はじめに
学科試験で必ず出てくる「追い越し」のルール。
特に「二重追い越し」に関する問題は、受験生を混乱させる引っかけポイントとして有名です。
多くの人が「前の車が追い越しをしていたら、自分は追い越しできない」と覚えていますが、実は条文をよく読むと**“全部が禁止”ではありません**。
今回は「原付を追い越している途中の大型二輪車を追い越した」という一見ひっかけ問題に見える設問を取り上げ、条文の正しい読み方と実際の試験対策を解説します。
問題
Q: 原付を追い越している途中の大型二輪車を追い越した。○/×
正解
○(マル)
条文の確認
道路交通法には次のように書かれています。
「前の車が自動車を追い越そうとしているときは、追い越しを始めてはならない。」
ここでのカギは「自動車」という言葉です。
- 原付は道路交通法上、「自動車」に含まれません。
- よって、大型二輪が追い越そうとしている対象が原付であれば、この条文の制限には当たりません。
- したがって、後続車がその大型二輪を追い越すこと自体は法律上禁止されていない、というのが正解です。
用語を正しく理解するために
「車」や「自動車」という言葉は、私たちの感覚では曖昧です。
「車=クルマ=四輪」と思い込みがちですが、法律上の定義はまったく違います。
👉 ここを整理しておかないと、学科試験で確実に引っかかります。
詳しくは以下の記事で図解していますので、併せてチェックしてみてください。
➡ 免許試験で使われる「車」と「自動車」の分類を図解で解説
この分類を押さえておけば、「条文の自動車は原付を含むのか?」という疑問に即答できるようになります。
ただし注意!実際の道路では危険行為に
条文上は「○」であっても、現実の運転では以下の点に注意しなければなりません。
- 追い越し禁止区間では当然NG
例:交差点付近、踏切、はみ出し通行禁止区間、標識・標示で指定された場所 - 前の二輪車の進路を妨げない
大型二輪は原付を追い越したあと車線に戻る必要があります。そこを塞ぐような追い越しは妨害行為に当たります。 - 側方間隔と合図
大型二輪も加速中なので不安定です。安全側方間隔を十分に取ること、右合図→安全確認→加速→復帰の流れを守ることが大前提です。
👉 試験対策上は「○」ですが、実際の運転では「極めてリスキーな行為」と心得ておくことが重要です。
間違えやすいポイント
- 「二重追い越し=全部ダメ」と思い込む
- 「原付も自動車でしょ?」と解釈してしまう
- 「追い越し」と「追い抜き」を混同する
この3つが典型的な落とし穴です。
特に「追い越し」と「追い抜き」の違いは要注意。
- 追い越し:進路を変えて前に出ること
- 追い抜き:進路変更せず自然に前に出ること
👉 試験ではこの言葉の違いまで突っ込んで問われます。
まとめ
- 条文:「前の車が自動車を追い越そうとしているときは、追い越しを始めてはならない」
- 原付は「自動車」に含まれない
- よって「原付を追い越し中の大型二輪を追い越す」のは条文上○
- ただし、実際の道路では危険・条件付きでしか成立しない行為
おわりに
学科試験の「二重追い越し」問題は、用語の定義を理解していないとほぼ間違えます。
今回の問題を通して、
- 「自動車とは何か?」
- 「原付はどの分類に入るのか?」
を正しく理解することが、合格への近道です。
ぜひこのリンクも参考にしながら、条文の読み方を体に染み込ませてください。