「免許を取ってから何年も経つけど、車庫入れはいまだに緊張する…」
そんな悩み、あなたにもありませんか?
実際、教習所でも「前進は得意だけど、後退はどうも苦手」という方が大多数です。
特にバックでの駐車(いわゆる車庫入れ)は、狭いスペースや隣の車との距離感、後ろの障害物など、気をつけるポイントが多くて神経を使います。
この記事では、
「車庫入れに自信がない人が、今日から実践できる図解付きの基礎テクニック」
を、運転初心者でも分かるように噛み砕いて説明します。
まずは、車の動きの特性を理解しましょう
1. 駐車スペース選びは「入りやすさ優先」(図1)

車庫入れの難易度は、スペース選びで半分決まります。
図1のような駐車スペース(A・B・C)があった場合を想像してください。
あなたならどの場所に止めますか?
- A:前方に余裕なし(壁や縁石など)
- B:多少余裕あり
- C:十分な前方スペースあり
初心者は迷わずCを選びましょう。逆に言えば、AやBしか空いてなければこの車庫は諦めて別の場所を探しに行きましょう。
理由はシンプルで、前方の余裕があるほど「ハンドルを切るタイミング」を調整でき、落ち着いて操作できるからです。AやBは前側に余裕がないため、入れられないこともありませんがかなり苦労することになるでしょう。迷わずCです。
2. 車の「ホイールベース」を理解する(図2)

次に「ホイールベース」について理解しましょう。
車庫入れにおいては、このホイールベースが深く関わってくるんです。
駐車が苦手な方は、意外と自分の車の大きさや構造を把握していません。
ホイールベースとは、前輪の中心から後輪の中心までの距離の事をいいます。
※多くの普通車ではおよそ2.7m前後です。
この距離感を知ると、「後輪がどこにあるか」を意識できるようになり、バック時の内輪差や外輪差を見極めやすくなります。さらにこの後紹介する手順の中で、ホイールベースについては何度か出てきますのでよく理解しておいてください。
3. 車が曲がる仕組みを理解しましょう(図3)

初心者の方は、車ってどのように動いていくのかを理解されていない方が多いです。
車は、全身やバックで曲がっていくときは、実は後輪を中心に回転しているという感覚が大事なんです。
また、車はハンドルを全部回した場合、後車輪の中心から内側にホイールベース分(約2.7m)伸ばした場所(図3:黄色まち針)を中心軸として回転していきます。
この動きを理解すると、後退で曲がっていく際の車の動きがよくわかるようになります。
4. 外輪差とセーフティーゾーン(図4)

ハンドルを切ってバックすると、前輪は外側に大きく動きますが、後輪は小さく回ります。
この差が外輪差の原因であり、車はバックで曲がるときには外側の前輪が膨らんでいくため、駐車時の外側の接触リスクにもつながります。
普通車の場合、およそ70cm程度膨らむため(図4:赤色部分)、前方に障害物がある場合は特に注意が必要です。
また、車の内側の後車輪のすぐ横にある障害物(図4:青色部分)には、ハンドルをいくら回してもぶつからないいわゆるセーフティーゾンとなっているので、バックする際は、外側の膨らみを特に注意しましょう。
それでは、車の動きの基礎を知っていただいたところで、ここから、車庫入れの基本手順(入門編)を解説してまいります。
5. 車庫入れの基本手順 ※入門編
①前進で駐車スペース横に平行に誘導したら左右の空間に注意!(図5)

まず、駐車スペース(今回は図1のC)に平行になるように前進で誘導します。
この時、車庫側(図5の場合左側)のスペースは、 0.5〜1m程度の空間を残します。
※車庫側に近すぎるとバックした時の車の軌道によって隣の車両(🔴)にぶつかるリスクが高まりまるからです。
また、先ほどもお伝えした通り、外側は、外輪差のリスクがあるため、最低1m以上の余地は残しましょう。
覚えておきたい数字
- 内側の余裕:50cm〜1m
- 外側の余裕:1m以上(外輪差分)
それぞれ空けておく!
②入りたい場所を想像し、想像した場所の奥側の側面と後車輪を並べたところで停止(図6)

まずは、入る場所を想像します。(白線で区切られた車庫であれば、線のどのくらい内側に車が収まるのか)想像できたら、想像した車の奥側の側面の延長線に後車輪の中心を誘導し確実に停止ます。(図6)
③その後、前車輪があった場所に後車輪をゆっくり合わせ停止する(図7)

図7のように先ほど前車輪があった場所に後車輪を誘導し、停止させます。そうすると、入りたい場所(図7:水色ゾーン)からホイールベース分離れたことになるので、この場所が、ハンドルを回してバックを開始する場所ということになります。位置がずれないようにゆっくり慎重に確実に合わせましょう。
場所が決まったら、ハンドルをいっぱいに切ります(据え切り推奨:車を止めたままハンドルを回すことがおすすめです)。
あとはゆっくりバックしながら、周囲の障害物にぶつからないか、ミラーなどで確かめながら進みます。
図8:車体をまっすぐにして必要に応じて微調整

車体がほぼ枠内に入り、真っ直ぐになったらハンドルを戻し、さらにまっすぐバックします。
万が一、左右の間隔があまりにも偏っていたら、前進や後退によって、幅寄せを行います。
これで車庫入れ完了です。
まとめ
今回は、完全初心者向けの車庫入れ方法について解説しました。
すでに車庫入れが得意な方がこの記事を見たら、
「もっと入りやすい角度から入れればいいのに」
「こんなの邪道だ」
と感じるかもしれません。
ですが、この方法はあくまでも**車庫入れが本当に苦手で困っている方向けの“入門編”**です。
まずはシンプルで再現しやすい手順から練習を始め、少しずつ応用していくのが上達への近道です。
また、「ホイールベース分前に出る感覚がわからない」という方も多いでしょう。
その場合は、自宅や安全な場所で練習する際に、もう一人に外から見てもらいましょう。
後輪がちょうどホイールベース分前に出たところで「ストップ」と声をかけてもらい、
その時の運転席からの見え方や感覚を覚えると良いです。
この感覚が身につけば、斜めバックでの車庫入れなど、応用的な駐車方法にもスムーズに移行できます。
まずは、この「車庫入れ入門編」を参考に、第一歩を踏み出してみてください。
次回は**車庫入れ応用編「斜めバックでの車庫入れ」**を解説予定です。お楽しみに。