1. 導入:その「追い越し」、実は「追い抜き」かも?
前回の記事(【追いつかれた車両の義務】追越車線を走り続けるのってダメなの知ってた?…)では、右側車線のルールをお話ししましたが、今回はその手前の基本、「追い越し」そのものについてです。
実は、前の車の前に出る行為には、2つの種類があります。
① 追い越し
車が進路を変えて、進行中の前の車の側方を通過して、その前方に出ること。 ポイントは**「進路変更(車線変更)」を伴う**という点です。ウインカーを出して、ラインをまたいで抜く行為ですね。
② 追い抜き
車が進路を変えないで、進行中の前方の車の前方に出ること。 例えば、片側2車線の道路で、右側車線の車が遅く、左側車線を走っているあなたがそのまま(車線を変えずに)前に出ること。これは「追い抜き」です。
Q. バイクのすり抜けはどっち?
よく見かけるバイクのすり抜け。 もし、バイクがウインカーを出して車の右や左にラインをまたいで出て行けば**「追い越し」です。 逆に、左側の広いスペースを、ラインをまたがずに直進して前に出るなら「追い抜き」**になります。
※ただし、左側からの「追い越し」は禁止されていますが、「追い抜き」なら違反にならないケースもあります(が、死角に入りやすく非常に危険なので、指導員としては推奨しません!)。
2. やってはいけない!「二重追い越し」の境界線
「追い越し」は、対向車線にはみ出すこともあり、事故のリスクが高い行為です。 そのため、以下の状況では禁止されています。
- 二重追い越しの禁止(追い越しをしようとしている車を追い越すこと)
- ここが試験の罠! 前の車が「自動車」を追い越そうとしている時はNGですが、前の車が**「原付」や「軽車両(自転車など)」を追い越そうとしている時に、それをさらに追い越すのはOK**です。
- 前の車が右折などのために右側に進路を変えようとしている時 (右に行こうとしている車の右側を通ったら衝突しますよね)
- 対向車や路面電車の妨害になる時 (当たり前ですが、無理な追い越しは正面衝突の元です)
- 追い越した後に左に戻れない時 (対向車線が工事中だったり、左側に駐車車両がある場合など)
- 後ろの車が自分を追い越そうとしている時 (意地悪をして加速してはいけません。譲りましょう)
3. 試験に出る呪文!「ドコノフオトコ」とは?
次は「場所」による禁止です。 これらは学科試験で本当によく出ます。丸暗記は大変なので、最強の語呂合わせ**「ドコノフオトコ(どこの不男?)」**で覚えましょう。
- ド:道路の曲がり角付近 (見通しが悪いので危険)
- コ:勾配の急な下り坂 (スピードが出過ぎて危険)
- ノ:(上り坂の)頂上付近 (対向車が見えないので危険)
- フ:踏切とその手前から30m以内の場所
- オ:横断歩道・自転車横断帯とその手前から30m以内の場所 (歩行者がいるかもしれません。ここでは追い越しだけでなく「追い抜き」も禁止です!)
- ト:トンネル (※ただし、車両通行帯=白い線がある場合は追い越しOKです。ここも試験に出ます!)
- コ:交差点とその手前から30m以内の場所 (※優先道路を走っている場合などは例外あり)
ちなみに、以前の記事(【学科試験の罠】「徐行」=「ゆっくり走る」は大間違い?…)で紹介した徐行場所の覚え方**「ドコノコ」**と混同しないように注意してくださいね。
- 徐行は「ドコノコ」
- 追い越し禁止は「ドコノフオトコ」 です!
4. 白い実線はまたいでいい?センターラインの真実
最後に、多くのドライバーが勘違いしている「センターライン」の意味です。 「はみ出し通行禁止」の標識がない場所でも、線の色と種類でルールが決まっています。
① 黄色の実線
「右側へのはみ出し追い越し禁止」 これは皆さんご存知ですよね。追い越しのための、はみ出しは絶対NGです。
② 白色の破線(点線)
「右側へのはみ出しての追い越しOK」 道路の左側部分の幅が6m未満の狭い道路に引かれます。対向車に注意して、はみ出して追い越しが可能です。
③ 白色の実線【超重要】
ここが一番の勘違いポイントです。 道路の左側部分の幅が6m以上ある広い道路に引かれます。
- ルール: 「はみ出さなければ追い越しOK」。しかし、「右側へはみ出しての追い越しは禁止」。
- 理由: 左側の幅が6m以上もあるんだから、はみ出す必要はないですよね?ということです。
「白い線だからはみ出していい」と思っていると、警察に止められます。 「白い実線でも、はみ出し禁止」。これは絶対に覚えておいてください。
複合ラインの謎
- 白と黄色の2本線: 自分が走っている側の線の色に従います。自分側が白ならはみ出しOK、黄色ならNGです。
- 3本線(黄・白・黄など): これは強調表示です。絶対にどちら側からでもはみ出してはいけません。
- 黄色矢印標示: 線の色が白から黄色に変わる手前で、「この先からはみ出し禁止になるよ」という予告です。追い越しを諦めて元の車線に戻りましょう。
5. まとめと次回予告
いかがでしたか? 「追い越し」と「追い抜き」の違いや、センターラインのルール。 曖昧なままハンドルを握っていると、知らず知らずのうちに違反を犯し、最悪の場合は事故に繋がります。
「ドコノフオトコ」の呪文を唱えて、危険な場所での追い越しは絶対にやめましょう。
さて、ルールは分かりました。 では、実際に路上で進路変更や追い越しをする時、具体的にどのタイミングでハンドルを切ればいいのでしょうか?
次回は、安全な運転行動の決定版。 **「安全な追い越しや進路変更の方法(3秒・30mのルール)」**について、分かりやすく解説します。お楽しみに!


