はじめに
普通車教習の第一段階で苦労している方、多いのではないでしょうか?
「カーブや曲がり角をうまく曲がれない」「S字やクランクで脱輪しそうになる」――これらの課題に共通しているのは、“ハンドルを正しく回して、正しく戻す”ことができていないという点です。
もちろん、「正しい運転姿勢」「適切な速度調節」「視点の向け方」「正しい走行位置」など運転技術にはさまざまな要素があります。
ですが、教習指導員として第一段階技能教習で、私が日頃最も重視しているのは、実はこのハンドル操作なんです。
もっと言えば――
ハンドル操作さえ正確にできれば、他の操作が少しイマイチでも意外となんとかなってしまう!
第一段階の初期段階で「まだ全然慣れません…」という方には、教習1時限(50分)のうち10分以上をハンドル操作の練習だけに使うこともあります。
そして、そのわずか10分で運転の質が劇的に改善することも珍しくないのです。
というわけで今回は、ルールブックには載っていない、教習現場で本当に使えるハンドルの回し方と戻し方について解説します!
1. 悪いハンドル操作4選
① 送りハンドル
ちょこちょこと手繰り寄せるように回す方法で、運転が苦手な方に最も多いのがこのタイプ。
- 一度に回せる量が少なく、切り遅れや戻しづらさが出る
- ハンドルが今どれくらい回っているか分からなくなりやすい
私はよくこの回し方を**「おばあちゃん流の回し方」**と呼んで、あえて悪い例として教習で紹介しています。
② 内掛けハンドル
ベテランドライバーがよく使う方法。ハンドルの内側に手を入れて、引くように回すやり方です。
- 引く動作は力をかけやすく、一見ラクに見える
- しかし、とっさの時に戻しにくく、安全上リスクもある
絶対NGとは言いませんが、初心者にはおすすめしない方法です。(パパさん流の回し方)
③ 手の位置が近すぎる回し方
右カーブで右手が下に来た時、左手のすぐ近くを持ち替える方法。これは教習生に非常に多く見られます。
- 回し切るのに何度も操作が必要になる
- 結果、何回転回したか分からなくなり、戻せなくなる原因に
④ 片手ハンドル
これは説明不要ですね。
検定では減点対象になりますし、何より危険です。
2. 上手な人のハンドル操作とは
まず、良いハンドル操作のポイントをおさらいすると:
- できるだけ少ない運動量で大きく回せる
- 今どれくらい回っているかが把握できる
- 自然に、無意識でも戻せる構造になっている
この3つを満たす操作が、私が教習で教えている方法です。
タイトルをつけるなら――
「同じところに同じ手垢しかつかない回し方」
つまり、両手が常に同じ場所しか持たないように回す方法です。
🔁 具体的なやり方(右に回す場合)
1、両手で右に回し始める
親指はハンドルに巻き付けない!!

2、右手が下に来たら自然に離し、左手は回し続ける

3、左手が右下あたりに来たら右手は「自分が今まで持っていた位置」を再び持って右に引く

4、左手も同じ場所を持ってまっすぐに戻す

➡️ これで1回転です。
普通の乗用車は、片側に約1回転半程度ハンドルが回りますので、もう1回分回せばフルロックまで切れることになります。
🔁 ハンドルを戻す場合(左に戻す)
5、今度は左手が下に来たら自然に離し、右手はそのまま回し続ける

6、右手が左下あたりに来たところで、左手は元の位置を再び持って引く

7、右手も同様に元の位置を持って、真っ直ぐに戻す

➡️ この一連の動きで、無駄なく、分かりやすく、戻しやすいハンドル操作が完成します。
🔶 注意:この方法は「曲がり角」などでハンドルをしっかり回すときに有効です。
緩やかな「カーブ」では、もう少し少ない操作量で済むので、状況に応じて調整しましょう。
上手な回し方のデメリット
この方法を自然に行うことができれば、運転の質は劇的に変わることは間違いないんですが、実はこの方法にもデメリットがあるんです。
それは、ハンドルを見ながら回したくなってしまうということです。ハンドルを持つ場所を固定してしまっているため、どうしてもハンドルを見たくなってしまうという問題があるため、ハンドルではなく進行方向を見ながら自然にこの方法で回せるように練習しましょう!
まとめ
普通車教習の第一段階でつまずくポイントのひとつ、ハンドル操作。
難しく考える必要はありません。**「同じところに同じ手垢がつく回し方」**を意識するだけで、
- 曲がり角がスムーズに
- クランク・S字が通りやすく
- ハンドルが勝手に戻ってくる感覚
が身についてきます。
そして何より、自信がつく!
まずはハンドル操作を「見直す」「整える」「癖を修正する」ことから始めてみましょう。
そうすれば、他の課題も自然と解決の糸口が見えてくるはずです。
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