横断歩道のルールを徹底解説|歩行者優先の条件・違反時の罰則と運転者の注意点

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交通ルールその他

1.はじめに

横断歩道は、道路交通法で歩行者の安全を守るために設けられた重要な施設です。
しかし、実際の運転では「歩行者が渡る意思があるのかどうか判断しづらい」「止まるべきタイミングが分からない」といった迷いを感じる人も少なくありません。

警察庁の調査によれば、横断歩道で歩行者がいるにもかかわらず一時停止しなかった車は全体の約7割にも上ります。この違反は事故リスクを高めるだけでなく、罰則や点数減点の対象となり、場合によっては免許の再試験(運転技能検査)を受けることになることもあります。

この記事では、横断歩道に関する基本的なルールと、状況別の対応方法、違反時の罰則までをわかりやすく解説します。


2.横断歩道とは

横断歩道とは、道路標識や道路標示によって歩行者が道路を横断するために指定された場所です。道路交通法第2条で定義され、基本的に歩行者が安全に横断できるように車両の通行が制限されます。

横断歩道の形態には、信号機のあるものとないものがあり、運転者の対応も状況に応じて変わります。特に信号機のない横断歩道では、歩行者優先の原則が強く求められます。


3.横断歩道でのルール

① 歩行者が明らかに渡ろうとしていない場合

  • 歩行者が明らかにいない場合は、速度を落とさずそのまま通過できます。
  • 歩行者が横断歩道付近に立っていても、後ろを向いていたり、スマートフォンを操作していたりするなど、明らかに横断の意思がないように見えることがあります。
  • しかし、このケースは「明らかに渡ろうとしていない」とは言い切れません。実際には、③の「歩行者が渡ろうとしているかどうかわからない場合」での対応が必要です。
  • ポイント
     「あの人はスマホを見ているから渡らないだろう」といった自分に都合のいい判断は危険です。
     「渡るかもしれない」という安全思考で行動することが重要です。

② 歩行者が渡ろうとしている場合

  • 歩行者が横断歩道を渡ろうとしている場合は必ず一時停止
  • 「渡ろうとしている」とは、横断歩道の手前に立ってこちらを見ている、足を踏み出している、信号が青になって動き出している等が該当します。
  • 違反例:歩行者の直前で急ブレーキをかけて停止、または速度を落とさず通過。

③ 歩行者が渡ろうとしているかどうかわからない場合

「歩行者が渡ろうとしているかわからない場合」とは、例えば以下のような状況です。

  • 横断歩道の近くを歩いている
     ※突然向きを変えて横断するかもしれません。
  • 横断歩道付近でスマホを見ている
     ※思い立ったように前を見て渡り出すかもしれません。
  • 横断歩道に背を向けている
     ※この状態であっても絶対に横断しないとは言い切れません。

このような場合は、歩行者が突然渡り出すことに備え、**すぐに止まれる速度(徐行)**で走行しなければなりません。
すぐに止まれる速度である以上、何かあっても確実に停止できなければならないということです。

とにかく 「迷ったら停止!」 が基本です。

④ 横断歩道の手前で停止している車両がある場合

横断歩道手前で停止している車両がある場合は、その前方に歩行者がいる可能性を否定できません。
歩行者が渡ろうとしている中で停止車両の横を通り過ぎれば、最悪事故になりかねません。
そのため、横断歩道の手前に停止している車両の横を通り過ぎる前には、一時停止することが義務になっています。


4.横断歩道で歩行者を優先しなかった場合の罰則

① 行政上の責任(反則金・違反点数)

② 刑事上の責任

横断歩道付近で歩行者に接触した場合、**自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)**に該当する可能性があります。
この場合、7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金に処せられることがあります。

不起訴となれば処分は受けませんが、横断歩道は歩行者が優先されるべき場所であり、特に被害者が大けがを負った場合には、何らかの刑事処分が下される可能性が高いと考えられます。

③ 民事上の責任


④ 運転技能検査

75歳以上の方が運転免許を更新する場合、過去3年間の間に特定の違反行為を行っていると、運転技能検査の受検が義務付けられています。
運転技能検査の詳細はこちらの記事で解説しています。
👉 運転技能検査の詳細はこちら

この「特定の違反行為」の中には横断歩行者等妨害も含まれます。
そのため、免許更新時に運転技能検査を受ける必要があり、不合格となった場合は免許の更新ができません。

日頃から、横断歩道での歩行者優先はもちろん、違反のない安全運転を心がけることが何より大切です。


5.まとめ

横断歩道では、歩行者の安全を最優先することが法律で義務付けられています。
「止まるべきか迷ったら止まる」という判断が、違反や事故を防ぐ最も確実な方法です。
特に信号機のない横断歩道では、速度を落とし、歩行者の動きに注意を払う習慣をつけましょう。
一時停止は数秒のことですが、その数秒が事故を防ぎ、あなたの免許と信頼を守ります。