近年、あらゆるモノの値段が上がり、日々の生活で物価高を感じる場面が増えました。さらに世界情勢の影響で原油価格も高騰し、ガソリン代も家計を圧迫しています。
そんな時代において、ドライバーの頭を悩ませるのが「車の維持費」です。特に、高齢になり免許の返納が視野に入ってきた方にとっては、「このまま車に乗り続けるべきか、それとも公共交通機関だけに頼るべきか」という切実な問題があります。
ライフスタイルや車に乗る頻度によって「どちらがお得か」の正解は人それぞれですが、判断材料を持たなければ決断はできません。今回は、車を所有することで発生する「リアルな維持費」について、詳しく解説していきます。
1. 重くのしかかる「固定費」の内訳
車を維持していく上で、最も家計にのしかかってくるのが、乗っても乗らなくても定期的に発生する「固定費」です。
① 税金(自動車税・重量税)
車は「贅沢品」とみなされる性質があり、所有しているだけで必ず税金が付きまといます。毎年納める「自動車税(種別割)」と、車検ごとに納める「自動車重量税」、さらにガソリンを入れるたびに「ガソリン税」も負担しています。
自動車税は、車の排気量によって細かく分けられています。以下は、大まかな自動車税の目安です。
| 車両の種類・排気量 | 自動車税(年額) |
| 軽自動車 | 10,800円 |
| 1,000cc以下 | 25,000円 |
| 1,001cc〜1,500cc以下 | 30,500円 |
| 1,501cc〜2,000cc以下 | 36,000円 |
| 2,001cc〜2,500cc以下 | 43,500円 |
| (※2019年10月1日以降に初回新規登録された自家用乗用車の場合) |
年に1回とはいえ、車に乗らない人にとっては「全くかからないお金」です。これをどう見るかは大きなポイントになります。
② 保険(自賠責保険と任意保険)
車に乗る以上、保険の加入は絶対条件です。
- 自賠責保険(強制保険): 車を所有するすべての人に加入が義務付けられている保険です。車検時に次の車検までの期間分をまとめて支払います。被害者救済のための最低限の補償であり、普通乗用車で24ヶ月加入した場合、約17,650円かかります。
- 任意保険: 自賠責保険では支払い上限額が低く、物損も補償されないため、それを補填するための保険です。「任意」とはいえ、現在の賠償額の高額化を考えれば加入は必須です。対人・対物賠償は必ず「無制限」にしましょう。
保険料は、年齢や運転経験、ゴールド免許の有無によって大きく変わります。安全運転を心がけて保険を使わない期間が長くなれば、保険料はどんどん安くなります。日々の安全運転は、究極の節約術でもあるのです。
ちなみに私は過去に車を当て逃げされ、自力で相手を見つけ出して修理費を請求したことがあります。しかし、相手がまさかの「任意保険未加入」だったため、支払いのやり取りが極めて難航しました。事故を起こした後に後悔しても遅いです。任意保険には必ず加入してください。
③ 駐車場代
地域や駅からの距離によって金額に大きな差がありますが、車を置いておくだけで毎月確実に消えていくお金です。
④ 車検代・定期点検代
車検(継続検査)と法定点検は、法律で定められた義務です。また、「乗らずにガレージに置いてあるだけだから大丈夫」というのは大きな間違いで、車は乗らなくてもゴム部品やオイルなどが劣化します。故障による事故を防ぐためにも、ディーラーなどで半年ごとの定期点検(有料のメンテナンスパックなど)を受ける費用も、あらかじめ固定費として計算しておく必要があります。
⑤ マイカーローン費用
車を一括で購入できる方は別ですが、多くの方がマイカーローンを利用していると思います。近年は「残価設定型ローン(残クレ)」が主流になり、月々の支払いを抑えて数年ごとに車を乗り換える、いわば「車をレンタルしている状態」の方も増えています。
参考までに、私は毎月4万円程度のローンを支払っています。本音を言えば、毎月の負担は2万円程度に抑えたいところですが……。
2. 走るほどにかかる「変動費(ランニングコスト)」
固定費に加えて、運転する頻度に応じて必ずかかってくるのが以下の費用です。
- ガソリン代: 走行距離と燃費、そして原油価格の変動に直接左右されます。
- 各種消耗品: エンジンオイル、タイヤ、ウィンドウォッシャー液、ワイパーゴム、灯火類のバルブなど。
- 高速道路の料金: お出かけや帰省の際に発生します。
- その他: 洗車代や車内の芳香剤、便利グッズなどの費用。
3. ズバリ!車の維持にかかる「月額費用シミュレーション」
では、これらを全て踏まえて、実際にどれくらいのお金がかかっているのか。1500ccクラスの一般的なコンパクトカーをローンで購入し、週末の買い物やレジャーに使うと仮定して、ざっくりと月割りの維持費をシミュレーションしてみましょう。
- ローン返済: 約25,000円
- 駐車場代: 約10,000円
- ガソリン代: 約8,000円
- 任意保険料: 約5,000円
- 車検・税金・点検の積立分: 約8,000円(※自動車税、重量税、自賠責、車検整備代を月割り計算)
- 合計:約56,000円 / 月
いかがでしょうか。コンパクトカーであっても、維持していくだけで月に5万円以上、年間で60万円以上の出費になる計算です。これがミニバンやSUVになれば、さらに金額は跳ね上がります。
4. まとめ:本当にその車は必要ですか?
車の維持には、莫大なお金がかかるのが現実です。「本当に車が必要なのか?」と改めて自分に問いかけてみてください。
ちなみに私の実情をお話しすると、自宅から最寄り駅までは徒歩で30分以上かかります。公共のバスもありますが、妻と3人の子どもがおり、休日の買い物や子どもたちの送迎を考えると、月々の費用を上回るだけの「絶対的な必要性」を感じています。今の相棒であるホンダ車を手放すことは、現状では到底考えられません。
しかし、もし私が将来高齢になり、子どもたちも独立して「ちょっとした買い物と通院」くらいしか車の用途がなくなったら、迷わず車は手放します。そして、維持費が格段に安く、アクセルとブレーキの踏み間違い事故も起きない「バイク(スクーター)一本」の生活に移行するつもりです。
車は便利ですが、維持費は家計を大きく左右します。皆さんも、ご自身のライフステージや生活環境に合わせて、移動手段のコストパフォーマンスを賢く選択してみてください。

