はじめに
学科試験の中で、数字に関わる問題がわからず、○か×をあてずっぽうで答えている方も少なくありません。
その代表例のひとつが「停止距離」に関する問題です。
第一段階の試験問題の中でも、停止距離は「数字を知っているかどうか」で正解が分かれる典型問題。
しかし、ただ暗記するのではなく「なぜその数字になるのか」を理解しておくと、試験だけでなく実際の運転にも活かせます。
本記事では、停止距離の仕組みと具体的な数値、さらに実際の運転で役立つ「安全な車間距離の取り方」までわかりやすく整理して解説していきます。
問題
「時速60kmで走行している自動車の停止距離は、乾燥したアスファルト道路の場合で約20mである」
答え
×(バツ)答えは約44mです。
解説
停止距離とは?
停止距離は 空走距離+制動距離 の合計で求められます。
- 空走距離:危険を認知してからブレーキを踏むまでに進む距離
- 制動距離:ブレーキが効いてから停止するまでの距離
👉 運転者の反応時間は約1秒とされているため、速度に比例して空走距離は伸びていきます。制動距離は「速度の2乗」に比例して長くなるので、高速走行では一気に距離が伸びます。
停止距離の目安(乾燥アスファルト路面)
- 時速30km:空走9m+制動6m=約15m
- 時速40km:空走11m+制動11m=約22m
- 時速60km:空走17m+制動27m=約44m
- 時速80km:空走22m+制動54m=約76m
- 時速100km:空走28m+制動84m=約112m
簡単な覚え方
1. 時速30〜60kmの範囲
「速度−15=停止距離」で大体一致します。
- 30km/h −15=15 → 停止距離15m
- 40km/h −15=25 → 停止距離22m(ほぼ近い)
- 60km/h −15=45 → 停止距離44m
👉 この覚え方なら市街地走行の試験問題もラクに対応できます。
2. 時速60kmを超える場合(高速道路)
「時速=停止距離(m)」と覚えればおおむね対応できます。
- 80km/h → 停止距離76m ≒80m
- 100km/h → 停止距離112m ≒100m
100km/hだけはややズレますが、実際の高速道路では前車も走行中なので100m空ければ調整可能。ただし「停止距離以上ではない」ことは自覚し、できる限り余裕を持って100m以上を意識することが大切です。
安全な車間距離とは?
安全な車間距離とは、前の車が急に止まっても追突しない距離のことです。
教科書的には「停止距離以上を空けること」とされていますが、実際の運転中に「時速60kmの停止距離は…44m」と瞬時に思い出すのはなかなか難しいものです。
そこで役立つのが、先ほど紹介した「簡単な計算方法」です。
- 30〜60km/hでは「速度−15」
- 高速道路では「速度の数字=そのままメートル」
この計算方法を使えば、運転中でも頭の中で簡単に目安をつかむことができます。
例えば…
- 時速40kmで走っているなら → 40−15=25m(実際の停止距離22mに近い)
- 時速100kmで走っているなら → 約100m
👉 このように「今の速度からざっくり距離を割り出す」習慣をつければ、安全な車間距離を瞬時に判断しやすくなります。
そして、さらに実用的な方法が「3〜4秒ルール」です。
前の車が通過した地点を、自分の車が 3〜4秒後 に通過するくらいの車間を空けるという方法です。
頭の中で「ゼロイチ、ゼロニ、ゼロサン」と数えるだけで感覚的にチェックできるので、スピードを問わず使える安全確認術となります。
まとめ
- 停止距離=空走距離+制動距離
- 時速30〜60km:速度−15で概算
- 時速80〜100km:速度そのままメートルで概算
- 安全な車間距離=停止距離以上を空けること
- 実際の運転では「3秒ルール」で確保する
おわりに
停止距離と車間距離は、学科試験だけでなく実際の安全運転にも直結する知識です。
「これくらいで止まれるだろう」という感覚に頼らず、数値とルールで考えることが事故防止につながります。
特に高速道路走行では「車間を詰めすぎない」ことが命を守ります。
今日からぜひ「速度と距離のイメージ」を意識して運転してみてください。