問題
「運転者や運転しようとする者に共同危険行為などの違反をするようにそそのかした者は、車の運転をしていなくても、免許を取り消される。」
○か×か?
答え
答え:○(正しい)
解説
道路交通法は「運転していた者」だけを取り締まっているわけではありません。
危険な行為を他人にそそのかしたり、助長するような行為をした場合も、重大な責任を問われます。
その理由は、事故のリスクを増幅させる「間接的な危険行為」であるからです。
例えば「仲間を集めて深夜に信号無視の暴走をしようぜ」と誘った人物が、実際にハンドルを握っていなくても、違反を引き起こした首謀者として処分を受けます。
法律的には「教唆(きょうさ)」と呼ばれる行為で、刑法にも共通する概念です。
共同危険行為とは
「共同危険行為」とは、複数の車両が集団で交通の安全と秩序を乱すような行為を指します。
代表的なものは次のとおりです。
- 交差点を無理やり集団で赤信号無視
- 幹線道路を横並びで占拠走行
- スピードを合わせて車両を囲み、一般車を妨害
単独での違反も危険ですが、集団になるとその影響は格段に大きくなります。
周囲の交通に重大な支障を与え、事故の危険性も跳ね上がるため、道路交通法第208条の2に基づき「免許取消」の対象となります。
さらに、「やろうぜ」とそそのかした人物も、同様に共同危険行為の一員とみなされるのです。
罰則
共同危険行為を行った、またはそそのかした場合の処分は非常に重くなっています。
- 刑事罰:6月以上7年以下の懲役または10万円以上100万円以下の罰金
- 行政処分:免許取消(欠格期間1年以上が標準)
つまり、「自分は運転してないから大丈夫」という言い訳は通用しません。
同様の違反例
飲酒運転
飲酒運転には「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」があります。
- 酒気帯び運転:呼気1リットルあたり0.15mg以上のアルコール
- 酒酔い運転:アルコールの影響で正常な運転ができない状態
いずれも重大な違反で、免許取消や懲役刑に直結します。
また「飲んでるのに運転しろ」とそそのかした人も処罰対象です。
無免許運転
免許を持たない人に車やバイクを貸した場合、その貸した人も責任を問われます。
「自分は乗ってない」とはいえ、事故の危険を助長したという意味で重大な過失とみなされます。
同乗罪・提供罪
無謀運転や飲酒運転を知りながら同乗した場合や、酒類を提供して「運転しろ」と促した場合も処分対象です。
一緒にいるだけで連帯責任を問われるケースがあることを、多くの人が軽視しがちです。
罰則の整理
刑事処分
- 共同危険行為:懲役刑または罰金刑
- 飲酒運転:最大5年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 無免許運転:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
行政処分
- 免許取消(欠格期間は1~5年)
- 点数制度による加算(35点以上で一発取消など)
つまり「刑事処分」と「行政処分」の両方が科される場合が多く、ダブルパンチで社会生活に大きな影響を与えるのです。
実例エピソード(教習所で聞いた話)
私が担当した教習生の中に、以前免許を持っていたものの「免許取消」を受けた方がいました。
理由を尋ねると驚くべき話が返ってきました。
- その方は友達に自分の原付を貸した
- 借りた友達が、さらに無免許者にまた貸しした
- 無免許運転が発覚し、原付の持ち主や貸した友達も連鎖的に処罰対象に
つまり「直接運転していなくても責任が及ぶ」ことが現実にあるのです。
本人からすれば「貸しただけ」でも、法律上は「違反を助長した」と見なされて免許取消になってしまいます。
まとめ
- 運転していなくても、共同危険行為をそそのかしただけで免許取消になる
- 飲酒運転や無免許運転などでも「唆した」「貸した」「同乗した」人が処分対象になる
- 刑事処分と行政処分の両面で、極めて重い責任を負う
- 実際に「友達に原付を貸しただけ」で免許取消になったケースもある
交通違反は「やった本人だけが悪い」わけではありません。
その周囲で違反を助長する行為をした人にも、厳しい責任が課される仕組みになっています。
自分だけでなく、仲間や友人との関わり方にも十分注意することが、安全運転と免許保持の第一歩です。

