🚧 トンネル内で追い越しは違反?「車両通行帯あり/なし」の法則と追い越し・追い抜きの法的違いを徹底解説

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学科試験問題集
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運転の学科試験に挑戦!追い越しルールの最難関「場所による制限」

自動車の運転において、他の車両の「前へ出る」行為は日常的に行われますが、それが**「追い越し(おいこし)」なのか「追い抜き(おいぬき)」なのかによって、法律上の扱いは全く異なります。特に、トンネルや交差点といった場所では、一瞬の判断ミスが重大な違反や事故**に直結します。

今回のテーマは、学科試験で多くの受験生が混乱する「トンネル内の追い越し」のルールです。追い越しの可否が**「車両通行帯の有無」**によって決まる、その法的根拠と、命を守るための安全思想を、徹底的に解説します。


1. 問題と回答:トンネル内の追い越しルール

まずは、今回のテーマとなる問題と、その答えを確認しましょう。

問題:「トンネル内で他の車両を追い越すことができるのは、車両通行帯があるときだけである。」

さて、この行動は

⭕️ 正しい(その通りである) ❌ 誤り(常時禁止されている)

答え:⭕️ 正しい。トンネルの特性を考慮した例外規定

正解は ⭕️ 正しい です。

道路交通法は、トンネル内を**「追い越し禁止場所」として定めていますが、「車両通行帯(車線)が設けられている場合」に限り、その追い越しを例外的に許可**しています。この特例の裏には、追い越し行為に伴う「危険性の度合い」を場所の構造によって判断するという、日本の法規の緻密さがあります。


2. 解説:追い越しと追い抜きの決定的な違い

トンネル内のルールを理解する上で、最も重要なのが**「追い越し(Overtaking)」「追い抜き(Passing)」**という二つの行為の明確な区別です。

2-1. 追い越しと追い抜きの定義

行為定義法的ポイント
追い越し**進路を変更して、**進行中の前の車の前方に出ること。**進路変更(右側部分へのはみ出し等)**が伴う、より危険な行為。
追い抜き**進路を変更せずに、**進行中の前の車の前方に出ること。車両通行帯(車線)が複数ある道路で、自車線内で前の車を抜き去る行為。

この定義に基づくと、「追い越し禁止」の規制はかかっていても、「追い抜き」は禁止されていない場所が数多く存在します。トンネル内もまさにその一つです。

2-2. 「車両通行帯がある」ことの法的意味

道路交通法における**「車両通行帯がある」道路とは、片側に2車線以上の車線**が区画線(白線や黄線)によって引かれている道路のことを指します。

この車両通行帯の有無が、追い越しの可否を分ける最大の理由です。

  • 車両通行帯がない場合(片側1車線): 追い越しをするためには、必ず対向車線側へはみ出す必要があります。
  • 車両通行帯がある場合(片側2車線以上): 追い越しは、自車線の右隣の車線で行うため、対向車線にはみ出す必要がありません

[🔎 黄色い線をはみ出さずに原付を追い越せるか(https://online-ds.jp/2025/10/21/no-overtaking-sign-moped/)]


3. なぜ「車両通行帯がないトンネル内」では追い越しが禁止されるのか?

今回の問題の核心、すなわち**「なぜ、トンネル内では車両通行帯がないと追い越しできないのか」**という理由には、トンネルという環境が持つ特有の危険性が関係しています。

3-1. 禁止の法的根拠:道路交通法第30条

道路交通法第30条は、以下の場所での追い越しを原則として禁止しています。

トンネル(車両通行帯が設けられている場合を除く)

この規定により、トンネル内は、追い越し行為自体が他の場所より一層の危険を伴うと判断されています。

3-2. トンネルが追い越しを危険にする3つの理由

車両通行帯がない片側1車線のトンネルで追い越し(対向車線へのはみ出し)が禁止されるのは、以下の安全上の理由によります。

  1. 視界の悪さ(薄暗さ): トンネル内部は昼間でも薄暗く、特にカーブの多いトンネルでは、対向車の存在や、対向車線が空いているかどうかの判断が遅れます
  2. 逃げ場のなさ(路肩の狭さ): トンネルの壁ギリギリまで車線が引かれていることが多く、路肩や退避スペースがほとんどありません。万が一、対向車が来たり、追い越し中に前の車が急ブレーキを踏んだりした場合、回避行動が不可能になります。
  3. 空気の流れ(不安定性): 大型車が高速で通過する際の風圧や、トンネル内の閉鎖的な空気の流れが、車両、特に二輪車の走行を不安定にさせるため、進路変更(追い越し)は極めて危険です。

