2018年交通事故死者数、戦後最少更新

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2019年1月4日に警察庁が発表した報告書によると2018年中の交通事故死者数は3,532人(事故発生から24時間以内に死亡した方)で昨年の3,694人から162人減少。3年前の2015年わずか4人ではありますが増加に転じたものの、第2次交通戦争と言われた平成4年(1992年)の11,452人以降大幅な減少傾向にあり、警察庁の保有する昭和23年(1948年)以降の統計で最少となった前年をさらに下回る結果となりました。減少傾向ではあるものの、まだまだ多くの尊い命が失われているのも事実。

この記事では、都道府県別事故実態や死者数減少の要因など、筆者の視点で様々な内容について考えてみました。

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2018年都道府県別事故実態

交通事故死者数ワースト10

2018年中の交通事故死者数は前述の通り、全国で3,532人。ここで毎年注目されるのは、都道府県別交通事故死者数ワースト10であります。

1位 愛知県 189(-11)人
2位 千葉県 186(+32)人
3位 埼玉県 175(-2)人
4位 神奈川県 162(+13)人
5位 兵庫県 152(-9)人
6位 大阪府 147(-3)人
7位 東京都 143(-21)人
8位 北海道 141(-7)人
9位 福岡県 136(-3)人
10位 茨城県 122(-21)人

やはり2018年もワースト1位は愛知県で、これで16年連続1位となりました。しかしながら汚名返上に燃える愛知県もただ指をくわえて見ているだけではないようで、近年大幅な減少傾向にあり、交通事故対策など力を入れていることが窺えます。一方で、猛チャージを仕掛けてきたのは千葉県。前年から32人増加し1位の愛知県に3人差まで迫りました。今年はいよいよ首位が入れ替わるかもしれません。

毎年ワースト10に登場する都道府県は代わり映えなく、大都市圏と関東地方で埋め尽くされ、この中で順位を競っている状態が続いています。人口の絶対数が多ければ事故が多いのも当たり前で、ワースト1位である愛知県は、車の保有台数は全国でダントツの1位でもあり、死者数が多いのも頷けるところであります。しかしながら2018年中話題となった「あおり運転」の検挙数は、1位は兵庫県(915件)、2位は愛知県(714件)、3位は静岡県(654件、因みに静岡県は交通事故死者数はワースト11位で警察署管内別交通事故死者数は浜松市内ある警察署管内が毎年もっとも多いらしく、なかなか侮れない地域である。)で交通マナーの悪さも否定できません。

人口10万人あたりの交通事故死者数ワースト3

一方、都道府県ごとに人口にバラつきがあるため、上記の数字では本来の事故実態の数値、あるいは本当に危険な都市なのかどうかは正確なものではない。そこで人口10万人あたりの死者数を算出したものを調べてみました。

人口10万人あたりの死者数ワースト3
1位 福井県 5.26人
2位 富山県 5.11人
3位 三重県 4.83人

 

※算出に用いた人口は、前年の人口であり、総務省統計資料「人口推計」又は「国税調査」による。

もっとも交通事故死する可能性がもっとも高いのは福井県の5.26人で、この順位もほぼ不動に近いものとなっていますので、毎年福井県が上位を取っていることになります。因みに愛知県は全国の41位2.51人、東京都がもっとも低い1.04人となっていますので、よく報道される愛知県やそのほか大都市圏が必ずしも危険な地域ではないということになります。

平成30年中、前年より死者数の増加した都道府県ワースト3

こうした中で全国的には戦後最少の交通事故死者数となった2018年ですが、番外編で死者数減少に貢献できなかった都道府県ランキングも調査しました。

平成30年中、平成29年より死者数が増加した都道府県ワースト3
1位 千葉県 32人
2位 富山県、新潟県 17人
3位 岐阜県 16人

千葉県の32人がダントツの1位、次いで富山県、新潟県の17人、岐阜県の16人という結果です。因みに47都道府県中14県で死者数が増加しました。中でも東北地方6県のうち、岩手県以外の県は全て増加した一方、九州地方では全ての県で減少し、中部地方より東の地区での増加が目立ちました。また、3年連続増加したのは、山形県、神奈川県、広島県の3件のみで今後の対策が求められます。

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交通事故死者数減少の要因

このように死者数の増加した県がある一方で、日本全国で見ると死者数は大きく減少している。
2019年1月4日に発表された国家公安委員会委員長のコメントによると、「政府をはじめ、関係機関・団体や国民一人一人が交通事故防止に向け、積極的に取り組んだ結果だと考えております。」としています。

過去もっとも死者数の多かった年は1970年で16,765人(まだ返還されていなかった沖縄の数は含まれない。)の方が亡くなっています。その頃から考えると5分の1に迫る勢いであります。こうした大幅な減少には様々な要因が考えれます。

1、車の性能の向上

2、道路環境の整備

3、医療機関の発達

などがよく挙げられますが、私が感じるもっとも大きな要因となっているのは、警察の取り締まりが強化されたことではないでしょうか。
1970年代は、いわば法律はあっても今ほどうるさくなかった時代。その頃、ほとんどのドライバーは飲酒運転を経験し、そもそもシートベルトの備わっていない車が街を行き交っていました。近年では、シートベルトは後部座席も着用義務、飲酒運転や無免許運転、煽り運転などは厳罰化が進み、本来あるべき安全意識より保身のための安全志向が高まっていると言えます。しかしこうした取り締まりや危険運転に対する厳罰の強化こそが、まさに交通事故死者数減少に大きく起因しているのではないでしょうか。もはや昭和の走りはまさに時代錯誤、平成も終わる今流の走りは、法律を重んじること。これこそが現代のスタンダードと言えます。

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