はじめに
「高齢者講習で視力検査をするって聞いたけど、落ちたら免許更新できないの?」
こんな不安を感じたことがある方もいるかもしれません。
でも、ご安心ください。高齢者講習で行う視力検査に“合否”はありません。
高齢者講習での検査は、あくまで「今のご自身の見え方を知ってもらうためのもの」。
免許の更新に必要な視力の合格・不合格を判断するのは、更新時に運転免許センターまたは警察署で行う視力検査です。
以下のような視力が、更新時に必要となります:
免許の種類 | 片目の視力 | 両目の視力 |
---|---|---|
普通免許(中型8t限定・準中型5t限定含む) | 0.3以上 | 0.7以上 |
準中型免許以上 | 0.5以上 | 0.8以上 |
一方で、高齢者講習での視力検査では、単に「静止視力」だけでなく、「動体視力」「夜間視力」「水平視野」など、実際の運転に近い状況を再現した検査が行われます。
この記事では、それぞれの検査内容とその意味について、わかりやすくご紹介します。
1.高齢者講習で行う視力検査の種類
高齢者講習では、主に以下の3つの視覚機能をチェックします。
- 動体視力
- 夜間視力
- 水平視野
これらは、すべて「運転に必要な視力」の要素です。
検査結果は、そのまま免許の可否にはつながりませんが、ご自身の運転スタイルを見直すきっかけとして非常に有効です。
2.動体視力 ― 走るものを見る力
動体視力とは、「動いているものをどの程度はっきり見ることができるか」を測る視力です。
検査では、専用の装置をのぞきこむと、遠くにある小さなランドルト環(Cの形をした記号)が、時速30kmで近づいてきます。
最初は小さくて開いている方向がわかりませんが、近づくにつれて徐々に大きくなり、開いている方向がわかるようになります。
その瞬間にレバーを倒して、「どちらが開いているか」を回答します。
※当然早く回答できた方が良い結果になりますが、あくまでも試験ではないため、いかに現状の自身の視力を理解することが最も重要なので、早く回答するあまり、お手つきにならないように注意してください。3回間違えるとやり直しになり、検査が終わらなくなりますよ。
この検査では、**“動いているものに気づいて判断する力”**が試されます。
歩行者の横断や車両の接近にいち早く気づけるか――動体視力はそうした危険予測にも大きく関わっています。
📌 参考値:70歳以上の平均動体視力はおよそ「0.2〜0.3」程度
3.夜間視力 ― 暗さに慣れる力
夜間視力とは、暗くなった場所でもどの程度見えるかを測る能力です。
検査方法は、まず30秒間ほど明るい画面を見続け(明順応)、その後、急に画面が暗くなります。
この状態で、どのタイミングで見え始めるか(暗順応のスピード)を調べるものです。
夜間の運転では明るいヘッドライトや対向車の光などで、また、トンネルなど突然暗い場所に入った時は、一時的に視界が奪われることがあります。また、夜の外食などの帰り道、夜間の送迎など、明るい場所から突然夜の暗い道を運転する時も同様です。
この時、どれくらいの早さで「暗さに慣れて視界を取り戻せるか」が事故予防に直結します。
📌 参考値:70歳以上の夜間視力回復時間はおよそ「50秒程度」
若者の平均は10秒程度なので、こうしたことから考えても、高齢者は、夜の運転免許を返納してもいいのかもしれません。
4.水平視野 ― 横の動きに気づけるか
水平視野とは、顔をまっすぐ前に向けたまま、どこまで左右に見えているかを測る検査です。
検査では、視線を固定した状態で、両側からゆっくりと動く光点(もしくはマーカー)を使い、「どこまで見えるか」が評価されます。※マーカーを目で追ってはダメですよ。
この能力は、交差点での安全確認や、右左折時の歩行者の発見、側方からの飛び出しなどに大きく関係します。
📌 参考値:70歳以上の平均水平視野は「両目の合計で160〜170度程度」
若者の平均は、およそ200度と言われているので、視野の範囲で周辺の危険を捉えるよりも、直接目視をすることが重要であると言えます。
5.まとめ|視力検査を「やめるため」でなく「見直すため」に
高齢者講習での視力検査は、「運転免許の合否を決める」ものではなく、「自分の運転能力と向き合う」ためのものです。
加齢によって視覚機能は少しずつ低下していくのは自然なこと。
だからこそ、こうした検査を通じて現状を知り、必要があれば運転スタイルを見直したり、運転時間帯を変えたり、家族と話し合ったり――そんな“きっかけ”として活用していただきたいのです。
「まだ大丈夫」と思っていても、数字が示す現実が何かのヒントになるかもしれません。
「運転をやめるか」ではなく、**「運転とどう向き合っていくか」**を考える。
それが、高齢者講習の真の目的と言えるでしょう。
✍️ このような方におすすめの記事です
- 高齢者講習をこれから受ける予定の方
- ご家族に高齢ドライバーがいる方
- 視力に不安があるが、運転を続けたい方