少しずつ暖かくなり、いよいよ春の足音が聞こえてきましたね。3月〜4月にかけては、高校を卒業して教習所に通い始める方や、ツーリングのベストシーズンに向けてバイクに乗りたくなる方が一気に増える季節です。
これから初めて運転免許を取ろうと考えている皆さん、そしてその親御さん。 「まずは車の免許を取ってから、余裕があったらバイクも…」なんて、世間の常識にとらわれていませんか?
今回は、現役指導員である私が**「初めてなら、絶対にバイク(自動二輪)の免許から先に取るべき!」**と強く推す理由と、教習所のシステムに隠された裏ワザ的なメリットについて熱く解説します。
1. 春の免許シーズン、常識を疑え!
「とりあえず車の免許」という考え方は、決して間違いではありません。就職活動などでも四輪の免許は必須になることが多いですからね。
しかし、もしあなたが「いずれはバイクにも乗りたい」と少しでも思っているなら、取得する順番を逆にするだけで、時間も労力も、そして運転技術の質までもが劇的に変わるという事実をご存知でしょうか?
教習所のシステムを熟知しているプロの目線から、なぜ「バイクが先」なのか、その4つの理由を論理的に紐解いていきましょう。
2. 理由①:試験の回数が減って「ラク」になるカラクリ
何も免許を持っていない(または原付免許だけ持っている)方が教習所に通う場合、立ちはだかるのが数々の「試験」です。実は、車とバイクのどちらを先に取るかで、この試験の回数が大きく変わります。
【車を先に取る場合(計7回の試験)】
- 車:仮免前効果測定(学科の模擬試験)
- 車:修了検定(仮免許を取るための実技試験)
- 車:仮免学科試験(仮免許を取るための本番学科試験)
- 車:卒検前効果測定(卒業前の学科模擬試験)
- 車:卒業検定(教習所を卒業するための実技試験)
- 車:本免学科試験(試験場で受ける最後の学科試験)
- その後、バイク:卒業検定(実技のみ)
【バイクを先に取る場合(計5回の試験)】
- バイク:卒検前効果測定(学科の模擬試験)
- バイク:卒業検定(実技試験)
- バイク:本免学科試験(試験場で受ける最後の学科試験)
- その後、車:修了検定(仮免許を取るための実技試験)
- その後、車:卒業検定(実技試験)
お分かりいただけたでしょうか? バイクの免許を先に取ってしまえば、一番の難関とも言える車の教習第一段階での**「仮免前効果測定」と「仮免学科試験」が免除**されるのです。 試験の回数が2回減るだけで、精神的なプレッシャーとスケジュール管理の負担は驚くほど軽くなります。これが一つ目の大きなカラクリです。
3. 理由②:教習所通いの「足」問題が解決する
教習所に通う期間(時限数)を比べると、圧倒的に車の教習の方が長いです。 もし、ご自宅から教習所までそこそこ距離があり、移動手段が自転車かバス・電車しかない場合、長い期間にわたって車校(教習所)に通い続けるのは意外と過酷です。
さらに、多くの教習所では「車での通学禁止(駐車場がない等の理由)」というルールがありますが、バイクや自転車なら駐輪場が用意されていることがほとんどです。
つまり、比較的短い教習期間で済むバイクの免許を先に取ってしまえば、その後の長丁場となる車の教習には**「マイバイク」という最強の足**を使って通学できるようになります。 送迎バスの時間を気にすることなく、自分の都合に合わせて自由に動ける機動力は、教習所ライフを劇的に快適にしてくれます。
4. 理由③:車の運転の上達スピードが「爆速」になる
そして、ここからが指導員としての本音です。
車の運転とバイクの運転、どちらが難しいと思いますか? 私は、特性上**「バイクの方が圧倒的に難しい」と考えています。 車は基本的に「走る・曲がる・止まる」の操作ですが、二輪車にはそこに「バランスを取る」**という非常に高度な身体感覚が加わるからです。
この難易度の高いバイクの操作を先にマスターしている人は、車の路上教習に出た時の上達スピードが文字通り「爆速」です。
私たち指導員は、運転が苦手な教習生に対しては、どうしても「基本操作」や「安全確認の抜け漏れ」を指摘・指導することで精一杯になってしまいます。 しかし、バイク免許持ちで心に余裕がある教習生に対しては、そのような基本指導は最小限で済みます。その分、**「さらに上手く、スムーズに走るための裏ワザ」や「より深い道路環境の知識」「危険予測の応用」**など、ワンランク上の質の高い教習を提供することができるのです。
結果として、同じ教習料金を払っていても、身につく知識と技術の深さに大きな差が生まれます。
5. 理由④:相乗効果が命を救う。「車の方が危険」という真実
最後の理由は、皆さんの「命」に関わる最も重要な話です。 私の一番のおすすめは、順番はどうあれ**「車とバイク、両方の免許を取ること」**です。
以前の記事で、交差点における「右直事故」の恐怖や、相手の心理を読むことの重要性をお話ししました。 【右直事故】バイク錯覚とサンキュー事故の恐怖!一瞬の「茨城ダッシュ」が奪う命
車しか運転しない人は、どうしても「車からの視点」でしか道路を見ることができません。 しかし、自分でバイクに乗ってみると、**「車からバイクがどう見えているか」「すり抜けの恐怖」「Aピラーの死角の恐ろしさ」「体感速度と実際のスピードの違い」**が、痛いほどよく分かるようになります。
お互いの視点と心理を知っているドライバーは、交差点や車線変更での安全確認の質が全く違います。この相乗効果こそが、悲惨な事故からあなたや誰かの命を救うのです。
世間ではよく「バイクは体が剥き出しで危険な乗り物だ」と言われ、親御さんも免許取得を反対しがちです。 しかし、指導員である私は全く逆の考えを持っています。簡単に他者の命を奪い去ることができる**「車の方が、はるかに危険な乗り物である」**と。
なぜ車の方が危険なのか? その深い理由については、また次回の記事でじっくりと掘り下げていきたいと思います。
これから免許を取る皆さん、ぜひ「バイクから」という選択肢を、真剣に検討してみてくださいね!


