大学入学共通テストも目前、あるいは指定校推薦ですでに進路が決まった高校3年生の皆さん、まずは本当にお疲れ様でした。 部活を引退し、受験勉強という重圧から解放され、今はこれからの卒業旅行や新生活に胸を躍らせている時期かと思います。
「バイトも始めたし、そろそろ免許でも取りに行こうかな」 「卒業式(3月頭)が終わってから、春休みに集中して通えば、4月の入学式には間に合うっしょ!」
もし今、あなたがそんな風に考えているのなら。 現役の教習所指導員として、心を鬼にして**「残酷な現実」**をお伝えしなければなりません。
そのスケジュール感では、4月の入学式には絶対に間に合いません。 免許がないまま大学生活がスタートし、慣れない講義とサークル活動の合間を縫って、土日だけ教習所に通う……そんな「負のループ」に陥る未来が確定しています。
なぜなら、2月・3月の教習所は、皆さんが想像しているような「学校」ではなく、**「予約争奪の戦場」だからです。 今回は、予約システムを知り尽くした「中の人」だからこそ話せる、この地獄を生き抜くための「警告」と、特別に「予約確保の裏ワザ」**を伝授します。
1. 予約システムの現実
まず、この時期の教習所がどれほど混雑するか、数字でイメージしてみましょう。
私たち指導員は、この時期、休みを返上して朝から晩まで教習車に乗り続けます。 それでも、高校生たちの圧倒的な数には勝てません。 地域にもよりますが、人気の教習所では**「入校手続き待ち」だけで数時間**、ひどい場合は**「入校制限(オーダーストップ)」**がかかることさえあります。
予約画面は常に「空きなし」
無事に入校できたとしても、次に立ちはだかるのが予約の壁です。 多くの教習所では、平等性を保つために「一度に持てる予約数」に制限を設けています(例:3時限〜6時限まで)。
この時期、スマホで予約画面を開いても、向こう1ヶ月先まで**「×(空きなし)」**が並んでいるのは当たり前。 運良く1つ予約が取れても、その次は2週間後……なんてことがザラにあります。 これでは、技能教習(AT車で最短31時限)を消化するのに何ヶ月かかるか分かりません。
「課金」の壁と、私の苦い思い出
そこで登場するのが、**「優先予約プラン(スピードコース等の有料オプション)」**です。 これに入れば、卒業までのスケジュールを一括で確保できたり、専用の予約枠を使えたりします。
しかし、このオプション料金が高い。 昨今の物価高や人件費高騰の影響もあり、最後まで優先予約ができるプランだと、教習料金にプラスして5万円〜15万円ほどかかるのが相場です。
「親が出してくれる」という恵まれた方は、迷わず課金してください。それが正解です。 しかし、自分でアルバイトをして教習代を稼いでいる方も多いでしょう。 私自身、18歳の頃は自分のバイト代(必死に貯めた30数万円)を握りしめて教習所に通いました。だからこそ、**「あと10万円払えば早く取れるよ」**と言われても、「そんな金、あるわけないだろ!」と絶望する気持ちが痛いほど分かります。
では、お金を使わずに、この「予約地獄」をどう攻略すればいいのか? ここからは、私が指導員として見てきた**「賢い教習生」が実践している2つの攻略法**をお教えします。
2. 攻略法①【根性編】:早起きは数万円の得「キャンセル待ち」
お金がないなら、体力と時間を使うしかありません。 最も原始的ですが、最も確実な方法。それが**「キャンセル待ち(キャン待ち)」**です。
これは、予約が取れていなくても朝イチで教習所に行き、「誰かが休んだら乗せてください」とキャンセル待ちの整理券を取得したりウェイティングリストに名前を書く方法です。
「31日通えば免許は取れる」理論
「そんなの、乗れるか分からないじゃん」と思うかもしれません。 しかし、現場の感覚で言うと、朝イチのキャンセル待ちは意外と乗れます。 特に冬の寒い朝、1限目(9時前後開始)の教習を寝坊や体調不良でドタキャンする人は必ずいます。
ライバルたちが温かい布団で「予約取れないな〜」とスマホを眺めている間に、冷たい風の中を自転車で教習所に来た人間だけが、その枠を勝ち取れるのです。
普通車AT限定の場合、技能教習は最短で31時限。 極端な話、**「31日間、毎朝早起きしてキャンセル待ちをする」**という根性さえあれば、高額なオプション料金を払わずとも、1ヶ月ちょっとで卒業できる計算になります。
