いよいよ教習所の最終関門、**「卒業検定(卒検)」**ですね。 これまで何度も教習車に乗り、時には指導員に怒られ、時には励まされながら身につけてきた技術の集大成を見せる日。 「絶対に一発で受かりたい!」という気持ち、痛いほど分かります。
しかし、本番特有の緊張から、普段なら絶対にやらないようなミスをしてしまうのが卒検の魔物です。
今回は、指導員として数え切れないほどの教習生を見てきた私が、**「卒業検定(路上編)」**でよくある減点ポイントと、一発で検定中止(不合格)となる絶望の「信号無視7つのトラップ」、そして「横断歩道の正しい渡り方」について徹底解説します。
1. 卒業検定の「持ち点」戦略
まず、卒業検定の採点システムを理解しておきましょう。 検定は「100点満点」からの減点方式です。 普通車の場合、路上検定と所内検定(方向変換または縦列駐車)を終えた時点で、「70点以上」残っていれば合格となります(合計の減点が30点以内ならOK)。
【重要ポイント】 路上と所内で「それぞれ何点以上」という配点が決まっているわけではありません。 路上検定からスタートする場合、いかに路上での細々とした減点を防ぎ、後半の所内検定(バックの課題)に**「心の余裕(持ち点の余裕)」**を残せるかが、合格への最大のカギとなります。
「路上でたくさん減点されたかも…」と思いながらやる方向変換ほど、失敗しやすいものはありませんからね。
2. ちりつも注意!よくある「減点」ポイント
では、検定員がチェックしている細かな減点項目を見ていきましょう。 「これくらいなら…」という小さなミス(チリ)が積もり積もって(ツモ)、気がつけば不合格ラインに達してしまうのが卒検の恐ろしさです。
① 交差点(右左折)での減点
- 合図(ウインカー)の不良(主に-5点): 出すのが早すぎる(30m手前より前)、遅すぎる。出すのを忘れる。稀にですが、極度の緊張で「右折なのに左ウインカーを出す」人もいます。また、交差点の手前で勝手にウインカーが消えてしまったのに、出し直さずにそのまま曲がるのも減点対象です。
- 走行位置の不良(-5点〜-10点): 曲がる側にしっかり寄せていない(-10点)。逆に、曲がる直前に無意識に反対側へハンドルを振ってしまう「逆振り」(-10点)。左折時の大回り(-5点)、右折時のショートカットや大回り(-10点)。そして、寄せた後のフラつき(-10点)。
- 安全確認の不足(-10点): 左折時の巻き込み確認忘れ、交差点進入時の左右確認不足など。
- 速度と優先判断のミス: 慎重になりすぎて異常に遅い(-10点)、カックンと止まる急ブレーキ(-10点)、ブレーキ操作が滑らかでない(-5点)。逆に、見通しの悪い交差点などで徐行しない(徐行違反 -20点)。優先道路や対向直進車の判断を誤る(優先判断不良 -20点)。
② 交差点以外での減点
- 乗降時の措置(-5点〜-10点): シートベルトの締め忘れや、ドアの半ドアなど。
- 発進・停車のミス(-5点〜-10点): 発進時や路端に停める時の合図不良、目視確認の不足。
- 路端への停車(ミッション): 縁石から離れすぎている(-10点)、車体が縁石と平行になっていない(-10点)。停めてはいけない場所(消火栓の標識など)に停める駐停車違反(-20点)。停められる場所を見つけられず、指示された区間をスルーしてしまう課題不履行(-10点)。
- 速度超過(-20点): 指定速度をオーバーしてしまうこと。
※点数は状況によって変動することもありますが、これらがチリツモになると本当に危険です。
3. 一発アウト!「検定中止」の絶望
減点ならまだ挽回のチャンスはありますが、以下の行為をした瞬間、検定は即座に**「中止(不合格)」**となり、指導員の運転で教習所へ強制送還されます。
- 信号無視
- 歩行者妨害(横断歩道でも、横断歩道以外でもアウト)
