雨の日に傘を差して運転する、通勤中にイヤホンで音楽を聴く、スマホの地図アプリを見ながら走る……。 これらは街中でよく見かける自転車の風景ですが、**2026年5月まで(報道等では2026年4月頃)に導入される「青切符」制度によって、そのすべてが「お金(反則金)を払わなければならない行為」**へと変わります。
これまでは、警察官に見つかっても「次は気をつけて」という指導警告で済んでいたかもしれません。しかし、新制度導入後は、そうした「甘え」は通用しなくなります。
さらに注意が必要なのは、すべての違反が「お金を払えば済む(青切符)」わけではないという点です。特にスマートフォンやアルコールに関連する違反には、青切符すら許されない**「即・赤切符(刑事罰)」**という重い処分が待っています。
この記事では、自転車の青切符導入に先立ち、日常に潜む違反行為のボーダーラインと、それぞれのペナルティの重さを、警察庁の資料に基づき徹底的に解説します。
1. 要注意!「ながらスマホ」は青切符の中でも最高額?
2024年11月の道路交通法改正ですでに厳罰化された「ながらスマホ」ですが、2026年の青切符導入後は、その違反の程度によって**「青切符」と「赤切符」**に明確に振り分けられます。
① 「保持」なら青切符(反則金 約1万2,000円)
スマホを手に持って通話したり、画面をじっと見たりする行為(保持)は、青切符の対象となります。
- 対象行為: 通話はもちろん、画面を**注視(じっと見る)**する行為も違反です。
- 反則金: 検討されている反則金額は1万2,000円程度。これは、信号無視や一時不停止(5,000円〜6,000円程度)と比べても倍以上の金額であり、自転車の反則金の中では最も高額な部類になると予想されています。
「ちょっと通知を見ただけ」という軽い気持ちが、1万円以上の出費に直結するのです。
② 「交通の危険」なら赤切符(刑事罰)
もし、スマホを操作していて「ふらついた」「歩行者とぶつかりそうになった」「事故を起こした」という場合、もはや青切符では済みません。
- 処分: **赤切符(刑事手続き)**の対象となります。
- 罰則: 1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金。
「危険を生じさせた」と判断された瞬間、反則金制度の適用外となり、前科がつく可能性のある刑事処分のレールに乗せられます。
スマホホルダーならセーフ?
「手に持たなければいいんでしょ?」と、スマホホルダーに固定して運転する人も増えています。 確かに「保持」には当たりませんが、画面を**「注視」**すれば違反となります。ナビアプリなどを見ていて前方不注意になれば、安全運転義務違反や、上記のような重大な事故につながるリスクがあります。ホルダーがあるからといって、画面を見続けて良いわけではないことを肝に銘じましょう。
2. 「傘さし・イヤホン」は5,000円?都道府県ルールの厳格化
「傘さし運転」や「イヤホン運転」は、道路交通法そのものではなく、各都道府県の公安委員会規則で禁止されていることが多い違反です(公安委員会遵守事項違反)。これらも今回、明確に青切符の対象として整理されました。
どちらも青切符(反則金 約5,000円)の対象
これまでは「地域によって厳しさが違う」「注意で終わることが多い」という印象でしたが、青切符導入後は全国的に取締りが強化されるでしょう。
- 反則金: 5,000円程度が見込まれています。
イヤホン運転の基準:「周りの音が聞こえない」
イヤホンやヘッドホンを使用して音楽などを聴く行為は、「安全な運転に必要な音や声が聞こえない状態」であることが違反の基準です。
- ノイズキャンセリング: 周囲の音を遮断するため、確実に違反問われる可能性が高いです。
- 片耳・骨伝導: 「塞いでいないからOK」とする地域もあれば、条例で厳しく規制している地域もあります。警察官に現場で「聞こえていない」と判断されれば切符を切られるリスクがあるため、使用しないのが最も無難です。
傘さし運転:「固定」でもNGな場合も
雨の日の傘さし運転は、片手運転となりブレーキ操作やハンドル操作が不安定になるため、大変危険です。
- 手持ち: 完全にアウトです。
- 固定器具(さすべえ等): 大阪など一部の地域では認められていますが、禁止している都道府県も多くあります。また、風にあおられて転倒するリスクもあるため、使用は推奨されません。
3. 信号無視・逆走・一時不停止の「うっかり違反」
「みんなやってるから」「自転車だから関係ない」と思われがちな基本的なルール違反こそ、今回の青切符導入で最も検挙数が増えると予想される分野です。
定番の違反と反則金目安
以下の違反は、すべて青切符の対象です。
- 信号無視:6,000円程度
- 車道の信号が赤なら、自転車も止まらなければなりません(歩車分離式を除く)。
- 指定場所一時不停止:5,000円程度
- 「止まれ」の標識がある場所では、足を着いて完全に停止し、安全確認をする義務があります。徐行で抜けるのは違反です。
- 通行区分違反(右側通行・逆走):6,000円程度
- 自転車は「車の仲間」なので、左側通行が鉄則です。右側の路側帯を走ったり、車道の右端を走ったりする行為は「逆走」として検挙されます。
- 歩道徐行等義務違反:3,000円程度
- 歩道を走る際、歩行者の通行を妨げたり、徐行(すぐに止まれる速度)しなかったりした場合も対象です。
「今までは見逃されていた」という甘えは、2026年からは通用しません。これらの「うっかり違反」の積み重ねが、財布を直撃することになります。
4. 【別枠】絶対に青切符では済まされない「レッドカード」
最後に、青切符(反則金)という救済措置すら用意されていない、絶対に行ってはならない違反について触れておきます。これらは即座に**赤切符(刑事手続き)**となります。
① 酒気帯び運転(2024年11月〜厳罰化済み)
お酒を飲んで自転車に乗る行為は、青切符の対象外です。
- 酒酔い運転: 5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金。
- 酒気帯び運転: 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金。
飲み会の帰りに「自転車ならいいか」と乗ってしまうと、一発で前科がつくリスクがあります。
② モペット(ペダル付き原付)の無謀運転
最近街でよく見かける、ペダルを漕がずに進む「モペット(フル電動自転車)」。 これは自転車ではなく**「原付バイク」**です。
- ナンバープレートがない
- 自賠責保険に入っていない
- ヘルメットをかぶっていない
- 免許を持っていない
これらで公道を走れば、自転車の青切符どころの話ではありません。**「無免許運転」「無保険運行」**などの重罪で逮捕される可能性があります。自転車のふりをして歩道を走ることは絶対にやめましょう。
まとめ:青切符は「ルールを守る人」を守る制度
2026年の青切符導入は、「お金を払えばいい」という制度ではありません。「ルールを守らないと損をする」仕組みを作ることで、真面目にルールを守っている歩行者や他の自転車利用者を守るためのものです。
- スマホやイヤホン、傘さしは**「数千円〜1万円超の出費」**になる。
- 酒気帯びや危険なスマホ利用は**「前科」**のリスクがある。
この事実を知った今が、運転習慣を変えるチャンスです。2026年を待たず、今日から「ながら運転」の癖を直し、安全な自転車ライフを始めましょう。


