問題
「左右300m以上見通しのきく交差点では、左右の交通の様子がよくわかるので、そのままの速度で通過しても問題ない。」
⭕/❌/わからない
正解
❌
解説
交差点は「事故の温床」と呼ばれる場所です。
たとえ左右300m以上の見通しがきく交差点であっても、そのままの速度で通過してよいということはありません。
道路交通法では、交差点に進入する際は安全確認を行い、必要に応じて徐行する義務があります。
見通しが良いからといって油断すれば、重大な事故に直結するのです。
田園型事故・十勝型事故とは?
皆さんは「田園型事故」「十勝型事故」という言葉を聞いたことがありますか?
- 田園型事故:
田園地帯の、見通しの良い交差点で頻発した事故。 - 十勝型事故:
北海道・十勝地方で特に多発したため、この名で呼ばれる。
どちらも「数百メートル先まで見渡せるほどの直線道路で、交通の流れも少ないのに衝突事故が起きる」という特徴があります。
不思議に思いませんか?
「見通しが良い=安全」なはずなのに、なぜ事故が起きるのでしょうか。
見通しが良いのに事故が起きる理由
1. 単調さによる漫然運転
田園地帯の直線道路は景色が変わらず、退屈な運転になりがちです。
その結果、注意力が散漫になり、交差点での安全確認が甘くなることがあります。
2. 居眠り運転
長時間の単調な運転は眠気を誘います。
交差点に差しかかったときに、一瞬でも意識が飛ぶと大事故につながります。
3. コリジョンコース現象
近年、この謎を科学的に解明したのが コリジョンコース現象 です。
コリジョンコース現象とは?
「Collision Course(衝突進路)」を直訳した言葉です。
簡単に言えば、互いに衝突コース上にある車は、相手が止まって見える という現象です。
具体例
- あなたの車が交差点に向かって走っている
- 左方から別の車も同じ交差点に向かって走っている
- 双方の距離と速度が釣り合っている
このとき、お互いの運転者から見て相手の車は「常に同じ角度=45度付近」に位置し続けます。
つまり「動いて見えない=止まって見える」わけです。

漫然運転や注意不足が重なると、存在に気づかないまま交差点で衝突してしまうのです。
学科試験とのつながり
問題文をもう一度考えてみましょう。
「左右300m以上見通しのきく交差点では、左右の交通の様子がよくわかるので、そのままの速度で通過しても問題ない。」
見通しが良いからといって、決して安心ではありません。
むしろ、見通しが良い場所だからこそ起こる事故 があるのです。
学科試験では「見通しが良いからそのまま進んで良い」という文章はすべて❌。
これを鉄則として覚えておきましょう。
実際の運転で気をつけるポイント
- 交差点は必ず減速・安全確認
→ 例え信号がなくても「止まれる速度」で入る意識を。 - フロントピラーの死角を意識
→ ピラーの影に「止まって見える車」が隠れていないかを疑う。 - 漫然運転を避ける工夫
→ 単調な道では早めに休憩を取り、注意をリフレッシュ。
まとめ
- 見通しが良い交差点でも、事故は起きる
- 「田園型事故」「十勝型事故」のような典型例がある
- 背景には「コリジョンコース現象」という科学的理由が存在
- 学科試験では「見通しが良いから速度維持OK」という文章はすべて❌
- 実運転では「減速+死角の確認+漫然運転防止」が必須
🚗 教訓
「見えるから安心」ではなく、
「見えるはずなのに事故が起きる」ことを知っておく。
それが、学科試験にも実際の運転にも役立つ知識です。