2025年9月1日から、普通二種・中型二種・大型二種といった「第二種運転免許」に関する教習カリキュラムが大きく変更されます。いわゆる“時限数の短縮”が主なポイントで、これにより取得が簡単になると思われがちですが、実際には教習料金が下がるどころか上がる可能性もあるのです。
本記事では、現役教習指導員の視点から、制度変更の詳細とその裏側にある「価格改定」のメカニズムをわかりやすく解説します。
二種免許制度改正の概要
今回の改正では、以下のように教習時限が見直されます(例:普通二種・中型免許保有者の場合)。
項目 | 現行制度 | 改正後 |
---|---|---|
技能教習 | 18時限 | 14時限 |
学科教習 | 19時限 | 14時限 |
所持免許により異なる | 同上 | 同上 |
※数字は一例であり、所持免許の区分や教習所により若干異なります。
一見すると、教習時間が減ることで受講者の負担も減るように感じられますが、実情はそう単純ではありません。
教習時限が減る=料金も安くなる?──実はその逆も
教習料金は基本的に「技能・学科の教習時限数 × 単価 + 諸費用」で構成されています。
時限数が減ると、当然収益が減るため、教習所はそれを補う必要があります。多くの教習所では、以下のような対応が検討されています:
- 技能教習1時限あたりの単価を引き上げる
- 入所金や検定料などの諸費用を増額する
- 「教習パック」などの名称で料金構成を再編成する
つまり、「見かけ上は安く見える」料金体系にしながら、実質的には従来より高くなる可能性があるということです。
教習所の経営構造と料金設計の実情
教習所は公共機関ではなく、あくまで民間企業です。特に二種免許は教習生数が限定され、かつ指導員も限られているため、採算性を常に意識する必要があります。
そのため、受講者が減って収益が下がるような制度改正には、単価の引き上げや経費再計算で対応するのが一般的です。
今回のように“見かけ上のコストダウン”が発生すると、その裏では価格設定の調整が行われるのは必然です。
普通二種と中型・大型二種──制度変更の影響は異なる
今回の制度変更はすべての第二種免許に共通ですが、最も大きな影響を受けるのは普通二種免許です。
- 普通二種は個人取得者が多く、価格への感度が高い
- タクシー業界でのニーズが安定している
- 企業提携の少ない個人教習所が多く参入している
一方、中型・大型二種はバス会社や法人契約がメインのため、受講者個人が価格に敏感になるケースは少なめ。結果、普通二種の教習所ではより巧妙な価格設計が求められます。
中型二種や大型二種を個人で取得される方は、普通二種免許の大幅改正の影響を受けて、教習単価にテコ入れが入る可能性が高く、単純に値上げとなるでしょう。
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まとめ
2025年9月の二種免許制度改正は、「時限数の短縮」という一見わかりやすい変化の裏に、「実質値上げ」の可能性が潜んでいます。
- 普通二種は、教習単価は値上げだが、教習時限数は減少するため全体としては値下げ
- 中型二種や大型二種は、普通二種の影響を受けて、教習単価が上がり、教習時限数は微減なので単純に値上げとなる可能性が高い
個人で二種免許を取得しようと考えている方は、料金構成をよく確認し、早めに動くことが肝心です。
制度改正を正しく理解し、納得できる形で免許取得に臨みましょう。