今日は、学科試験の最頻出テーマであり、実技検定(修了検定・卒業検定)でも多くの受験生を一発アウトに近い状態に追い込むこともある**「徐行(じょこう)」**について徹底解説します。
「徐行? ゆっくり走ることでしょ?」 その認識のままだと、試験には落ちますし、万が一の時に事故を起こします。
今回は、意外と深い「徐行」の定義と、試験に出る「ひっかけ問題」、そして検定合格のためのポイントをお話しします。
1. 導入:「徐行」の定義、言えますか?
まず、単刀直入に聞きます。「徐行」とは何ですか? 多くの人が「時速10km以下で走ること」と答えますが、それは50点です。
道路交通法における正しい定義はこれです。 「車が直ちに停止できる速度で進行すること」
具体的には、以下の2つの条件が両方揃っていないと徐行とは認められません。
- 時速10km以下であること
- ブレーキをかけて1m以内で停止できる状態であること
心のブレーキが効いていないとダメ
例えば、あなたが時速8kmのノロノロ運転をしていたとします。速度は徐行の範囲内です。 しかし、歩道を歩いている**「とてつもなく好みの異性(イケメンや美女)」**に目を奪われ、「うわ〜、いいな〜」と見とれていたとしたらどうでしょう?
その瞬間、子供が飛び出してきたら、あなたは「1m以内」で止まれますか? 絶対に無理ですよね。反応が遅れて、数メートル進んでしまうでしょう。
つまり、いくら速度が遅くても、心が停止の準備をしていない状態(よそ見や漫然運転)は「徐行」ではないのです。 徐行とは、速度だけでなく、**「いつでも止まれる心構え」**のことだと覚えておいてください。
2. 試験に出る!「徐行すべき場所」と覚え方
次に、法律で決まっている「ここは危ないから絶対に徐行しなさい」という場所です。 学科試験では、ここが本当によく出ます。
語呂合わせで一発で覚えましょう。その名も**「ドコノコ」**です。
「ドコノコ」徐行
- ド:道路の曲がり角付近 見通しが良くても悪くても、カーブの手前は徐行です。
- コ:左右の見通しが効かない交差点 (※ただし、信号機がある場合や、自分が優先道路を走っている場合は徐行しなくてOK)
- ノ:(上り坂の)頂上付近 先が見えないため、何があるか分からないからです。
- コ:勾配の急な下り坂 スピードが出すぎて止まれなくなる恐れがあるからです。
【超重要】なぜ「上り坂」は徐行じゃないの?
ここで試験によく出る「ひっかけ問題」があります。
問題: 「勾配の急な上り坂」は徐行場所である。マルかバツか? 答え: バツです。
なぜ「下り坂」は徐行なのに、「上り坂」は徐行しなくていいのか。 理由は簡単、重力です。 上り坂は、アクセルを離せば勝手に速度が落ちて止まりますよね? ブレーキが非常によく効く状態なので、わざわざ法律で「徐行しろ」と縛る必要がないのです。 逆に下り坂は、放っておくと加速してしまうため、意識的にブレーキを踏んで徐行する必要があります。
※ちなみに「勾配が急」とは、勾配率10%以上(100m進んで10m以上上るか下るか)の坂を指します。
注意点! 「駐停車禁止場所」のルールでは、「勾配の急な坂(上りも下りも)」が含まれます。ここと混同しないように整理しておきましょう。
3. その他、徐行しなければならない11の場面
場所だけでなく、「こういう状況になったら徐行しなさい」というルールもたくさんあります。 これらは全て、歩行者保護や事故防止のための**「優しさ」**が求められる場面です。
- 許可を受けて歩行者用道路を通行するとき (歩行者の聖域にお邪魔しているので当然です)
- 歩行者など(自転車含む)の側方を通過するときに安全な間隔がない場合 (間隔が空けられないなら、スピードを落とすしかありません)
- 道路外に出るために右折または左折するとき (お店の駐車場に入る時など)
- 歩行者のいる安全地帯の側方を通過する時
- 安全地帯がある停留所で、停車中の路面電車の側方を通過する時 (飛び出しに注意!)
- 安全地帯がある停留所で、乗降客がなく、路面電車との間に1.5m以上の間隔が取れる場合 (本来は一時停止ですが、条件を満たせば徐行でOK)
- 交差点で右折または左折をするとき (巻き込み事故防止のため)
- 優先道路、または幅の広い道路に入ろうとする時 (出会い頭の事故防止)
- ぬかるみや、水たまりのある場所を通行するとき (泥はね運転は違反です。歩行者に水をかけないように!)
- 体の不自由な人、通行に支障のある高齢者や児童、幼児の通行を保護するとき
- 児童・幼児などの乗降のため停車中の通学通園バスの側方を通過する時
これらを丸暗記するのは大変ですが、共通しているのは**「弱者への配慮」と「死角への警戒」**です。
4. 検定中止の危機!徐行違反のペナルティ
最後に、これから免許を取る皆さんにとって一番怖い話をします。 一般道で徐行違反をして捕まると反則金などが科せられますが、教習所の中ではもっと恐ろしいことが起きます。
それは、修了検定・卒業検定での減点です。 検定中に徐行すべき場所(見通しの悪い交差点など)で徐行しなかった場合、 減点数は「20点」です。
検定は100点持ち点でスタートし、70点以上残っていないと合格できません。 つまり、徐行違反を1回やった時点で、持ち点は残り80点。 あと1つ、方向指示器を出し忘れたり、確認を怠ったり(小ミス:5点や10点)しただけで、即不合格となります。
特に多いのが、**「見通しの悪い交差点」**を漫然と通過してしまうケース。 「あ、徐行忘れた!」と気づいた時には、もう検定員のペンが動いています。 たった一度の「減速不足」が、検定中止への入り口になってしまうのです。
まとめ:徐行は「臆病」ではなく「最強の防御」
「いちいち徐行するのは面倒くさい」 「後ろの車に急かされそう」
そう思うかもしれませんが、徐行は決して「臆病な運転」ではありません。 何かあった時に確実に止まれる=絶対に事故を起こさないという、ドライバーにとっての**「最強の防御」**なのです。
学科試験を受ける人は、合言葉**「ドコノコ」**を忘れずに。 実技検定を受ける人は、見通しの悪い交差点が見えたら「チャンス!」と思って、しっかりとブレーキを踏んでアピールしてください。
正しい徐行で、一発合格を目指しましょう!


