先日行われた参議院法務委員会において、日本保守党の北村晴男議員と警察庁の久坂交通局長との間で、非常に興味深い質疑応答が行われました。
テーマは大きく分けて2つ。1つ目は「外国人ドライバーによる重大事故の統計について」、2つ目は「2026年4月に施行された新設自転車ルール(車道通行原則や追い越しルール)の矛盾と懸念について」です。
日本の道路インフラの実態に鋭く切り込んだこの答弁は、車や自転車を運転するすべての国民にとって必見の内容です。今回は、その非常に重要な答弁の全議事録を余すことなく公開します。
外国人運転者による交通事故の統計と入管行政への提起

今回の改正につきましては、危険運転についての裁判所のばらつきをできる限り無くして、その結果として、国民の裁判制度に対する信頼も回復するという効果も期待できますので、賛成の立場でございます。
今回の改正となる自動車運転致死傷処罰法は、交通事故の中でも特に悪質な罪を規制するための法律であると認識しています。危険運転致死傷罪に限らず、自動車運転致死傷処罰法により検挙された外国人の数のデータがあれば、お示しください。

お答えいたします。自動車運転致死傷処罰法第2条及び第3条により、検挙された外国人の方の数については、把握しておりません。

この点は是非とも統計をとっていただきたいというふうに思っております。
今年2月に警察庁が取りまとめた令和7年における交通事故の発生状況について、という資料1によりますと外国人運転者による死亡重傷事故件数が公表されており、死亡重傷事故全体に占める外国人による事故の割合が近年増加傾向にあることが示されています。
令和6年の数字を見ますと、死亡重傷事故に占める外国人による事故の割合は2.1%です。警察庁の運転免許統計によりますと令和6年の外国人を含めた運転免許保有者総数は、8174万人余りで、そのうち外国人の数は、資料3によれば125万人余りとなっています。運転免許保有者全体のうち外国人の割合は約1.5%、単純に比較しますと約1.5%の外国人ドライバーが、死亡重傷事故のうち2.1%を引き起こしているということです。
ということは外国人ドライバーの方が、死亡重傷事故を起こす割合が、約4割高いということになります。危険運転致死傷罪は、交通事犯の中でも特に悪質なものですから、これについても統計をとっていただいて、たとえば外国人に対する免許付与のあり方とか、あるいは、ひいては入管行政のあり方にも関わる重要な情報だと思いますので、是非ともお願いしたい。
新・自転車ルールの「追い越し地獄」と大渋滞への懸念

次に道路交通法の関係でご質問します。今月(2026年4月)から道路交通法の令和6年改正が施行され、主に自転車の運転ルールに大きな変更が加えられました。
自動車と自転車の関係については、新しい18条第3項で自動車が自転車を追い越す場合自動車と自転車の間に十分な間隔がないときは、両車の間隔に応じた安全な速度で進行しなければならないとされ、これに違反すると、3月以下の拘禁系、または5万円以下の罰金に処せられることになりました。
この規定について、”十分な間隔”とは何か、あるいは間隔に応じた安全な速度とは何か、これらの意味が分かりにくく、一般のドライバーが不安に感じているという声も聞かれますが、警察庁の資料によりますと、1メートルの距離ですとか、あるいは時速20キロから30キロの速度といった目安を示されていて、ただこれはあくまで目安であって、具体的な道路状況交通状況等により、異なるということです。ドライバーとしては、どういう運転をしなければならないのか、ということについて困りますし、罪刑法定主義との関係でも問題がないとまでは言えないので、恣意的な運用取り締まりにならないように配慮していただきたいというふうに考えています。
この点でもう一点、SNSなどでも懸念されているのが、黄色いセンターラインをはみ出して追い越すことが、禁止されている車線において、自転車が走行しているが、自動車は事実上追い越すことができなくなる、そして大渋滞を引き起こすのではないか、物流にも影響を及ぼすのではないか、という話なんですが、この点について警察庁の認識をお聞かせください。加えて運転者ができる対策などがあればお示しください。

道路交通法第18条第3項、それから4項というのも設けておりますが、これは自動車等と自転車の右側面が接触する交通事故が、依然として多く発生している状況を踏まえ、自動車等と自転車等が、相互に配慮した通行を求めるものでございます。
自動車等が自転車等の右側を通行する場合には、自転車等の運転者の方は左側端を走行していただき、他方、ご質問の自動車等の運転者の方は、十分な間隔が取れない場合には速度を調整することにより、自転車等の安全を確保するよう努めていただきたいと考えております。
なお、自転車の車道通行が多い区間において、追い越しのための右側部分はみ出し通行禁止規制が実施されている場合には、道路交通状況に見合った必要な規制区間となっているか、改めて点検を行い、関係機関と連携しながら、その実態に則した規制の解除等の見直しを検討するよう都道府県警察に指示しているところでございます。

ありがとうございます。例えばですけど、対向車線から全く対向車がないというような状況で、はみ出し追い越し禁止路線であると、そういった場合には、安全に追い越すことが可能という状況もありますので、そういった場合には例外として、許されるというような措置も必要なのではないかと考えております。
「自転車の車道通行」は本当に日本の道路事情に合っているのか?

