運転の学科試験に挑戦!高速道路での命を守る行動とは
高速道路を走行中、突然の故障や事故に遭遇した場合、あなたはどのように行動すべきでしょうか? 一般道路とは比べ物にならない高速度で交通が流れる高速道路上での停車・駐車は、法令で厳しく禁止されています(道路交通法第75条の8)。
しかし、故障などのやむを得ない事情で停車せざるを得ないとき、「車内に留まって救援を待つ」という行動は、実は命に関わる最大の危険行為となります。高速度での追突事故は、停車中の車両を瞬時に大破させ、乗員に致命的な二次被害をもたらすからです。
本記事では、高速道路上での安全を確保するための初期対応手順を網羅し、**「二次被害の防止が最優先である」**という原則を徹底的に解説します。
1. 問題提起と回答:車内待機は最も危険な行為
まずは、高速道路での緊急停車に関する、命に関わる問題を見てみましょう。
問題:「高速道路上で、故障などによりやむを得ず駐車する場合は、必要な危険防止措置をとった後、車外で待つのは危険なので車に乗って救援車を待つのがよい。」
さて、この内容は
⭕️ 正しい ❌ 誤り
答え:❌ 誤り(二次被害防止のため車外避難が原則)
正解は ❌ 誤り です。
高速道路上で最も危険な行為は、停車中の車内に留まることです。必要な危険防止措置をとった後、ドライバーと乗員全員は、車外の安全な場所(ガードレールの外側など)へ速やかに避難することが、道路交通法上の義務であり、二次被害を防ぐための鉄則です。
2. 基礎解説:高速道路での停車・駐車の法的ルール
高速道路は、一般道よりも速度が高い特性から、停車・駐車に関するルールが極めて厳格です。
駐車・停車が禁止される原則
道路交通法第75条の8により、故障などの例外を除き、高速自動車国道または自動車専用道路の本線車道や加速車線、減速車線、路肩、路側帯(やむを得ない場合を除く)での停車や駐車は厳しく禁止されています。
例外(やむを得ない駐停車)の条件
故障や事故、緊急事態など、やむを得ない理由がある場合に限り、以下の場所への駐停車が認められます。
- 十分な幅のある路肩
- 路側帯
- 非常駐車帯
ただし、橋の上やトンネル内など路肩が狭かったり、路肩がなかったりする場所では、可能な限り広い場所や非常駐車帯まで自走することが求められます。
緊急時の初期対応(最優先事項)
車に異常や不具合を感じた際の初期対応は、二次被害の防止が最優先です。
- ハザードランプの点灯: 車に異変が生じたら、すぐにハザードランプ(非常点滅表示灯)を点灯させ、後続車に異変を知らせます。夜間はハザードランプの点灯が義務付けられています(二輪車などハザードランプがない車両はテールランプで代用)。
- 路肩への移動: 追突事故を防ぐため、十分な幅のある路肩や路側帯に寄せて、すみやかに車を停車させます。
3. 最重要解説:命を守るための避難行動
今回の問題の核心です。なぜ「車外で待つのは危険」ではなく、「車内に留まるのが最も危険」なのかを理解することが、命を守る鍵となります。
避難の鉄則:なぜ車内は危険か?
高速道路上では、後続車が時速80km~100km以上の高速度で走行しています。ハザードランプや停止表示器材に気づくのが遅れ、ブレーキが間に合わなかった場合、停車中の車両は一瞬で潰れてしまいます。
車内に留まっていると、追突された際に乗員全員が巻き込まれてしまうという、非常に高いリスク(二次被害)を負います。
正しい避難手順
- 同乗者の避難: 運転手は、同乗者をガードレールの外側などの安全な場所へ速やかに避難させます。橋や高架など外側に避難できない場合は、車から離れた後方(追突された際に巻き添えにならない場所)に避難します。
- ドライバーも避難: 同乗者に続いて、ドライバー自身もガードレールの外側などへ安全に避難します。車内で救援を待つという選択肢はありません。
停止表示器材の設置義務と罰則
避難行動に続いて、後続車への警告表示を行います。
- 表示の義務: 高速道路および自動車専用道路上で自動車を停止させる場合には、停止表示器材(三角表示板)の表示が義務付けられています(道路交通法第75条の1)。
- 設置位置: 停車した車の50m以上後方に設置します。
- 罰則: 停止表示器材の表示を怠った場合、違反点数1点、**反則金6,000円(普通車)**が科されます。高速道路を利用する際は、必ず停止表示器材を車載しているか確認しましょう。
発炎筒(非常信号用具)も停止表示板の手前で後続車に注意を促すために使用されますが、法令で表示が義務付けられているのは停止表示器材です。
4. 救援依頼と料金に関する補足
ドライバーと乗員の避難が完了したら、外部へ救援を依頼します。
救援依頼の方法
- 非常電話: 高速道路や自動車専用道路の本線上では1kmごと、トンネル内では200mごとに設置されています。受話器を取るだけで管制センターにつながり、おおよその位置が伝わるため、優先的に利用すべきです。
- 携帯電話: 携帯電話で救援依頼をする場合、場所を正確に特定するため、路肩にあるキロポストの数字を伝える必要があります。道路緊急ダイヤル(#9910)も活用できます。
通行料金の支払い
車が事故や故障によって自走不能となり、積載車に載せられて移動する場合でも、通行料金が大きく上回って請求されることはありません。
- 自走不可車両: 自走不可になった車両が流入したICから、積載する地点から進行方向の次のICまでの料金が請求されます。
5. 義務と罰則:危険を招く準備不足
事故や故障は予期せず起こるものですが、事前の点検不足が原因で発生した場合は、交通違反となります。
ガス欠(燃料切れ)の罰則
高速道路上でのガス欠(燃料切れ)は、運転前の点検義務違反とみなされます。
- 根拠: 道路交通法第75条の10には、「自動車の運転者は高速道路などで運転する際、燃料、冷却水、原動機オイルの量や積載物の状態を点検し、不足や転落、飛散を防止する措置を講じなければならない」と定められています。
- 罰則: 違反点数2点、**反則金9,000円(普通車)**が科せられる場合があります。高速道路を利用する前には、ガソリンスタンドなどで余裕をもって給油することが重要です。
準備不足が招く二次被害の危険性
高速道路で人がはねられてしまう事故が起こっています。日頃の点検や高速道路を利用する前の準備でリスクを最小限に抑え、危険を察知したら、迷わずガードレールの外側などへ避難するという鉄則を徹底しましょう。
6. まとめ:二次被害の防止が最優先
今回の問題は、「高速道路上での最優先事項は何か」という、安全意識の根幹を問うものでした。
- 原則: 二次被害の防止が最優先であり、必要な危険防止措置をとった後、速やかにガードレールの外側など安全な場所へ避難しなければなりません。
- 義務: 停車時はハザードランプ点灯と停止表示器材の設置が義務です。
- 警告: 「車に乗って待つ」という行為は、命を危険に晒す最大の行為です。
日頃の点検(燃料、停止表示器材の確認)でリスクを最小限に抑え、万が一の際には冷静に初期対応の5ステップ(ハザード→路肩→避難→表示→救援)を実行し、命を守る行動を最優先にしてください。


