問題
「運転中、大地震が発生時、やむを得ず道路上に車を置いて避難する場合は、エンジンキーはつけたままでドアロックせずに避難する。」
答え
○(正しい)
解説
大地震の発生時には、車を安全に停車させ、その場を離れ避難することが求められる場合があります。その際、エンジンキーを付けたまま、ドアロックをしない状態で車を置くのが基本ルールです。これは、後から救助活動や交通整理を行う警察官・消防隊・自衛隊などが、速やかに車を移動させられるようにするためです。
自分の車を守るために施錠したい気持ちもわかりますが、大災害時においては「公共の安全」が優先されます。
大地震とは
大地震とは、震度6強以上の大規模な地震を指し、建物の倒壊、道路や橋梁の崩落、火災や津波など、広範囲に甚大な被害をもたらす地震のことです。
日本は世界有数の地震大国であり、過去にも以下のような大地震が発生しています。
- 阪神・淡路大震災(1995年)
高速道路の倒壊、鉄道やライフラインの停止、大規模火災など甚大な被害をもたらした。 - 東日本大震災(2011年)
津波による大規模被害、原発事故、交通網の寸断。車の放置が救助活動を妨げた事例もあった。 - 熊本地震(2016年)
主要幹線道路が寸断し、緊急輸送路確保の必要性が改めて浮き彫りになった。
これらの災害では、道路上に停車・放置された車が緊急車両の通行を妨げ、救援活動を遅らせるケースが多く報告されています。その教訓から、車を残して避難する際のルールが明文化されています。
車を運転中、大地震が起こった時の対応方法
- 急ブレーキは避け、安全に停車
ハンドルをしっかり握り、周囲の安全を確認しながら道路の左側に寄せて停車します。 - エンジンを切らない
すぐにエンジンを切ると、冷却水やオイルの循環が止まり故障リスクが高まります。震動がおさまるまではエンジンをかけたままにします。 - 揺れが収まったら、車を放置する判断を
道路の崩落、橋の破損、火災、津波の危険などがある場合は、車を置いて避難します。 - エンジンキーを残し、ドアロックをしない
救助隊が必要に応じて移動できるようにします。 - 避難方向を確認し、安全に徒歩で避難
津波の恐れがある場合は、高台へ移動するなど、災害の種類に応じた避難行動を取ります。
緊急交通路と緊急輸送道路
緊急交通路(道路交通法に基づく)
公安委員会が指定する道路区間で、人命救助や消火活動などに必要な車両(緊急通行車両)のみが通行可能です。
例:消防車、救急車、警察車両、災害対策車両など。
緊急輸送道路(災害対策基本法に基づく)
阪神・淡路大震災の教訓から整備された道路網で、行政・医療機関・物資拠点を結ぶ主要道路。
首都圏では高速道路、国道、幹線道路(例:国道4号、17号、20号、246号など)が指定されています。
具体的な交通規制例(警視庁管内)
- 環状7号線内側の一般車両流入禁止
- 国道や外堀通り、目白通りなどを緊急自動車専用路とする場合あり
これらの道路は「命を守るための道路」として機能するため、一般車両が妨害してはいけません。
なぜエンジンキーを残すのか

- 救助隊が車を速やかに移動できるようにするため
- 放置車両が道路を塞ぐことを防ぐため
- 停止中に別の車が押して動かすことも想定されるため
ドアロックしない理由
- 救助や緊急移動を妨げないため
- 公共の安全を優先するため
- 大災害時には「盗難防止」より「救助優先」が原則
車を置く時のポイント
- 道路の左側に寄せて停車する
- エンジンキーを残す
- ドアはロックしない
- 窓は閉めておく(雨や埃の侵入防止)
- 車検証や貴重品は必ず持って避難する
過去の大地震の教訓
- 東日本大震災 では、沿岸部で車が津波に流され、多くの犠牲を出した。車で逃げるよりも徒歩避難が有効だったケースも多い。
- 阪神・淡路大震災 では、高速道路や国道に放置された車が救急車両の通行を妨げ、救助の遅れを招いた。
- 熊本地震 では、道路の寸断や渋滞により、緊急物資輸送が遅れた。
どの地震でも共通するのは、「放置車両が救助活動の妨げになる」という点です。
避難時の注意点
- 貴重品・飲料水・スマホは持参
- 徒歩での移動を優先(車での避難は渋滞のリスクが大きい)
- 高台や避難所の位置を事前に確認
- 車中避難を選ぶ場合は、津波や火災の危険がない場所で。エコノミークラス症候群を防ぐため、定期的に体を動かす。
まとめ
大地震が発生した際に車を残して避難する場合は、エンジンキーを残し、ドアをロックしない ことが原則です。これは自分の車を守るためではなく、救助活動や人命を優先するためのルールです。
「自分の判断が社会全体の安全につながる」という意識を持ち、日頃から正しい知識を確認しておきましょう。