さて、自転車側のルールについてご質問いたします。
施行されてまだ半月ほどではありますが、4月からのルールについて様々な声、意見が寄せられていると想像されます。自転車への青切符適用について、自転車側、自動車側のそれぞれからどのような意見が寄せられているのかご紹介ください。

都道府県警察からの報告によれば、国民の皆様から各都道府県警察に対しまして、例えば、歩道通行できる場合など、自転車の交通ルールがわからないとか、自動車の運転者の側からは、ちゃんと自転車に対する違反の指導や取り締まりをもっとやるべきだとかですね、様々なご意見が寄せられていると承知しております。

ありがとうございます。令和6年道路交通法改正によって、自転車が交通反則通告制度、いわゆる青切符、これの対象になったことに伴い、歩道が設置された場所でも、車道を走る自転車が急激に増えたと実感しております。
これまで自動車交通量の多い道路で、なぜ多くの自転車が歩道を走っていたのか、これは明らかに車道を走る方が危険だからでございます。これは明らかです。他方、歩道を走る自転車の危険運転によって、歩行者を傷つけ、時には死亡させる事故が相当数発生して、その対策が必要であるということも理解はしております。
そうしますと、結局のところこの問題は、自転車に車道を走らせた上で、自動車の安全走行を徹底させるのか、それとも自転車が歩道を走ることを一定程度許容して、自転車に安全な走行を徹底させるのか、この2択どちらを選ぶのかというのが問題なのだろうと。その際には、日本の道路状況を前提として、どちらが適切なのかという観点から検討すべき問題だと考えております。今申し上げたこの2択の中で、どちらを取るのがより適切なのかという観点から、これまで議論をされてきたのか、についてお聞きします。

委員ご指摘にありますように、近年交通事故件数全体は減少している中で、自転車が関連する交通事故は、令和3年に増加に転じ、特に自転車対歩行者事故が、増加傾向にあるなど、非常に、自転車における交通情勢が厳しい状況にあるということでございます。
警察庁ではこのような状況を踏まえ、良好な自転車交通秩序の実現を図るため、有識者検討会を開催し、幅広い観点からご議論をいただき、その会議において報告書を取りまとめ、それを踏まえて令和6年の道路交通法改正を行なったものでございます。
この有識者会議の中では、自転車の通行場所につき、道路交通法上自転車は、自動車と同じ車両の一種であることを前提とした上で、歩道における自転車と歩行者の事故件数が増加傾向にあることを踏まえ、車道通行を原則とすべきであることが改めて確認されたものであると認識しております。他方で、自転車が車道を通行する場合において自転車を保護に関する法制上の措置を講ずるべきとの内容が盛り込まれたものでございます。

自転車が兼ねてから軽車両とされて、車両なんであるというふうに規定されてきたことは承知しております。
ただ、日本の道路状況が、本当に自転車が車道を走るということで安全なんですか?と。例えば、自転車専用道路が、十分に整備されていて、車との接触がなかなか考えにくいとか、あるいは、車の自動運転技術が高度に発展して、そもそも自動車を運転していて、自転車を引っ掛ける、自転車と接触する事故が、ほとんど考えにくいというような、高度な技術の発達があるのであれば、別なんですけれども、少なくとも私の友人などからすれば、自分の子供や孫に、法律があるから車道を自転車で走れと、いうふうに絶対言わないよと、死んだら元も子もないもんねという声が強く聞かれます。
この先ほどおっしゃった議論は十分になされたことも理解はしてますけれども、今後の課題としては、先ほど申し上げたような道路状況の整備とかあるいは自動運転技術の発達などまだまだの段階ですので、とすれば、現段階では極めて不適切な選択だと私自身は考えております。
他方で今後この法律が施行されて自転車は車道に、法律に則って追いやられています。そして今後自転車が、自動車に巻き込まれて死亡や重傷事故に巻き込まれるというような事例がどの程度発生するのか、これをよくよく検討した上で、他方で、これまでの青切符を適用しなかった時代の自転車と歩行者の事故、これがどの程度発生していたのか、これを比較した上で果たしてどちらの選択が正しいのかということを、国民の声も聞きながら、再検討されるように希望いたします。
答弁から見えてくる今後の課題(まとめ)
北村議員のこの言い分は、日々道路を利用している多くの国民の心に深く刺さったのではないでしょうか。 「インフラ整備が追いついていない日本の道路で、自転車を車道に追いやることは本当に安全なのか?」という疑問は、車を運転するドライバーにとっても、自転車に乗る当事者にとっても切実な問題です。
おそらく、現場の実態を把握している警察庁局長も、内心では同様の葛藤や見解を持っているのではないかと推測されます。しかし、法律を執行する立場上、有識者会議の結論以上の踏み込んだ発言はできないという苦しい胸の内もあったのでしょう。 北村議員もその立場を十分に理解してか、強く反発することなく、多くの国民が共感するであろう持論と将来への懸念を述べるにとどまりました。
「死んだら元も子もない」という言葉の重み。 今後、この新しいルールのもとでどのような事態が発生するのかを注視しつつ、自転車に関する法律が現実の道路状況に即した、多くの国民にとってより良き方向に改善されていくことを切に願っております。

