安全に運転を続けたいあなたへ──家族に「もう少し運転させて」と言える制度
はじめに
高齢ドライバーの事故が報道されるたびに、こんなやりとりが全国各地で起きているのではないでしょうか。
「そろそろ車を降りたら?」
「でも病院も買い物もあるし…まだ大丈夫だよ」
「また事故があったよ、高齢者の…」
運転を続けたい本人と、やめさせたい家族。
このジレンマを少しでも解消するために生まれたのが──
「サポカー限定免許」という選択肢です。
1. サポカー限定免許とは?
「サポカー(先進安全自動車)しか運転できない」という条件付きの普通免許です。
2022年5月に制度化され、高齢者や運転に不安を感じる方が、自主的に申し出て取得することができます。
❌ 医師の診断が必要? → いいえ、必要ありません。
❌ 認知症の人が強制的に付けられる? → いいえ、本人の申し出制です。
2. サポカーってどんな車?
「サポカー」とは、以下のような先進安全機能を搭載した車のことです。
✅ 衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)
✅ 誤発進抑制装置(アクセルとブレーキの踏み間違い対策)
✅ 車線逸脱警報装置 など
現在は2020年以降に製造された車で、国が定めた要件を満たしていることが条件とされています(※型式認定が必要)。
詳しくは→ 警察庁公式サイト
3. どんな人が使うの?
✔ 「最近反応が遅くなってきたかも…」
✔ 「家族から免許返納をすすめられている…」
✔ 「それでも運転が必要だから、できる限り安全に運転したい」
そんな方が、自主的にこの制度を活用しています。
4. 家族への“安心材料”として
この制度のもう一つの側面は、**「家族との折り合いの中で、運転を続けるための妥協点」**になりうるということ。
「サポカーしか運転しないから、もう少しだけ…」
「運転は必要。でも安全機能がついた車だけにする」
こうした選択が、家族の不安を軽減し、本人の自立も保つ手段になっています。
5. サポカー限定免許の取得方法は?
以下のような流れで申請が可能です。
- 最寄りの運転免許センター等で相談
- 申請書類を提出(本人の意思に基づいて)
- 運転免許証に「サポカー限定」の条件が追加される
※返納ではなく、**「限定条件を追加するだけ」**なので、運転そのものは可能です。
6. 注意点
- サポカー限定免許では、対象車両以外の車は運転できません。
- 仮に対象外の普通自動車を運転すると、それは「免許条件違反」になります。
- 自動二輪免許も同時に所持していた方が普通車をサポカー免許にした場合は、自動二輪免許も返納しなければならないわけではありません。
- 普通自動車免許の上位免許(中型一種や大型一種免許など)は、同時に返納することになりますので運転することができなくなります。
- サポカー限定を解除して再びサポカー対象外の車を運転することができる免許に戻す場合、教習所などで行う教習を2時限以上受講した後、教習所などで行う審査に合格しなければなりません。
- サポカー限定を解除した場合、過去に中型8t免許や準中型5t免許を所持していた方も普通自動車AT免許のみが戻ってきます。
- 車を買い替える際や、レンタカーを借りる際には、対象車両かどうかを必ず確認しましょう。
まとめ:安全に運転を“続ける”という選択
免許返納は「終わり」ではなく、「区切りの選択」ですが、
**サポカー限定免許は“継続するための新しいスタイル”**です。
- 自分の運転に少し不安を感じ始めた方
- 家族に運転を反対されている方
- それでも“生活の足”として車が必要な方
そんな方にとって、この制度は一つの安心材料であり、希望なのです。