これらの理由から、対向車線にはみ出す追い越しは、「車両通行帯の設置」という安全策がなければ、一律に禁止されるのです。


4. 追い越しに関する違反と罰則

追い越し禁止場所での違反は、安全意識の欠如と見なされ、比較的重い罰則が科せられます。

4-1. 追い越し禁止場所違反の罰則

トンネル内やその他の追い越し禁止場所で追い越しを行った場合、**「追い越し違反」**が適用されます。

違反区分追い越し禁止場所違反
違反点数2点
反則金(普通車)9,000円

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4-2. 複合違反と二重追い越しの禁止

追い越し行為は、複合的な違反に繋がりやすいのが特徴です。

  • 二重追い越し: 2台以上の車両が連なって追い越しを試みたり、追い越している車をさらに追い越したりする行為は**「二重追い越し」**として明確に禁止されています。これは交通の流れを著しく乱し、非常に危険です。
  • 右側部分はみ出し禁止違反: 「追い越し禁止」の標識がなくても、センターラインが黄色の実線である場合、追い越しのために右側部分へはみ出すと**「追い越しのための右側部分はみ出し禁止違反」**となります。

法規を遵守するだけでなく、少しでも不安を感じたら追い越しを控えるという安全運転義務が、最も重要です。


5. その他の追い越し禁止場所の網羅と暗記法

トンネル内と並び、学科試験で頻出する「追い越し禁止場所」を網羅的に理解することは必須です。これらの場所は、すべて**「視界不良」または「危険予測の必要性」**という共通の理由で禁止されています。

5-1. 追い越し禁止場所(暗記法で覚える)

標識等で個別に指定される場所を除いた、道路交通法で定められている追い越し禁止場所は、以下の7箇所と道路標識や道路標示により追い越しが禁止されている場所です。

語呂合わせ項目追い越しが禁止される場所根拠となる危険
曲がり角曲がり角付近対向車や歩行者の見落とし
勾配の下り坂勾配の急な下り坂加速による速度超過と車体の不安定化
トンネルトンネル視界不良と回避場所の不足
上り坂の頂上上り坂の頂上付近対向車線と前方の視界不良
30日30メートル以下 30メートル以内
交差点交差点内とその手前30m交通流の錯綜と事故リスク
横断歩道横断歩道自転車横断帯とその手前 30メートル以内歩行者保護の最優先
踏切踏切とその手前 30メートル以内電車との接触や渋滞のリスク

追い越し禁止場所の語呂合わせ

これらの場所を覚えるための語呂合わせは、以下の通りです。

「マコトの 免許 30日交付」:曲がり角、:勾配の急な下り坂、:トンネル、:上り坂の頂上付近、30日:30メートル、:交差点、:横断歩道・自転車横断帯、:踏切)

5-2. 禁止場所における例外規定の理解

追い越し禁止場所には、例外的に追い越しができるケースがあります。

  • 上り坂の頂上付近・急な下り坂: これらの場所で追い越しが禁止されるのは**「視界が悪い」**ためです。詳細なルールは以下の記事で確認してください。
  • 交差点とその手前30m以内:
    • 例外: 自分が優先道路を走行している場合、その交差点内での追い越しは禁止されません。
    • ただし、優先道路であっても、横断歩道や踏切の手前30m以内であれば、追い越しは禁止されます。
    • 優先道路での追い越しについて(https://online-ds.jp/2025/10/10/priority-road-overtaking-rule/

6. まとめ:安全のための「追い越し」判断基準

今回の「トンネル内の追い越し」に関する問題は、「追い越し」と「追い抜き」の定義、そして**「場所の特性」**が絡み合う、非常に複雑なテーマでした。

  • 追い越しと追い抜きの違い: 進路変更を伴う追い越しは規制の対象、進路変更を伴わない追い抜きは規制の対象外。
  • トンネル内の結論:
    • 車両通行帯がない(片側1車線): 対向車線へのはみ出しを伴うため、追い越し禁止(❌違反)。
    • 車両通行帯がある(片側2車線以上): 対向車線へのはみ出しがないため、追い越し許可(⭕️可能)。

しかし、プロのドライバーは、**「法的に可能かどうか」だけでなく、「安全に可能かどうか」**で判断します。トンネル内の走行は、車線がある場合でも視界や空気の流れなど、常に予測不能な要素を含みます。

安全運転の徹底のため、追い越しが禁止されていない場所であっても、少しでも不安があれば追い越しを控え、**追い抜き(進路変更を伴わない車線内の追い越し)**に留めるという意識が、あなたの命と他者の命を守ります。

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