- 接触大(縁石に強く乗り上げる、街路樹、自転車、駐車車両などへの接触)
- 進行妨害(優先権のある車、例えば右折時に対向の直進車の進行を妨げるなど)
- 後車妨害(進路変更時、隣の車線に後続車が迫っているのに無理に車線を変えて危険を生じさせた場合)
- 降車時の危険(検定終了後、後方確認をせずにドアを開け、後続車と接触しそうになるなど)
- 検定員補助(検定員が「危険だ」と判断し、助手席の補助ブレーキを踏んだり、ハンドルを操作したりした場合)
もちろん、細かな減点が重なって持ち点が70点を下回った場合も、その時点で中止となります。
4. 指導員は見た!「信号無視」7つのトラップ
ここからは、一発中止の代表格でありながら、意外とやってしまう人が多い**「信号無視」**について深掘りします。 「赤信号で突っ込むわけないじゃん」と思うかもしれませんが、検定員の席から見ていると、様々な理由で悲劇が起きています。
- 黄色信号のジレンマ 黄色信号は原則「止まれ」です。安全に停止できない場合のみ通過できますが、十分止まれる距離と速度だったのに「行ける!」と判断して突っ込んでしまうケース。
- 歩車分離式の罠 歩行者用の信号と車用の信号が別々に青になる交差点。緊張していると、目の前の「歩行者用の青信号」につられて、車用の信号が赤のまま発進してしまうことがあります。
- セパレート信号の勘違い 直進と左折の矢印信号が出ている交差点。右折待ちをしている教習生が、矢印が出た瞬間に「よし、青だ!」と勘違いして右折しようと発進してしまうケース。
- 隣接交差点の錯覚 信号交差点が連続している場所。1つ目の信号が青だったことに安心して、すぐ数十メートル先にある2つ目の信号(赤・停止線あり)を「交差点内だから進んでいい」と勘違いして突破してしまうミス。
- サンバイザーの悲劇 西日などが眩しくてサンバイザーを下ろした結果、なんと信号機そのものがサンバイザーに隠れて見えなくなってしまい、赤信号に気づかず突入してしまう悲惨なケース。
- 極度の緊張による「視界狭窄」 これが一番怖いです。頭が真っ白になり、目の前に巨大な赤信号があるのに、脳がそれを「赤信号」として処理できていない状態。
- イレギュラーな工事現場(片側交互通行) 練習の時は通れた道が、検定日に限って水道工事などで片側交互通行になっていることがあります。この時、警備員さんの「止まれ(旗や誘導棒)」の指示に従わずに進んでしまうとアウト。警備員の指示は、信号と同じ効力を持ちます。
5. 迷ったら止まれ!横断歩道の絶対ルール
もう一つの一発中止の原因、「歩行者妨害」。 これを防ぐための、横断歩道通過の「3原則」を必ず頭に入れておきましょう。
- 人が渡ろうとしている(渡っている)時 問答無用で、停止線の手前で**「停止」**です。
- 明らかに人がいないと判断できた時 そのままの速度で通過して構いません。ただし、この「明らか」の判断は慎重に行ってください。
- いるかいないか不明(近くに人が立っている等)な時 とにかく**「徐行」**して横断歩道に近づいてください。歩道に立っている人がスマホを見ていようが、そっぽを向いていようが、「急に渡り出すかもしれない」と思い込み、いつでもブレーキを踏んで止まれる準備をすることが鉄則です。
6. まとめ
卒業検定は、「F1レーサーのような完璧な運転」を求めているわけではありません。 **「ルールを守り、安全な運転ができるか」**を見ているだけです。
もし途中で「あ、ウインカー遅れた!」と思っても、そこでパニックにならないでください。たった5点の減点です。 過去のミスを引きずるよりも、目の前の信号と、横断歩道付近の歩行者に全集中してください。
深呼吸をして、いつも通りの確認をして、安全第一で走り切りましょう。 あなたの努力は、きっと結果に結びつきます。応援しています!

