【カーナビは便利だけど、頼りすぎていませんか?】〜教習指導員が語るナビとの上手な付き合い方〜

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運転上達の秘訣

あなたは、普段カーナビを使っていますか?
カーナビって本当に便利ですよね。
目的地を入力するだけで、あとは音声に従って進めば、知らない場所でも迷うことなくたどり着ける。もはやカーナビなしでのドライブは考えられない、という方も多いのではないでしょうか。

最近ではスマートフォンの地図アプリも進化し、車の運転中はもちろん、バイクや自転車、徒歩の移動まで、ナビが生活の一部になっています。
それくらい、現代の私たちは「道を調べること」から「ナビに従うこと」へ、意識を変化させてきました。

私は、日々教習所で指導にあたっている現役の教習指導員です。
すでに免許をお持ちの方はご存じかもしれませんが、教習カリキュラムの中には「自主経路走行」という科目があります。
これは、決められた出発地から目的地まで、運転者が自分で経路を立て、そのルートを実際に運転するという内容です。

この「自主経路」、かつては技能検定の課題としても実施されていた重要な教習でしたが、平成24年3月に検定から削除され、現在では教習の中で実施されるだけとなっています。
しかし最近では「この教習も時代遅れではないか」という声もあがってきています。

実際、2025年9月から施行される二種免許教習の時限数短縮においては、カーナビの普及を背景に、教習のあり方そのものを見直す動きがあり、「自主経路」教習は完全に廃止されることになりました。

技術の進歩に合わせて教習内容が変わっていくのは当然の流れかもしれません。
しかし、私は指導員として、そして一人のドライバーとして、ここで声を大にして言いたいことがあります。


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カーナビは便利な道具。だが、それは諸刃の剣でもある。

ナビがあることで、初めての場所にも気軽に出かけられるようになりました。
旅行や出張、知らない土地での運転に不安を感じる人にとって、これほど心強い存在はありません。

しかし、その一方で、カーナビを“見ていたせい”で命を落とす人がいます。
あるいは、カーナビに気を取られて“命を奪ってしまう”人もいます。

交通事故の原因で最も多いのは、「脇見運転」です。
スマホ操作、飲み物を取る、子どもを振り返る、そしてカーナビ画面を見る——これらすべてが「脇見」です。
カーナビは本来、運転支援のためのツールのはずが、不注意の大きな引き金になっていることも少なくありません。

私は教習所で、運転中に“視線が逸れることの怖さ”を何度も教えています。
ナビをちらりと見たその数秒が、取り返しのつかない事故につながるのです。


初心運転者には“ナビ禁止”をおすすめしたい

ここからは、私の個人的な見解を含みますが、ぜひ真剣に読んでいただきたい内容です。

運転免許を取得したばかりの初心運転者には、最初の3年間はカーナビを使わないことを強くおすすめします。

もちろん、すでに乗る予定の車にナビが備え付けられているかもしれません。
ですが、できればナビには頼らず、事前に紙の地図やGoogleマップの画面を印刷するなどして、自分の頭で経路を把握してから出発するようにしてほしいのです。

なぜなら、運転に慣れていない段階でカーナビに頼ってしまうと、「考える力」や「判断する力」が育たないからです。
常に“指示を待つ運転”では、自分で「先を読む力」や「道を選ぶ力」が育たず、トラブルへの対応力も身につきません。

私自身、免許取得後にカーナビのない車を乗り継ぎ、常に地図を見て出発する習慣を持っていました。
ドライブデートでも「地図を見なくても目的地にたどり着ける自分がカッコいい」と勝手に思っていた時期もあります(笑)。

でも実際、どこへ行くにも「一度は地図で頭に叩き込んでから向かう」ことを繰り返したことで、
卒業する頃には関東一円、どこへ行くにも地図なしで動けるようになっていました。

そして、地図を見ないでも行けるようになると、運転中にナビを確認する必要がなくなり、視線も集中力もブレません。
結果として、**“安全性が格段に高まる”**のです。


【まとめ】カーナビを使う前に、自分で道を選ぼう

技術の進化に頼るのは悪いことではありません。
でも、“技術に依存すること”と、“技術を上手に使いこなすこと”はまったく違います。

カーナビは、確かに便利で頼れるツールです。
しかしその利便性の裏には、事故のリスクや判断力低下といった危険も潜んでいます。

免許を取ったばかりの方、そしてこれから取ろうとしている方には、
ぜひ一度、自分の頭で考え、地図を読み、道を選んでみてほしいと思います。
その経験が、後の安全運転を支える大きな柱になります。

「ナビに頼らずに走ることが、安全につながる」——この言葉を、今日のあなたの胸に残していただけたら幸いです。