はじめに:学科試験の罠!「専用通行帯」の二重トラップを攻略せよ
自動車運転免許の学科試験で多くの受験者が間違える分野の一つが、「専用通行帯(専用レーン)」に関する問題です。特にバス専用通行帯は、原則ルールと複雑な例外規定が絡み合い、出題者側が意図的に**「ひっかけ問題」**を作りやすいテーマとなっています。
「バス専用だからバス以外は絶対ダメ?」 「二輪車は通行できる?」
今回は、この疑問に答える典型的な問題を取り上げ、その**「正解がなぜそうなるのか」**を、現役指導員の視点から法律の条文に基づいて徹底的に解説します。曖昧な知識で失点しないよう、この機会にルールを完璧にマスターしましょう。
■ 今回の学科試験問題
問題:「小型自動二輪車でバス専用通行帯を通行し、すぐ先の交差点を左折した。」
👉 答えは ⭕️(正しい) です。
多くの受験生が「小型二輪はバスではないから ❌ だろう」と答えてしまいますが、これは二重のひっかけに引っかかった状態です。次の解説でその理由を詳しく見ていきましょう。
1. 🚍 バス専用通行帯とは?原則ルールと通行可能車両

まず、バス専用通行帯が設けられた目的と、原則として通行できる車両の範囲を整理します。
設置目的と規制時間
バス専用通行帯は、主に朝夕のラッシュアワーなどに路線バスの定時運行を確保するために設けられます。
- 規制時間:道路標識や路面標示に明記された時間帯(例:午前7時〜9時)のみ規制が適用されます。時間外は一般車両も通行可能です。
- 標識:「バス専用通行帯」の標識と、路面の「バス専用」の文字で識別されます。
原則として通行できる車両の範囲
規制時間中、バス専用通行帯を原則として通行できるのは以下の車両です。(道路交通法第20条)
- 路線バス・スクールバス:設置目的の車両。
- 小型特殊自動車:農耕用トラクターやフォークリフトなど。
- 原動機付自転車:50cc以下の原付バイク。
- 軽車両:自転車、リヤカーなど。
⚠️ 注意点: 普通車、タクシー、大型車はもちろん、今回のテーマである「自動二輪車(小型自動二輪車・普通自動二輪車)」も、この原則の範囲には含まれていません。これが、ひっかけの最初のポイントです。
2. 🚦 答えの鍵!通行が認められる「やむを得ない例外」
小型自動二輪車が原則通行できないにもかかわらず、今回の問題の答えが「⭕️(正しい)」になる理由は、**「やむを得ない場合に限って通行が認められる例外規定」**があるからです。(道路交通法第20条第2項)
小型自動二輪車を含む**一般の車両(バス以外の車両)**であっても、以下のような「やむを得ない状況」では、一時的にバス専用通行帯を通行できます。
| 例外となる状況 | 通行目的 |
| 交差点を右折・左折するため | 今回の問題のケース。すぐ先の交差点で進路を変えるための事前準備として。 |
| 緊急自動車に進路を譲るため | 緊急車両の円滑な通行を確保する義務のため。 |
| 工事や駐停車車両を避けるため | 道路上の障害物を回避するため。 |
なぜ「左折」が例外となるのか?
バス専用通行帯は通常、道路の一番左側に設けられています。車両が交差点で左折する場合、法令上、道路の左端に寄って通行しなければならないと定められています。
そのため、左折の直前だけは、左折のために最も左側の専用通行帯にやむを得ず入ることが認められているのです。
今回の問題文は**「小型自動二輪車」という原則NGの車両を出しつつ、「すぐ先の交差点を左折した」という例外OKの行為を組み合わせているため、正解は「⭕️(正しい)」**となります。
3. 🎯 学科試験の二重トラップと対策
この問題が優秀な受験生も落とすのは、知識の**「曖昧さ」**を突いているからです。
🪤 トラップ1:「小型自動二輪」はNGの原則
「小型自動二輪は、原付(50cc以下)ではないから専用通行帯を走れない」という**「原則」**で判断させようとします。
🪤 トラップ2:「左折」は例外OKの規定
「やむを得ない場合の例外規定」という細かい知識を知らないと、そこで判断を誤らせます。
🏆 対策:「原則」と「例外」をセットで覚える
| 車両 | 原則(直進) | 例外(左折など) |
| 自動二輪車 | ❌ 通行不可 | ⭕️ 左折のために直前のみ通行可 |
| 普通自動車 | ❌ 通行不可 | ⭕️ 左折のために直前のみ通行可 |
| 原動機付自転車(50cc以下) | ⭕️ 通行可 | ⭕️ 通行可 |
左折、右折、障害物回避の3つの例外は、**「やむを得ない=緊急時や法令上の義務」**と結びつけてセットで覚えることが、ひっかけ問題を攻略する鍵となります。
4. 実際の運転での注意点:警察の指導と安全確保
学科試験で「⭕️」だからといって、実際の運転で不用意にバス専用通行帯を走るのは避けましょう。
1. 通行できるのは「直前の短い区間」だけ
左折が認められるのは、あくまで**「直前の短い区間」**です。交差点の手前、数十メートル(目安として30m〜50m程度)の距離で左折の準備のために車線を変えるのが適切です。
規制された長い距離をそのまま走り続けると、**「左折の準備」ではなく「専用通行帯の不正利用」**と判断され、警察官に指導を受けたり、違反切符を切られる可能性があります。
2. バスを優先する意識を忘れない
バス専用通行帯は、公共交通である路線バスの円滑な運行のために存在しています。
左折のために一時的に通行する場合であっても、後方からバスが接近してきたら、速やかに進路を譲る、または通行帯から出るなどの配慮が求められます。バスの定時運行を妨げない運転を心がけましょう。
3. 「バス専用」と「バス優先」の違いもチェック
学科試験では、似たような標識で**「バス専用通行帯」と「バス優先通行帯」**のどちらかが出題されます。
| 標識 | 規制内容 |
| バス専用通行帯 | 規制時間中は原則バス以外通行不可。 |
| バス優先通行帯 | 規制時間中は一般車も通行可。ただし、後方からバスが来たら速やかに進路を譲る義務がある。 |
この違いも非常に重要です。「バス優先」の場合は、自動二輪も直進で通行できますが、バスが来たら譲る義務が発生します。
5. ■ まとめ:原則と例外の知識で安全運転へ
バス専用通行帯に関するルールは、原則として**「路線バスの定時運行を守る」という目的と、「やむを得ない交通上の安全」**という例外が両立した結果として定められています。
- 原則:自動二輪車はバス専用通行帯を直進できない(❌)。
- 例外:交差点で左折するためなど、やむを得ない場合は直前の区間を通行できる(⭕️)。
- 試験対策:**「自動二輪NGの原則」と「左折OKの例外」**の二重トラップを意識して解答しましょう。
この知識は、学科試験での合格はもちろん、実際の道路でバスや他の交通参加者とのトラブルを避けるために非常に重要です。正しい知識を身につけ、安全で円滑な運転を実践しましょう。


