教習所目線の本音!?高齢者講習ってどう思われている?

スポンサーリンク
高齢者講習

「高齢者講習は受けなきゃいけないから仕方なく…」
そんな声をよく耳にします。

確かに、免許更新をするためには70歳以上の方は高齢者講習を受ける必要があり、75歳以上ならその前に「認知機能検査」もあります。気が進まなくても、講習を受けなければ免許は更新できません。
だからこそ、「行きたくないけど行くしかない」という方がほとんどでしょう。

では、そんな“義務的に来る高齢者”を受け入れる教習所側は、一体どう思っているのでしょうか?

今回は、現役教習指導員の私が「ぶっちゃけ教習所の本音」をお話しします。


スポンサーリンク

いろんなタイプの高齢受講者がいる

高齢者講習を受講する方のタイプは、実にさまざまです。

  1. ちょっと呆けていて「なぜここに来ているのか分かっていない」方
  2. 「こんな講習やる必要があるのか!」と怒りながら受講する方
  3. ご近所の集まりのように気楽な感じで来る方
  4. 「今の自分の運転を見直したい」と真面目に学びに来る方
  5. 長年運転していなかったので不安を抱えている方
  6. 全てを受け入れて穏やかに受講される余裕ある方

この中で教習所スタッフにとって最も“手ごわい”のは、①と②のタイプ。
とくに②の「怒っている高齢者」は厄介です。些細な説明にも反発されることがあり、なだめたりフォローしたりと、講習以外の対応に追われることもしばしば…。

我々の本業は、若年層への運転教育です。そこに突然「怒っている年配の方」を相手にすることになるわけで、対応する側としてはなかなか神経を使います。


かつては「厄介な存在」だった高齢者講習

正直に言うと、かつての教習所にとって高齢者講習は“お荷物”でした。
教習所は基本的に若年層向けの普通免許教育で成り立っており、指導員の人手も足りないなかで、平日の昼間に高齢者講習を組むのは大変。利益も薄く、手間ばかりがかかる…。

ところが、最近では状況が大きく変わってきました。


「ドル箱」に変わった!?高齢者講習のビジネス構造

現在、高齢者講習には以下の2つの種類があります。

  • 通常の高齢者講習(公安委員会または委託教習所が実施)
  • 認定高齢者講習(=3号課程)(教習所が独自に実施)

内容は同じですが、料金設定が大きく異なります。

  • 通常の高齢者講習:全国一律6,600円(2025年現在)
  • 認定高齢者講習:教習所が料金を自由に設定可能

つまり、認定講習を実施する教習所は、「価格を上げることで収益を伸ばす」ことができるのです。実際、10,000円近い料金を設定している教習所も多く、なかには高齢者講習だけで年間1億円以上の売上を出しているところも。

かつては“やらされていた”講習が、今や少子化時代の収益源として注目される“ドル箱事業”に変わりつつあるのです。

▼3号課程と4号課程の違いはこちらの記事で解説
👉 教習所が独自に行う講習「3号課程・4号課程」とは


結局、どこで受けたらいいのか?

認定高齢者講習(3号課程)は予約が取りやすい反面、料金が高め
一方、公安委員会が実施または委託している通常の高齢者講習は、料金が安いですが、予約が取りづらいというデメリットもあります。

どちらを選ぶかはご本人次第。
しかし、高齢者の方が「義務感だけで受ける」ことになってしまうこの制度は、少し息苦しくなってきたのではないかとも感じます。


最後に一言

「どうせ嫌な思いをするなら安い方がいい」
「少しでも楽に受けたいから高くてもいい」

どちらの選択にも正解はありませんが、今の制度が「運転を続けるかどうか」そのものを問う内容になってきているのは間違いありません。

そして裏側では、教習所側もまた複雑な本音を抱えながら講習を提供しています。


免許の更新をする方へ

「イヤな思いをしてまで更新したくない」
そう思った方は、運転免許の返納についても一度考えてみてください。

一方で、「やっぱり運転は続けたい」と思うなら、少しでも納得のいく形で講習を受けられる場所を探してみましょう。

🔗 関連リンク

■ 認知機能検査関連


■ 運転技能検査関連


■ 高齢者講習制度全体の解説