※注意:教習所によっては「先着順」ではなく「抽選」の場合や、キャンセル待ちシステム自体がない場合もあります。事前に受付で確認しておきましょう。
3. 攻略法②【知能編】:中の人が教える禁断の「ハイエナ作戦」
「毎日早起きはキツイ」「家が遠い」 そんな君に教えるのが、予約システムの裏側を突いた**「ハイエナ作戦」**です。 これはあまり公にしたくないのですが……特別にお話ししましょう。
予約枠は「100%」公開されていない
実は、皆さんが見ているスマホの予約画面。あれが全ての空き状況ではありません。 多くの教習所では、指導員の急な体調不良や、車両のトラブルに備えて、あえて予約枠の一部(数%〜数割)をロックして(隠して)います。
指導員も人間です。インフルエンザにもかかれば、身内の不幸もあリます。 もし予約をパンパンに詰め込んでいて、指導員が一人休んだら? 代わりがおらず、教習中止(キャンセル)になってしまい、教習生に多大な迷惑をかけてしまいます。 それを防ぐために、余裕を持たせているのです。
狙い目は「開放のゴールデンタイム」
では、その隠された枠はどうなるのか? 「明日の指導員、全員元気に出勤できそうだな」 「急遽、休みだった指導員が出勤してくれることになった!」
こう確定したタイミングで、ロックされていた枠が一気に**「一般開放」されます。 教習所によって時間は異なりますが、私の経験上、多くの教習所では「夕方(17時〜18時頃)」**に翌日の枠調整を行う傾向があります。
具体的な戦術
- 予約を持たないでおく: 「2週間後の1時間」なんていう遠い予約を持っていると、システム上、明日の予約が取れないことがあります。思い切って手持ちの予約をゼロにしておきます。
- 夕方の「開放タイム」を特定する: 毎日スマホを見ていると、「あれ? 毎日17時半になると急に明日の枠が『△』になるな」という法則が見えてくるはずです。
- 更新ボタンを連打する(ハイエナになる): その時間になったら、獲物を狙うハイエナのごとく、予約画面の更新ボタンを連打します。 そして、ポッと空きが出た瞬間に、誰よりも早くタップして予約を確定させるのです。
この「ハイエナ作戦」と「キャンセル待ち」を組み合わせている教習生は、課金勢にも負けないスピードで教習を進めています。 ただ漫然と「空いてないかな〜」と見るのではなく、**「教習所側が枠を出すタイミング」**を読む。これが知能戦です。
4. 攻略法③【財力編】:社会人は迷わず「課金」せよ
ここまで、お金をかけない方法を紹介しましたが、もしこの記事を読んでいるのが「社会人」や「シフトがパンパンに入っているアルバイター」なら話は別です。
迷わず、一番高い有料オプションに入ってください。
キャンセル待ちやハイエナ作戦には、「時間」と「労力」が必要です。 あなたの時給が1,000円以上なら、教習所のロビーで3時間待機している間に3,000円稼げます。 5万円のオプション代なんて、その分働けばすぐに回収できるはずです。
「時は金なり」。 お金で解決できるストレスはお金で解決し、浮いた時間を仕事やプライベートに充てる。 教習所側としても、オプション料金をいただければ収益が上がり、設備投資や指導員の待遇改善に回せます。つまり、お互いにWin-Winなのです。
まとめ:1日遅れるごとに、卒業は1週間遅れると思え
脅すわけではありませんが、2月に入ると、高校3年生の入校ラッシュはピークに達します。 今、この瞬間に入校手続きをするのと、1週間後に手続きをするのでは、卒業できる時期が1ヶ月変わってくる可能性すらあります。
- お金があるなら「課金」で枠を買う。
- お金がないなら「根性(キャン待ち)」と「知能(ハイエナ)」で枠をもぎ取る。
どちらにせよ、のんびりしている暇はありません。 「卒業式が終わってから」なんて甘い考えは捨てて、今すぐ親御さんに相談し、入校手続きだけでも済ませてください。
4月の春風の中、免許証を持ってドライブに行く自分を想像して。 今だけは、必死になってみませんか? 現場でお待ちしています。
……ちなみに。 「教習所が混むのは2月・3月だけでしょ? 4月になれば空くよね?」 と思っているあなた。 実はそれも、大きな間違いかもしれません。
次回は、業界の常識を覆す**「実は教習所は年中繁忙期説」**について解説します。 お楽しみに。


