について考えてみました。

2018年都道府県別事故実態

交通事故死者数ワースト10

2018年中の交通事故死者数は前述の通り、全国で3,532人。ここで毎年注目されるのは、都道府県別交通事故死者数ワースト10であります。

1位 愛知県 189(-11)人
2位 千葉県 186(+32)人
3位 埼玉県 175(-2)人
4位 神奈川県 162(+13)人
5位 兵庫県 152(-9)人
6位 大阪府 147(-3)人
7位 東京都 143(-21)人
8位 北海道 141(-7)人
9位 福岡県 136(-3)人
10位 茨城県 122(-21)人

やはり2018年もワースト1位は愛知県で、これで16年連続1位となりました。しかしながら汚名返上に燃える愛知県もただ指をくわえて見ているだけではないようで、近年大幅な減少傾向にあり、交通事故対策など力を入れていることが窺えます。一方で、猛チャージを仕掛けてきたのは千葉県。前年から32人増加し1位の愛知県に3人差まで迫りました。今年はいよいよ首位が入れ替わるかもしれません。

毎年ワースト10に登場する都道府県は代わり映えなく、大都市圏と関東地方で埋め尽くされ、この中で順位を競っている状態が続いています。人口の絶対数が多ければ事故が多いのも当たり前で、ワースト1位である愛知県は、車の保有台数は全国でダントツの1位でもあり、死者数が多いのも頷けるところであります。しかしながら2018年中話題となった「あおり運転」の検挙数は、1位は兵庫県(915件)、2位は愛知県(714件)、3位は静岡県(654件、因みに静岡県は交通事故死者数はワースト11位で警察署管内別交通事故死者数は浜松市内ある警察署管内が毎年もっとも多いらしく、なかなか侮れない地域である。)で交通マナーの悪さも否定できません。

人口10万人あたりの交通事故死者数ワースト3

一方、都道府県ごとに人口にバラつきがあるため、上記の数字では本来の事故実態の数値、あるいは本当に危険な都市なのかどうかは正確なものではない。そこで人口10万人あたりの死者数を算出したものを調べてみました。

人口10万人あたりの死者数ワースト3
1位 福井県 5.26人
2位 富山県 5.11人
3位 三重県 4.83人

 

※算出に用いた人口は、前年の人口であり、総務省統計資料「人口推計」又は「国税調査」による。

もっとも交通事故死する可能性がもっとも高いのは福井県の5.26人で、この順位もほぼ不動に近いものとなっていますので、毎年福井県が上位を取っていることになります。因みに愛知県は全国の41位2.51人、東京都がもっとも低い1.04人となっていますので、よく報道される愛知県やそのほか大都市圏が必ずしも危険な地域ではないということになります。

平成30年中、前年より死者数の増加した都道府県ワースト3

こうした中で全国的には戦後最少の交通事故死者数となった2018年ですが、番外編で死者数減少に貢献できなかった都道府県ランキングも調査しました。

平成30年中、平成29年より死者数が増加した都道府県ワースト3
1位 千葉県 32人
2位 富山県、新潟県 17人
3位 岐阜県 16人

千葉県の32人がダントツの1位、次いで富山県、新潟県の17人、岐阜県の16人という結果です。因みに47都道府県中14県で死者数が増加しました。中でも東北地方6県のうち、岩手県以外の県は全て増加した一方、九州地方では全ての県で減少し、中部地方より東の地区での増加が目立ちました。また、3年連続増加したのは、山形県、神奈川県、広島県の3件のみで今後の対策が求められます。

交通事故死者数減少の要因

このように死者数の増加した県がある一方で、日本全国で見ると死者数は大きく減少している。
2019年1月4日に発表された国家公安委員会委員長のコメントによると、「政府をはじめ、関係機関・団体や国民一人一人が交通事故防止に向け、積極的に取り組んだ結果だと考えております。」としています。

過去もっとも死者数の多かった年は1970年で16,765人(まだ返還されていなかった沖縄の数は含まれない。)の方が亡くなっています。その頃から考えると5分の1に迫る勢いであります。こうした大幅な減少には様々な要因が考えれます。

1、車の性能の向上

2、道路環境の整備

3、医療機関の発達

などがよく挙げられますが、私が感じるもっとも大きな要因となっているのは、警察の取り締まりが強化されたことではないでしょうか。
1970年代は、いわば法律はあっても今ほどうるさくなかった時代。その頃、ほとんどのドライバーは飲酒運転を経験し、そもそもシートベルトの備わっていない車が街を行き交っていました。近年では、シートベルトは後部座席も着用義務、飲酒運転や無免許運転、煽り運転などは厳罰化が進み、本来あるべき安全意識より保身のための安全志向が高まっていると言えます。しかしこうした取り締まりや危険運転に対する厳罰の強化こそが、まさに交通事故死者数減少に大きく起因しているのではないでしょうか。もはや昭和の走りはまさに時代錯誤、平成も終わる今流の走りは、法律を重んじること。これこそが現代のスタンダードと言えます。