はじめに
学科試験の中でも、**「常識的に考えれば⭕️に思えるのに、実際は❌」**という問題は受験者を悩ませるポイントです。
今回扱う「立ち入り禁止部分」もその典型例。
実際の運転では「緊急自動車が来たから避けなきゃ!」と考えるのはごく自然な判断です。しかし、法律上はどうなのか?学科試験でどう答えるべきなのか?を整理してみましょう。
問題
「立ち入り禁止部分だったが、緊急自動車を進路を譲るために進入した。」
答え
👉 ❌(誤り)
解説
立ち入り禁止部分とは?

「立ち入り禁止部分」とは、道路標示によって「車両の通行の用に供しない部分」として表示されたエリアのことです。
ゼブラゾーンや導流帯(斜めの白線が描かれた部分)、また安全地帯の一部もこれに該当します。
ここは「通ってはいけない」と最初から決められたエリアであり、停車や駐車だけでなく、進入そのものが禁止されています。
法律の条文
- 道路交通法第17条第6項
「車両は、安全地帯又は道路標識等により車両の通行の用に供しない部分であることが表示されているその他の道路の部分に入つてはならない。」
この条文には「やむを得ない場合を除く」といった但し書きが一切ありません。
つまり、理由が何であれ立ち入り禁止部分に入ることは法律上認められていないのです。
停止禁止部分との違い
ここで混乱しやすいのが「停止禁止部分」との違いです。
- 立ち入り禁止部分
→ 「そもそも入ってはいけない」エリア
→ 進入自体が違反 - 停止禁止部分
→ 「その部分で止まってはいけない」エリア
→ 通過はできるが、信号や渋滞で止まるのは違反
この違いを混同すると、試験で間違いやすくなります。
実際の運転ではどうか?
現実の運転で「進入せざるを得ない状況」が生じることはあり得ます。
たとえば、
- 後方から緊急自動車が接近してきた
- 前方で事故が発生し、進路を変えざるを得ない
こうした場合、立ち入り禁止部分に進入しても、実際に取り締まりを受ける可能性は低いでしょう。
ただし重要なのは、**「違法でなくなる」のではなく「違法だが罪に問われないことがある」**という扱いになる点です。
つまり、条文上は常に違反。学科試験では必ず❌と答えなければなりません。
学科試験でのひっかけパターン
- 「危険を避けるため進入した」
→ 常識的には⭕️に思えるが、例外規定がないので❌。 - 「緊急自動車に道を譲るため進入した」
→ これも直感的には⭕️だが、法的には❌。 - 「停止禁止部分で止まった」
→ これは別ルール。通過はできても停止は不可。
👉 ポイントは「法律に例外が書かれているかどうか」で判断することです。
出題の背景と実際のケース
教習所でも、この問題はよく混乱が見られます。
生徒さんに質問すると「緊急自動車を優先させるのが大事だから⭕️でしょ?」と答える方が多い。
しかし試験では法律の条文に従って答える必要があるため、不正解となります。
実際の道路交通行政でも「やむを得ない事情がある場合は違反にならないことがある」という運用はされていますが、試験問題は**「条文そのまま」**で考えるのが鉄則です。
まとめ
- 立ち入り禁止部分=入ってはいけないエリア。例外はない。
- 緊急自動車を譲るためでも進入は不可。試験では❌。
- 停止禁止部分とはルールが異なるので混同しないこと。
- 実際の運転ではやむを得ない場合に進入するケースはあるが、学科試験では常に「❌」。