問題
「上り坂の頂上付近やこう配の急な下り坂では、自動車や原動機付自転車を追い越したり追い抜いたりしてはならない。」
答え
答え:×(バツ)
解説
道路交通法には「追い越し」と「追い抜き」という似て非なる言葉があります。
- 追い越し:進路を変えて前の車の前に出る行為
- 追い抜き:進路を変えずにそのまま前に出る行為
上り坂の頂上付近や急な下り坂など、見通しが悪く危険な場所では「追い越し」が禁止されています。
しかし、「追い抜き」は禁止されていません。
したがって問題文の「追い越したり追い抜いたりしてはならない」という表現は不正確であり、正解は❌となります。
追い越しとは
「追い越し」とは、進路を変えて進行中の車の前に出ることをいいます。
例:
- 前を走る車を右に車線変更して抜き、その前に入る行為
一方で、駐車車両や工事などで止まっているものを避けるのは「追い越し」には当たりません。
また、駐車車両や工事車両を避けるときは、黄色い中央線をはみ出しても対向車に支障がなければ通行可能です。
追い越しを禁止する場所
道路交通法第30条には「追い越し禁止場所」が明確に定められています。以下に整理します。
1. 標識により追い越しが禁止されている場所
「追越し禁止」の標識がある場合、進路を変えて他の自動車や原付を抜いてはいけません。
2. 道路の曲がり角付近
視界が悪く対向車が突然現れる危険があるため。
3. 上り坂の頂上付近
前方が見えず、対向車の存在を確認できないため。
4. 勾配の急な下り坂
ブレーキが効きにくくなる場合があり、制御を失って事故につながりやすいため。
※勾配が急とは、
水平距離100メートルに対して10メートル登る(または下る)坂が、勾配率10%の急な坂となります。
5. トンネル(車両通行帯がある場合を除く)
逃げ場がなく、対向車と衝突の危険性が極めて高い。
6. 交差点とその手前30メートル以内(優先道路を通行している場合は除く)
交差点は出会い頭の事故リスクが高いため。
7. 踏切とその手前30メートル以内
見通しが悪く、列車接近時に大事故につながる恐れがあるため。
8. 横断歩道や自転車横断帯とその手前30メートル以内(ここは追い抜きも禁止)
歩行者や自転車を巻き込む事故を防ぐため。
【暗記のコツ】追い越し禁止場所の語呂合わせ
暗記項目が多い「追い越し禁止場所」ですが、語呂合わせを使えば記憶しやすくなります。
「まことの 免許 30日交付」
- マ → 曲がり角付近
- コ → 勾配の急な下り坂
- ト → トンネル
- ノ → 上り坂の頂上付近
- 免許 → 暗記の象徴
- 30日 → 30メートル以内(これより下の項目は手前30mに該当する場所です)
- コ → 交差点
- オ → 横断歩道・自転車横断帯
- フ → 踏切
これでほとんどの禁止場所を網羅できます。
標識の違い

追越し禁止の標識
- 赤い丸に斜線のアイコン
- 「自動車や原付」を追い越すために進路変更する行為が禁止
- ただし、自転車や軽車両は追い越し可能
追越しのための右側部分はみ出し通行禁止の標識
- 黄色い中央線と併用されるケースが多い
- 中央線を越えて右にはみ出しての追い越しが禁止される
- 軽車両の追い越しであっても、黄色線をはみ出す行為は違反
路上試験での注意点
実際の試験でよく見られる失敗に、次のようなものがあります。
- 黄色の中央線をはみ出して自転車を追い越す
→ これは「はみ出し通行禁止」に違反し、その場で試験中止となることもあります。
試験官が特に注意深く見ているポイントなので、練習時から意識しておく必要があります。
追い越しと追い抜きの違い
ここでもう一度整理しておきましょう。
- 追い越し:進路を変えて前に出る(禁止場所が多数)
- 追い抜き:進路を変えずに前に出る(禁止は少ない)
学科試験では「追い越しと追い抜きの違い」を混同させる出題が多いので要注意です。
まとめ
- 上り坂の頂上付近や急な下り坂では「追い越しは禁止」だが「追い抜きは禁止されていない」
- 追い越し禁止場所は全部で8つ+標識あり
- 語呂合わせ「まことの免許30日交付」で暗記すると便利
- 「追越し禁止」と「はみ出し追越し禁止」の標識の違いを理解する
- 試験でも実際の運転でも、中央線をはみ出す追い越しは特に要注意
交通ルールの正しい理解は試験合格だけでなく、日常の安全運転にも直結します。
繰り返し復習して、確実に身につけておきましょう。


