はじめに
2024年5月からスタートした「マイナンバーカードと運転免許証の一体化」。2025年7月現在、すでにこの一体型カードの交付は全国で本格的に進められており、次回の免許更新やマイナンバーカードの申請・更新時に、どちらの手続きも同時に済ませられる“ワンストップ化”が話題になっています。
しかしながら、「一体型って結局なにがどう便利なの?」「デメリットは?」「やるべき?やらなくていいの?」といった声も多く聞かれます。
この記事では、制度の概要から実際の手続き方法、メリット・デメリット、注意点に至るまで、運転免許とマイナンバーカードの“完全一体型ガイド”として、分かりやすく・深く解説します。
一体型とは?マイナンバーカードと運転免許証の統合の仕組み
「一体型」とは、マイナンバーカードのICチップ内に運転免許証の情報(氏名・住所・免許の種類・取得日など)を内蔵させ、カード1枚で両方の機能を兼ねる仕組みのことです。
ただし、「一体化=免許証そのものが消える」というわけではありません。現時点では、運転免許証のカードを手元に残しておく“2枚持ち”も可能です。一体型にしても、運転免許証の提示を求められる場面や、海外運転時など用途に応じて使い分けられるようになっています。
手続きは、次回の免許更新時に、指定警察署または運転免許センターにおいて「マイナンバーカードとの一体化を希望する」旨を申告することで対応可能です(すでにマイナンバーカードを持っている必要あり)。逆に、「一体化は希望しない」という選択も可能ですので、自分の生活スタイルに応じた判断ができます。
免許の持ち方は以下の3パターン

メリット:なぜ一体化するのか?ユーザー側の2つの利点
マイナンバーカードと運転免許証の一体化には、主に以下の2つの実用的なメリットがあります。特に日常の手続きや免許更新に関して「時短・効率化」を求める方には大きな利点となるでしょう。
1. オンライン講習が可能に(優良・一般運転者のみ)
マイナ免許証(=一体型)を取得し、必要な手続を済ませていれば、更新時の講習が「オンライン」で受講できるようになります。これは、優良運転者と一般運転者が対象です。
オンライン講習では、自宅や職場など、好きな時間・場所で受講できるため、これまで運転免許センターなどに足を運んで講習を受けていた時間と手間が大幅に軽減されます。更新当日の滞在時間も短縮され、スムーズに手続きが完了する点は大きなメリットです。
※対象は、更新期間における誕生日が「2024年3月24日以降」の方です。
2. 住所変更などの手続が“ワンストップ”に
マイナ免許証を所持し、必要な手続きをあらかじめ行っておくことで、住所・氏名・本籍・生年月日といった情報に変更があった際にも、警察署などに届け出る必要がなくなります。
具体的には、マイナポータル上で手続を完了すれば、これらの変更が運転免許情報にも自動反映されるため、物理的に警察へ出向く必要がなくなります。いわゆる“ワンストップサービス”が実現するわけです。
※このサービスを利用するには、署名用電子証明書と免許情報の紐づけ、およびマイナポータルとの連携設定が必要です。また、電子証明書に有効期限があるため、事前の確認も重要です。
注意点とデメリット:実際に起こりうる4つの問題点
便利な「マイナ免許証」ですが、実際の運用においてはいくつか注意点やデメリットも存在します。ここでは特に実用上で支障が出やすい4つのケースをご紹介します。
1. マイナンバーカードの有効期限に要注意
マイナ免許証を取得後、マイナンバーカードの有効期限が切れると、免許情報が一時的に無効になるという重要なポイントがあります。
よくあるトラブル:
- 秋頃までにマイナンバーカードの有効期限が来る方が、更新前にマイナ免許証を取得してしまうと、
- 更新手続き後の新しいカードには免許情報が記録されていない状態になってしまいます。
- その結果、**「免許証としては使えないマイナンバーカード」**を持つことになり、再記録手続き(¥1,500)を行う必要があります。
対策:
- マイナンバーカードの有効期限を確認してから申請しましょう。
- 有効期限が近い方は、まずマイナンバーカードを更新してからマイナ免許証を取得するか、
- 従来の免許証との2枚持ちを選択するのが無難です。
2. スマホでは免許証情報が読み取れない機種もある
マイナ免許証の情報をスマートフォンで読み取るには、NFC対応かつマイナポータルアプリに対応している必要があります。一部のAndroid端末や旧型iPhoneでは正常に読み取れない可能性があります。
対策:
- 自分のスマホがNFC対応かどうかを確認し、必要に応じてカードリーダー等の外部機器を用意しておきましょう。
- スマホでの提示に不安がある場合、従来型免許証との併用も視野に入れておくと安心です。
3. 海外では使えない!国際免許証が必要
マイナ免許証は国内向けの制度であり、国外では一切効力がありません。海外で運転する場合、国際免許証や現地で有効な免許証が必要となります。
対策:
- 海外渡航の際はマイナンバーカード単体では運転不可なため、
- 渡航期間中だけ従来の運転免許証を併用する「2枚持ち」運用をおすすめします。
4. マイナンバーカードを紛失するとリスクが大きい
運転免許証とマイナンバーカードが一体化しているため、カード1枚を失くすと、本人確認と運転資格の両方を同時に失うことになります。
対策:
- カードの取り扱いには十分注意し、ICチップ付きパスケースなどで安全に管理しましょう。
- 紛失した場合は、速やかに警察とマイナポータルで届け出・再発行申請を行う必要があります。
以上のように、「マイナ免許証」は便利な一方で、使い方次第では不便や手間が発生する場面もあるのが実情です。自身の生活スタイルや渡航予定、スマホ環境などを考慮し、「取得するタイミング」と「一体化の有無」を判断することが大切です。
まとめ:自分に合った使い方を見極めよう
マイナンバーカードと運転免許証の一体化は、手続きの簡略化や身分証明の一本化など多くのメリットがある一方で、「有効期限のズレ」「スマホとの相性」「海外での非対応」「紛失時のリスク」といった実用面での注意点も見逃せません。
とくに生活環境や仕事、スマートフォンの機種、今後の海外渡航予定などによって利便性は大きく変わってきます。
「便利そうだからなんとなく一体化する」のではなく、自分の利用シーンを具体的に想像しながら、
- 一体化するかどうか
- いつ申請するのがベストか
- 従来の免許証との併用が必要かどうか
をしっかり判断することが、後悔しない選択につながります。
今後、制度のアップデートや運用の見直しも予想されますので、最新情報を確認しながら、賢くマイナ免許証と付き合っていきましょう。