【現役指導員が語る】運転免許の取り消し5つのパターン。一瞬で「人生のすべて」を失う前に

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交通ルールその他

運転免許証は、早ければ16歳(自動二輪や原付)から手にすることができる、私たちの生活に最も身近な国家資格です。一生涯、安全に無事故無違反で持ち続ける人がいる一方で、更新を忘れて「失効(ただのカードになってしまう状態)」させてしまう人や、違反を繰り返して「取り消し」になってしまう人がいます。

今回は、この運転免許の「取り消し処分」についてお話しします。 取り消しには大きく分けて、国から強制的に奪われる「強制的取消」と、自ら返す「自主的取消」の2つの大区分があり、背景や理由からさらに5つのパターンに分類できます。現場のリアルな実態とともに解説していきましょう。

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【大区分】強制的取消:公安委員会からの「不適格」宣告

公安委員会から「あなたは運転者として不適格である」と判断され、強制的に免許を剥奪される最も重い区分です。

① 違反・事故累積(ペナルティ型)

飲酒運転やひき逃げなどの極めて悪質な違反、または交通違反の点数が累積(例えば前歴なしで15点以上)に達して取り消されるケースです。 免許を復活させたい人は、一定の欠格期間を経た後に「取消処分者講習」を受けなければなりません。しかし、ここで私の持論を言わせてください。何度も違反を繰り返して取り消しになる人は、技術ではなく「性格的な問題(交通社会への甘え)」を抱えています。欠格期間を過ごしただけで、その根本的な性格が簡単に治るのでしょうか? 実際、再び取り消しになる方も少なくありません。根本からの意識改善がなければ、また同じ過ちを繰り返すだけです。

② 初心運転者取消(見切り型)

免許取得から1年以内(初心運転者期間)に一定の違反をし、再試験を受けない、あるいは不合格になったことで取り消されるケースです。この場合、欠格期間はありません。 私は初心運転者講習も担当していますが、一部の若者を見ていると強い危機感を覚えます。「速度を出すのが楽しい」「警察に見つからなければ違反しても大丈夫」という甘い考えが透けて見えるのです。楽しければ何でもいいという意識のままでは、いつか確実に取り消しになるか、取り返しのつかない事故を起こします。

③ 身体・精神的理由(適格性欠如型)

認知症、てんかん、アルコール依存症など、安全な運転に支障を及ぼす病気を理由とした取り消しです。 我々指導員の間では、過去に取り消しや失効になり、再び免許を取りに来た方を「元免(もとめん)」と呼びます。最近、てんかんを患い自ら免許を一度返納したものの、数年間発作が出ず「やはり車がないと生活が不便だ」と再び教習所に入校された元免の方がいらっしゃいました。病気と向き合い、医師の許可を得て社会復帰されること自体は決して否定されるものではありませんが、高齢化に伴い、医師や家族のストップによって強制取消となるケースは年々目立ってきています。

【大区分】自主的取消:自らの意思で免許を手放す

運転者本人が、自身のライフスタイルや身体機能の変化を理由に、自分の意志で免許を国に返す(返納する)区分です。

④ 高齢・身体機能低下(自主返納型)

加齢による視力や判断力、反射神経の衰えを自覚し、事故を起こす前に自ら返納するケースです。数年前のピーク時からは落ち着いたものの、依然として年間40万件超と、取り消し理由の圧倒的多数を占めています。 ただ、一つ知っておいてほしい現実があります。返納の手続き自体は書類一枚で簡単に終わりますが、数年後に「やっぱりまた運転したい」と後悔する方も少なくないのです。しかし、一度失った免許を高齢になってから「復活」させるのは、並大抵の努力では叶いません。返納は、今後の生活の足をどうするかを含め、ご家族とよく話し合った上で慎重に決断してください。

⑤ ペーパードライバー・不要(生活環境変化型)

都市部への移住で車が不要になったり、マイナンバーカードの普及で身分証明書としての役割を終えたため、更新の手間や費用を嫌って返納する現役世代のケースです。 指導員の本音を言えば、これほど「もったいない」ことはありません。今、免許を取るには30万円以上の費用と多大な時間・労力がかかります。「学生のうちにとりあえず」と取ったものの、結局乗らないまま年を重ね、いざ必要になった時に「運転が恐ろしい」とペーパードライバー講習に駆け込んでくる方が大勢います。せっかく手にした資格です、たまにはハンドルを握って感覚を維持してほしいものです。

結び:私にとって免許は「命の次に大事なもの」

最後に、少しだけ私自身の話をさせてください。

私にとって運転免許は、大げさでも何でもなく「命の次に大事なもの」です。スマートフォンなんかよりも遥かに重い存在です。 時々、想像してはゾッとすることがあります。もし私が何かの間違いで事故を起こし、人の命を奪うようなことがあって免許を取り消されたらどうなるか。

運転に関わる仕事をしている以上、免許を失えば即座に「仕事」を失います。収入が途絶え、「お金」を失います。そして何より、私が守るべき妻や子どもたちとの日々の暮らし、家族の笑顔まで、すべてを一瞬にして失ってしまうのです。例えるなら、有名人が大不祥事を起こして業界から完全に干され、社会的な立場をすべて失う状態と全く同じです。

免許があったからこそ、行けた場所がある。免許があったからこそ、生まれた家族の笑顔がある。免許は、人生を豊かに変えてくれる素晴らしいものです。しかし同時に、その免許(運転)のせいで、自分や他人の人生のすべてを奪ってしまう可能性も秘めているのです。

「取り消しになっても、また教習所に通って取り直せばいいや」 そんな風に軽く考えるのはやめてください。あなたのポケットに入っているその一枚のカードは、あなた自身の人生そのものです。どうか、命の次に大切にして、今日も安全運転をお願いします。